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第1章──幼年期1~4歳──
031 ヤン疑惑はない方が良い
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◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……で、どうだったの?」
小さな魔法灯に照らされた室内で、マルコが問い掛けてくる。
ここはガウリイルに与えられた私室であり、隣室は独自に采配された彼だけの拷問部屋になっていた。
「えぇ。大半は予想通り、ですね。あのリス種の少年は暗殺者として、幼い頃から教育されています。そういった機関がある事は何度か耳にしていましたが……。更には彼の性格に上乗せする形で、闇の魔力を込めた魔法石が、人為的に埋め込まれていました。取り外すと命に関わりそうなので、こちらは父様の判断に委ねますが」
淡々と答えるガウリイルだが、どのような方法で聞き出したかなど、怖くてマルコは問い掛けられない。結果的に必要事項が分かればそれで良いわけで、経緯は省略する事にした。
それよりも問題なのは、その暗殺者育成機関が、何故直接ラングロフ家へ仕掛けてきたか、である。
「闇の魔法石は気になるけど、目的はやっぱり?」
「えぇ、そちらも想像の範囲を越えませんね。どこもかしこも、揃って銀狼の……ラングロフの血を欲しがります。確かに他の種に比べると頑丈ですが、大して魔力量が多い訳でも……って、そこですか」
「たぶんね。母様の血統が交ざった事で、更に稀少性が増したと思うよ。兄様もシアも、銀狼と光の魔力を受け継いでる。ぼくやアースより超稀少種……喉から手が出るくらい欲しいだろうね」
言葉とは違い、落ち込んだような言い方になっているマルコだ。
ラングロフが狙われる事に変わりはないが、長兄はともかく、末姫の身代わりには誰もなれない。そしてマルコはウサギ種である為、おそらく四人のきょうだいの中で、一番劣等種とみなされるのだ。
「……マル。貴方が何を考えているのか、想像するのは簡単ですね。ですが、貴方もラングロフです。それに、母様を貶めるような生き方は許しませんよ」
「わ、分かってるって。……本当に怖いな、兄様」
「何ですか?」
「や、こっちの話。……で、あのリス君、自分の意思で獣型になれるの?」
ポツリと呟いた言葉をガウリイルに問い返されそうになり、マルコは慌てて別の質問を投げる。
実際にリス種の少年は、それ程苦もなく人型になっていたように見えたからだ。
「それですが、興味深い事が分かりました」
そうしてガウリイルは、座っていたソファーから立ち上がり、机の引き出しから小箱を取り出す。
六歳の掌に収まる程の小さな楕円形の箱は、黒いのか焦げ茶なのかわからない、黒ずみを帯びていた。──そしてそれ以上に、刺激臭がマルコの鼻をつく。
「……何それ。良くそんなの持てるね」
「あぁ、これは彼の腹の中にありましたから。多少の臭いはやむを得ませんね」
「それ、凄く当然の事のように言う兄様が怖いよ。で、それがどうしたの?」
「おかしいでしょうか……。あ、はい。こちらは、解呪の魔法液です。変化の魔法液とセットで、この小箱に三つずつ」
「は……?」
色々と突っ込みたい事が多すぎて、それでも一通り、ガウリイルの話を聞こうとしていたマルコだ。けれども、それも限界点に達したようである。
間の抜けた顔で、ガウリイルの掌に視線が釘付けになっている。
「マル?……聞こえなかった訳ではないでしょう。意味が分からない訳でもないですね。そうなると、予想外過ぎて驚いている、というところでしょうか」
「っ、人の心境を淡々と解説しなくて良いから。そりゃ、驚きもするでしょ」
隠し場所もだが、魔法液自体が高価な代物なのだ。確実に彼等組織のバックには、莫大な資金源がある。
マルコは若干頭痛を感じ、コメカミを強く押しながら回していた。
「ここでそれ程驚いていては、先に進めません。彼に所持理由を尋ねましたが、当然ながら、素直に答えてはくれませんでした。そこで、彼自らの肉体で実験をさせてもらったのですが、私も驚きました。彼等は、多少の肉体的負荷はあるようなのですが、魔法液に強い耐性がありました」
「使ったんだ……、さすが鬼畜。って、耐性があるっていうのは?」
「はい。変化の魔法液で獣型になりますし、解呪の魔法液で人型に戻ります。そこに、通常感じるであろう筈の苦痛がないようでした」
ガウリイルの報告内容は、有り得ない事ばかりで、マルコはどのようにまとめようか、軽く天井を見上げて逃避しかける。だが、その一方で冷静な思考があった。
通常、ヒト科獣属は獣化しない。亜人科の種族は二種類の形態をとれるが、二足歩行形態でも、ヒト科とは肌の質感からして異なっていた。しかしながら、その常識──ヒト科は獣化しない──を覆す事実である。
気にしない振りをしているが、フェリシアが獣化する事は、ラングロフ家では第一級の極秘情報だ。彼女の場合は、魔法液すら使用していない。
「……そんなものが出回ったら、国が混乱するよ」
「そうですね。獣だと思っていた物が、ヒトであったならば……。あんな小型の生物形状であれば侵入や暗殺は酷く容易で、警備などザルに等しいでしょう」
「でも実際に、それらを育成している機関があるんでしょ?兄様これ、ぼく達だけの判断ではもう動けないね」
「はい。既に父様へ報告済みです。闇の魔法石との関係もですが、シア誘拐犯との繋がりが気になります」
ガウリイルは掌の小箱から、小さな爪の先程の青い粒を取り出した。箱の残りは三個──赤が二つ、青が一つである。
その粒が魔法液なのだろうと、今までの話からマルコは推測した。
「その青い方が、獣化するの?」
「そうです。変化の魔法液を濃縮させてあるようで、性能は変わらないようでした」
「シア誘拐のバックに、その暗殺者機関が関わってるって事か……。子供達を色々な場所から拐って来ては、そうやって新しい暗殺者を作る。ゲスの極みだね」
「これまでの我々の常識では、獣はヒトではなかったのです。今回の事件で明るみに出ましたから、多少の改善はされるでしょうが、世間一般に認知されるまでは相当時間が掛かるでしょう」
ガウリイルが僅かに肩を竦める。
元々、変化の魔法液は『呪い』の為に作られた物だ。だからこそ、解呪の魔法液という物が存在する。
「全く……。これを作り出した、『始祖の魔女』には蹴りを入れたいね」
「言い伝えでしかありませんが、人為的に作られたのは確かだそうですからね」
小箱の中に魔法液を戻すガウリイル。
どうやら別の使い道を考えてあるようで、再び引き出しに納めてしまった。
「あ、そう言えば、リス君は?」
「彼は、丁重に縛り上げていますよ?自害などさせません。大切な実験動物ですから。会いますか?」
話を変えるようにマルコが問えば、ガウリイルのとても良い笑顔と返答が返ってくる。
侵入者の身柄の自由は確かに子供達に与えられているが、マルコはガウリイルの手元に残された賊の、最終的な行方を知らなかった。──否、知りなくなかったというべきか。
「……それ、ぼくが見れる状態?」
「そうでなければ言いません」
何故だかマルコには、言葉の裏に違う声が聞こえてきた。
(本当は見たくないんだけど、何でそんなに嬉しそうなのさ兄様)
「隣、だよね」
「はい」
けれどもここで引き下がる訳にもいかず、意を決して隣室の扉を開く。──そしてマルコは悟った。ガウリイルはやはり鬼畜なのだと。
ここは二階の筈なのだが、その部屋はまるで地下のような陰湿な雰囲気があった。何故か石畳になっていて、床も壁も黒いような染みが張り付いている。
そして床に、全裸の少年が転がっていた。
手足を広げられた状態で、首には幅の広い──首輪にしか見えない、光の魔力。同じく、網目状に加工された光の魔力で、全身を拘束されている。口からも魔力の紐が見えるので、舌を噛みきらないようにしているのだろうと推測された。
(いやいやいやまってこれなに。ぼくってば、兄様の犯罪を目撃させられてる?……待って、ぼく。リス君が犯罪者側だから)
「どうしたのですか、マル。光の魔力で浄化してあるので、衛生上は問題ありませんよ?」
「あ~……、うん。そんな心配はしてないんだけどね」
想像を絶したあまりの光景にマルコは、賊がもし女性だったらとか、ガウリイルの年齢がもう少し上だったらとか、そんな取り留めもない悪い妄想が駆け巡っていたのである。
そして最終的に、ガウリイルが光魔力の持ち主で良かったと、そう結論付けた。
「首のは、闇魔法石を封じてるの?」
「そうです。首の骨の根本に植えられているので、下手に触るとその下が動かなくなってしまうのです。それで傀儡にするのも良いのですが、私は魔力隠蔽には向いていませんから、すぐに露見してしまいます」
残念そうに告げるガウリイルだが、床に転がされているリス種の少年が顔を青くしたのが、マルコからは見える。
あられもない姿を晒されていても、もはや怒りも羞恥もなく、涙を流しているマルコよりも年上の少年だ。
(何か、ごめん。もうこうなったら、自分の不運を呪う事だね)
「とりあえず、情報だけは引き出しておいてね。兄様鬼畜過ぎだから、全部抜き出す前に壊しちゃう危険があるからなぁ。キミ、心しておいてね」
「そうですね、善処します。然り気無くサンプルを脅すマルも、大概ですからね」
ガウリイルを通常の思考へ誘導する事は諦めたマルコは、侵入者へ表面上の同情を向ける。
そもそも、こちらを害するつもりで押し入って来ているのだ。覚悟くらいは出来ているだろう。
「それじゃあ、ぼくは報告書を仕上げてきます」
「はい、わたしはまだやる事がありますので、そちらはマルにお願いします」
振り返ったマルコに見えたのは、笑顔のガウリイルだ。しかしながら、フェリシアを害そうとしたリス種の少年を、このまま五体満足で帰す筈もない。
マルコは内心で溜め息を吐きながらも、部屋を後にするのだった。
「……で、どうだったの?」
小さな魔法灯に照らされた室内で、マルコが問い掛けてくる。
ここはガウリイルに与えられた私室であり、隣室は独自に采配された彼だけの拷問部屋になっていた。
「えぇ。大半は予想通り、ですね。あのリス種の少年は暗殺者として、幼い頃から教育されています。そういった機関がある事は何度か耳にしていましたが……。更には彼の性格に上乗せする形で、闇の魔力を込めた魔法石が、人為的に埋め込まれていました。取り外すと命に関わりそうなので、こちらは父様の判断に委ねますが」
淡々と答えるガウリイルだが、どのような方法で聞き出したかなど、怖くてマルコは問い掛けられない。結果的に必要事項が分かればそれで良いわけで、経緯は省略する事にした。
それよりも問題なのは、その暗殺者育成機関が、何故直接ラングロフ家へ仕掛けてきたか、である。
「闇の魔法石は気になるけど、目的はやっぱり?」
「えぇ、そちらも想像の範囲を越えませんね。どこもかしこも、揃って銀狼の……ラングロフの血を欲しがります。確かに他の種に比べると頑丈ですが、大して魔力量が多い訳でも……って、そこですか」
「たぶんね。母様の血統が交ざった事で、更に稀少性が増したと思うよ。兄様もシアも、銀狼と光の魔力を受け継いでる。ぼくやアースより超稀少種……喉から手が出るくらい欲しいだろうね」
言葉とは違い、落ち込んだような言い方になっているマルコだ。
ラングロフが狙われる事に変わりはないが、長兄はともかく、末姫の身代わりには誰もなれない。そしてマルコはウサギ種である為、おそらく四人のきょうだいの中で、一番劣等種とみなされるのだ。
「……マル。貴方が何を考えているのか、想像するのは簡単ですね。ですが、貴方もラングロフです。それに、母様を貶めるような生き方は許しませんよ」
「わ、分かってるって。……本当に怖いな、兄様」
「何ですか?」
「や、こっちの話。……で、あのリス君、自分の意思で獣型になれるの?」
ポツリと呟いた言葉をガウリイルに問い返されそうになり、マルコは慌てて別の質問を投げる。
実際にリス種の少年は、それ程苦もなく人型になっていたように見えたからだ。
「それですが、興味深い事が分かりました」
そうしてガウリイルは、座っていたソファーから立ち上がり、机の引き出しから小箱を取り出す。
六歳の掌に収まる程の小さな楕円形の箱は、黒いのか焦げ茶なのかわからない、黒ずみを帯びていた。──そしてそれ以上に、刺激臭がマルコの鼻をつく。
「……何それ。良くそんなの持てるね」
「あぁ、これは彼の腹の中にありましたから。多少の臭いはやむを得ませんね」
「それ、凄く当然の事のように言う兄様が怖いよ。で、それがどうしたの?」
「おかしいでしょうか……。あ、はい。こちらは、解呪の魔法液です。変化の魔法液とセットで、この小箱に三つずつ」
「は……?」
色々と突っ込みたい事が多すぎて、それでも一通り、ガウリイルの話を聞こうとしていたマルコだ。けれども、それも限界点に達したようである。
間の抜けた顔で、ガウリイルの掌に視線が釘付けになっている。
「マル?……聞こえなかった訳ではないでしょう。意味が分からない訳でもないですね。そうなると、予想外過ぎて驚いている、というところでしょうか」
「っ、人の心境を淡々と解説しなくて良いから。そりゃ、驚きもするでしょ」
隠し場所もだが、魔法液自体が高価な代物なのだ。確実に彼等組織のバックには、莫大な資金源がある。
マルコは若干頭痛を感じ、コメカミを強く押しながら回していた。
「ここでそれ程驚いていては、先に進めません。彼に所持理由を尋ねましたが、当然ながら、素直に答えてはくれませんでした。そこで、彼自らの肉体で実験をさせてもらったのですが、私も驚きました。彼等は、多少の肉体的負荷はあるようなのですが、魔法液に強い耐性がありました」
「使ったんだ……、さすが鬼畜。って、耐性があるっていうのは?」
「はい。変化の魔法液で獣型になりますし、解呪の魔法液で人型に戻ります。そこに、通常感じるであろう筈の苦痛がないようでした」
ガウリイルの報告内容は、有り得ない事ばかりで、マルコはどのようにまとめようか、軽く天井を見上げて逃避しかける。だが、その一方で冷静な思考があった。
通常、ヒト科獣属は獣化しない。亜人科の種族は二種類の形態をとれるが、二足歩行形態でも、ヒト科とは肌の質感からして異なっていた。しかしながら、その常識──ヒト科は獣化しない──を覆す事実である。
気にしない振りをしているが、フェリシアが獣化する事は、ラングロフ家では第一級の極秘情報だ。彼女の場合は、魔法液すら使用していない。
「……そんなものが出回ったら、国が混乱するよ」
「そうですね。獣だと思っていた物が、ヒトであったならば……。あんな小型の生物形状であれば侵入や暗殺は酷く容易で、警備などザルに等しいでしょう」
「でも実際に、それらを育成している機関があるんでしょ?兄様これ、ぼく達だけの判断ではもう動けないね」
「はい。既に父様へ報告済みです。闇の魔法石との関係もですが、シア誘拐犯との繋がりが気になります」
ガウリイルは掌の小箱から、小さな爪の先程の青い粒を取り出した。箱の残りは三個──赤が二つ、青が一つである。
その粒が魔法液なのだろうと、今までの話からマルコは推測した。
「その青い方が、獣化するの?」
「そうです。変化の魔法液を濃縮させてあるようで、性能は変わらないようでした」
「シア誘拐のバックに、その暗殺者機関が関わってるって事か……。子供達を色々な場所から拐って来ては、そうやって新しい暗殺者を作る。ゲスの極みだね」
「これまでの我々の常識では、獣はヒトではなかったのです。今回の事件で明るみに出ましたから、多少の改善はされるでしょうが、世間一般に認知されるまでは相当時間が掛かるでしょう」
ガウリイルが僅かに肩を竦める。
元々、変化の魔法液は『呪い』の為に作られた物だ。だからこそ、解呪の魔法液という物が存在する。
「全く……。これを作り出した、『始祖の魔女』には蹴りを入れたいね」
「言い伝えでしかありませんが、人為的に作られたのは確かだそうですからね」
小箱の中に魔法液を戻すガウリイル。
どうやら別の使い道を考えてあるようで、再び引き出しに納めてしまった。
「あ、そう言えば、リス君は?」
「彼は、丁重に縛り上げていますよ?自害などさせません。大切な実験動物ですから。会いますか?」
話を変えるようにマルコが問えば、ガウリイルのとても良い笑顔と返答が返ってくる。
侵入者の身柄の自由は確かに子供達に与えられているが、マルコはガウリイルの手元に残された賊の、最終的な行方を知らなかった。──否、知りなくなかったというべきか。
「……それ、ぼくが見れる状態?」
「そうでなければ言いません」
何故だかマルコには、言葉の裏に違う声が聞こえてきた。
(本当は見たくないんだけど、何でそんなに嬉しそうなのさ兄様)
「隣、だよね」
「はい」
けれどもここで引き下がる訳にもいかず、意を決して隣室の扉を開く。──そしてマルコは悟った。ガウリイルはやはり鬼畜なのだと。
ここは二階の筈なのだが、その部屋はまるで地下のような陰湿な雰囲気があった。何故か石畳になっていて、床も壁も黒いような染みが張り付いている。
そして床に、全裸の少年が転がっていた。
手足を広げられた状態で、首には幅の広い──首輪にしか見えない、光の魔力。同じく、網目状に加工された光の魔力で、全身を拘束されている。口からも魔力の紐が見えるので、舌を噛みきらないようにしているのだろうと推測された。
(いやいやいやまってこれなに。ぼくってば、兄様の犯罪を目撃させられてる?……待って、ぼく。リス君が犯罪者側だから)
「どうしたのですか、マル。光の魔力で浄化してあるので、衛生上は問題ありませんよ?」
「あ~……、うん。そんな心配はしてないんだけどね」
想像を絶したあまりの光景にマルコは、賊がもし女性だったらとか、ガウリイルの年齢がもう少し上だったらとか、そんな取り留めもない悪い妄想が駆け巡っていたのである。
そして最終的に、ガウリイルが光魔力の持ち主で良かったと、そう結論付けた。
「首のは、闇魔法石を封じてるの?」
「そうです。首の骨の根本に植えられているので、下手に触るとその下が動かなくなってしまうのです。それで傀儡にするのも良いのですが、私は魔力隠蔽には向いていませんから、すぐに露見してしまいます」
残念そうに告げるガウリイルだが、床に転がされているリス種の少年が顔を青くしたのが、マルコからは見える。
あられもない姿を晒されていても、もはや怒りも羞恥もなく、涙を流しているマルコよりも年上の少年だ。
(何か、ごめん。もうこうなったら、自分の不運を呪う事だね)
「とりあえず、情報だけは引き出しておいてね。兄様鬼畜過ぎだから、全部抜き出す前に壊しちゃう危険があるからなぁ。キミ、心しておいてね」
「そうですね、善処します。然り気無くサンプルを脅すマルも、大概ですからね」
ガウリイルを通常の思考へ誘導する事は諦めたマルコは、侵入者へ表面上の同情を向ける。
そもそも、こちらを害するつもりで押し入って来ているのだ。覚悟くらいは出来ているだろう。
「それじゃあ、ぼくは報告書を仕上げてきます」
「はい、わたしはまだやる事がありますので、そちらはマルにお願いします」
振り返ったマルコに見えたのは、笑顔のガウリイルだ。しかしながら、フェリシアを害そうとしたリス種の少年を、このまま五体満足で帰す筈もない。
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