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第九章
5.不安なら【4】
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カン!キン!ガキッ!
金属音が続いて響きます。
今度はバラバラと襲い掛かって来ているのですが、その都度ヴォルの剣に払われていました。
頭に血が上っては冷静な判断が出来なくなると言いますが、彼等から一番初めに受けた攻撃の方が危なかったようです。
「Honoo no tama.」
突然何を思ったのか、ヴォルが魔力の炎で球体を作りました。そして魔法石を持っている賊さんに目掛けてぶつけます。
グオッ、バシュッ──。
人の頭程の大きさの火球が音をたてて男性に向かって飛んでいき、その人の目の前で弾けました。触れる事なく、です。
「フッハッハッハッハ……、さすがにこの魔法石の前では効果が発揮出来ないようだなっ」
火球が弾け飛ぶ瞬間までひきつった顔をしていたのに、魔法が弾かれた結果から強気になって大笑いを始めます。
けれども、そうされてもヴォルの表情は変わりませんでした。周囲の賊さん達から振るわれる刃はさすがに止まりましたが、私達が取り囲まれている現状は何も変わりありません。
「Honoo no tama.」
その中で再びヴォルは魔法の火球を放ちました。
赤々とした光が生まれます。
「そんなもの役になど……っ!?」
嘲笑しようとした賊さんの言葉が止まりました。
その理由は簡単で、放たれた魔法が先程の倍程の大きさであったからです。──胸に抱える程はありました。
それが自分に向かって飛んでくるだなんて、息を呑んでしまうのも無理はないです。当たる当たらないではなく、怖いと感じるのは普通の感覚でした。
バシッ!ジュッ!!
またまた火球が弾けて掻き消えます。魔法の対象になっている賊さんは、それでも青い顔をしていました。
「だ……だから言っただろうっ」
顔がひきつっていますが、それでも強気の姿勢を崩しません。
「Honoo no tama.」
「も、もうやめ……っ!?」
賊さんの言葉は、またしても止まりました。今度は両手を広げたくらいの大きな火球です。
そしてその魔法の火球は先程と変わらず真っ直ぐ飛んでいき、今までとは違って賊さんを吹き飛ばしてから消えました。
「な、何て魔力なんだ……?」
「化物かっ」
「こうも立て続けに、しかも次々に強力な魔法を放てるとは……」
口々に賊さん達が恐怖を滲ませた声で告げています。
吹き飛ばされた人に駆け寄るも、視線は私達──いえ、ヴォルに向いたままでした。
「く……そ……っ、何て奴だっ!?魔法石を砕きやがったぞ?」
どうやら賊さんの持っていた魔法無力化の魔法石は、度重なるヴォルの魔法に耐えられなかったようです。
とりあえずは魔法石に守られたようで、吹き飛ばされた賊さんは軽い擦り傷を負ったくらいでした。
「三度しか持たないのか」
ポツリと呟かれた声は、私の目の前から聞こえたようです。
徐々に魔法を強くしていったように見えましたが、彼等が持つ魔法石の耐久性を知って、逆にガッカリした様子のヴォルでした。魔法無力化の魔法石が欲しかったのでしょうか──それとも、単に試したかっただけかもしれません。
賊さんの言葉から察するに、ヴォルのように連発して魔法を使う事はあまりないようでした。私は見慣れていてこれが当たり前でしたが、さすがに普通の魔力所持者の使い方とは違ったようです。
金属音が続いて響きます。
今度はバラバラと襲い掛かって来ているのですが、その都度ヴォルの剣に払われていました。
頭に血が上っては冷静な判断が出来なくなると言いますが、彼等から一番初めに受けた攻撃の方が危なかったようです。
「Honoo no tama.」
突然何を思ったのか、ヴォルが魔力の炎で球体を作りました。そして魔法石を持っている賊さんに目掛けてぶつけます。
グオッ、バシュッ──。
人の頭程の大きさの火球が音をたてて男性に向かって飛んでいき、その人の目の前で弾けました。触れる事なく、です。
「フッハッハッハッハ……、さすがにこの魔法石の前では効果が発揮出来ないようだなっ」
火球が弾け飛ぶ瞬間までひきつった顔をしていたのに、魔法が弾かれた結果から強気になって大笑いを始めます。
けれども、そうされてもヴォルの表情は変わりませんでした。周囲の賊さん達から振るわれる刃はさすがに止まりましたが、私達が取り囲まれている現状は何も変わりありません。
「Honoo no tama.」
その中で再びヴォルは魔法の火球を放ちました。
赤々とした光が生まれます。
「そんなもの役になど……っ!?」
嘲笑しようとした賊さんの言葉が止まりました。
その理由は簡単で、放たれた魔法が先程の倍程の大きさであったからです。──胸に抱える程はありました。
それが自分に向かって飛んでくるだなんて、息を呑んでしまうのも無理はないです。当たる当たらないではなく、怖いと感じるのは普通の感覚でした。
バシッ!ジュッ!!
またまた火球が弾けて掻き消えます。魔法の対象になっている賊さんは、それでも青い顔をしていました。
「だ……だから言っただろうっ」
顔がひきつっていますが、それでも強気の姿勢を崩しません。
「Honoo no tama.」
「も、もうやめ……っ!?」
賊さんの言葉は、またしても止まりました。今度は両手を広げたくらいの大きな火球です。
そしてその魔法の火球は先程と変わらず真っ直ぐ飛んでいき、今までとは違って賊さんを吹き飛ばしてから消えました。
「な、何て魔力なんだ……?」
「化物かっ」
「こうも立て続けに、しかも次々に強力な魔法を放てるとは……」
口々に賊さん達が恐怖を滲ませた声で告げています。
吹き飛ばされた人に駆け寄るも、視線は私達──いえ、ヴォルに向いたままでした。
「く……そ……っ、何て奴だっ!?魔法石を砕きやがったぞ?」
どうやら賊さんの持っていた魔法無力化の魔法石は、度重なるヴォルの魔法に耐えられなかったようです。
とりあえずは魔法石に守られたようで、吹き飛ばされた賊さんは軽い擦り傷を負ったくらいでした。
「三度しか持たないのか」
ポツリと呟かれた声は、私の目の前から聞こえたようです。
徐々に魔法を強くしていったように見えましたが、彼等が持つ魔法石の耐久性を知って、逆にガッカリした様子のヴォルでした。魔法無力化の魔法石が欲しかったのでしょうか──それとも、単に試したかっただけかもしれません。
賊さんの言葉から察するに、ヴォルのように連発して魔法を使う事はあまりないようでした。私は見慣れていてこれが当たり前でしたが、さすがに普通の魔力所持者の使い方とは違ったようです。
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