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第三章
9.気が紛れると【5】
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「大変だからと、バテていたのだろう?」
静かにヴォルが問い掛けてきます。ベンダーツさんは早速ガルシアさんに伝えると言って、お城の方に行ってしまいました。
私達はそのまま木陰で休憩続行です。
「アハハ、それはそうなんですけど……。って言うか、何で知っているのですか?」
「……精霊から報告があったからだ」
少し視線を逸らし、言いにくそうに告げられます。んん?精霊さんですか?
「メルにつけた精霊だ。言葉を飛ばしてきた」
小首を傾げていたらヴォルが答えてくれました。
確かに私の傍には精霊さんがいるようです。──見えませんが。
「ヴォルとは離れていても、精霊さんとは繋がっているのですか?」
「……そうだ」
驚く私に、ヴォルは少しだけ目を細めていました。何故そんなに不安そうなのでしょうか。
私は正直言って嬉しいです。精霊さん通しとはいえ、ヴォルといつも一緒にいる訳なのですよね?私は精霊さんが見える訳ではない──魔力研究室以外の場所では見えない──ので、その言葉にとても安らぎを覚えました。
「すまない。嫌だったか」
「えっ?あ、違います。……嬉しくて……何だかホッとしました」
黙ってしまった私に勘違いしたのか、急にヴォルが謝ってきたので慌てて訂正をします。そうですね、言葉にして話さなくては伝わりません。
「私は精霊さんが見えないので、一緒にいてくれているのか不安だったのです。途中で嫌になって何処かに行ってしまっても、私には分からないのですから」
「そうか。メルが見えるのは、魔力研究室だけだったな」
「はい。ですから繋がっていると聞いて、ヴォルといつも一緒にいるって分かって嬉しくて」
素直な思いを口にしました。ですから、その言葉を聞いたヴォルが赤くなった時は思わず目を見開いてしまいましたよ。ど、どうしたのですかっ?
「ヴォルっ?」
「……いや……、驚いた。まさかそんな事を言われるとは、思ってもいなかった」
片手で顔を覆い、視線を逸らして答えるヴォルです。これ、照れているのですよね?
「い、いえ……そんな……。あの、考えなしに口にしてすみません。でも、本当の気持ちですから……その……嘘ではないですから」
何だかヴォルが照れていると思うと、私も照れてきますね。顔が熱くなってきました。
あ~、恥ずかしいです。でもでもこれは本当の気持ちで、嬉しいとか幸せ以外にないのですよ。
「……そうか。精霊は実際にメルを守る事が出来る訳ではないが、俺を呼ぶ事が出来る。少しでもメルの助けになれば良い」
「ありがとうございます、ヴォル」
色々気遣ってくれるヴォルを喜ばしく思いながらも、私は私の気持ちに気付いてしまった事を少し悔やんでいました。
──気付いてはいけなかったのです。だって私は……単なる場所埋め要員なのですから。
静かにヴォルが問い掛けてきます。ベンダーツさんは早速ガルシアさんに伝えると言って、お城の方に行ってしまいました。
私達はそのまま木陰で休憩続行です。
「アハハ、それはそうなんですけど……。って言うか、何で知っているのですか?」
「……精霊から報告があったからだ」
少し視線を逸らし、言いにくそうに告げられます。んん?精霊さんですか?
「メルにつけた精霊だ。言葉を飛ばしてきた」
小首を傾げていたらヴォルが答えてくれました。
確かに私の傍には精霊さんがいるようです。──見えませんが。
「ヴォルとは離れていても、精霊さんとは繋がっているのですか?」
「……そうだ」
驚く私に、ヴォルは少しだけ目を細めていました。何故そんなに不安そうなのでしょうか。
私は正直言って嬉しいです。精霊さん通しとはいえ、ヴォルといつも一緒にいる訳なのですよね?私は精霊さんが見える訳ではない──魔力研究室以外の場所では見えない──ので、その言葉にとても安らぎを覚えました。
「すまない。嫌だったか」
「えっ?あ、違います。……嬉しくて……何だかホッとしました」
黙ってしまった私に勘違いしたのか、急にヴォルが謝ってきたので慌てて訂正をします。そうですね、言葉にして話さなくては伝わりません。
「私は精霊さんが見えないので、一緒にいてくれているのか不安だったのです。途中で嫌になって何処かに行ってしまっても、私には分からないのですから」
「そうか。メルが見えるのは、魔力研究室だけだったな」
「はい。ですから繋がっていると聞いて、ヴォルといつも一緒にいるって分かって嬉しくて」
素直な思いを口にしました。ですから、その言葉を聞いたヴォルが赤くなった時は思わず目を見開いてしまいましたよ。ど、どうしたのですかっ?
「ヴォルっ?」
「……いや……、驚いた。まさかそんな事を言われるとは、思ってもいなかった」
片手で顔を覆い、視線を逸らして答えるヴォルです。これ、照れているのですよね?
「い、いえ……そんな……。あの、考えなしに口にしてすみません。でも、本当の気持ちですから……その……嘘ではないですから」
何だかヴォルが照れていると思うと、私も照れてきますね。顔が熱くなってきました。
あ~、恥ずかしいです。でもでもこれは本当の気持ちで、嬉しいとか幸せ以外にないのですよ。
「……そうか。精霊は実際にメルを守る事が出来る訳ではないが、俺を呼ぶ事が出来る。少しでもメルの助けになれば良い」
「ありがとうございます、ヴォル」
色々気遣ってくれるヴォルを喜ばしく思いながらも、私は私の気持ちに気付いてしまった事を少し悔やんでいました。
──気付いてはいけなかったのです。だって私は……単なる場所埋め要員なのですから。
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