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05 案内

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外に出て自分が泊まっていた建物に目を向けてみる。

板張りの小屋という印象だが、1日泊まってみて隙間風も感じなかったし、
しっかりとした造りなのだろう。30か40坪くらいだろうか。

レイチェルは空き家と言っていたが、なかなか広いし普通に住めそうだ。

「アラター、こっちだよ」

先を歩くレイチェルが振り返り俺を呼ぶ。
小走りで近づき森林を抜けると、すぐに大きな建物が目に入った。

「・・・けっこうでかいな。」

150~200坪はあるだろう。シンプルな横長の箱型で、外壁がレンガ作りでしっかりとしているように見える。店の前が全面オープンになっており、沢山の人が出入りしていた。

「今日も混んでるなぁ、アラタこっち来て、とりあえず皆に紹介するから」

レイチェルは俺の手を引くと、スタスタと店の中に入って行った。

中は余計な飾りつけなど無く、商品をそのまま展示しているような印象だった。
昨夜レイチェルが話していた通り、剣、槍、弓、手斧などの武器に、中世の騎士が着るような鎧や、鉄でできた盾もあった。

「すげーな。本物の武器がある。本当に戦ってんだな。」

使い込まれている物もあれば、新品にしか見えない物もある。

すれ違う人に目を向けると、日本のどこにでもありそうな、無地やボーダーのTシャツを着ている人や、ハーフパンツ姿の人もちらほら見かける。

やはり服の文化は日本と似ているようで、俺もTシャツにジーパン姿だが、全く違和感を感じなかった。

だが、やたらヒラヒラした、絵にかいたような魔法使いのローブを着ている女性や、衿や袖に金のパイピングをあしらった、貴族が着るようなシャツを着ている男性など、
アニメや漫画で見た、中世ファンタジーの要素も入っている。

おそらく、普段着と仕事着というところで分けているのではと推測してみた。


「あ、ジーン!こっちこっち!」

人混みの中、レイチェルが手を振って呼びかけたのは、細身の青年だった。
レイチェルに気が付くと、青年は小走りにやってきた。

見た感じ俺と同い年くらいだろう。背丈もほとんど変わらない。
肩の下まである長く青い髪が特徴的で、瞳の色も同色だった。薄い唇と少しシャープな顎のラインも相まって、やや中性的な印象を受ける。

白いシャツの袖から見える両手首には銀のバングル、黒のロングパンツの腰には革のポーチが掛けられおり、ナイフや液体の入ったガラス管など、なにやら危なそうな物が入っていた。


「おはようレイチェル、今日も忙しくなりそうだよ」

ジーンと呼ばれた青年は静かに微笑みながら口を開くと、俺に目を向けた。

「・・・彼は?」

「昨日倒れてたとこを助けたサカキアラタ。アラタでいいよ。アラタ、こっちはジーン」

レイチェルは俺に、後は自分で自己紹介しろと言うように、背中を軽く押して一歩前に出させた。

「あー、えっと坂木 新です。年は22です。よろしくお願いします」

「僕はジーン・ハワード。僕も22歳だから一緒だね。レイチェルがアラタでいいって言うから、そう呼ばせてもらうよ。僕の事もジーンでいい」

そう言うとジーンは右手を差し出してきた。物腰が柔らかく、自然と人に安心感を与える雰囲気がある。俺は自然とその手を握っていた。

「ジーン、今日からアラタに働いてもらうから。とりあえず私が仕事教えるけど、なにかあったらフォローしてやってね」

「もちろんだよ。アラタ、なにか困ったら気軽に声をかけてね」

そう言うとジーンは背を向けて、元の場所へ戻って行った。

「アラタ、他にも紹介するけどあんまり緊張しなくていいよ。気楽にね」

「うん。分かってはいるんだけど、なんか初対面だとどうもさ」

「固いねー、キミって損するタイプじゃない?」

「うーん、弥生さんにも言われた事あったな。そうかもしれない」

「ヤヨイ?あぁ、元の世界の知り合いかな。アラタは真面目なんだね。で、堅苦しくなっちゃうんだ。今私と話してるみたく、普通にしていいんだから、難しく考えないでいいんだよ」

それから商品の説明を受けながら、店内をグルリと回った。
取り扱っている商品ジャンルの説明も受けたが、これは分かりやすかった。



1、武具 剣や槍、鎧に盾、兜などだ。
武器と防具の2つの部門に分けて取り扱うらしい。

2、魔道具 投げると爆発する石や、飲むと怪我が治る水など色々あるようだ。
攻撃系、回復系、補助系の3つに分けるらしい。

魔法の属性は略称として色で呼び分けているそうだ。
攻撃魔法は黒魔法。回復魔法は白魔法。補助魔法は青魔法。

これを聞い時、日本でやったロールプレイのゲームを思い出し、

思わず「マジ!?」と、一段高い声を上げてしまい、

レイチェルに「キミ大丈夫かい?」と怪訝な目を向けられてしまった。

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