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第二章
8.精霊とは違う【3】
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ヴォルと共に食事処に来ました。さすがは港町といったところでしょうか。食事のメニューにお魚がたくさんあります。勿論生では食べないのですが、様々な調理法で作って下さるようですね。
私はムニエルを選びました。残念ながらお魚の名前では何か判別出来なかったのですが。でも出てきた料理は淡白なのにふわりと優しい甘さがあって、とても美味しくて一人でニコニコしながら食べていました。あ、勿論ヴォルはいつものお顔でした。
「メルはいつも旨そうに食べる」
食後のデザートを口に運んでいると、いつから見ていたのかヴォルが私を見ていました。
「だって、本当に美味しいんです」
お腹も満足なので、私は自然とニッコリと微笑み返します。食事は大切なのですよ。美味しいと思える事も幸せですね。でもお腹一杯になれば機嫌が良くなるって、私ってお子様ですか?
「精霊とは違う、か」
「はい?」
自分の世界に入っていた私は、ヴォルの呟きが聞こえませんでした。
「……セントラルに行くか?」
私の問い掛けには答えず、違う質問をされました。……え?
「あ、あの……?」
「セントラル。……行ってくれるか」
戸惑う私に、ヴォルの言葉が少しだけ変わりました。でも、何故今更なのでしょう。有無を言わさずここまで連れてきたのは、他ならぬヴォルです。そこまで考えて、私は一つの黒い考えに行き着きました。
『俺はお前を必要としない』
再びあの声が聞こえます。私の心臓がドクンと嫌な音を立てました。周囲が急速に色を失っていきます。
「わ……、…………私が、必要で、なく、な、りまし、たか?」
何とか言葉を紡ぎます。デザートスプーンを落としそうになって支えた左手に、氷のように冷たくなった自分の右手の指先が触れました。
「何を言っている」
僅かに眉根を寄せたヴォル。
「俺はメルを手放せないと何度も言っている」
「え……」
指先を見ていた視線をヴォルに向けます。真っ直ぐな青緑の瞳が私を映し、微かに熱も見えました。怒って……いますか?
「その上でメルの気持ちを聞きたい」
私の気持ち……。そんなもの、必要なのですか?私は……。
「メル。俺とセントラルに行ってくれるか」
な、んか……プロポーズみたいですね。私は場違いにも、ボンヤリとそんな事を考えてしまいました。でも、今更お断り出来るはずがありません。
「……返事は」
請求されてしまいました。……嫌、って言ったらどうなるのでしょう。慌てますか?怒りますか?そうか、って納得しますか?
「あの……。私の返答によっては、何かが変わるのですか?」
結構重要ポイントですよね。だって、手放せないとか言われて……私にどのような返事を求めているのですか。
私はムニエルを選びました。残念ながらお魚の名前では何か判別出来なかったのですが。でも出てきた料理は淡白なのにふわりと優しい甘さがあって、とても美味しくて一人でニコニコしながら食べていました。あ、勿論ヴォルはいつものお顔でした。
「メルはいつも旨そうに食べる」
食後のデザートを口に運んでいると、いつから見ていたのかヴォルが私を見ていました。
「だって、本当に美味しいんです」
お腹も満足なので、私は自然とニッコリと微笑み返します。食事は大切なのですよ。美味しいと思える事も幸せですね。でもお腹一杯になれば機嫌が良くなるって、私ってお子様ですか?
「精霊とは違う、か」
「はい?」
自分の世界に入っていた私は、ヴォルの呟きが聞こえませんでした。
「……セントラルに行くか?」
私の問い掛けには答えず、違う質問をされました。……え?
「あ、あの……?」
「セントラル。……行ってくれるか」
戸惑う私に、ヴォルの言葉が少しだけ変わりました。でも、何故今更なのでしょう。有無を言わさずここまで連れてきたのは、他ならぬヴォルです。そこまで考えて、私は一つの黒い考えに行き着きました。
『俺はお前を必要としない』
再びあの声が聞こえます。私の心臓がドクンと嫌な音を立てました。周囲が急速に色を失っていきます。
「わ……、…………私が、必要で、なく、な、りまし、たか?」
何とか言葉を紡ぎます。デザートスプーンを落としそうになって支えた左手に、氷のように冷たくなった自分の右手の指先が触れました。
「何を言っている」
僅かに眉根を寄せたヴォル。
「俺はメルを手放せないと何度も言っている」
「え……」
指先を見ていた視線をヴォルに向けます。真っ直ぐな青緑の瞳が私を映し、微かに熱も見えました。怒って……いますか?
「その上でメルの気持ちを聞きたい」
私の気持ち……。そんなもの、必要なのですか?私は……。
「メル。俺とセントラルに行ってくれるか」
な、んか……プロポーズみたいですね。私は場違いにも、ボンヤリとそんな事を考えてしまいました。でも、今更お断り出来るはずがありません。
「……返事は」
請求されてしまいました。……嫌、って言ったらどうなるのでしょう。慌てますか?怒りますか?そうか、って納得しますか?
「あの……。私の返答によっては、何かが変わるのですか?」
結構重要ポイントですよね。だって、手放せないとか言われて……私にどのような返事を求めているのですか。
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