「結婚しよう」

まひる

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第二章

1.メルとなら構わない【2】

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「俺は……」

 ヴォルの瞳が、何故か苦しそうに見えました。どうしたのでしょうか。傷が痛むのでしょうか。

「どうかしましたか?」

 先程までの自分のモヤモヤより、ヴォルの方が気になります。私が役に立たないのなんて、村にいた時から大して違いませんし。

「……何でもない」

 小首をかしげた私から、ヴォルはふいと視線を逸らしました。あ、もしかして汗でベタついていたとかですか?ふ、不愉快な思いをさせてしまって申し訳ありません。

「ご、ごめんなさい」

「何故謝罪する」

「え?あの、汗でベタベタしてて……その……」

 ヴォルは今は私に触れていないものの、先程と大差ない距離にいます。私、汗臭くないですか?自分で汗をかいている自覚があるので、非常に狼狽えてしまいます。

「……風呂か」

「へ?」

「確かに」

 わ、私……やっぱり臭かったですか?などとウマウマさんの上でオロオロしていますと、ヴォルは突然魔法で空中に水を現しました。な、何をするのでしょう。

 いつも食事の時などに用意するよりも大きな水の塊です。そして今度はそれを維持したまま、火の魔法を使いました。暖めている……のでしょうか。

「メル。服を脱げ」

「はいぃ??」

 またしても突然の命令に、私はで驚いてしまいました。ぬ、脱げって……どういう事ですかっ!?

「な、ななな何を……っ!?」

 混乱しすぎて言葉になりません。とりあえず大してない胸元を両腕でガードし、身体を丸めて警戒心を全身で表します。

「……風呂に入りたいのだろう」

 …………はい?

「違ったか」

 妙に残念そうな……いえいえ、どうあってもこの場所で脱ぐなんて有り得ませんよ。

「お、お風呂は嬉しいのですが……。さすがにこんな場所で服を脱ぐのは……、ですね」

「魔物はいない。心配なら結界を張る」

 いえいえ、そうではなくてですね?あ、確かに魔物は怖いのですが。

「えっと……、それはその方が勿論嬉しいのですが」

「それ以外に何の問題だ」

 全く分かってないのでしょうか。それとも、こういう状況に慣れてます?た、確かにヴォルは見た目が宜しいですから……。無表情で無愛想なのも、人によってはクールで格好良いと好かれる方もいらっしゃるでしょう。
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