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74 レイチェルが思う事
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リサイクルショップ・レイジェス
9月最後の日
朝8時30分、従業員用の扉に手をかけると、中から話声が聞こえる。もう誰か来ているようだった。
「あ、レイチェル、おはよう」
「おはようレイチェル」
アラタとカチュアだった。
二人とも、マグカップに入れたコーヒーを飲んでいる。
「おはよう。二人とも早いね?一緒に来たのかい?」
「うん。アラタ君の家まで迎えに行ったの。あ、レイチェルもコーヒー飲むでしょ?」
私はカチュアに、お礼を言ってコーヒーを受け取った。
カチュアはすっかり元気になった。ユーリも安心できたのか、前のように10時出勤に戻った。
あの戦いの後、アラタには一週間程休んでもらった。
怪我自体はヒールですぐに治せたが、粗末な食事のせいで体重は落ちていたし、ゆっくりしてもらいたかった。
カチュアは献身的だった。
アラタが協会から帰ったその日は、アラタが満足に動けない事もあり一日付きっきりだった。
仕事はちゃんとやりたいと言って翌日からは出勤してきたが、出勤前、お昼休憩、仕事上がり、一日三回様子を見に行っていた。
大変だろうと思ったけど、そんな事は無かった。
きっと、こういう忙しさは喜びでもあるんだろう。
毎日お弁当を作って来て、帰りに夜ご飯を作りに行くカチュアは、とても幸せそうに見えた。
一緒に住めばいいのに?と言うと少し頬を赤くして、うん、近いうちに・・・、と答えた。
すでにそういう話になっていたようで、私もちょっと驚いた。
アラタが一度、カチュアの家に挨拶に行ってからという話のようだ。
カチュアの祖父母と、きちんと話をしたいらしい。
命の石の事は私も聞いた。結婚の許可と、多分その事も聞きたいのだろう。
私はシルヴィアが子供の頃、命の石で助かったという話を聞いた事がある。
病を治す白魔法のキュアでも、どうしようも無い大病だったようで、持って数日の命というところまでいったらしい。
だが、助かった。
シルヴィアの母は白魔法使いだった。
全生命力を使い作り上げた命の石は、シルヴィアの命を守り砕け散った。
シルヴィアの母は、その3日後に亡くなったが、最後は笑顔だったと聞いた。
この話は多分、私とジャレット、あとは店長しか知らないだろう。
アラタは知らなければならないと思っている。
なぜ、カチュアの母が命の石を作ったのか。
シルヴィアの推測は当たっているだろう。
想い人以外には効果を発揮しない命の石が、アラタのために砕け散ったのだ。
カチュアの母が、カチュアを託したのは間違いないと思う。
だが、アラタはそれだけでは納得していないのかもしれない。
子供を想う母の気持ち・・・どれほどの想いで命の石を作ったのか、カチュアの母の気持ちを本当に理解した上で、カチュアと一緒になりたいと思っているのだろう。
本当に真面目な男だ・・・肩が凝らないか?
でも、アラタは良い男だと思うよ、カチュア。
栄養のある食事を三食食べて、しっかり休んだからだろう。
アラタはすっかり元気になって、一昨日から仕事に復帰していた。
少しでも異常を感じたらまだ休ませるつもりだったが、顔色も良く、牢に入っていた事、暴力を受けていた事による精神面での影響も無さそうに見えた。
アラタ自身の強さもあるだろうが、カチュアの支えが大きいだろうなと思う。
それにしても、プロポーズの話は聞いたが、さすがに私も予想もしていなかった。
私が戦ってる最中に、イチャイチャしてたの?と睨んでやると、二人とも慌てて謝ってきた。
本気で怒ってるわけではない。命の石の話も聞いたし、その時はそうすべき事だったのだろうから。
私は、キッチン・モロニーのクッキー3箱で手を打った。
箱で3つ?よっぽど好きなんだな?と言って。アラタは少し笑っていた。
そして、最後に見せた光の拳。
あの力を使った後、アラタはほとんど身動きが取れなくなった。
消耗したエネルギーはヒールでは治せず、自然回復を待つしかなかった。
体力の消耗というよりは、命そのものを消費したのかもしれない。
私はマルコスに千を超える打撃を打ち込んだが、それでも倒す事はできなかった。
打撃でマルコスを倒す事は、不可能なのではないかと思うほどのタフネスだった。
そのマルコスを倒したアラタの光の拳には、とてつもない力がある。
だが、代償は大きい。
大きな力には、それだけ大きな対価が求められる。
私はアラタに、光の拳は封印するように話した。
アラタは意外に素直に頷いてくれた。
アラタ自身、危険な力だと察していたのだろう。
この国の情勢は不安定だ。
隣国のロンズデールでは、貧困層が増えてきているらしい。
仕事を無くした者が、賊になり、近隣の村や、街道で商人を襲っているという話もよく聞くようになってきた。
そのせいか、最近は武器と防具の売れ行きが良い。それだけ戦いを意識しているという事だ。
私達は戦える力をもっている。街の人達よりずっと強い力だ。
だから、戦争になれば、率先して戦わなくてはならない。
アラタも、ディーロ兄弟、マルコスとの戦いを経験して、この世界での戦いというものを知ったと思う。
もし戦争になったとしても、きっとこの国のため・・・いや、アラタは私達のために前に出て戦うだろう。
アラタの性格は分かったつもりだ。自分より周りを優先するタイプだ。
だから、あの光の拳も、誰かを護るためにならためらわず使うだろう。
でも、自分も大事にするべきだ。もう、一人だけの体じゃないんだから。
私はカチュアを見た。アラタの隣でニコニコしながらコーヒーを飲む姿を見て、自然と顔がほころぶ。
「アラタ、カチュア」
「ん?なんだ?」
「どうしたの?」
「結婚おめでとう」
アラタとカチュアが、飲んでいたコーヒーを同時にむせる。
「な、なんだよ急に?」
「も~、あらたまって言わないでよ。まだ式も挙げてないし・・・」
お互いに目を向け合うところが、何とも初々しくて、私は少し笑ってしまった。
「アハハ、そうだね。式を挙げたら、また言わせてもらうよ。まぁ・・・体は大事にしてね」
少し声のトーンを落として言うと、アラタには通じたみたいだ。
カチュアに目を向けて、私に向き直ると、真面目な顔つきで深く頷いた。
私もアラタもカチュアも・・・皆普通に働いて、普通に暮らしたいだけだ・・・
戦争なんておこらない、平和な世界であればいいのに・・・
当事者であるアラタと、この店の責任者である私は、近々今回の件で城へ行く事になっている。
治安部隊のヴァン・エストラーダが目を覚ましたので、国王へ謁見する事になったのだ。
ただ、まだ混乱も多いため、正式な日程は追って連絡が来ることになっている。
今回の件は、本来であれば当事者全員が厳しい罰を受けねばならない事だが、意外にもマルコスが全責任は自分にあると申し出た。
それに続き、アンカハスとヤファイも、私達の分も責任を負うと騎士団を通じ、大臣に掛け合っているようなのだ。
マルコスから事の経緯が騎士団、大臣へ伝わって入るようで、レイジェスにはお咎めは無しで進んではいるようだ。
フェンテス、アローヨに付いても、寛大な処置が出る見通しだとは聞いている。
ヴァンとカリウスについては、処分無しになるそうだ。
二人とも、マルコスのやり方に反発し、拷問、処刑には一切関わっていなかったからだ。
二人とも、理由はどうあれ、今回の戦いをしかけた側にはなるのだが、マルコスが言葉巧みに二人の処分も自分で引き受けたという。アンカハスとヤファイも私たちの分も責任を負うと申し立てていると聞いた。
意外だった。だが、彼らもなにか思うところが出てきたのかもしれない。
近々、城に行く事になるわけだし、可能であれば面会をしてみたいとは思う。
アラタも、マルコスとはどうしても話さなければならないと言っていた。
そう、私も気になっている。
アラタの元の世界の上司という、ムラトシュウイチ・・・なぜマルコスが10年も前に戦った事があるのか。
嫌な予感はしている。
マルコスから聞かされる話は、新たな戦いをもたらすかもしれないと・・・
実は今、レイジェスと治安部隊の連絡係になっている者がいる。
私の小さなボーイフレンド。エルウィン・レブロンだ。
連絡係として、彼以上の適任はいなかった。
最初から、アラタと信頼関係を築いていたし、あの日、協会を抜け出してまで私達にアラタの事を知らせに来てくれた。
今では、レイジェスの全員が、エルウィンを身内として見ている。
そして私は、どうやらエルウィンに女として好かれているようなのだ。
エルウィンは、ここに来る度に私に、赤四つ葉、を渡してくるのだ。
赤四つ葉は、2cmくらいの小葉が四つ付いた草で、クインズベリーではポピュラーな植物だ。
と言うのも、赤四つ葉は恋愛成就で使われる植物だからだ。
なんでも、昔、クインズベリーのロマンチストな貴族が、両手いっぱいの赤四つ葉を想い人にプレゼントし、この赤より僕の気持ちは真っ赤に燃えてるだとかなんだとか?
歯の浮くような言葉を囁いたら上手く言ったとか。
私だったらお断りするが、そんな話があって、今では恋愛成就は赤四つ葉という図式が出来上がっている。
エルウィンは、この赤四つ葉を、来る度に私にプレゼントしてくるのだ。
私も赤四つ葉は嫌いではない。
エルウィンは、キザな言葉を言う事もないので、その点は好感が持てる。
レイチェルさんのために取ってきました!と、堂々と言ってくるのは心臓が強いと思う。
私はこういうストレートな方が好きではある。
頭を撫でてやると、子供扱いしないでください!と拗ねるが、すぐに大きくなりますから!とも付け加えて来る。
やっぱり男の子だ。
エルウィンが大人になった時、エルウィンの気持ちが変わってなくて、私がまだ一人だったら、もらってもらおうかな?なんてちょっと思ったりもした。
でも、将来の恋人候補はまだ小さい。
私はもう少しの間、小さなボーイフレンドの頭を撫でてやろうと思った。
9月最後の日
朝8時30分、従業員用の扉に手をかけると、中から話声が聞こえる。もう誰か来ているようだった。
「あ、レイチェル、おはよう」
「おはようレイチェル」
アラタとカチュアだった。
二人とも、マグカップに入れたコーヒーを飲んでいる。
「おはよう。二人とも早いね?一緒に来たのかい?」
「うん。アラタ君の家まで迎えに行ったの。あ、レイチェルもコーヒー飲むでしょ?」
私はカチュアに、お礼を言ってコーヒーを受け取った。
カチュアはすっかり元気になった。ユーリも安心できたのか、前のように10時出勤に戻った。
あの戦いの後、アラタには一週間程休んでもらった。
怪我自体はヒールですぐに治せたが、粗末な食事のせいで体重は落ちていたし、ゆっくりしてもらいたかった。
カチュアは献身的だった。
アラタが協会から帰ったその日は、アラタが満足に動けない事もあり一日付きっきりだった。
仕事はちゃんとやりたいと言って翌日からは出勤してきたが、出勤前、お昼休憩、仕事上がり、一日三回様子を見に行っていた。
大変だろうと思ったけど、そんな事は無かった。
きっと、こういう忙しさは喜びでもあるんだろう。
毎日お弁当を作って来て、帰りに夜ご飯を作りに行くカチュアは、とても幸せそうに見えた。
一緒に住めばいいのに?と言うと少し頬を赤くして、うん、近いうちに・・・、と答えた。
すでにそういう話になっていたようで、私もちょっと驚いた。
アラタが一度、カチュアの家に挨拶に行ってからという話のようだ。
カチュアの祖父母と、きちんと話をしたいらしい。
命の石の事は私も聞いた。結婚の許可と、多分その事も聞きたいのだろう。
私はシルヴィアが子供の頃、命の石で助かったという話を聞いた事がある。
病を治す白魔法のキュアでも、どうしようも無い大病だったようで、持って数日の命というところまでいったらしい。
だが、助かった。
シルヴィアの母は白魔法使いだった。
全生命力を使い作り上げた命の石は、シルヴィアの命を守り砕け散った。
シルヴィアの母は、その3日後に亡くなったが、最後は笑顔だったと聞いた。
この話は多分、私とジャレット、あとは店長しか知らないだろう。
アラタは知らなければならないと思っている。
なぜ、カチュアの母が命の石を作ったのか。
シルヴィアの推測は当たっているだろう。
想い人以外には効果を発揮しない命の石が、アラタのために砕け散ったのだ。
カチュアの母が、カチュアを託したのは間違いないと思う。
だが、アラタはそれだけでは納得していないのかもしれない。
子供を想う母の気持ち・・・どれほどの想いで命の石を作ったのか、カチュアの母の気持ちを本当に理解した上で、カチュアと一緒になりたいと思っているのだろう。
本当に真面目な男だ・・・肩が凝らないか?
でも、アラタは良い男だと思うよ、カチュア。
栄養のある食事を三食食べて、しっかり休んだからだろう。
アラタはすっかり元気になって、一昨日から仕事に復帰していた。
少しでも異常を感じたらまだ休ませるつもりだったが、顔色も良く、牢に入っていた事、暴力を受けていた事による精神面での影響も無さそうに見えた。
アラタ自身の強さもあるだろうが、カチュアの支えが大きいだろうなと思う。
それにしても、プロポーズの話は聞いたが、さすがに私も予想もしていなかった。
私が戦ってる最中に、イチャイチャしてたの?と睨んでやると、二人とも慌てて謝ってきた。
本気で怒ってるわけではない。命の石の話も聞いたし、その時はそうすべき事だったのだろうから。
私は、キッチン・モロニーのクッキー3箱で手を打った。
箱で3つ?よっぽど好きなんだな?と言って。アラタは少し笑っていた。
そして、最後に見せた光の拳。
あの力を使った後、アラタはほとんど身動きが取れなくなった。
消耗したエネルギーはヒールでは治せず、自然回復を待つしかなかった。
体力の消耗というよりは、命そのものを消費したのかもしれない。
私はマルコスに千を超える打撃を打ち込んだが、それでも倒す事はできなかった。
打撃でマルコスを倒す事は、不可能なのではないかと思うほどのタフネスだった。
そのマルコスを倒したアラタの光の拳には、とてつもない力がある。
だが、代償は大きい。
大きな力には、それだけ大きな対価が求められる。
私はアラタに、光の拳は封印するように話した。
アラタは意外に素直に頷いてくれた。
アラタ自身、危険な力だと察していたのだろう。
この国の情勢は不安定だ。
隣国のロンズデールでは、貧困層が増えてきているらしい。
仕事を無くした者が、賊になり、近隣の村や、街道で商人を襲っているという話もよく聞くようになってきた。
そのせいか、最近は武器と防具の売れ行きが良い。それだけ戦いを意識しているという事だ。
私達は戦える力をもっている。街の人達よりずっと強い力だ。
だから、戦争になれば、率先して戦わなくてはならない。
アラタも、ディーロ兄弟、マルコスとの戦いを経験して、この世界での戦いというものを知ったと思う。
もし戦争になったとしても、きっとこの国のため・・・いや、アラタは私達のために前に出て戦うだろう。
アラタの性格は分かったつもりだ。自分より周りを優先するタイプだ。
だから、あの光の拳も、誰かを護るためにならためらわず使うだろう。
でも、自分も大事にするべきだ。もう、一人だけの体じゃないんだから。
私はカチュアを見た。アラタの隣でニコニコしながらコーヒーを飲む姿を見て、自然と顔がほころぶ。
「アラタ、カチュア」
「ん?なんだ?」
「どうしたの?」
「結婚おめでとう」
アラタとカチュアが、飲んでいたコーヒーを同時にむせる。
「な、なんだよ急に?」
「も~、あらたまって言わないでよ。まだ式も挙げてないし・・・」
お互いに目を向け合うところが、何とも初々しくて、私は少し笑ってしまった。
「アハハ、そうだね。式を挙げたら、また言わせてもらうよ。まぁ・・・体は大事にしてね」
少し声のトーンを落として言うと、アラタには通じたみたいだ。
カチュアに目を向けて、私に向き直ると、真面目な顔つきで深く頷いた。
私もアラタもカチュアも・・・皆普通に働いて、普通に暮らしたいだけだ・・・
戦争なんておこらない、平和な世界であればいいのに・・・
当事者であるアラタと、この店の責任者である私は、近々今回の件で城へ行く事になっている。
治安部隊のヴァン・エストラーダが目を覚ましたので、国王へ謁見する事になったのだ。
ただ、まだ混乱も多いため、正式な日程は追って連絡が来ることになっている。
今回の件は、本来であれば当事者全員が厳しい罰を受けねばならない事だが、意外にもマルコスが全責任は自分にあると申し出た。
それに続き、アンカハスとヤファイも、私達の分も責任を負うと騎士団を通じ、大臣に掛け合っているようなのだ。
マルコスから事の経緯が騎士団、大臣へ伝わって入るようで、レイジェスにはお咎めは無しで進んではいるようだ。
フェンテス、アローヨに付いても、寛大な処置が出る見通しだとは聞いている。
ヴァンとカリウスについては、処分無しになるそうだ。
二人とも、マルコスのやり方に反発し、拷問、処刑には一切関わっていなかったからだ。
二人とも、理由はどうあれ、今回の戦いをしかけた側にはなるのだが、マルコスが言葉巧みに二人の処分も自分で引き受けたという。アンカハスとヤファイも私たちの分も責任を負うと申し立てていると聞いた。
意外だった。だが、彼らもなにか思うところが出てきたのかもしれない。
近々、城に行く事になるわけだし、可能であれば面会をしてみたいとは思う。
アラタも、マルコスとはどうしても話さなければならないと言っていた。
そう、私も気になっている。
アラタの元の世界の上司という、ムラトシュウイチ・・・なぜマルコスが10年も前に戦った事があるのか。
嫌な予感はしている。
マルコスから聞かされる話は、新たな戦いをもたらすかもしれないと・・・
実は今、レイジェスと治安部隊の連絡係になっている者がいる。
私の小さなボーイフレンド。エルウィン・レブロンだ。
連絡係として、彼以上の適任はいなかった。
最初から、アラタと信頼関係を築いていたし、あの日、協会を抜け出してまで私達にアラタの事を知らせに来てくれた。
今では、レイジェスの全員が、エルウィンを身内として見ている。
そして私は、どうやらエルウィンに女として好かれているようなのだ。
エルウィンは、ここに来る度に私に、赤四つ葉、を渡してくるのだ。
赤四つ葉は、2cmくらいの小葉が四つ付いた草で、クインズベリーではポピュラーな植物だ。
と言うのも、赤四つ葉は恋愛成就で使われる植物だからだ。
なんでも、昔、クインズベリーのロマンチストな貴族が、両手いっぱいの赤四つ葉を想い人にプレゼントし、この赤より僕の気持ちは真っ赤に燃えてるだとかなんだとか?
歯の浮くような言葉を囁いたら上手く言ったとか。
私だったらお断りするが、そんな話があって、今では恋愛成就は赤四つ葉という図式が出来上がっている。
エルウィンは、この赤四つ葉を、来る度に私にプレゼントしてくるのだ。
私も赤四つ葉は嫌いではない。
エルウィンは、キザな言葉を言う事もないので、その点は好感が持てる。
レイチェルさんのために取ってきました!と、堂々と言ってくるのは心臓が強いと思う。
私はこういうストレートな方が好きではある。
頭を撫でてやると、子供扱いしないでください!と拗ねるが、すぐに大きくなりますから!とも付け加えて来る。
やっぱり男の子だ。
エルウィンが大人になった時、エルウィンの気持ちが変わってなくて、私がまだ一人だったら、もらってもらおうかな?なんてちょっと思ったりもした。
でも、将来の恋人候補はまだ小さい。
私はもう少しの間、小さなボーイフレンドの頭を撫でてやろうと思った。
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