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【181 心の火】
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夕方、ジョルジュさんからの連絡を受け、ジョルジュさん達が殺し屋ジャーゴル・ディーロに襲われたという事を聞いた。
お風呂も済んで、子供達を寝かせると、ブレンダン様は大人だけを広間に集めて対策を話し出した。
「ウィッカー達はジャーゴル・ディーロを倒したが、もう一人残っておる。ヤツらが分かれて行動しておるという事は、もう一人はこっちに来る可能性が高い。夜は特に警戒しておかねばならんな」
孤児院には子供達も大勢いるし、狙われるとしたらやはり夜、寝静まった時だろうという考えが、一番多かった。
そこで、今日からは交代で夜の見張りを立てる事になった。
夜の10時から2時までを前半として、2時から6時までを後半とする二回編制だ。
見張りの適任は、探索魔法サーチが使える青魔法使いという事なので、ブレンダン様と、パトリックさんは別れる事になった。
二人一組で見張りにつく事になり、初日は私とブレンダン様が前半に。
パトリックさんとエロール君が後半の見張りにつく事になった。
メアリーちゃんは、この状況になってから孤児院に泊まり込みになっている。
一人になる方が危ないだろうというブレンダン様の判断で、私もそう思う。
そして、メアリーちゃんは大人だけど、できるだけ争いごとからは離れてほしいというブレンダン様の意向で、見張りからは外れる事になった。
メアリーちゃんには、子供達と同じ部屋で寝てもらって、子供達が不安を感じないように安心させてほしいみたい。
メアリーちゃんは、そこにいるだけで周りが笑顔になれるような雰囲気があるので、こういう状況でも、メアリーちゃんと一緒なら、子供達も安心して眠れると思う。
ブレンダン様は私の事も見張りから外そうとしたけれど、私は自分から見張り役をやりたいと申し出た。
私には戦う力はないけれど、風の精霊さんが付いていてくれるから、なにかの役に立てるかもと思ったし、この孤児院の中で年長者なのだから、こういう時には頑張らなきゃと思ったからだ。
ブレンダン様は私の気持ちを聞いて、少し考えていたけれど、私の気持ちを汲んでくれて見張りを任せてくれた。
この孤児院は、私にも、子供達にも、みんなにとってかけがえのない大切な場所だから、私は孤児院のために力になれる事はどんどんやりたいと思う。
「・・・パトリックと、一緒が良かったかの?」
私とブレンダン様は、みんなが寝静まった孤児院の広間で二人、紅茶を飲んで向かい合って座っていた。
ブレンダン様は5分置きにサーチを使用していて、孤児院に近づく人間がいるかを確認している。
ちなみに、ブレンダン様のサーチは半径1,000メートルらしい。
私は魔法の事は何も分からないので、孤児院でみんなにどういう魔法が存在して、どういう効果があるのか教えてもらっている。
探索魔法のサーチは、特に魔法の訓練をしていない一般の人で10~50メートル。
カエストゥスの王宮魔法使いで300メートル前後といったところらしい。
パトリックさんは調子の良い日で400メートル程と話していたので、ブレンダン様がどれだけ群を抜いた魔力を持っているのかよく分かる。
「ふふ・・・ブレンダン様、お気を使わせてしまいましたね。パトリックさんとは、毎日少しづつ距離が近づいているように感じてるんです。私達は、ゆっくりお互いを知っていきましょうと話してますので、大丈夫ですよ」
「ふむ・・・そう言えば、夕食の時、街案内の話しもしておったしの。うまくいっておるで何よりじゃ。ロビンのヤツもやっと肩の荷がおりそうじゃな」
ブレンダン様が笑いかけてくれたので、私も笑顔を返す。
夕食の時、街案内をお願いした私に、パトリックさんは初めて言いよどむ事なく返事をくれた。
真っ直ぐに私を見る視線に、少しだけ胸が高鳴った気もする。
私に対する緊張もだいぶ無くなってきたのかな?
少しだけ記憶が戻ったけれど、私はまだこの国の事をあまりよく分からない。
ジャニスさんやメアリーちゃんと、お買い物に出かける時に、少し案内はしてもらっているけれど、まだまだ知らない事が多すぎる。
こんなに物を知らない私と、真っ直ぐに向き合ってくれるパトリックさんとなら、お付き合いしていけるのではないかと思っている。
それから、交代の時間になるまで、私とブレンダン様は沢山の事を話した。
ブレンダン様は、私の記憶が少し戻った事に触れて、少しでも戻ったのならば、そのうち全部戻ると思う。と考えているようで、私も同意見だった。
そして、王子が私に言った【お前は一人なのか?】という言葉については、真意は分からないけれど、王子は意味の無い言葉は使わないと話した。
私もどういう意味なのかハッキリとは分からない。
だけど、あの日精霊さんと心を通わせて、少しだけ記憶が戻った時から、私の中に、何かの火が付いたような、不思議な感覚が生まれたのだ。
いえ・・・生まれたというより、その火は最初からあったようにも感じる。
眠っていたけれど、風の精霊さんと通じた事で、眠りから起きそうになっている。
王子の言葉は、この心の火を指しているのかもしれない。
この心の火がもっと大きくなった時・・・きっと起きる
お風呂も済んで、子供達を寝かせると、ブレンダン様は大人だけを広間に集めて対策を話し出した。
「ウィッカー達はジャーゴル・ディーロを倒したが、もう一人残っておる。ヤツらが分かれて行動しておるという事は、もう一人はこっちに来る可能性が高い。夜は特に警戒しておかねばならんな」
孤児院には子供達も大勢いるし、狙われるとしたらやはり夜、寝静まった時だろうという考えが、一番多かった。
そこで、今日からは交代で夜の見張りを立てる事になった。
夜の10時から2時までを前半として、2時から6時までを後半とする二回編制だ。
見張りの適任は、探索魔法サーチが使える青魔法使いという事なので、ブレンダン様と、パトリックさんは別れる事になった。
二人一組で見張りにつく事になり、初日は私とブレンダン様が前半に。
パトリックさんとエロール君が後半の見張りにつく事になった。
メアリーちゃんは、この状況になってから孤児院に泊まり込みになっている。
一人になる方が危ないだろうというブレンダン様の判断で、私もそう思う。
そして、メアリーちゃんは大人だけど、できるだけ争いごとからは離れてほしいというブレンダン様の意向で、見張りからは外れる事になった。
メアリーちゃんには、子供達と同じ部屋で寝てもらって、子供達が不安を感じないように安心させてほしいみたい。
メアリーちゃんは、そこにいるだけで周りが笑顔になれるような雰囲気があるので、こういう状況でも、メアリーちゃんと一緒なら、子供達も安心して眠れると思う。
ブレンダン様は私の事も見張りから外そうとしたけれど、私は自分から見張り役をやりたいと申し出た。
私には戦う力はないけれど、風の精霊さんが付いていてくれるから、なにかの役に立てるかもと思ったし、この孤児院の中で年長者なのだから、こういう時には頑張らなきゃと思ったからだ。
ブレンダン様は私の気持ちを聞いて、少し考えていたけれど、私の気持ちを汲んでくれて見張りを任せてくれた。
この孤児院は、私にも、子供達にも、みんなにとってかけがえのない大切な場所だから、私は孤児院のために力になれる事はどんどんやりたいと思う。
「・・・パトリックと、一緒が良かったかの?」
私とブレンダン様は、みんなが寝静まった孤児院の広間で二人、紅茶を飲んで向かい合って座っていた。
ブレンダン様は5分置きにサーチを使用していて、孤児院に近づく人間がいるかを確認している。
ちなみに、ブレンダン様のサーチは半径1,000メートルらしい。
私は魔法の事は何も分からないので、孤児院でみんなにどういう魔法が存在して、どういう効果があるのか教えてもらっている。
探索魔法のサーチは、特に魔法の訓練をしていない一般の人で10~50メートル。
カエストゥスの王宮魔法使いで300メートル前後といったところらしい。
パトリックさんは調子の良い日で400メートル程と話していたので、ブレンダン様がどれだけ群を抜いた魔力を持っているのかよく分かる。
「ふふ・・・ブレンダン様、お気を使わせてしまいましたね。パトリックさんとは、毎日少しづつ距離が近づいているように感じてるんです。私達は、ゆっくりお互いを知っていきましょうと話してますので、大丈夫ですよ」
「ふむ・・・そう言えば、夕食の時、街案内の話しもしておったしの。うまくいっておるで何よりじゃ。ロビンのヤツもやっと肩の荷がおりそうじゃな」
ブレンダン様が笑いかけてくれたので、私も笑顔を返す。
夕食の時、街案内をお願いした私に、パトリックさんは初めて言いよどむ事なく返事をくれた。
真っ直ぐに私を見る視線に、少しだけ胸が高鳴った気もする。
私に対する緊張もだいぶ無くなってきたのかな?
少しだけ記憶が戻ったけれど、私はまだこの国の事をあまりよく分からない。
ジャニスさんやメアリーちゃんと、お買い物に出かける時に、少し案内はしてもらっているけれど、まだまだ知らない事が多すぎる。
こんなに物を知らない私と、真っ直ぐに向き合ってくれるパトリックさんとなら、お付き合いしていけるのではないかと思っている。
それから、交代の時間になるまで、私とブレンダン様は沢山の事を話した。
ブレンダン様は、私の記憶が少し戻った事に触れて、少しでも戻ったのならば、そのうち全部戻ると思う。と考えているようで、私も同意見だった。
そして、王子が私に言った【お前は一人なのか?】という言葉については、真意は分からないけれど、王子は意味の無い言葉は使わないと話した。
私もどういう意味なのかハッキリとは分からない。
だけど、あの日精霊さんと心を通わせて、少しだけ記憶が戻った時から、私の中に、何かの火が付いたような、不思議な感覚が生まれたのだ。
いえ・・・生まれたというより、その火は最初からあったようにも感じる。
眠っていたけれど、風の精霊さんと通じた事で、眠りから起きそうになっている。
王子の言葉は、この心の火を指しているのかもしれない。
この心の火がもっと大きくなった時・・・きっと起きる
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