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第1章──幼年期1~4歳──
016 魂の絆とかって
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「シアが呼んで、あれが来たの。それまではあれ、大人しかったでしょ。分かる?……ね、イーモン?」
納得がいかないような雰囲気の周囲に対し、マルコは笑顔で馬丁であるイーモンに問い掛けた。
イーモンは垂れた白と黒の耳を持つイヌ種だが、見た目はかなり厳つい。子供が見れば、十人に九人は泣いてしまう外見をしている。
けれどもその実、とても動物好きな一面を持っていた。
「は、はい、マルコ様。あの魔獣は、ベルナール様が連れ帰って来てからと言うもの、暴れも騒ぎもせず、この明け方まで非常に大人しいものでした」
「……ふむ。確かに、俺がフェルの血族と分かったのか、素直に託してくれたな」
イーモンの言葉を受け、思い出したかのようにヨアキムが付け足す。
実際にグーリフは、ベルナールに触れさせもしなかったフェリシアを、ヨアキムが来た途端、何の抵抗もせずに彼女を差し出したそうだ。
マルコが深夜遅くに帰ってきたベルナールを捕まえ、半ば強引に聞き出していた情報である。
そしてマルコは両手を打ち鳴らし、強引にこの場を納めた。
「はい、そういう事で。各自持ち場に戻って。あ、後でシアの部屋を移動させるから、ここの修理を頼むね。はい、父様も」
「あ……、そうなのか?」
「そういう事で御座いましょう、ヨアキム様」
ヨアキムは理解すらしていないようだが、後程ベルナールから詳細を聞く事になるだろう。ノルトは使用人を遊ばせておく訳にもいかない為、この場の護衛として一人残し、後は撤収させる事にするようだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ピチピチと小鳥の鳴く声に、フェリシアの意識が浮上する。
グーリフが来てから一度部屋を移動したここは、彼が突っ込んだ部屋の隣だった。勿論、フェリシアは知らないが。
「グーリフ……、おはよう」
「あぁ、起きたか。調子はどうだ」
「ん~……」
目が覚めたフェリシアは、そのすぐ傍にあった温もりに触れる。視線を向けずとも、それがグーリフであると認識している自分がいた。
声を掛ければ、当たり前のように返答がある。柔らかな寝具と心地好い体温があり、再びフェリシアの意識が微睡んでいく。
すりっ、と艶やかな顔が頬に寄せられた。
質問に答えていなかったと気付いたフェリシアは、纏まらない思考の中で口にする。
「あぁ……、そうだね。大丈夫、かな?」
「何故、疑問符がつくんだ。無理しねぇで、まだ寝てれば良いだろ」
すると小さく笑いながら、グーリフが半ば呆れたような言葉を返してきた。
フェリシアは逡巡しながらも、このまま寝てしまっても良いかと考え始める。
昨夜、ミアからの回復魔法を受けた事で、既に肉体は完全に回復していた。けれども気力というものは、そうも簡単にはいかない。心の傷は見えない分、質が悪いのである。
フェリシアが外へ視線を向ければ、窓の外に行き交う使用人達が確認出来た。手には大きな板や、何やら様々な形状の入れ物を持っている。
「忙しそうだね、あのヒト達」
「そうだな。俺が壁を壊したからな」
「え……っ」
何気に放った言葉へ、グーリフから返ってきた返答に目を見開き、思わず彼を凝視した。
──聞き捨てならない事を、聞かされた気がする。
フェリシアはグーリフの顔を撫でながら、もう一度問い掛けた。
「ねぇ、グーリフ。何を壊したって?」
「ん?壁だ。フェルの元へ行くのに、邪魔だったからなぁ。臭い部屋から出る時、やっただろ?」
答えは変わらず、それどころか『どや顔』までされる。
確かに脱出時は非常事態であり、かつ監禁していた犯人側に非がある為、全く問題はなかった。けれども今回は、それと違う気がする。
フェリシアは難しい表情を作りながら、グーリフの顔を両手で掴んで固定した。それに対し、グーリフは僅かに怯んだようである。
「ど、どうした、フェル。何か不味い事でもあったか?」
「うん、不味いよ。……あのね、グーリフ。ヒトの家は、基本的に壊しちゃダメなの」
戸惑いながらもグーリフから問われた為、フェリシアは問答無用に切り捨てた。
勿論、魔獣であるグーリフに、ヒトの世界の常識など知った事ではないかもしれない。けれどもこういった事が原因で、グーリフを忌避されたくないと、フェリシアは断言出来る。
「そ、そうなのか?……脆いぞ?」
「相手が弱いものでも、グーリフは加減が出来るよね。現にシアには、凄く柔らかく接してくれるじゃん」
「それはそうだ、フェルが壊れたら困る」
「そこ!そういう気持ちで、他のものにも……ある程度は仕方ない、けど……。難しい、かな?」
魔獣であるグーリフに、フェリシアはかなりの無理を強いている感はあった。常に気を遣わなければならないなど、心休まる暇がないとも言える。
それでも、注意して欲しかった。
「ごめん、難しいよね。閉じ込められてた時は良くて、今の邪魔だったらはダメだとか……区別つかないよね、本当」
フェリシアは、自分の言葉の矛盾に説明がつけられず、グーリフの顔に額を擦り付ける。
そもそも、善し悪しなどは主観の違いなのだ。立場が違えば、選択肢も変わる。
「ふむ……。俺には良く分からんが、とにかくフェルに聞けば良いんだろ?」
「えっ……そ、そんなので良いの?ってか、嫌とか言われるとばかり……」
「ん?俺はフェルといたい。傍にいるには決まりがある。ならば、フェルに問えば良い。簡単だろ?」
グーリフの竹を割ったような意思表示に、フェリシアが逆に聞き返してしまう程だった。
決定権丸投げではあるが、フェリシア自身もグーリフと離れるという選択肢はない。
この異常さを自分でも分かっている為、何故こうも彼の存在に固執してしまうのか、フェリシアは変に不安になった。
そして、グーリフのスキル【神の眼】に気付く。一度確認したものは視界の隅に小さくしているのだが、そこに『びっくりマーク』があったのだ。
初めて見るそれに、フェリシアの意識が自然と向く。そうすれば自動的にウインドウが開き、中身が表示された。
≪名前……グーリフ
称号……【フェリシアの??】→【フェリシアのソウルメイト】≫
同時にシア自身にも、『称号の追加』と現れる。
≪称号……【異世界の転生者】→【異世界の転生者】【グーリフのソウルメイト】≫
「マジで?」
「どうした、フェル。また何か見えたのか?」
口に出ていたらしい。
グーリフにしてみれば、こちらを向いているのに視線が合わないといった状況であった為、フェリシアがスキル【神の眼】を見ている事は分かっていたようだ。
「あ……。え~っと……、うん。グーリフはシアのソウルメイトだって」
「そう、めと?何だ、それは」
「そうだよね」
一瞬誤魔化そうかとも思ったものの、それでは意味がないと判断する。グーリフはシアがステータスを見れる事を、唯一知っている存在だからだ。
そして、フェリシアはスキル【神の眼】を読み上げるようにして、グーリフに説明する。
称号【フェリシア(グーリフ)のソウルメイト】とは、フェリシアとグーリフと魂の絆の事だ。離れていても互いの場所が分かる。相手が呼んでいる事を知れる。夢を介して出会う事が出来るなど、様々な特典というべき能力も付随される。
「何やら……フェルと出会ってからの俺は、凄い進化だな。それはさておき、これでフェルと共にあれるという事か」
「あ~……、うん。これを他のヒトに、どう説明しようか迷うくらいで」
ここでフェリシアが悩む理由は、他者のステータスが見える事を公開しないからだ。
グーリフに指摘された事で再認識したのだが、確かに自分の能力値を勝手に知られているというのは、気持ちの良いものではない。
「何だ、そんな事か。それは簡単だ。フェルは俺の『契約者』とすれば良いだろ」
「えっ……。何か意味は分からないけど、物凄く不味い気がするの気のせい?」
グーリフの提案に、フェリシアは不安が湧き上がった。
目にする物に対しては、スキル【神の眼】が発動する為、困惑する事はあまりない。けれども、この世界の常識というものを、フェリシアは知らないのだ。
「ふむ。契約者とは、魔獣とヒトとの仮初の絆だな。先程フェルの言った、ソウルメイトと同様の効果を発生させる、らしい」
「らしい、って?」
「俺も詳しくは知らないという事だ。そもそも、これには上下関係がある」
「つまりは、経験者がいないって訳だ。……強制力があるのかなぁ、何か嫌だな」
詳細が分からない事もあり、フェリシアは首を縦に振れない。
とにかく情報を集めて、知識を増やす必要があると判断した。
「とりあえず、さ。グーリフとの関係をその、契約者ってのにするのは、待ってくれる?下手に設定を増やすと、大変な事になるかもだし」
「あぁ、俺は構わないぞ?一番の希望は、フェルと共にある事だからっ。ヒト同士の決まりは分かんねぇし、さっき言ったのもただの提案だからな?」
フェリシアは、問題を先送りする事に決める。
今は、事件後の精神的な疲れが残っている為、頭が上手く働かないのだ。
グーリフも急かすつもりはないようで、見る限りは体に変な力が入ってなく、ゆったりとくつろいでいる。
「うん、ありがとう、グーリフ。あ、そうだ。散歩、行く?」
ついでにフェリシアは現実逃避として、グーリフに外出を提案した。
まだ完全復活をした訳ではないのだが、グーリフまで室内で引きこもりをさせるのは、さすがに酷だろうという判断である。
グーリフ自身も、何日拘束されていたのかを数えていなかったようだが、基本的に野生の生物なのだ。外を思い切り走りたいだろうと、フェリシアは推測する。
けれども、グーリフはフェリシアに対してとても気遣いの出来る紳士だった。
「お、マジで?でも、フェルは大丈夫なのか?俺はお前が心配だ」
「うん、ありがとう。グーリフと一緒なら、シアは大丈夫」
「そうか。ならば行くか。少し外の空気に触れるのも、フェルの気分転換になるだろうしな。あ、具合が悪くなったら言えよ?」
「うんっ」
優しいグーリフの言葉に、フェリシアは満面の笑みで返した。
納得がいかないような雰囲気の周囲に対し、マルコは笑顔で馬丁であるイーモンに問い掛けた。
イーモンは垂れた白と黒の耳を持つイヌ種だが、見た目はかなり厳つい。子供が見れば、十人に九人は泣いてしまう外見をしている。
けれどもその実、とても動物好きな一面を持っていた。
「は、はい、マルコ様。あの魔獣は、ベルナール様が連れ帰って来てからと言うもの、暴れも騒ぎもせず、この明け方まで非常に大人しいものでした」
「……ふむ。確かに、俺がフェルの血族と分かったのか、素直に託してくれたな」
イーモンの言葉を受け、思い出したかのようにヨアキムが付け足す。
実際にグーリフは、ベルナールに触れさせもしなかったフェリシアを、ヨアキムが来た途端、何の抵抗もせずに彼女を差し出したそうだ。
マルコが深夜遅くに帰ってきたベルナールを捕まえ、半ば強引に聞き出していた情報である。
そしてマルコは両手を打ち鳴らし、強引にこの場を納めた。
「はい、そういう事で。各自持ち場に戻って。あ、後でシアの部屋を移動させるから、ここの修理を頼むね。はい、父様も」
「あ……、そうなのか?」
「そういう事で御座いましょう、ヨアキム様」
ヨアキムは理解すらしていないようだが、後程ベルナールから詳細を聞く事になるだろう。ノルトは使用人を遊ばせておく訳にもいかない為、この場の護衛として一人残し、後は撤収させる事にするようだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ピチピチと小鳥の鳴く声に、フェリシアの意識が浮上する。
グーリフが来てから一度部屋を移動したここは、彼が突っ込んだ部屋の隣だった。勿論、フェリシアは知らないが。
「グーリフ……、おはよう」
「あぁ、起きたか。調子はどうだ」
「ん~……」
目が覚めたフェリシアは、そのすぐ傍にあった温もりに触れる。視線を向けずとも、それがグーリフであると認識している自分がいた。
声を掛ければ、当たり前のように返答がある。柔らかな寝具と心地好い体温があり、再びフェリシアの意識が微睡んでいく。
すりっ、と艶やかな顔が頬に寄せられた。
質問に答えていなかったと気付いたフェリシアは、纏まらない思考の中で口にする。
「あぁ……、そうだね。大丈夫、かな?」
「何故、疑問符がつくんだ。無理しねぇで、まだ寝てれば良いだろ」
すると小さく笑いながら、グーリフが半ば呆れたような言葉を返してきた。
フェリシアは逡巡しながらも、このまま寝てしまっても良いかと考え始める。
昨夜、ミアからの回復魔法を受けた事で、既に肉体は完全に回復していた。けれども気力というものは、そうも簡単にはいかない。心の傷は見えない分、質が悪いのである。
フェリシアが外へ視線を向ければ、窓の外に行き交う使用人達が確認出来た。手には大きな板や、何やら様々な形状の入れ物を持っている。
「忙しそうだね、あのヒト達」
「そうだな。俺が壁を壊したからな」
「え……っ」
何気に放った言葉へ、グーリフから返ってきた返答に目を見開き、思わず彼を凝視した。
──聞き捨てならない事を、聞かされた気がする。
フェリシアはグーリフの顔を撫でながら、もう一度問い掛けた。
「ねぇ、グーリフ。何を壊したって?」
「ん?壁だ。フェルの元へ行くのに、邪魔だったからなぁ。臭い部屋から出る時、やっただろ?」
答えは変わらず、それどころか『どや顔』までされる。
確かに脱出時は非常事態であり、かつ監禁していた犯人側に非がある為、全く問題はなかった。けれども今回は、それと違う気がする。
フェリシアは難しい表情を作りながら、グーリフの顔を両手で掴んで固定した。それに対し、グーリフは僅かに怯んだようである。
「ど、どうした、フェル。何か不味い事でもあったか?」
「うん、不味いよ。……あのね、グーリフ。ヒトの家は、基本的に壊しちゃダメなの」
戸惑いながらもグーリフから問われた為、フェリシアは問答無用に切り捨てた。
勿論、魔獣であるグーリフに、ヒトの世界の常識など知った事ではないかもしれない。けれどもこういった事が原因で、グーリフを忌避されたくないと、フェリシアは断言出来る。
「そ、そうなのか?……脆いぞ?」
「相手が弱いものでも、グーリフは加減が出来るよね。現にシアには、凄く柔らかく接してくれるじゃん」
「それはそうだ、フェルが壊れたら困る」
「そこ!そういう気持ちで、他のものにも……ある程度は仕方ない、けど……。難しい、かな?」
魔獣であるグーリフに、フェリシアはかなりの無理を強いている感はあった。常に気を遣わなければならないなど、心休まる暇がないとも言える。
それでも、注意して欲しかった。
「ごめん、難しいよね。閉じ込められてた時は良くて、今の邪魔だったらはダメだとか……区別つかないよね、本当」
フェリシアは、自分の言葉の矛盾に説明がつけられず、グーリフの顔に額を擦り付ける。
そもそも、善し悪しなどは主観の違いなのだ。立場が違えば、選択肢も変わる。
「ふむ……。俺には良く分からんが、とにかくフェルに聞けば良いんだろ?」
「えっ……そ、そんなので良いの?ってか、嫌とか言われるとばかり……」
「ん?俺はフェルといたい。傍にいるには決まりがある。ならば、フェルに問えば良い。簡単だろ?」
グーリフの竹を割ったような意思表示に、フェリシアが逆に聞き返してしまう程だった。
決定権丸投げではあるが、フェリシア自身もグーリフと離れるという選択肢はない。
この異常さを自分でも分かっている為、何故こうも彼の存在に固執してしまうのか、フェリシアは変に不安になった。
そして、グーリフのスキル【神の眼】に気付く。一度確認したものは視界の隅に小さくしているのだが、そこに『びっくりマーク』があったのだ。
初めて見るそれに、フェリシアの意識が自然と向く。そうすれば自動的にウインドウが開き、中身が表示された。
≪名前……グーリフ
称号……【フェリシアの??】→【フェリシアのソウルメイト】≫
同時にシア自身にも、『称号の追加』と現れる。
≪称号……【異世界の転生者】→【異世界の転生者】【グーリフのソウルメイト】≫
「マジで?」
「どうした、フェル。また何か見えたのか?」
口に出ていたらしい。
グーリフにしてみれば、こちらを向いているのに視線が合わないといった状況であった為、フェリシアがスキル【神の眼】を見ている事は分かっていたようだ。
「あ……。え~っと……、うん。グーリフはシアのソウルメイトだって」
「そう、めと?何だ、それは」
「そうだよね」
一瞬誤魔化そうかとも思ったものの、それでは意味がないと判断する。グーリフはシアがステータスを見れる事を、唯一知っている存在だからだ。
そして、フェリシアはスキル【神の眼】を読み上げるようにして、グーリフに説明する。
称号【フェリシア(グーリフ)のソウルメイト】とは、フェリシアとグーリフと魂の絆の事だ。離れていても互いの場所が分かる。相手が呼んでいる事を知れる。夢を介して出会う事が出来るなど、様々な特典というべき能力も付随される。
「何やら……フェルと出会ってからの俺は、凄い進化だな。それはさておき、これでフェルと共にあれるという事か」
「あ~……、うん。これを他のヒトに、どう説明しようか迷うくらいで」
ここでフェリシアが悩む理由は、他者のステータスが見える事を公開しないからだ。
グーリフに指摘された事で再認識したのだが、確かに自分の能力値を勝手に知られているというのは、気持ちの良いものではない。
「何だ、そんな事か。それは簡単だ。フェルは俺の『契約者』とすれば良いだろ」
「えっ……。何か意味は分からないけど、物凄く不味い気がするの気のせい?」
グーリフの提案に、フェリシアは不安が湧き上がった。
目にする物に対しては、スキル【神の眼】が発動する為、困惑する事はあまりない。けれども、この世界の常識というものを、フェリシアは知らないのだ。
「ふむ。契約者とは、魔獣とヒトとの仮初の絆だな。先程フェルの言った、ソウルメイトと同様の効果を発生させる、らしい」
「らしい、って?」
「俺も詳しくは知らないという事だ。そもそも、これには上下関係がある」
「つまりは、経験者がいないって訳だ。……強制力があるのかなぁ、何か嫌だな」
詳細が分からない事もあり、フェリシアは首を縦に振れない。
とにかく情報を集めて、知識を増やす必要があると判断した。
「とりあえず、さ。グーリフとの関係をその、契約者ってのにするのは、待ってくれる?下手に設定を増やすと、大変な事になるかもだし」
「あぁ、俺は構わないぞ?一番の希望は、フェルと共にある事だからっ。ヒト同士の決まりは分かんねぇし、さっき言ったのもただの提案だからな?」
フェリシアは、問題を先送りする事に決める。
今は、事件後の精神的な疲れが残っている為、頭が上手く働かないのだ。
グーリフも急かすつもりはないようで、見る限りは体に変な力が入ってなく、ゆったりとくつろいでいる。
「うん、ありがとう、グーリフ。あ、そうだ。散歩、行く?」
ついでにフェリシアは現実逃避として、グーリフに外出を提案した。
まだ完全復活をした訳ではないのだが、グーリフまで室内で引きこもりをさせるのは、さすがに酷だろうという判断である。
グーリフ自身も、何日拘束されていたのかを数えていなかったようだが、基本的に野生の生物なのだ。外を思い切り走りたいだろうと、フェリシアは推測する。
けれども、グーリフはフェリシアに対してとても気遣いの出来る紳士だった。
「お、マジで?でも、フェルは大丈夫なのか?俺はお前が心配だ」
「うん、ありがとう。グーリフと一緒なら、シアは大丈夫」
「そうか。ならば行くか。少し外の空気に触れるのも、フェルの気分転換になるだろうしな。あ、具合が悪くなったら言えよ?」
「うんっ」
優しいグーリフの言葉に、フェリシアは満面の笑みで返した。
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