「結婚しよう」

まひる

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第二章

7.一緒に行かないか【3】

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「危ないぞ、メル」

 必死に下を見ていた私は、ヴォルに強く腕を引かれてしまいました。ウマウマさんも迷惑そうにいななきます。

「す、すみません」

 バランスが悪かったですね、はい。ウマウマさんの首を撫でつつ、抱き留めてくれたヴォルにも謝ります。ここから落ちたら、さすがにヴォルも危なそうです。あ、でもヴォルなら飛べそうですが。

「飛べないからな」

「ふぇっ?」

 何で分かったのでしょう。パチパチと瞬きながら首を傾げました。

「魔法は万能じゃない」

 そうですよね。もし飛べるなら、ワザワザ長い時間を使って旅をしなくても良いです。ピューンと、あっという間にセントラルに到着ですよ。

 でもそんな事をされたら、私は心の準備が全く出来ないですね。だいたい、ここまで来るのに少しずつ自分の中で納得してきているのですから。

「飛べなくて良かったです」

 本当に。今はヴォルの事を信頼していますし、そばにいて居心地が良いと思えます。でもあの時のままなら、出会った頃の私のままならそうはいかなかったでしょう。反発と拒絶しかなかったのですから。……変わるものですね。

「スワケット港だ。ここからグレセシオ大陸へ船で渡る」

 大きな船がたくさん見えます。勿論、本物の船を見るのも初めてなのですが。木製の巨大な船には、幾つもの帆がつけられています。どうやら、風を受けて進むようです。

「えっと……グレセシオ大陸には、船でどのくらい掛かるのですか?」

 見たところ、海の向こうに別の大陸は見えません。

「五日程だ」

 そんなにも……。海って、大きいだけじゃないのですね。

「今日はここの宿に泊まる」

「あ、はい」

 港町の宿屋前に到着です。ヴォルに促され、私はウマウマさんから降りました。勿論、手伝ってもらいましたが。だってウマウマさんの背中、高いんです。私の頭は軽く越します。まぁ、私が小さいかも知れませんけど。でも150㎝以上はあるのですよ?……3㎝プラスですが。

「どうした、メル」

 ジッと荷解にほどきをしていたヴォルの方を見ている事に気付かれました。いえ、変な意味ではないですよ。

「あ、あの……。ヴォルって背が高いですよね」

 今更ですが、自分の背の低さをヒシヒシと感じました。立って並ぶと、私の頭はヴォルの胸の辺りです。

「身長か。195㎝だ。それがどうかしたか」

 ひゃくきゅう……、私と40㎝以上も差があります。それはそれは……って、どうやったらそんなにも大きく育つのですかっ?私はショックを通り越して、呆れてしまいました。いえ、自分の小ささにですが。
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