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65 破壊
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「ウラウラウラーッツ!どうした!?こんなもんか!?」
薄暗い石造りの部屋には、マルコスの怒声とただひたすら拳が肉を打ち付ける鈍い音だけが響いていた。
マルコスは無尽蔵とも思わせる体力で、勢い衰える事なく一方的にアラタを殴り続けていた。
アラタは壁に追い詰められ、ただ貝にように身を閉じ防御に徹する事しかできずにいる。
マルコスはガードしている両腕の上から、構わず全力で叩きつけて来る。
そしてその一発一発が、体の芯まで響き、アラタに反撃する余地を与える事を許さなかった。
し、信じられねぇ・・・これほど早く、重いパンチを・・・一体いつまで・・・
う、腕が・・・もう持たねぇ・・・
「サカキアラタァッツ!こんなもんなのか!」
マルコスの右の蹴りは、まるで大木を横殴りに叩きつけられたかと思う程、経験した事のない重さと強さだった。そしてその衝撃はガードしているアラタの両腕から背中まで貫いた。
その威力は背中越の壁に亀裂を入れる程だった。
「がぁぁっ・・・!」
アラタの喉にこれまで味わった事の無い、鉄のような匂いの液体が上がって来た。
それは口中に広がると、アラタは堪えきれず吐き出した。吐血だった。
「ぐ、がぁ・・・あぐぁ・・・がはっ・・・」
立っていられず倒れ伏し、苦しさに何度も血を吐き散らした。
「おうおうおう!何寝てんだぁ?あぁ?こんなもんかよ?ムラトシュウイチはもっと強かったぜぇ、お前もアイツと同じ力を持ってんだろ?見せてみろよ!」
倒れているアラタの顔を踏みつけると、マルコスは徐々に力を込めて押し潰していく。
「ぐあぁぁぁっ!」
頭の骨が砕けるのではないかと思う程の激痛だった。吐血の苦しさと、踏まれる激痛に、アラタは叫び声を上げた。
「いぃ~い声で鳴くじゃねぇかよ?ん~、サ・カ・キ・ア・ラ・・・・タァァァッツ!」
マルコスは、まるでボールでも蹴るようにアラタの腹を蹴り上げた。
体ごと浮きあがり壁に叩きつけられる。全身に広がる衝撃に、気を失いそうになる。叩きつけられた壁は軋み音を立て亀裂が広がった。
マルコスは崩れ落ちるアラタの首を捕まえると、そのまま壁に押し当てた。
もはやアラタに戦う力は残っておらず、かろうじて意識を保っているだけだった。
「おいおいおい、もう終わりか?ちょっと本気出したらお終いかよ?まだまだ俺の歯の痛みには程遠いぜ?
お前もムラトシュウイチも、拳だけの戦闘術なんだろ?せっかく俺も付き合ってナイフを使わないでいるんだ。もうちょっと・・・頑張れよッツ!」
アラタを壁に押し当て、マルコスは右の拳を真っ直ぐに胸に撃ち込んだ。
アラタの意識はここで途切れた。
マルコスの拳はアラタの胸骨を粉砕し、その衝撃は背中越しに壁をも打ち砕いた。
アラタの体は外へ吹き飛ばされ、力なく回りながら、やがて勢いを弱め静かに動きを止めた。
部屋中の壁に亀裂が広がり、崩壊した壁からマルコスは外を見あげた。
「ん~、見晴らしが良くなったじゃねぇか?雲一つない青空・・・実に良い天気だ。お前らもそう思うだろ?」
マルコスが振り返ると、部屋の入口に、二人の男がナイフを持ち立っていた。
「なぁ、カリウス、フェンテス」
薄暗い石造りの部屋には、マルコスの怒声とただひたすら拳が肉を打ち付ける鈍い音だけが響いていた。
マルコスは無尽蔵とも思わせる体力で、勢い衰える事なく一方的にアラタを殴り続けていた。
アラタは壁に追い詰められ、ただ貝にように身を閉じ防御に徹する事しかできずにいる。
マルコスはガードしている両腕の上から、構わず全力で叩きつけて来る。
そしてその一発一発が、体の芯まで響き、アラタに反撃する余地を与える事を許さなかった。
し、信じられねぇ・・・これほど早く、重いパンチを・・・一体いつまで・・・
う、腕が・・・もう持たねぇ・・・
「サカキアラタァッツ!こんなもんなのか!」
マルコスの右の蹴りは、まるで大木を横殴りに叩きつけられたかと思う程、経験した事のない重さと強さだった。そしてその衝撃はガードしているアラタの両腕から背中まで貫いた。
その威力は背中越の壁に亀裂を入れる程だった。
「がぁぁっ・・・!」
アラタの喉にこれまで味わった事の無い、鉄のような匂いの液体が上がって来た。
それは口中に広がると、アラタは堪えきれず吐き出した。吐血だった。
「ぐ、がぁ・・・あぐぁ・・・がはっ・・・」
立っていられず倒れ伏し、苦しさに何度も血を吐き散らした。
「おうおうおう!何寝てんだぁ?あぁ?こんなもんかよ?ムラトシュウイチはもっと強かったぜぇ、お前もアイツと同じ力を持ってんだろ?見せてみろよ!」
倒れているアラタの顔を踏みつけると、マルコスは徐々に力を込めて押し潰していく。
「ぐあぁぁぁっ!」
頭の骨が砕けるのではないかと思う程の激痛だった。吐血の苦しさと、踏まれる激痛に、アラタは叫び声を上げた。
「いぃ~い声で鳴くじゃねぇかよ?ん~、サ・カ・キ・ア・ラ・・・・タァァァッツ!」
マルコスは、まるでボールでも蹴るようにアラタの腹を蹴り上げた。
体ごと浮きあがり壁に叩きつけられる。全身に広がる衝撃に、気を失いそうになる。叩きつけられた壁は軋み音を立て亀裂が広がった。
マルコスは崩れ落ちるアラタの首を捕まえると、そのまま壁に押し当てた。
もはやアラタに戦う力は残っておらず、かろうじて意識を保っているだけだった。
「おいおいおい、もう終わりか?ちょっと本気出したらお終いかよ?まだまだ俺の歯の痛みには程遠いぜ?
お前もムラトシュウイチも、拳だけの戦闘術なんだろ?せっかく俺も付き合ってナイフを使わないでいるんだ。もうちょっと・・・頑張れよッツ!」
アラタを壁に押し当て、マルコスは右の拳を真っ直ぐに胸に撃ち込んだ。
アラタの意識はここで途切れた。
マルコスの拳はアラタの胸骨を粉砕し、その衝撃は背中越しに壁をも打ち砕いた。
アラタの体は外へ吹き飛ばされ、力なく回りながら、やがて勢いを弱め静かに動きを止めた。
部屋中の壁に亀裂が広がり、崩壊した壁からマルコスは外を見あげた。
「ん~、見晴らしが良くなったじゃねぇか?雲一つない青空・・・実に良い天気だ。お前らもそう思うだろ?」
マルコスが振り返ると、部屋の入口に、二人の男がナイフを持ち立っていた。
「なぁ、カリウス、フェンテス」
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