201 / 1,137
【201 クリスマスの計画】
しおりを挟む
この世界にはクリスマスというものは無いそうだ。
考えてみれば、それもそうだと思う。
だって、クリスマスにつながる歴史がないのだから。
でも、私が日本でのクリスマスの事を話すと、みんな興味を持ってくれて、ぜひやってみようという話しになった。
役割分担は、私とジャニスさん、メアリーちゃんの三人は食事の準備をする事になった。
トロワ君とキャロルちゃんを中心に、子供達には飾り付けをお願いして、ブレンダン様には当日まで、できるだけ、スージーちゃんとチコリちゃんのお世話をお願いする事になった
二人とも、もうすっかり歩けるようになって、何にでも興味を持って触りたがるので、子供達の面倒を見れる人が少ない時は、ベビーサークル使っている。
大人の腰の高さくらいで、150cm四方くらいの広さの物だ。
ブレンダン様が孤児院を建てた頃に街で買った物のようで、今、孤児院にいる子供達はほとんど全員これを使ったそうだ。
とても思い出深い品物のようで、サークルの中で遊ぶ二人を目を細めて眺めている。
クリスマスプレゼントは、女性陣はマフラーを編む事に決めた。
何にしようか相談していたら、メアリーちゃんが、ウィッカーさんにマフラーを編むと言った事がきっかけだ。
実は、私は編み物ができない。だから、どうしようかなと考えていたら、メアリーちゃんがお手伝いするから、一緒に編みましょうと言ってくれたのだ。
料理も上手で、編み物もできるし、本当にメアリーちゃんはすごい。ウィッカーさんは幸せ者だ。
マフラーは普段の仕事の合間に作っても、一週間もあればできると言うので、私はメアリーちゃんに習いながら作る事にした。
ジャニスさんとキャロルちゃんも、得意ではないと言っていたけど、一応自分でできるみたいなので、この世界の女の子は、お裁縫ができる子が多いみたいだ。
考えてみると日本にいた頃は、衣類は傷ついたり汚れてしまったら、捨てるか売るかの二択で、直して使うという事はあまり考えた事がなかった。
家電類はともかく、衣類、特にカジュアルは何万もするブランドでもない限り、修理を考えない人が多いと思う。
だからリサイクルショップに、あんなに古着が持ち込まれるのだ。
どんなに買取が安くても、捨てるよりはマシという事なんだろうけど、ゴミ袋にギッシリ詰まった服を見ると、ちょっと溜息は出た。
物が豊富な日本だからこそ、使い捨てが当たり前になっていたのだと、この世界に来て実感できた。
でも、この世界は違う。
子供達はみんなおさがりを着ているし、破れれば縫い繕う。何度も再利用し、そして着れなくなった服は雑巾にするのだ。
それだけ物を大切にしているのだ。
私はこの世界にこそ、リサイクルショップが必要なのではと思った。
この世界の人は物を大切にするので、必要が無くなっても、何かに使えるかもしれない。
誰か必要な人がいたら。と考えて、いつまでも大事にしまって置く人が多いのだ。
それならば、リサイクルショップがあれば大いに街に貢献できると思う。
私には日本で働いていた経験がある。
だからこの世界でリサイクルショップを始めても、やっていけるのではないだろうか。
夕方、掃除洗濯など一通りの仕事が終わり、私は自室でメアリーちゃんに、さっそく編み物を教えてもらっていた。
「ヤヨイさん、どうかされましたか?」
メアリーちゃんが、小首を傾げて私を見る。
考えていた事が、つい顔に出てしまったみたい。
「えっとね、今回手編みのマフラーを作ろうって決めてから、ちょっと考えてたの。この世界でリサイクルショップを始めたら、きっと街のみんなの役に立つし、楽しいだろうなって」
「リサイクル・・・ショップ、ですか?それはなんですか?」
リサイクルショップを知らないメアリーちゃんに、私はどういうお店かを説明した。
いらなくなった物を買い取って、それを必要とする人に売る。
一言で言えばそれだけなのだけど、私が日本で働いていた時の体験談も混ぜて話すと、メアリーちゃんは興味津々になり、編み物の手を止めて二人で時間を忘れて話し合った。
「それで、その女の子の白クマさんはどうなったんですか?」
「うん。お裁縫の得意な人がいてね、その人がその場で縫ってあげたの。だから、引っ張った男の子とも仲直りして帰って行ったよ」
「それは良かったです。ニホンでは、白クマのポーさんは、とても人気があるのですね。男の子でも欲しがるなんて、一度見て見たいです」
北海道から生まれた大人気キャラクター、白クマのポーさんは、白クマに丸みをつけて、可愛らしくデフォルメしたデザインだ。キラキラしたビー玉のような目が愛くるしい。
元々は町おこしのゆるキャラだったけれど、全国的にヒットして、アニメにまでなったのだからいかにすごいか分かる。
鮭が大好物という設定で、年末年始は、ポーさんが可愛い外見とは裏腹に、新巻鮭にかぶり付くぬいぐるみなんかも、クレーンゲームにでてくるらいだ。
リサイクルショップ ウイニングで、ポーさんのぬいぐるみが、幼稚園くらいの子供達で取り合いになり、女の子が離さなかったので引っ張った男の子が、ポーさんの腕の付け根を少し破いてしまった時の話しを聞かせた。
幸い、スタッフで編み物が得意な女の子がいて、その場で綺麗に直し、男の子は謝って女の子が買っていったという話しだ。
「メアリーちゃんなら、作れるかも。デザイン自体は、そんなに複雑じゃないんだよ。白い綿のかたまりみたいな感じだから。あ、私ポーさんの絵くらいなら描けるよ」
私は子供達が使ったお絵かき用の紙を取り、まだ空いているスペースにポーさんのイラストを描いた。
ウイニングで働いていた時に、POP作りもやっていて、ポーさんはよく描いていたから少し自信がある。
ちなみにポーさんぬいぐるみは基本高価買取りだ。季節にもよるけど、冬になると縁起物の扱いになって、荒巻鮭をくわえたポーさんは、非常によく売れていたからだ。
「か、可愛いです!これが白クマのポーさんなのですね!子供達に人気があるのも分かります!」
定番の、ポーさんが純真無垢な笑顔で、鮭にかぶり付く絵を描いて見せると、メアリーちゃんは目を輝かせた。
「メアリーちゃん、すごいポーさん気に入ったみたいね。なんだか嬉しいわ」
「ヤヨイさん!これはジャニスさんとキャロルちゃんにも報告ですよ!こんな可愛いクマさんがいたなんて!」
私ちょっと行ってきます!そう言い残すと、メアリーちゃんは席を立って、ジャニスさん達を探しに行ってしまった。
メアリーちゃんは予想以上にハマったようだ。
一人残された私は、編み物の続きをやろうとしたけど、さっぱり分からないので、メアリーちゃんが戻ってくるまで、余っている紙に色々なポーさんを描いて時間を潰した。
戻ってきたメアリーちゃんと、ジャニスさん、キャロルちゃんがその絵を見て、可愛い!と声を上げたのは言うまでもない。
考えてみれば、それもそうだと思う。
だって、クリスマスにつながる歴史がないのだから。
でも、私が日本でのクリスマスの事を話すと、みんな興味を持ってくれて、ぜひやってみようという話しになった。
役割分担は、私とジャニスさん、メアリーちゃんの三人は食事の準備をする事になった。
トロワ君とキャロルちゃんを中心に、子供達には飾り付けをお願いして、ブレンダン様には当日まで、できるだけ、スージーちゃんとチコリちゃんのお世話をお願いする事になった
二人とも、もうすっかり歩けるようになって、何にでも興味を持って触りたがるので、子供達の面倒を見れる人が少ない時は、ベビーサークル使っている。
大人の腰の高さくらいで、150cm四方くらいの広さの物だ。
ブレンダン様が孤児院を建てた頃に街で買った物のようで、今、孤児院にいる子供達はほとんど全員これを使ったそうだ。
とても思い出深い品物のようで、サークルの中で遊ぶ二人を目を細めて眺めている。
クリスマスプレゼントは、女性陣はマフラーを編む事に決めた。
何にしようか相談していたら、メアリーちゃんが、ウィッカーさんにマフラーを編むと言った事がきっかけだ。
実は、私は編み物ができない。だから、どうしようかなと考えていたら、メアリーちゃんがお手伝いするから、一緒に編みましょうと言ってくれたのだ。
料理も上手で、編み物もできるし、本当にメアリーちゃんはすごい。ウィッカーさんは幸せ者だ。
マフラーは普段の仕事の合間に作っても、一週間もあればできると言うので、私はメアリーちゃんに習いながら作る事にした。
ジャニスさんとキャロルちゃんも、得意ではないと言っていたけど、一応自分でできるみたいなので、この世界の女の子は、お裁縫ができる子が多いみたいだ。
考えてみると日本にいた頃は、衣類は傷ついたり汚れてしまったら、捨てるか売るかの二択で、直して使うという事はあまり考えた事がなかった。
家電類はともかく、衣類、特にカジュアルは何万もするブランドでもない限り、修理を考えない人が多いと思う。
だからリサイクルショップに、あんなに古着が持ち込まれるのだ。
どんなに買取が安くても、捨てるよりはマシという事なんだろうけど、ゴミ袋にギッシリ詰まった服を見ると、ちょっと溜息は出た。
物が豊富な日本だからこそ、使い捨てが当たり前になっていたのだと、この世界に来て実感できた。
でも、この世界は違う。
子供達はみんなおさがりを着ているし、破れれば縫い繕う。何度も再利用し、そして着れなくなった服は雑巾にするのだ。
それだけ物を大切にしているのだ。
私はこの世界にこそ、リサイクルショップが必要なのではと思った。
この世界の人は物を大切にするので、必要が無くなっても、何かに使えるかもしれない。
誰か必要な人がいたら。と考えて、いつまでも大事にしまって置く人が多いのだ。
それならば、リサイクルショップがあれば大いに街に貢献できると思う。
私には日本で働いていた経験がある。
だからこの世界でリサイクルショップを始めても、やっていけるのではないだろうか。
夕方、掃除洗濯など一通りの仕事が終わり、私は自室でメアリーちゃんに、さっそく編み物を教えてもらっていた。
「ヤヨイさん、どうかされましたか?」
メアリーちゃんが、小首を傾げて私を見る。
考えていた事が、つい顔に出てしまったみたい。
「えっとね、今回手編みのマフラーを作ろうって決めてから、ちょっと考えてたの。この世界でリサイクルショップを始めたら、きっと街のみんなの役に立つし、楽しいだろうなって」
「リサイクル・・・ショップ、ですか?それはなんですか?」
リサイクルショップを知らないメアリーちゃんに、私はどういうお店かを説明した。
いらなくなった物を買い取って、それを必要とする人に売る。
一言で言えばそれだけなのだけど、私が日本で働いていた時の体験談も混ぜて話すと、メアリーちゃんは興味津々になり、編み物の手を止めて二人で時間を忘れて話し合った。
「それで、その女の子の白クマさんはどうなったんですか?」
「うん。お裁縫の得意な人がいてね、その人がその場で縫ってあげたの。だから、引っ張った男の子とも仲直りして帰って行ったよ」
「それは良かったです。ニホンでは、白クマのポーさんは、とても人気があるのですね。男の子でも欲しがるなんて、一度見て見たいです」
北海道から生まれた大人気キャラクター、白クマのポーさんは、白クマに丸みをつけて、可愛らしくデフォルメしたデザインだ。キラキラしたビー玉のような目が愛くるしい。
元々は町おこしのゆるキャラだったけれど、全国的にヒットして、アニメにまでなったのだからいかにすごいか分かる。
鮭が大好物という設定で、年末年始は、ポーさんが可愛い外見とは裏腹に、新巻鮭にかぶり付くぬいぐるみなんかも、クレーンゲームにでてくるらいだ。
リサイクルショップ ウイニングで、ポーさんのぬいぐるみが、幼稚園くらいの子供達で取り合いになり、女の子が離さなかったので引っ張った男の子が、ポーさんの腕の付け根を少し破いてしまった時の話しを聞かせた。
幸い、スタッフで編み物が得意な女の子がいて、その場で綺麗に直し、男の子は謝って女の子が買っていったという話しだ。
「メアリーちゃんなら、作れるかも。デザイン自体は、そんなに複雑じゃないんだよ。白い綿のかたまりみたいな感じだから。あ、私ポーさんの絵くらいなら描けるよ」
私は子供達が使ったお絵かき用の紙を取り、まだ空いているスペースにポーさんのイラストを描いた。
ウイニングで働いていた時に、POP作りもやっていて、ポーさんはよく描いていたから少し自信がある。
ちなみにポーさんぬいぐるみは基本高価買取りだ。季節にもよるけど、冬になると縁起物の扱いになって、荒巻鮭をくわえたポーさんは、非常によく売れていたからだ。
「か、可愛いです!これが白クマのポーさんなのですね!子供達に人気があるのも分かります!」
定番の、ポーさんが純真無垢な笑顔で、鮭にかぶり付く絵を描いて見せると、メアリーちゃんは目を輝かせた。
「メアリーちゃん、すごいポーさん気に入ったみたいね。なんだか嬉しいわ」
「ヤヨイさん!これはジャニスさんとキャロルちゃんにも報告ですよ!こんな可愛いクマさんがいたなんて!」
私ちょっと行ってきます!そう言い残すと、メアリーちゃんは席を立って、ジャニスさん達を探しに行ってしまった。
メアリーちゃんは予想以上にハマったようだ。
一人残された私は、編み物の続きをやろうとしたけど、さっぱり分からないので、メアリーちゃんが戻ってくるまで、余っている紙に色々なポーさんを描いて時間を潰した。
戻ってきたメアリーちゃんと、ジャニスさん、キャロルちゃんがその絵を見て、可愛い!と声を上げたのは言うまでもない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
120
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる