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第一章
2.命の浄化【4】
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「ありがとう……ございます?」
どうしても疑問系になってしまうのですが、それにはヴォルは触れませんでした。それよりも先程の空色トカゲの頭に歩み寄り、事もあろうに絶命しているであろうその眉間へ右手に持つ透明の刃を突き立てたのです。
「っ!!」
もう何度も見開きすぎて、目が落ちてしまいますよ。衝撃の連続で、心臓も持ちません。ところがその透明の刃を突き立てた途端、空色トカゲはフワリと光を放ち始めました。頭だけではなく、少し離れた場所にある胴体まで。
私は瞬きも忘れて見入ってしまいました。とても綺麗だったのです。光はその全身を覆い──いえ、全身から光が立ち上っているのでしょうか。とにかく全てが光になると、一斉に空へと上がって行きます。
「……綺麗……」
まるで星のようでした。
「命の浄化だ」
「す、凄いです。あなたにそんな力があったなんて、初めて見直しました」
「……あなたではなく、ヴォルティだ。それに俺の力ではなく、この天の剣の能力だ」
謙遜ですか?今まで見てきた中で、一番あなたらしくない行動ですね。
「道具にいくら力があっても、それを正しく使う事が出来る人が使わなければ正しい力など発揮されません。あくまでも、使う人次第です」
「……面白い事を言う。そんな言葉、初めて言われた」
そうなんですか?だって道具は、自らでは動けないです。平和の道具だって、使う人次第では命を奪うものにだってなりますよ。
それにしても、と辺りを見回しました。草が倒れたりしているので何かがあったのは何となく残っていますが、あの空色トカゲ自体が残っていないと言うのが不思議です。血も何も残っていないのですから。
「何だ、どうかしたか」
「浄化というのは、冒険者の皆さんが出来る事なのですか?」
「いや」
「では先程のように、魔物との戦闘があった場合は……」
「あちこちに死体が転がったままだ」
やっぱり……。ゲッソリと項垂れた私を見て何を思ったのか、ヴォルが頭を撫でてくれます。不思議に思って顔をあげてみましたが、フイと視線を背けられてします。
「何ですか?」
「……怖い思いをさせて、悪かった」
なっ?!謝りましたよ、この人。私を誘拐しておいて、何を今更的な感じですが。
どうしても疑問系になってしまうのですが、それにはヴォルは触れませんでした。それよりも先程の空色トカゲの頭に歩み寄り、事もあろうに絶命しているであろうその眉間へ右手に持つ透明の刃を突き立てたのです。
「っ!!」
もう何度も見開きすぎて、目が落ちてしまいますよ。衝撃の連続で、心臓も持ちません。ところがその透明の刃を突き立てた途端、空色トカゲはフワリと光を放ち始めました。頭だけではなく、少し離れた場所にある胴体まで。
私は瞬きも忘れて見入ってしまいました。とても綺麗だったのです。光はその全身を覆い──いえ、全身から光が立ち上っているのでしょうか。とにかく全てが光になると、一斉に空へと上がって行きます。
「……綺麗……」
まるで星のようでした。
「命の浄化だ」
「す、凄いです。あなたにそんな力があったなんて、初めて見直しました」
「……あなたではなく、ヴォルティだ。それに俺の力ではなく、この天の剣の能力だ」
謙遜ですか?今まで見てきた中で、一番あなたらしくない行動ですね。
「道具にいくら力があっても、それを正しく使う事が出来る人が使わなければ正しい力など発揮されません。あくまでも、使う人次第です」
「……面白い事を言う。そんな言葉、初めて言われた」
そうなんですか?だって道具は、自らでは動けないです。平和の道具だって、使う人次第では命を奪うものにだってなりますよ。
それにしても、と辺りを見回しました。草が倒れたりしているので何かがあったのは何となく残っていますが、あの空色トカゲ自体が残っていないと言うのが不思議です。血も何も残っていないのですから。
「何だ、どうかしたか」
「浄化というのは、冒険者の皆さんが出来る事なのですか?」
「いや」
「では先程のように、魔物との戦闘があった場合は……」
「あちこちに死体が転がったままだ」
やっぱり……。ゲッソリと項垂れた私を見て何を思ったのか、ヴォルが頭を撫でてくれます。不思議に思って顔をあげてみましたが、フイと視線を背けられてします。
「何ですか?」
「……怖い思いをさせて、悪かった」
なっ?!謝りましたよ、この人。私を誘拐しておいて、何を今更的な感じですが。
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