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第2章──少年期5~10歳──
057 半端な情報公開は気になるもの
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そんなこんなで、グーリフとガウリイルとの平行線の口論が続く。
とは言え、通信魔法石の限界はすぐだった。
「引き取れ」
『ダメだと言っています。学園に関係者以外が長居出来ない事は何度も説明しました。あぁ、つまらない会話ばかりしてシアと話せなかったじゃないですか。もう通信が切れそ……』
プツリ。
寂しそうなガウリイルの声を最後に、完全に光を失い沈黙する魔法石である。
「切れてしまいましたね。いかがなさいますか、シア様」
「うむぅ……。ガウ兄と次通信出来るのって、いつ?」
「そうですね。今回無理に二回連続して繋いでしまいましたから、翌月の雷終わりか……下手をするとその次の、火月の長期休暇の方が早いかもしれません」
「あぅ~、そっかぁ」
月に一度と決められている学園規則に従い、通信魔法石はみだりに使用出来ない。基本的に緊急通信用なので、フェリシアの前世の電話みたいに易々と使えない高級魔道具なのだ。
それをガウリイルは、生徒会会長権限で当然のように毎月通信してくる。
内容はないようなものだが、フェリシアとしても元気な声を聞くだけでも嬉しいと思えた。ちなみに、次兄や三兄は通信すらしてこない。これが普通、生徒のあるべき姿だ。
騒々しいきょうだいの声が聞こえない現状は、それが当たり前の環境で過ごしてきたフェリシアにとっては物足りないものだった。
「じゃあどうする、フェル。刻んで捨てるか……」
「ダメでしょ、グーリフ。そんな事言って脅したら、リスくん死んじゃう」
グーリフの言葉を受けてタイを見れば、相変わらず逆さに尻尾を掴まれたままだが身体を小さな両手で抱いている。ガクブルな心境なのは、想像に難くない。
「首輪もついてるんだし、悪い事は出来ないんでしょ?」
「まぁ、そうだなぁ。チビ銀がどんな命令してるかは分かんねぇが、誓約してるくらいだし……。フェルが危険になる事を、あいつがさせる筈もねぇな」
行儀悪く舌打ちをしながら、グーリフはリスをテーブルの上に放った。
ぺしゃりと無様にテーブル板に身体を打ち付けたリスだが、すぐに体勢を改めてペコペコと頭を上下に振る。
解放した事への感謝かもしれないが、そも扱いが荒い事への不満はないのだろうか。
「でもよぉ。これと言葉が通じない事にはなぁ」
「あ、タイが何か出してるよ?」
「んあ?手紙、かぁ?」
どうしようかと、フェリシアとグーリフが頭を悩ませていると。モソモソと短い両手を後ろへ回し、背中に背負っていたらしき筒からせっせと細く丸められた紙を出している。体毛に埋もれて見えないように隠されていたようだ。
配達人であるタイがリスサイズだから、拡げても掌程度の大きさである。だがびっしりと細かく記されたそれは、確かに手紙のようだった。
「え、何て書いているのか分からないんだけど」
「暗号だな。鳥。読め」
「ごめんね、ミア。読める?」
「はい、シア様。拝見させて頂きます。……こちらは諜報部が使う物とは異なるようです。ラングロフ独自の物であれば、執事のネリンガ様にお願いする方が得策かと思われます」
グーリフが受け取った紙をフェリシアが横から確認したのだが、見たところ文字ではあるようだが全く欠片も理解出来ない。
≪名前……暗号文章
材質……紙
用途……※※※
強度…… -E
特長……※※※≫
そして、スキル【神の眼】でも内容は読めなかった。
──何故だろう。どうしてだろう。ってかこれじゃ、説明書の意味がなくない?
フェリシアは苛立ちながらも、用途の『※※※』をじっと見つめる。
≪用途……暗※※し※※密※※り※※※※※≫
読めない。
もう一度。
≪用途……※※化※て※※※の※※※※を※※≫
もう一度。
≪用途……暗号※※※て秘※のやり※※を※※≫
いらっ。
フェリシアはむむむっと眉間にシワを寄せ、更に手紙を見つめる。
≪用途……暗号化して秘密のやり取りをする≫
更に何度か挑戦をし漸くその文字が読めたところで、フェリシアは目眩がして倒れてしまった。
まだ他の部分が読み切れていないのに、である。
「シア様っ?!」
「フェル?!」
周囲が大慌てで動く音を遠くに聞きながら、フェリシアは読み取れた内容に喜びと脱力を感じた。
実際に『暗号文章』という名前で、用途だなんてそんな大袈裟な説明文は不要なのである。しかも当然ながら、本当に知りたいのは手紙の内容だ。
──それだけ……。たったそれだけの内容に、こんなにも集中しなきゃならなかったなんて……。
そうして意識を失うその瞬間、フェリシアの脳内で鈴の音が聞こえた気がした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
<……、…………ル!>
脳内で響く声に意識が呼び戻されたところで、それがグーリフからのスキル【以心伝心】だと気付く。
普段は聞かないような、悲痛な苦しそうな声だ。
フェリシアは今のグーリフを、何故だか無性に抱き締めたいと思う。身体を包み込んで温めてあげて、その苦しみや悲しみから助けたいと願った。
「ぐぅ……」
「フェルっ?!」
「シア様っ」
何故か思うように目蓋が開かなかったが、傍にある体温に頭を擦り付ける。フェリシアは自分に触れている熱がグーリフのものであると自然と認識していたのだ。
擦り寄った身体は一瞬硬直したが、すぐに強くフェリシアを包み込んでくれる。
暫くすりすりと頬を擦り付けていると、頭の上からグーリフが問い掛けてきた。
「フェル。腹減らねぇか?」
「ぅむ~……苺、食べたい~」
「はいっ。かしこまりましたっ」
確かに先程まで、軽食として出されていた食べ物が目の前に広がっていた筈である。フルーツのたくさん乗ったケーキを、いつものようにグーリフがフェリシアの前に置いてくれた記憶があった。
食べる前に警戒モードとなった為、未だ紅茶を少ししか口にしていなかったのである。
「フェル。あ~ん」
「あ~ん……うぐうぐうぐ」
「はぁ~ん。シア様、きゃわわですぅぅう」
グーリフに促されて口を開けると、甘酸っぱい苺の果肉が口内に広がった。
幼い頃はこうして寝ながらでも食事を取れていたので、意識が覚醒していない──理性が働いていないフェリシアは、非常に欲望に忠実である。
「ほら、フェル。ケーキは起きてからでねぇと、喉詰めちまうぜ?」
「ん、むぅ……起きるぅ」
「一緒に食べようじゃねぇか」
「んぅ~、起きるからぁ」
まだフェリシアは寝ていたいのだが、ケーキも食べたいのだ。こうしてむにゃむにゃしていては、せっかくのクリームが時間を置きすぎて形を保っていられなくなるかもしれない。
グーリフの誘いに何とか重い目蓋を開き、目の前に差し出されたケーキの乗ったフォークに食らい付いた。
「うまうま、もぐもぐ……」
「くくくっ、かぁわぃ」
「はぅ~、シア様最っ高にきゃわわですぅう」
フェリシアは幾度かグーリフから差し出されるままのケーキを口にしていたが、少しずつ意識が覚醒してくるに従って周囲の状況を把握してくる。
何故かテラスの席に座っていた筈の自分が。何故か芝の上に敷かれた布の上でグーリフに背を抱かれるように横たわっていて。ケーキを与えられるがまま貪り尽くしているのは良いとして。
「んぐ……ぅ?シア、寝てた?」
「あ~……。何処まで覚えてる?」
「んぅ?何処まで……って」
口の中にあったケーキを飲み込んだところで、やっと気付いたかのようにフェリシアはグーリフに問い掛けた。けれども逆に問い掛け直され、フェリシアはフリーズする。
そして自己脳内会議が行われた。
テラスで軽食中だったよね。ふむふむ。
何かを感知したグーリフがいたよね。むむむっ。
ガウリイルから通信あったよね。うんうん。いつもの内容ないやつね。
あ。何か送ったって。そうだった。
グーリフがリス見つけたって。あぁ、リス種のタイね。
首輪付いてた。誓約って。魔法凄いよねぇ。
ってか、あの子生きてたんだねぇ。うんうん。既に亡き者にされてるかと思ってたよ。
侵入者だったもんねぇ。兄様たちとバトルしてたもんね。リアルにさ。
「リスくん」
「思い出したか?」
「うん。どうなったの?」
「ここにいる。おい」
未だ多少記憶の欠落があるものの。タイが持って来た手紙に集中した事で、スキル【神の眼】が暴走したのか。
確か鈴の音が、と思ったところで。
<あ、スキルが更新してる>
<はぁあ?>
視界に『能力値を補正』と出ていた。
そして確認してみれば──
≪スキル……【神の眼】→【神の眼+】≫
【神の眼+】が強化されていたのである。
考えられるのは一つ。タイが持っていた手紙の【神の眼】がいつものように読めず、必死になって解読しようとしたからだ。
<とりあえずスキルが強化された。うむ、シア凄い>
<……ったく、本当だよ。まぁ、倒れた原因が何かからの攻撃じゃなくて良かったぜ>
無事である事を確かめるように、ぎゅうぎゅうとフェリシアを抱き締める力を強めたグーリフ。少し苦しいが、それだけ心配させてしまったのだろう。
そのグーリフの腕をポンポンと軽く撫でながら、フェリシアは目の前に現れた小動物──の形状をしているリス種のタイに視線を向けた。
「あ、手紙?」
「あぁ……」
「シア様。それは今、ネリンガ様へ確認している最中です」
ミアが告げた執事のノルト・ネリンガは、ラングロフ邸の全てを任されている壮年の男である。フェリシアとしては、常に近くにはいるが深く関わりを持っていない人物だ。
そして逆にミアはフェリシア専属侍女である為、直属の上司にあたる。最終的に彼へは、邸内の全ての情報が集中するのだった。
とは言え、通信魔法石の限界はすぐだった。
「引き取れ」
『ダメだと言っています。学園に関係者以外が長居出来ない事は何度も説明しました。あぁ、つまらない会話ばかりしてシアと話せなかったじゃないですか。もう通信が切れそ……』
プツリ。
寂しそうなガウリイルの声を最後に、完全に光を失い沈黙する魔法石である。
「切れてしまいましたね。いかがなさいますか、シア様」
「うむぅ……。ガウ兄と次通信出来るのって、いつ?」
「そうですね。今回無理に二回連続して繋いでしまいましたから、翌月の雷終わりか……下手をするとその次の、火月の長期休暇の方が早いかもしれません」
「あぅ~、そっかぁ」
月に一度と決められている学園規則に従い、通信魔法石はみだりに使用出来ない。基本的に緊急通信用なので、フェリシアの前世の電話みたいに易々と使えない高級魔道具なのだ。
それをガウリイルは、生徒会会長権限で当然のように毎月通信してくる。
内容はないようなものだが、フェリシアとしても元気な声を聞くだけでも嬉しいと思えた。ちなみに、次兄や三兄は通信すらしてこない。これが普通、生徒のあるべき姿だ。
騒々しいきょうだいの声が聞こえない現状は、それが当たり前の環境で過ごしてきたフェリシアにとっては物足りないものだった。
「じゃあどうする、フェル。刻んで捨てるか……」
「ダメでしょ、グーリフ。そんな事言って脅したら、リスくん死んじゃう」
グーリフの言葉を受けてタイを見れば、相変わらず逆さに尻尾を掴まれたままだが身体を小さな両手で抱いている。ガクブルな心境なのは、想像に難くない。
「首輪もついてるんだし、悪い事は出来ないんでしょ?」
「まぁ、そうだなぁ。チビ銀がどんな命令してるかは分かんねぇが、誓約してるくらいだし……。フェルが危険になる事を、あいつがさせる筈もねぇな」
行儀悪く舌打ちをしながら、グーリフはリスをテーブルの上に放った。
ぺしゃりと無様にテーブル板に身体を打ち付けたリスだが、すぐに体勢を改めてペコペコと頭を上下に振る。
解放した事への感謝かもしれないが、そも扱いが荒い事への不満はないのだろうか。
「でもよぉ。これと言葉が通じない事にはなぁ」
「あ、タイが何か出してるよ?」
「んあ?手紙、かぁ?」
どうしようかと、フェリシアとグーリフが頭を悩ませていると。モソモソと短い両手を後ろへ回し、背中に背負っていたらしき筒からせっせと細く丸められた紙を出している。体毛に埋もれて見えないように隠されていたようだ。
配達人であるタイがリスサイズだから、拡げても掌程度の大きさである。だがびっしりと細かく記されたそれは、確かに手紙のようだった。
「え、何て書いているのか分からないんだけど」
「暗号だな。鳥。読め」
「ごめんね、ミア。読める?」
「はい、シア様。拝見させて頂きます。……こちらは諜報部が使う物とは異なるようです。ラングロフ独自の物であれば、執事のネリンガ様にお願いする方が得策かと思われます」
グーリフが受け取った紙をフェリシアが横から確認したのだが、見たところ文字ではあるようだが全く欠片も理解出来ない。
≪名前……暗号文章
材質……紙
用途……※※※
強度…… -E
特長……※※※≫
そして、スキル【神の眼】でも内容は読めなかった。
──何故だろう。どうしてだろう。ってかこれじゃ、説明書の意味がなくない?
フェリシアは苛立ちながらも、用途の『※※※』をじっと見つめる。
≪用途……暗※※し※※密※※り※※※※※≫
読めない。
もう一度。
≪用途……※※化※て※※※の※※※※を※※≫
もう一度。
≪用途……暗号※※※て秘※のやり※※を※※≫
いらっ。
フェリシアはむむむっと眉間にシワを寄せ、更に手紙を見つめる。
≪用途……暗号化して秘密のやり取りをする≫
更に何度か挑戦をし漸くその文字が読めたところで、フェリシアは目眩がして倒れてしまった。
まだ他の部分が読み切れていないのに、である。
「シア様っ?!」
「フェル?!」
周囲が大慌てで動く音を遠くに聞きながら、フェリシアは読み取れた内容に喜びと脱力を感じた。
実際に『暗号文章』という名前で、用途だなんてそんな大袈裟な説明文は不要なのである。しかも当然ながら、本当に知りたいのは手紙の内容だ。
──それだけ……。たったそれだけの内容に、こんなにも集中しなきゃならなかったなんて……。
そうして意識を失うその瞬間、フェリシアの脳内で鈴の音が聞こえた気がした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
<……、…………ル!>
脳内で響く声に意識が呼び戻されたところで、それがグーリフからのスキル【以心伝心】だと気付く。
普段は聞かないような、悲痛な苦しそうな声だ。
フェリシアは今のグーリフを、何故だか無性に抱き締めたいと思う。身体を包み込んで温めてあげて、その苦しみや悲しみから助けたいと願った。
「ぐぅ……」
「フェルっ?!」
「シア様っ」
何故か思うように目蓋が開かなかったが、傍にある体温に頭を擦り付ける。フェリシアは自分に触れている熱がグーリフのものであると自然と認識していたのだ。
擦り寄った身体は一瞬硬直したが、すぐに強くフェリシアを包み込んでくれる。
暫くすりすりと頬を擦り付けていると、頭の上からグーリフが問い掛けてきた。
「フェル。腹減らねぇか?」
「ぅむ~……苺、食べたい~」
「はいっ。かしこまりましたっ」
確かに先程まで、軽食として出されていた食べ物が目の前に広がっていた筈である。フルーツのたくさん乗ったケーキを、いつものようにグーリフがフェリシアの前に置いてくれた記憶があった。
食べる前に警戒モードとなった為、未だ紅茶を少ししか口にしていなかったのである。
「フェル。あ~ん」
「あ~ん……うぐうぐうぐ」
「はぁ~ん。シア様、きゃわわですぅぅう」
グーリフに促されて口を開けると、甘酸っぱい苺の果肉が口内に広がった。
幼い頃はこうして寝ながらでも食事を取れていたので、意識が覚醒していない──理性が働いていないフェリシアは、非常に欲望に忠実である。
「ほら、フェル。ケーキは起きてからでねぇと、喉詰めちまうぜ?」
「ん、むぅ……起きるぅ」
「一緒に食べようじゃねぇか」
「んぅ~、起きるからぁ」
まだフェリシアは寝ていたいのだが、ケーキも食べたいのだ。こうしてむにゃむにゃしていては、せっかくのクリームが時間を置きすぎて形を保っていられなくなるかもしれない。
グーリフの誘いに何とか重い目蓋を開き、目の前に差し出されたケーキの乗ったフォークに食らい付いた。
「うまうま、もぐもぐ……」
「くくくっ、かぁわぃ」
「はぅ~、シア様最っ高にきゃわわですぅう」
フェリシアは幾度かグーリフから差し出されるままのケーキを口にしていたが、少しずつ意識が覚醒してくるに従って周囲の状況を把握してくる。
何故かテラスの席に座っていた筈の自分が。何故か芝の上に敷かれた布の上でグーリフに背を抱かれるように横たわっていて。ケーキを与えられるがまま貪り尽くしているのは良いとして。
「んぐ……ぅ?シア、寝てた?」
「あ~……。何処まで覚えてる?」
「んぅ?何処まで……って」
口の中にあったケーキを飲み込んだところで、やっと気付いたかのようにフェリシアはグーリフに問い掛けた。けれども逆に問い掛け直され、フェリシアはフリーズする。
そして自己脳内会議が行われた。
テラスで軽食中だったよね。ふむふむ。
何かを感知したグーリフがいたよね。むむむっ。
ガウリイルから通信あったよね。うんうん。いつもの内容ないやつね。
あ。何か送ったって。そうだった。
グーリフがリス見つけたって。あぁ、リス種のタイね。
首輪付いてた。誓約って。魔法凄いよねぇ。
ってか、あの子生きてたんだねぇ。うんうん。既に亡き者にされてるかと思ってたよ。
侵入者だったもんねぇ。兄様たちとバトルしてたもんね。リアルにさ。
「リスくん」
「思い出したか?」
「うん。どうなったの?」
「ここにいる。おい」
未だ多少記憶の欠落があるものの。タイが持って来た手紙に集中した事で、スキル【神の眼】が暴走したのか。
確か鈴の音が、と思ったところで。
<あ、スキルが更新してる>
<はぁあ?>
視界に『能力値を補正』と出ていた。
そして確認してみれば──
≪スキル……【神の眼】→【神の眼+】≫
【神の眼+】が強化されていたのである。
考えられるのは一つ。タイが持っていた手紙の【神の眼】がいつものように読めず、必死になって解読しようとしたからだ。
<とりあえずスキルが強化された。うむ、シア凄い>
<……ったく、本当だよ。まぁ、倒れた原因が何かからの攻撃じゃなくて良かったぜ>
無事である事を確かめるように、ぎゅうぎゅうとフェリシアを抱き締める力を強めたグーリフ。少し苦しいが、それだけ心配させてしまったのだろう。
そのグーリフの腕をポンポンと軽く撫でながら、フェリシアは目の前に現れた小動物──の形状をしているリス種のタイに視線を向けた。
「あ、手紙?」
「あぁ……」
「シア様。それは今、ネリンガ様へ確認している最中です」
ミアが告げた執事のノルト・ネリンガは、ラングロフ邸の全てを任されている壮年の男である。フェリシアとしては、常に近くにはいるが深く関わりを持っていない人物だ。
そして逆にミアはフェリシア専属侍女である為、直属の上司にあたる。最終的に彼へは、邸内の全ての情報が集中するのだった。
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