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第一章
2.命の浄化【3】
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本当にヒラリと、でした。草地だからなのか、足音が聞こえません。何より極度の緊張の中にいる私ですから、自分の心臓の音しか聞こえなくなっているのかもしれませんが。
「動くなよ、メル」
こちらを振り向く事なく、ヴォルが告げます。いえいえ、私は動けませんよ。ウマウマさんが緊張なく足元の草を食み始めますが、既に石化の魔法にかかっているかのような私。
ヴォルはスタスタと空色トカゲに歩み寄ります。ち、近付かない方が良いのではありませんか?もしかしたら、気分を替えて帰ってくれるかもしれませんよ。いえ、帰ってくださるととても嬉しいです。
ですが私の心の声とは逆に、空色トカゲは速度を上げてヴォルに近寄ってきます。走っているのかもしれません。足が短いので、良く分かりませんが。それを見て、ヴォルが腰の二本の剣をスラリと抜きました。一本はガラスのような透明な刃をしています。もう一本は真っ黒な刃でした。何故違うのでしょう。と言うか、二本の剣を両の手に持ったのです。二刀流、って言うものでしょうか。
フッ、と短く吐く息が聞こえました。ヴォルが鋭く踏み込んだようです。そのまま突進してくる空色トカゲに斬り込んだと思います。私、怖くて目を閉じてしまいましたから。見ていられませんよ、こんなの怖すぎます。
ドサッと近くに何かが落ちる音が聞こえました。恐る恐るそちらの方へ片目を薄く開いて見てみました。
「っ!!!!」
心臓が止まりました。いえ、冗談ではなくて本当に。私の視線の先には、空色トカゲの大きな頭がゴロンとありました。赤い縦に割れた目が、ギョロリと私を見ています。
「大丈夫か」
「ヒッ?!」
突然真横から声がしました。もう、ビックリなんてものではありません。驚きのあまりウマウマさんから落ちましたとも。頭から。訪れるであろう衝撃にキツく目を瞑っていた私。けれども、一向に訪れません。あれ?と思って目を開けると、そこにヴォルの顔。
「きゃあっ!」
驚きましたよ、それが一番。
「元気そうだな。問題ないか」
などと呟きつつ、私を再びウマウマさんに乗せてくれます。えっと……、私はどのように対処したら宜しいのでしょうか。
「動くなよ、メル」
こちらを振り向く事なく、ヴォルが告げます。いえいえ、私は動けませんよ。ウマウマさんが緊張なく足元の草を食み始めますが、既に石化の魔法にかかっているかのような私。
ヴォルはスタスタと空色トカゲに歩み寄ります。ち、近付かない方が良いのではありませんか?もしかしたら、気分を替えて帰ってくれるかもしれませんよ。いえ、帰ってくださるととても嬉しいです。
ですが私の心の声とは逆に、空色トカゲは速度を上げてヴォルに近寄ってきます。走っているのかもしれません。足が短いので、良く分かりませんが。それを見て、ヴォルが腰の二本の剣をスラリと抜きました。一本はガラスのような透明な刃をしています。もう一本は真っ黒な刃でした。何故違うのでしょう。と言うか、二本の剣を両の手に持ったのです。二刀流、って言うものでしょうか。
フッ、と短く吐く息が聞こえました。ヴォルが鋭く踏み込んだようです。そのまま突進してくる空色トカゲに斬り込んだと思います。私、怖くて目を閉じてしまいましたから。見ていられませんよ、こんなの怖すぎます。
ドサッと近くに何かが落ちる音が聞こえました。恐る恐るそちらの方へ片目を薄く開いて見てみました。
「っ!!!!」
心臓が止まりました。いえ、冗談ではなくて本当に。私の視線の先には、空色トカゲの大きな頭がゴロンとありました。赤い縦に割れた目が、ギョロリと私を見ています。
「大丈夫か」
「ヒッ?!」
突然真横から声がしました。もう、ビックリなんてものではありません。驚きのあまりウマウマさんから落ちましたとも。頭から。訪れるであろう衝撃にキツく目を瞑っていた私。けれども、一向に訪れません。あれ?と思って目を開けると、そこにヴォルの顔。
「きゃあっ!」
驚きましたよ、それが一番。
「元気そうだな。問題ないか」
などと呟きつつ、私を再びウマウマさんに乗せてくれます。えっと……、私はどのように対処したら宜しいのでしょうか。
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