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第一章
9.無理はしないつもりだ【3】
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私は意を決して、再び薬草を口に入れます。うぅ、苦いのはやはり変わりません。せっかくの先程頂いたご飯の美味しい残り香が、悲しい程に消えてしまいますね。でもでもヴォルにはいつもお世話になっているので、これくらいは我慢しなくてはなりません。私はモグモグと薬草を咀嚼しながら、ヴォルの肩の布をほどきます。
ほら、酷いじゃないですか。ヴォルの魔法で出来た焚き火代わりの炎に照らされた傷はあの時よりも腫れていて、肌の色が紫に変色していました。私は咀嚼し終わった薬草を掌にベエッと吐き出し、ヴォルの顔を覗き込みます。
「毒……とか、持ってはいなかったんですよね?」
「……あぁ」
痛みを我慢しているのか、ハァッと大きな息を吐いてから答えてくれます。とりあえず私は掌に乗せた薬草を傷口に塗り広げます。って言うか、肌がやたら熱いのですが。発熱とかしてませんか?
「ヴォル?」
傷口に布を巻き終わってからヴォルの顔を覗き込みましたが、辛そうに眉を寄せていました。呼吸が荒く、瞳をキツく閉じています。ソッと額に手を伸ばしてみます。
「っ?!」
余りの熱さに、逆に驚いてしまいました。何故これで平気な顔をしていられたのでしょう。そう思った次の瞬間、ヴォルの身体が揺らぎました。
「ヴォル?!」
「すまない、メル。少し休ませてもらう」
私が返答をする間もなく、ヴォルがその場──既に用意済みの寝具──に身体を横たえました。これって、危険ですよね?わ、私は何が出来るのでしょうか?勿論私はヴォルを守って戦う事なんて出来ませんし、医学知識がある訳ではないのでこの状態にどう対処して良いのかも全く分かりませんでした。
出来るのはただヴォルの傍にいる事だけです。何も出来ない私は、自分の不甲斐なさを痛感しました。思わず唇を噛み締めてしまいます。
「……噛んだら……傷がつく」
いつから見られていたのか、声にハッと顔を上げるとヴォルの視線とぶつかりました。体温が上がっているからか、ヴォルの瞳がいつもより熱を持って潤んでいるように思われます。
「あ……」
言葉が紡げません。それでもヴォルは、私の唇から力が抜けたのを良しとしたのでしょう。僅かに微笑み、そのまま瞳を閉じてしまいました。
ほら、酷いじゃないですか。ヴォルの魔法で出来た焚き火代わりの炎に照らされた傷はあの時よりも腫れていて、肌の色が紫に変色していました。私は咀嚼し終わった薬草を掌にベエッと吐き出し、ヴォルの顔を覗き込みます。
「毒……とか、持ってはいなかったんですよね?」
「……あぁ」
痛みを我慢しているのか、ハァッと大きな息を吐いてから答えてくれます。とりあえず私は掌に乗せた薬草を傷口に塗り広げます。って言うか、肌がやたら熱いのですが。発熱とかしてませんか?
「ヴォル?」
傷口に布を巻き終わってからヴォルの顔を覗き込みましたが、辛そうに眉を寄せていました。呼吸が荒く、瞳をキツく閉じています。ソッと額に手を伸ばしてみます。
「っ?!」
余りの熱さに、逆に驚いてしまいました。何故これで平気な顔をしていられたのでしょう。そう思った次の瞬間、ヴォルの身体が揺らぎました。
「ヴォル?!」
「すまない、メル。少し休ませてもらう」
私が返答をする間もなく、ヴォルがその場──既に用意済みの寝具──に身体を横たえました。これって、危険ですよね?わ、私は何が出来るのでしょうか?勿論私はヴォルを守って戦う事なんて出来ませんし、医学知識がある訳ではないのでこの状態にどう対処して良いのかも全く分かりませんでした。
出来るのはただヴォルの傍にいる事だけです。何も出来ない私は、自分の不甲斐なさを痛感しました。思わず唇を噛み締めてしまいます。
「……噛んだら……傷がつく」
いつから見られていたのか、声にハッと顔を上げるとヴォルの視線とぶつかりました。体温が上がっているからか、ヴォルの瞳がいつもより熱を持って潤んでいるように思われます。
「あ……」
言葉が紡げません。それでもヴォルは、私の唇から力が抜けたのを良しとしたのでしょう。僅かに微笑み、そのまま瞳を閉じてしまいました。
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