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【179 安否】
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「ジョルジュ・・・大丈夫か?」
「・・・あぁ、父さんは助かった・・・キミ達がいてくれて、本当に良かった」
「・・・エディさんを助けたのはジャニスだ。俺は大した事はしていないさ」
俺はかぶりを振って、先ほど出たジョルジュの両親の寝室に目を向けた。
扉は閉めてあるが、寝室の中ではまだ、ジャニスがショルジュの母ナタリーさんに抱きしめられているだろう。
「・・・ウィッカー、お前だからあの殺し屋をあれ程たやすく殺せたんだ。弓使いの俺と母さんでは、相性が悪かった。炎を身に纏う魔法、灼炎竜か・・・・・ウィッカー、お前がいなかったら誰かが命を落としていたかもしれないんだ。だから胸を張れ。俺は感謝している。謙虚になる事ではない」
「・・・・・そっか、俺も役にたったなら嬉しいよ。ところで、師匠達に連絡はついたか?」
殺し屋ジャーゴル・ディーロと戦った事を、ジョルジュに孤児院へ連絡をしてもらっていた。
「あぁ、ちょうど今、連絡が付いた。孤児院は変わりないそうだ。こっちでジャーゴルを返り討ちにした事には安堵している。それと、もう一人、ディーロ兄弟最後の一人がおそらく孤児院を狙うであろう事は、ブレンダンも察しているようだ」
そう、あと一人・・・・・あと一人残っている。
ディーロ兄弟は、三人兄弟だ。
闘技場でジョルジュが殺した三男のジャーガル・ディーロ。
そして今回俺が灼炎竜で始末した長男のジャーゴル・ディーロ。
あと一人残っている。
「そうか、ジャニスの話しだと、こっちにはジャーゴルとその仲間が四人、合計五人が来たそうだ。
二人揃う必要も無いと思われたのかもしれないが、ここと孤児院に分かれたようだな。ヤツらはジョルジュとヤヨイさんのような連絡手段はもっていないと思う。だから、まだジャーゴルが死んだ事は気付いていないはずだ」
「ウィッカー、すまないが、父さんが目を覚まさない間は俺はここを動けない。お前とジャニスだけでも、孤児院に戻ってはどうだ?」
ジョルジュも孤児院を気にかけている。
おそらくディーロ兄弟最後の一人は、孤児院を狙っているはずだ。だが、ジョルジュの言葉に俺は首を横に振った。
「俺ももう一人の殺し屋は孤児院を狙っていると思う。でも100%では無いだろ。続けてここを襲ってくる可能性も考えられる。だから、俺とジャニスはここに残るよ。孤児院なら心配するなって、師匠と王子、パトリックさんとエロールがいるんだ。決着がつかないまま俺達が帰ったら、逆に怒られちまうよ」
ジョルジュは、そうか、と一言だけ答えると、窓の外へ目を向けそれきり黙ってしまった。
今回は危なかった。
エディさんも命が助かったと言っても、かなり危険な状態だったんだ。
ジョルジュの心中は穏やかではないだろう。
ジョルジュは何も話さない、俺もそのまま口をつぐんだ。
口では心配ないと言ったけど、俺の気持ちはやはり孤児院を案じていた。
師匠とパトリックさんがいれば、護りは大丈夫だろう。
だけど、何が起こるか分からない。
メアリー・・・・・・・
日が傾いてきた。夕陽が森を赤く染める。
間も無く夜が訪れる。
窓から差し込む夕陽を見つめ、俺は心の中で祈った。
どうか、全員無事であるようにと。
「・・・あぁ、父さんは助かった・・・キミ達がいてくれて、本当に良かった」
「・・・エディさんを助けたのはジャニスだ。俺は大した事はしていないさ」
俺はかぶりを振って、先ほど出たジョルジュの両親の寝室に目を向けた。
扉は閉めてあるが、寝室の中ではまだ、ジャニスがショルジュの母ナタリーさんに抱きしめられているだろう。
「・・・ウィッカー、お前だからあの殺し屋をあれ程たやすく殺せたんだ。弓使いの俺と母さんでは、相性が悪かった。炎を身に纏う魔法、灼炎竜か・・・・・ウィッカー、お前がいなかったら誰かが命を落としていたかもしれないんだ。だから胸を張れ。俺は感謝している。謙虚になる事ではない」
「・・・・・そっか、俺も役にたったなら嬉しいよ。ところで、師匠達に連絡はついたか?」
殺し屋ジャーゴル・ディーロと戦った事を、ジョルジュに孤児院へ連絡をしてもらっていた。
「あぁ、ちょうど今、連絡が付いた。孤児院は変わりないそうだ。こっちでジャーゴルを返り討ちにした事には安堵している。それと、もう一人、ディーロ兄弟最後の一人がおそらく孤児院を狙うであろう事は、ブレンダンも察しているようだ」
そう、あと一人・・・・・あと一人残っている。
ディーロ兄弟は、三人兄弟だ。
闘技場でジョルジュが殺した三男のジャーガル・ディーロ。
そして今回俺が灼炎竜で始末した長男のジャーゴル・ディーロ。
あと一人残っている。
「そうか、ジャニスの話しだと、こっちにはジャーゴルとその仲間が四人、合計五人が来たそうだ。
二人揃う必要も無いと思われたのかもしれないが、ここと孤児院に分かれたようだな。ヤツらはジョルジュとヤヨイさんのような連絡手段はもっていないと思う。だから、まだジャーゴルが死んだ事は気付いていないはずだ」
「ウィッカー、すまないが、父さんが目を覚まさない間は俺はここを動けない。お前とジャニスだけでも、孤児院に戻ってはどうだ?」
ジョルジュも孤児院を気にかけている。
おそらくディーロ兄弟最後の一人は、孤児院を狙っているはずだ。だが、ジョルジュの言葉に俺は首を横に振った。
「俺ももう一人の殺し屋は孤児院を狙っていると思う。でも100%では無いだろ。続けてここを襲ってくる可能性も考えられる。だから、俺とジャニスはここに残るよ。孤児院なら心配するなって、師匠と王子、パトリックさんとエロールがいるんだ。決着がつかないまま俺達が帰ったら、逆に怒られちまうよ」
ジョルジュは、そうか、と一言だけ答えると、窓の外へ目を向けそれきり黙ってしまった。
今回は危なかった。
エディさんも命が助かったと言っても、かなり危険な状態だったんだ。
ジョルジュの心中は穏やかではないだろう。
ジョルジュは何も話さない、俺もそのまま口をつぐんだ。
口では心配ないと言ったけど、俺の気持ちはやはり孤児院を案じていた。
師匠とパトリックさんがいれば、護りは大丈夫だろう。
だけど、何が起こるか分からない。
メアリー・・・・・・・
日が傾いてきた。夕陽が森を赤く染める。
間も無く夜が訪れる。
窓から差し込む夕陽を見つめ、俺は心の中で祈った。
どうか、全員無事であるようにと。
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