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【156 優しい言葉と悲しくなる言葉】
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ヤヨイさんは、ジャニスやメアリーよりも背が高い。
二人の服では合わなかったので、初日は深緑色の寝間着で過ごしてもらうしかなかったが、翌日、メアリーに街で服を何着か買ってきてもらい、今は自分の体に合った服を着ている。
今日は、袖口がフリルの白いシャツに、ひざ下まであるブラウンとグリーンのチェック柄の、スカートを合わせている。
「では、ブレンダン、みんな、世話になった」
孤児院の玄関で見送りに立つ師匠やみんなに、ジョルジュはお礼を口にする。
俺とジャニス、ヤヨイさんが、行ってきます、と言って手を振ってジュルジュに続いて行こうとすると、キャロルが、待って、とジョルジュを呼び止めた。
「ん?どうした?」
玄関から数歩先で立ち止まり、ジョルジュはゆっくりと振り返った。
振り向いたジョルジュの顔を見ると、キャロルは少し頬を赤くして、俯きながらジョルジュの前まで、ゆっくりと歩いて行った。
ジョルジュの前に立っても、キャロルはなかなか言葉を出せずにいる。
言いたい事があるのだが、緊張して口に出せないようだ。
トロワや男の子達は、キャロルどうしたんだ?といぶかし気に話している。
まだあの年では分からないのだろう。
ジャニスとメアリーとヤヨイさんの女性三人は、なんだかワクワクとドキドキが混ざったような顔をして、両手で口を押えながら、キャロルとジョルジュから目を離さずにいる。
「・・・ゆっくりでいいぞ。急いでいるわけでもない。考えがまとまるまで待とう」
ジョルジュはキャロルの目線まで腰を下ろすと、ずっと俯き、何も言えずにいるキャロルに優しく声をかけた。
その言葉に勇気をもらったのだろう。
キャロルは顔を上げると、両手を握り締め声を振り絞るようにして言葉を発した。
「あ・・・あの・・・ま、また来てください!」
「分かった。またとはいつだ?」
キャロルの言葉にジョルジュは即反応した。
勇気を振り絞ったキャロルの言葉に、ジャニス、メアリー、ヤヨイさんは、高い声を上げて、飛び上がりそうにしている。
しかし、ジョルジュの返事に、キャロルはまた少し困ってしまっている。
なんて返していいか分からないのだろう。
分かったまた来るよ。くらいの返事でも十分嬉しかったのだろうが、具体的な日を聞かれているのだ。予想外の返事に、どう返していいか分からないのだ。
「・・・え、その、じゃ・・・じゃあ・・・明日!」
「分かった。明日だな。ブレンダン、明日は城へ行くと聞いているが、来てもいいか?」
ジョルジュが師匠に顔を向けると、師匠は笑顔で頷いた。
「ほっほっほ、もちろんじゃ。気にせずいらっしゃいな。ここにはいつ来てもかまわんよ」
「わかった。ではキャロル、また明日」
ジョルジュの言葉に、キャロルはとても嬉しそうに大きく頷いた。
「ヤヨイさん、ごめん。昨日うっかり話し忘れてたんだけど、闘技場でパトリックさんに会ったんだ。ヤヨイさんにぜひ会いたいって言ってたよ」
街で拾った馬車の中で、ジャニスは昨日パトリックさんと話した事を思い出し、隣に座るヤヨイさんに顔を向け、パトリックさんとの縁談の話しを始めた。
「大丈夫よジャニスさん。昨日は大変だったんだから、気にしないでね。でも・・・そっか、私と会ってくれるんだ・・・・・」
ヤヨイさんは少しだけ口元に笑みを作り、言葉を確かめるように呟いた。
「あはは、ヤヨイさん綺麗だから、パトリックさんが会ったら、今までよりガチガチに固まると思うよ。ちょっと自己評価の低い人だけど・・・良い人だから!うまくいくといいね」
「・・・・・私は記憶が無いから、本当はどんな女かわからないでしょ・・・だから、会ってくれるだけでも嬉しいわ。でも、そうね・・・こんな私でも気に入ってもらえたら・・・・・嬉しいわ」
笑顔を作っているけど、寂しそうに呟くヤヨイさんに、ジャニスが少し強い口調で言葉を出した。
「ヤヨイさん、そういう事言わないで!ロビンさんも言ってたでしょ、今のヤヨイさんが私達の知ってるヤヨイさんなの。昔のヤヨイさんは知らないけど、子供達も、私達もみんなヤヨイさんが好きだよ。だから、こんな私とか、本当はどんな女とか・・・そういう悲しくなる事はもう言わないで・・・」
ジャニスの視線を真っすぐに受け、ヤヨイさんは少し驚いたような表情を見せたけど、すぐに笑顔をみせると、ジャニスを抱きしめた。
「え!?ちょっと、ヤヨイさん、なに?なに?」
「・・・ジャニスさん・・・ありがとう。私、もうそういう事は言わないね」
ジャニスはこういう風に抱きしめられる事に慣れてなく、顔を赤くして言葉に詰まり、おろおろしている。
ヤヨイさんは、しばらくジャニスを抱きしめて離さなかった。
二人の服では合わなかったので、初日は深緑色の寝間着で過ごしてもらうしかなかったが、翌日、メアリーに街で服を何着か買ってきてもらい、今は自分の体に合った服を着ている。
今日は、袖口がフリルの白いシャツに、ひざ下まであるブラウンとグリーンのチェック柄の、スカートを合わせている。
「では、ブレンダン、みんな、世話になった」
孤児院の玄関で見送りに立つ師匠やみんなに、ジョルジュはお礼を口にする。
俺とジャニス、ヤヨイさんが、行ってきます、と言って手を振ってジュルジュに続いて行こうとすると、キャロルが、待って、とジョルジュを呼び止めた。
「ん?どうした?」
玄関から数歩先で立ち止まり、ジョルジュはゆっくりと振り返った。
振り向いたジョルジュの顔を見ると、キャロルは少し頬を赤くして、俯きながらジョルジュの前まで、ゆっくりと歩いて行った。
ジョルジュの前に立っても、キャロルはなかなか言葉を出せずにいる。
言いたい事があるのだが、緊張して口に出せないようだ。
トロワや男の子達は、キャロルどうしたんだ?といぶかし気に話している。
まだあの年では分からないのだろう。
ジャニスとメアリーとヤヨイさんの女性三人は、なんだかワクワクとドキドキが混ざったような顔をして、両手で口を押えながら、キャロルとジョルジュから目を離さずにいる。
「・・・ゆっくりでいいぞ。急いでいるわけでもない。考えがまとまるまで待とう」
ジョルジュはキャロルの目線まで腰を下ろすと、ずっと俯き、何も言えずにいるキャロルに優しく声をかけた。
その言葉に勇気をもらったのだろう。
キャロルは顔を上げると、両手を握り締め声を振り絞るようにして言葉を発した。
「あ・・・あの・・・ま、また来てください!」
「分かった。またとはいつだ?」
キャロルの言葉にジョルジュは即反応した。
勇気を振り絞ったキャロルの言葉に、ジャニス、メアリー、ヤヨイさんは、高い声を上げて、飛び上がりそうにしている。
しかし、ジョルジュの返事に、キャロルはまた少し困ってしまっている。
なんて返していいか分からないのだろう。
分かったまた来るよ。くらいの返事でも十分嬉しかったのだろうが、具体的な日を聞かれているのだ。予想外の返事に、どう返していいか分からないのだ。
「・・・え、その、じゃ・・・じゃあ・・・明日!」
「分かった。明日だな。ブレンダン、明日は城へ行くと聞いているが、来てもいいか?」
ジョルジュが師匠に顔を向けると、師匠は笑顔で頷いた。
「ほっほっほ、もちろんじゃ。気にせずいらっしゃいな。ここにはいつ来てもかまわんよ」
「わかった。ではキャロル、また明日」
ジョルジュの言葉に、キャロルはとても嬉しそうに大きく頷いた。
「ヤヨイさん、ごめん。昨日うっかり話し忘れてたんだけど、闘技場でパトリックさんに会ったんだ。ヤヨイさんにぜひ会いたいって言ってたよ」
街で拾った馬車の中で、ジャニスは昨日パトリックさんと話した事を思い出し、隣に座るヤヨイさんに顔を向け、パトリックさんとの縁談の話しを始めた。
「大丈夫よジャニスさん。昨日は大変だったんだから、気にしないでね。でも・・・そっか、私と会ってくれるんだ・・・・・」
ヤヨイさんは少しだけ口元に笑みを作り、言葉を確かめるように呟いた。
「あはは、ヤヨイさん綺麗だから、パトリックさんが会ったら、今までよりガチガチに固まると思うよ。ちょっと自己評価の低い人だけど・・・良い人だから!うまくいくといいね」
「・・・・・私は記憶が無いから、本当はどんな女かわからないでしょ・・・だから、会ってくれるだけでも嬉しいわ。でも、そうね・・・こんな私でも気に入ってもらえたら・・・・・嬉しいわ」
笑顔を作っているけど、寂しそうに呟くヤヨイさんに、ジャニスが少し強い口調で言葉を出した。
「ヤヨイさん、そういう事言わないで!ロビンさんも言ってたでしょ、今のヤヨイさんが私達の知ってるヤヨイさんなの。昔のヤヨイさんは知らないけど、子供達も、私達もみんなヤヨイさんが好きだよ。だから、こんな私とか、本当はどんな女とか・・・そういう悲しくなる事はもう言わないで・・・」
ジャニスの視線を真っすぐに受け、ヤヨイさんは少し驚いたような表情を見せたけど、すぐに笑顔をみせると、ジャニスを抱きしめた。
「え!?ちょっと、ヤヨイさん、なに?なに?」
「・・・ジャニスさん・・・ありがとう。私、もうそういう事は言わないね」
ジャニスはこういう風に抱きしめられる事に慣れてなく、顔を赤くして言葉に詰まり、おろおろしている。
ヤヨイさんは、しばらくジャニスを抱きしめて離さなかった。
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