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第六章
1.精霊の泉だろ【3】
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「環境破壊ねぇ。そんな事を言っていたら、今までの社会発展はなかったな。そう言えば最近はなくても、クスカムの集落にも精霊つきがいた事はあるでしょ。これだけ魔力持ちが多いんだから、結構セントラルに連れていかれたんじゃない?」
「あぁ、まぁな。今じゃ精霊すら珍しいものになってるけど、あれはあれで意思を持っているからさ。人間の思うようにならないって事だな」
「精霊自体を結界に取り込めば良いのにねぇ」
ネパルさんと話ながらも、突然ベンダーツさんが無茶な事を言い出しました。
確かに精霊さんが好む魔力所持者を魔法石にしているくらいですから、精霊さんにも何らかの影響力があるのでしょうけれど。
「無理だ。基本的に力の源が魔力ではない」
「精霊力、でしたよね」
呆れたようにヴォルが否定します。
私も魔力との違いを聞いていたので、それに追従しました。
「な~んだ、使えないなぁ」
「マークは精霊が見ないからそんな事を言うのだろう?俺等見える者からしてみれば、とてもじゃないがそんな気にはならないな。存在が違うんだからさ。そうだろ?ヴォル」
溜め息と共に告げるベンダーツさんの言葉でしたが、それほど残念さを感じません。
ですが酷い言い方のベンダーツさんに対し、ネパルさんが諭すように告げてヴォルにも同意を求めました。
「当たり前だ」
「ベ……マークさん、酷いですよ」
「何だ、俺が悪者かい?そうですか、すみませんでした~って。あれか?」
三人から責められ、不満そうにとりあえずの謝罪の言葉を告げていたベンダーツさんです。でも話ながらいきなり前方に注意を向けました。──んん?何か、前の方が光っていますね。
「あぁ、あれだよ。精霊の泉。俺達クスカムの人間が大切にしている、命の水さ」
胸を張るネパルさんです。
確かにキラキラと輝く水は透明度が高く、水底までもがくっきりと見えました。
「綺麗ですね……」
「あぁ、確かに。泉と言うだけあって規模は大きくないけど、この純度は凄いね。ヴォルの魔法の水球くらいか?」
水面下を覗き込んで感嘆の声をもらす私に、後ろからベンダーツさんの感想が聞こえます。
「だろ?この精霊の泉は、今だかつて渇れた事がないんだ」
「確かにこの水質は精霊が好むもののようだ」
皆がそれぞれ泉に手を触れ、その冷たさと透明度に言葉を漏らしました。
ネパルさんはニコニコ笑顔で告げ、手で掬った水を飲んでいます。
「だが精霊はいないな」
「そうなのですか?」
「あぁ、そうなんだよ。この集落を魔法で囲って、泉自体も魔物から守っているのに……。あ、結界を張っているのは俺じゃないけど」
ヴォルはそう言いながら周囲を見渡していました。ネパルさんも不思議そうに続けます。
結界の事で慌てて両手を振って否定するネパルさんですが、ヴォルがそれ以外の彼の言葉が気になったようでした。
「この森も結界に入れているのか。今だけではなく、以前から?」
「あ、ああ。何だよ、だからやったのは俺じゃないぜ?」
僅かに剣呑な雰囲気になったヴォルです。
その剣幕に押されたのか、ネパルさんが狼狽えていました。
「ダメなのですか?あ、精霊さんにとっては居心地が悪くなるとかですか?」
「そうだ、メル。基本的に精霊は束縛を良しと思わない。魔物の危険はあるだろうが、自然の摂理に反しようと思わないのだ」
「それなら、ここを精霊さんから奪ってしまった形になっているのですか」
ヴォルの言い方から私は推測を口にします。そしてそれに首肯された事で、ネパルさんと共に愕然としてしまいました。
何て言う事でしょう。守ろうと思った行動が、実際は略奪という結果になっているなんて。
「あぁ、まぁな。今じゃ精霊すら珍しいものになってるけど、あれはあれで意思を持っているからさ。人間の思うようにならないって事だな」
「精霊自体を結界に取り込めば良いのにねぇ」
ネパルさんと話ながらも、突然ベンダーツさんが無茶な事を言い出しました。
確かに精霊さんが好む魔力所持者を魔法石にしているくらいですから、精霊さんにも何らかの影響力があるのでしょうけれど。
「無理だ。基本的に力の源が魔力ではない」
「精霊力、でしたよね」
呆れたようにヴォルが否定します。
私も魔力との違いを聞いていたので、それに追従しました。
「な~んだ、使えないなぁ」
「マークは精霊が見ないからそんな事を言うのだろう?俺等見える者からしてみれば、とてもじゃないがそんな気にはならないな。存在が違うんだからさ。そうだろ?ヴォル」
溜め息と共に告げるベンダーツさんの言葉でしたが、それほど残念さを感じません。
ですが酷い言い方のベンダーツさんに対し、ネパルさんが諭すように告げてヴォルにも同意を求めました。
「当たり前だ」
「ベ……マークさん、酷いですよ」
「何だ、俺が悪者かい?そうですか、すみませんでした~って。あれか?」
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「あぁ、あれだよ。精霊の泉。俺達クスカムの人間が大切にしている、命の水さ」
胸を張るネパルさんです。
確かにキラキラと輝く水は透明度が高く、水底までもがくっきりと見えました。
「綺麗ですね……」
「あぁ、確かに。泉と言うだけあって規模は大きくないけど、この純度は凄いね。ヴォルの魔法の水球くらいか?」
水面下を覗き込んで感嘆の声をもらす私に、後ろからベンダーツさんの感想が聞こえます。
「だろ?この精霊の泉は、今だかつて渇れた事がないんだ」
「確かにこの水質は精霊が好むもののようだ」
皆がそれぞれ泉に手を触れ、その冷たさと透明度に言葉を漏らしました。
ネパルさんはニコニコ笑顔で告げ、手で掬った水を飲んでいます。
「だが精霊はいないな」
「そうなのですか?」
「あぁ、そうなんだよ。この集落を魔法で囲って、泉自体も魔物から守っているのに……。あ、結界を張っているのは俺じゃないけど」
ヴォルはそう言いながら周囲を見渡していました。ネパルさんも不思議そうに続けます。
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「あ、ああ。何だよ、だからやったのは俺じゃないぜ?」
僅かに剣呑な雰囲気になったヴォルです。
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「ダメなのですか?あ、精霊さんにとっては居心地が悪くなるとかですか?」
「そうだ、メル。基本的に精霊は束縛を良しと思わない。魔物の危険はあるだろうが、自然の摂理に反しようと思わないのだ」
「それなら、ここを精霊さんから奪ってしまった形になっているのですか」
ヴォルの言い方から私は推測を口にします。そしてそれに首肯された事で、ネパルさんと共に愕然としてしまいました。
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