57 / 60
第2章──少年期5~10歳──
057 半端な情報公開は気になるもの
しおりを挟む
そんなこんなで、グーリフとガウリイルとの平行線の口論が続く。
とは言え、通信魔法石の限界はすぐだった。
「引き取れ」
『ダメだと言っています。学園に関係者以外が長居出来ない事は何度も説明しました。あぁ、つまらない会話ばかりしてシアと話せなかったじゃないですか。もう通信が切れそ……』
プツリ。
寂しそうなガウリイルの声を最後に、完全に光を失い沈黙する魔法石である。
「切れてしまいましたね。いかがなさいますか、シア様」
「うむぅ……。ガウ兄と次通信出来るのって、いつ?」
「そうですね。今回無理に二回連続して繋いでしまいましたから、翌月の雷終わりか……下手をするとその次の、火月の長期休暇の方が早いかもしれません」
「あぅ~、そっかぁ」
月に一度と決められている学園規則に従い、通信魔法石はみだりに使用出来ない。基本的に緊急通信用なので、フェリシアの前世の電話みたいに易々と使えない高級魔道具なのだ。
それをガウリイルは、生徒会会長権限で当然のように毎月通信してくる。
内容はないようなものだが、フェリシアとしても元気な声を聞くだけでも嬉しいと思えた。ちなみに、次兄や三兄は通信すらしてこない。これが普通、生徒のあるべき姿だ。
騒々しいきょうだいの声が聞こえない現状は、それが当たり前の環境で過ごしてきたフェリシアにとっては物足りないものだった。
「じゃあどうする、フェル。刻んで捨てるか……」
「ダメでしょ、グーリフ。そんな事言って脅したら、リスくん死んじゃう」
グーリフの言葉を受けてタイを見れば、相変わらず逆さに尻尾を掴まれたままだが身体を小さな両手で抱いている。ガクブルな心境なのは、想像に難くない。
「首輪もついてるんだし、悪い事は出来ないんでしょ?」
「まぁ、そうだなぁ。チビ銀がどんな命令してるかは分かんねぇが、誓約してるくらいだし……。フェルが危険になる事を、あいつがさせる筈もねぇな」
行儀悪く舌打ちをしながら、グーリフはリスをテーブルの上に放った。
ぺしゃりと無様にテーブル板に身体を打ち付けたリスだが、すぐに体勢を改めてペコペコと頭を上下に振る。
解放した事への感謝かもしれないが、そも扱いが荒い事への不満はないのだろうか。
「でもよぉ。これと言葉が通じない事にはなぁ」
「あ、タイが何か出してるよ?」
「んあ?手紙、かぁ?」
どうしようかと、フェリシアとグーリフが頭を悩ませていると。モソモソと短い両手を後ろへ回し、背中に背負っていたらしき筒からせっせと細く丸められた紙を出している。体毛に埋もれて見えないように隠されていたようだ。
配達人であるタイがリスサイズだから、拡げても掌程度の大きさである。だがびっしりと細かく記されたそれは、確かに手紙のようだった。
「え、何て書いているのか分からないんだけど」
「暗号だな。鳥。読め」
「ごめんね、ミア。読める?」
「はい、シア様。拝見させて頂きます。……こちらは諜報部が使う物とは異なるようです。ラングロフ独自の物であれば、執事のネリンガ様にお願いする方が得策かと思われます」
グーリフが受け取った紙をフェリシアが横から確認したのだが、見たところ文字ではあるようだが全く欠片も理解出来ない。
≪名前……暗号文章
材質……紙
用途……※※※
強度…… -E
特長……※※※≫
そして、スキル【神の眼】でも内容は読めなかった。
──何故だろう。どうしてだろう。ってかこれじゃ、説明書の意味がなくない?
フェリシアは苛立ちながらも、用途の『※※※』をじっと見つめる。
≪用途……暗※※し※※密※※り※※※※※≫
読めない。
もう一度。
≪用途……※※化※て※※※の※※※※を※※≫
もう一度。
≪用途……暗号※※※て秘※のやり※※を※※≫
いらっ。
フェリシアはむむむっと眉間にシワを寄せ、更に手紙を見つめる。
≪用途……暗号化して秘密のやり取りをする≫
更に何度か挑戦をし漸くその文字が読めたところで、フェリシアは目眩がして倒れてしまった。
まだ他の部分が読み切れていないのに、である。
「シア様っ?!」
「フェル?!」
周囲が大慌てで動く音を遠くに聞きながら、フェリシアは読み取れた内容に喜びと脱力を感じた。
実際に『暗号文章』という名前で、用途だなんてそんな大袈裟な説明文は不要なのである。しかも当然ながら、本当に知りたいのは手紙の内容だ。
──それだけ……。たったそれだけの内容に、こんなにも集中しなきゃならなかったなんて……。
そうして意識を失うその瞬間、フェリシアの脳内で鈴の音が聞こえた気がした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
<……、…………ル!>
脳内で響く声に意識が呼び戻されたところで、それがグーリフからのスキル【以心伝心】だと気付く。
普段は聞かないような、悲痛な苦しそうな声だ。
フェリシアは今のグーリフを、何故だか無性に抱き締めたいと思う。身体を包み込んで温めてあげて、その苦しみや悲しみから助けたいと願った。
「ぐぅ……」
「フェルっ?!」
「シア様っ」
何故か思うように目蓋が開かなかったが、傍にある体温に頭を擦り付ける。フェリシアは自分に触れている熱がグーリフのものであると自然と認識していたのだ。
擦り寄った身体は一瞬硬直したが、すぐに強くフェリシアを包み込んでくれる。
暫くすりすりと頬を擦り付けていると、頭の上からグーリフが問い掛けてきた。
「フェル。腹減らねぇか?」
「ぅむ~……苺、食べたい~」
「はいっ。かしこまりましたっ」
確かに先程まで、軽食として出されていた食べ物が目の前に広がっていた筈である。フルーツのたくさん乗ったケーキを、いつものようにグーリフがフェリシアの前に置いてくれた記憶があった。
食べる前に警戒モードとなった為、未だ紅茶を少ししか口にしていなかったのである。
「フェル。あ~ん」
「あ~ん……うぐうぐうぐ」
「はぁ~ん。シア様、きゃわわですぅぅう」
グーリフに促されて口を開けると、甘酸っぱい苺の果肉が口内に広がった。
幼い頃はこうして寝ながらでも食事を取れていたので、意識が覚醒していない──理性が働いていないフェリシアは、非常に欲望に忠実である。
「ほら、フェル。ケーキは起きてからでねぇと、喉詰めちまうぜ?」
「ん、むぅ……起きるぅ」
「一緒に食べようじゃねぇか」
「んぅ~、起きるからぁ」
まだフェリシアは寝ていたいのだが、ケーキも食べたいのだ。こうしてむにゃむにゃしていては、せっかくのクリームが時間を置きすぎて形を保っていられなくなるかもしれない。
グーリフの誘いに何とか重い目蓋を開き、目の前に差し出されたケーキの乗ったフォークに食らい付いた。
「うまうま、もぐもぐ……」
「くくくっ、かぁわぃ」
「はぅ~、シア様最っ高にきゃわわですぅう」
フェリシアは幾度かグーリフから差し出されるままのケーキを口にしていたが、少しずつ意識が覚醒してくるに従って周囲の状況を把握してくる。
何故かテラスの席に座っていた筈の自分が。何故か芝の上に敷かれた布の上でグーリフに背を抱かれるように横たわっていて。ケーキを与えられるがまま貪り尽くしているのは良いとして。
「んぐ……ぅ?シア、寝てた?」
「あ~……。何処まで覚えてる?」
「んぅ?何処まで……って」
口の中にあったケーキを飲み込んだところで、やっと気付いたかのようにフェリシアはグーリフに問い掛けた。けれども逆に問い掛け直され、フェリシアはフリーズする。
そして自己脳内会議が行われた。
テラスで軽食中だったよね。ふむふむ。
何かを感知したグーリフがいたよね。むむむっ。
ガウリイルから通信あったよね。うんうん。いつもの内容ないやつね。
あ。何か送ったって。そうだった。
グーリフがリス見つけたって。あぁ、リス種のタイね。
首輪付いてた。誓約って。魔法凄いよねぇ。
ってか、あの子生きてたんだねぇ。うんうん。既に亡き者にされてるかと思ってたよ。
侵入者だったもんねぇ。兄様たちとバトルしてたもんね。リアルにさ。
「リスくん」
「思い出したか?」
「うん。どうなったの?」
「ここにいる。おい」
未だ多少記憶の欠落があるものの。タイが持って来た手紙に集中した事で、スキル【神の眼】が暴走したのか。
確か鈴の音が、と思ったところで。
<あ、スキルが更新してる>
<はぁあ?>
視界に『能力値を補正』と出ていた。
そして確認してみれば──
≪スキル……【神の眼】→【神の眼+】≫
【神の眼+】が強化されていたのである。
考えられるのは一つ。タイが持っていた手紙の【神の眼】がいつものように読めず、必死になって解読しようとしたからだ。
<とりあえずスキルが強化された。うむ、シア凄い>
<……ったく、本当だよ。まぁ、倒れた原因が何かからの攻撃じゃなくて良かったぜ>
無事である事を確かめるように、ぎゅうぎゅうとフェリシアを抱き締める力を強めたグーリフ。少し苦しいが、それだけ心配させてしまったのだろう。
そのグーリフの腕をポンポンと軽く撫でながら、フェリシアは目の前に現れた小動物──の形状をしているリス種のタイに視線を向けた。
「あ、手紙?」
「あぁ……」
「シア様。それは今、ネリンガ様へ確認している最中です」
ミアが告げた執事のノルト・ネリンガは、ラングロフ邸の全てを任されている壮年の男である。フェリシアとしては、常に近くにはいるが深く関わりを持っていない人物だ。
そして逆にミアはフェリシア専属侍女である為、直属の上司にあたる。最終的に彼へは、邸内の全ての情報が集中するのだった。
とは言え、通信魔法石の限界はすぐだった。
「引き取れ」
『ダメだと言っています。学園に関係者以外が長居出来ない事は何度も説明しました。あぁ、つまらない会話ばかりしてシアと話せなかったじゃないですか。もう通信が切れそ……』
プツリ。
寂しそうなガウリイルの声を最後に、完全に光を失い沈黙する魔法石である。
「切れてしまいましたね。いかがなさいますか、シア様」
「うむぅ……。ガウ兄と次通信出来るのって、いつ?」
「そうですね。今回無理に二回連続して繋いでしまいましたから、翌月の雷終わりか……下手をするとその次の、火月の長期休暇の方が早いかもしれません」
「あぅ~、そっかぁ」
月に一度と決められている学園規則に従い、通信魔法石はみだりに使用出来ない。基本的に緊急通信用なので、フェリシアの前世の電話みたいに易々と使えない高級魔道具なのだ。
それをガウリイルは、生徒会会長権限で当然のように毎月通信してくる。
内容はないようなものだが、フェリシアとしても元気な声を聞くだけでも嬉しいと思えた。ちなみに、次兄や三兄は通信すらしてこない。これが普通、生徒のあるべき姿だ。
騒々しいきょうだいの声が聞こえない現状は、それが当たり前の環境で過ごしてきたフェリシアにとっては物足りないものだった。
「じゃあどうする、フェル。刻んで捨てるか……」
「ダメでしょ、グーリフ。そんな事言って脅したら、リスくん死んじゃう」
グーリフの言葉を受けてタイを見れば、相変わらず逆さに尻尾を掴まれたままだが身体を小さな両手で抱いている。ガクブルな心境なのは、想像に難くない。
「首輪もついてるんだし、悪い事は出来ないんでしょ?」
「まぁ、そうだなぁ。チビ銀がどんな命令してるかは分かんねぇが、誓約してるくらいだし……。フェルが危険になる事を、あいつがさせる筈もねぇな」
行儀悪く舌打ちをしながら、グーリフはリスをテーブルの上に放った。
ぺしゃりと無様にテーブル板に身体を打ち付けたリスだが、すぐに体勢を改めてペコペコと頭を上下に振る。
解放した事への感謝かもしれないが、そも扱いが荒い事への不満はないのだろうか。
「でもよぉ。これと言葉が通じない事にはなぁ」
「あ、タイが何か出してるよ?」
「んあ?手紙、かぁ?」
どうしようかと、フェリシアとグーリフが頭を悩ませていると。モソモソと短い両手を後ろへ回し、背中に背負っていたらしき筒からせっせと細く丸められた紙を出している。体毛に埋もれて見えないように隠されていたようだ。
配達人であるタイがリスサイズだから、拡げても掌程度の大きさである。だがびっしりと細かく記されたそれは、確かに手紙のようだった。
「え、何て書いているのか分からないんだけど」
「暗号だな。鳥。読め」
「ごめんね、ミア。読める?」
「はい、シア様。拝見させて頂きます。……こちらは諜報部が使う物とは異なるようです。ラングロフ独自の物であれば、執事のネリンガ様にお願いする方が得策かと思われます」
グーリフが受け取った紙をフェリシアが横から確認したのだが、見たところ文字ではあるようだが全く欠片も理解出来ない。
≪名前……暗号文章
材質……紙
用途……※※※
強度…… -E
特長……※※※≫
そして、スキル【神の眼】でも内容は読めなかった。
──何故だろう。どうしてだろう。ってかこれじゃ、説明書の意味がなくない?
フェリシアは苛立ちながらも、用途の『※※※』をじっと見つめる。
≪用途……暗※※し※※密※※り※※※※※≫
読めない。
もう一度。
≪用途……※※化※て※※※の※※※※を※※≫
もう一度。
≪用途……暗号※※※て秘※のやり※※を※※≫
いらっ。
フェリシアはむむむっと眉間にシワを寄せ、更に手紙を見つめる。
≪用途……暗号化して秘密のやり取りをする≫
更に何度か挑戦をし漸くその文字が読めたところで、フェリシアは目眩がして倒れてしまった。
まだ他の部分が読み切れていないのに、である。
「シア様っ?!」
「フェル?!」
周囲が大慌てで動く音を遠くに聞きながら、フェリシアは読み取れた内容に喜びと脱力を感じた。
実際に『暗号文章』という名前で、用途だなんてそんな大袈裟な説明文は不要なのである。しかも当然ながら、本当に知りたいのは手紙の内容だ。
──それだけ……。たったそれだけの内容に、こんなにも集中しなきゃならなかったなんて……。
そうして意識を失うその瞬間、フェリシアの脳内で鈴の音が聞こえた気がした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
<……、…………ル!>
脳内で響く声に意識が呼び戻されたところで、それがグーリフからのスキル【以心伝心】だと気付く。
普段は聞かないような、悲痛な苦しそうな声だ。
フェリシアは今のグーリフを、何故だか無性に抱き締めたいと思う。身体を包み込んで温めてあげて、その苦しみや悲しみから助けたいと願った。
「ぐぅ……」
「フェルっ?!」
「シア様っ」
何故か思うように目蓋が開かなかったが、傍にある体温に頭を擦り付ける。フェリシアは自分に触れている熱がグーリフのものであると自然と認識していたのだ。
擦り寄った身体は一瞬硬直したが、すぐに強くフェリシアを包み込んでくれる。
暫くすりすりと頬を擦り付けていると、頭の上からグーリフが問い掛けてきた。
「フェル。腹減らねぇか?」
「ぅむ~……苺、食べたい~」
「はいっ。かしこまりましたっ」
確かに先程まで、軽食として出されていた食べ物が目の前に広がっていた筈である。フルーツのたくさん乗ったケーキを、いつものようにグーリフがフェリシアの前に置いてくれた記憶があった。
食べる前に警戒モードとなった為、未だ紅茶を少ししか口にしていなかったのである。
「フェル。あ~ん」
「あ~ん……うぐうぐうぐ」
「はぁ~ん。シア様、きゃわわですぅぅう」
グーリフに促されて口を開けると、甘酸っぱい苺の果肉が口内に広がった。
幼い頃はこうして寝ながらでも食事を取れていたので、意識が覚醒していない──理性が働いていないフェリシアは、非常に欲望に忠実である。
「ほら、フェル。ケーキは起きてからでねぇと、喉詰めちまうぜ?」
「ん、むぅ……起きるぅ」
「一緒に食べようじゃねぇか」
「んぅ~、起きるからぁ」
まだフェリシアは寝ていたいのだが、ケーキも食べたいのだ。こうしてむにゃむにゃしていては、せっかくのクリームが時間を置きすぎて形を保っていられなくなるかもしれない。
グーリフの誘いに何とか重い目蓋を開き、目の前に差し出されたケーキの乗ったフォークに食らい付いた。
「うまうま、もぐもぐ……」
「くくくっ、かぁわぃ」
「はぅ~、シア様最っ高にきゃわわですぅう」
フェリシアは幾度かグーリフから差し出されるままのケーキを口にしていたが、少しずつ意識が覚醒してくるに従って周囲の状況を把握してくる。
何故かテラスの席に座っていた筈の自分が。何故か芝の上に敷かれた布の上でグーリフに背を抱かれるように横たわっていて。ケーキを与えられるがまま貪り尽くしているのは良いとして。
「んぐ……ぅ?シア、寝てた?」
「あ~……。何処まで覚えてる?」
「んぅ?何処まで……って」
口の中にあったケーキを飲み込んだところで、やっと気付いたかのようにフェリシアはグーリフに問い掛けた。けれども逆に問い掛け直され、フェリシアはフリーズする。
そして自己脳内会議が行われた。
テラスで軽食中だったよね。ふむふむ。
何かを感知したグーリフがいたよね。むむむっ。
ガウリイルから通信あったよね。うんうん。いつもの内容ないやつね。
あ。何か送ったって。そうだった。
グーリフがリス見つけたって。あぁ、リス種のタイね。
首輪付いてた。誓約って。魔法凄いよねぇ。
ってか、あの子生きてたんだねぇ。うんうん。既に亡き者にされてるかと思ってたよ。
侵入者だったもんねぇ。兄様たちとバトルしてたもんね。リアルにさ。
「リスくん」
「思い出したか?」
「うん。どうなったの?」
「ここにいる。おい」
未だ多少記憶の欠落があるものの。タイが持って来た手紙に集中した事で、スキル【神の眼】が暴走したのか。
確か鈴の音が、と思ったところで。
<あ、スキルが更新してる>
<はぁあ?>
視界に『能力値を補正』と出ていた。
そして確認してみれば──
≪スキル……【神の眼】→【神の眼+】≫
【神の眼+】が強化されていたのである。
考えられるのは一つ。タイが持っていた手紙の【神の眼】がいつものように読めず、必死になって解読しようとしたからだ。
<とりあえずスキルが強化された。うむ、シア凄い>
<……ったく、本当だよ。まぁ、倒れた原因が何かからの攻撃じゃなくて良かったぜ>
無事である事を確かめるように、ぎゅうぎゅうとフェリシアを抱き締める力を強めたグーリフ。少し苦しいが、それだけ心配させてしまったのだろう。
そのグーリフの腕をポンポンと軽く撫でながら、フェリシアは目の前に現れた小動物──の形状をしているリス種のタイに視線を向けた。
「あ、手紙?」
「あぁ……」
「シア様。それは今、ネリンガ様へ確認している最中です」
ミアが告げた執事のノルト・ネリンガは、ラングロフ邸の全てを任されている壮年の男である。フェリシアとしては、常に近くにはいるが深く関わりを持っていない人物だ。
そして逆にミアはフェリシア専属侍女である為、直属の上司にあたる。最終的に彼へは、邸内の全ての情報が集中するのだった。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる