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第五章
6.回避手段【4】
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朝の光に目が覚めました。──う~ん、何だか頭がボーッとします。
すぐに身体を起こす事が出来ず、私は横になったまま頭を動かして周囲を見回してみました。どうやらここはヴォルの部屋で──あ、私の部屋でもありますが──、いつも寝ている寝室のようです。
「……私……」
自分で布団に入った記憶がないので、誰かが運んでくれたようでした。ヴォルでしょうか。
ゆっくりと半身起き上がってみますが、やはり頭がスッキリしません。大切な何かを忘れているような気がしました。
「……メルシャ様」
声を掛けられ、緩慢な動作で振り返ります。──ガルシアさんでした。
いつの間に来たのでしょうか。
「あ……、おはようございます」
「おはようございます、メルシャ様」
私ののんびりとした挨拶に、ガルシアさんは深く頭を下げてくれます。
「御気分はいかがですか?」
「え~っと……、何だか頭が重い感じなのですが……」
「何か召し上がられてから、お薬をお飲みになられた方が宜しいかと思います」
ぼんやりとした私の返答にも、心得たとばかりのガルシアさんの対応でした。
食事──、そう言えばお腹は空いていますね。
「分かりました、そうします」
「はい。では、お召し替えをお持ち致します」
「ありがとうございます。……あの、ヴォルは?」
素直にガルシアさんの言葉を受け入れます。
ですが不意に気付いて、退室しようとしたガルシアさんを引き留める形で問い掛けました。
そうですよ。朝なのにまだヴォルと出会っていません。足りないのは彼との朝の挨拶だと思いました。
「……はい。研究室の方に行かれております」
「分かりました。ありがとうございます」
変な間があったような気がしますが、今は着替えが先です。寝具のまま部屋の外に出る訳にはいかないですもの。
ガルシアさんが退室した後、私はスッキリしない頭を覚まそうと立ち上がりました。少しだけクラクラしますが、倒れそうな程ではないですね。
「お加減は宜しいのですか?」
「あ、はい。大丈夫です、ありがとうございます」
戻ってきたガルシアさんにお礼を言いながら、私は着替えなどを済ませました。
うん、身形を整えると頭もハッキリしてくる気がします。
「私、ヴォルを呼んできますね」
「……かしこまりました。では、私はお食事を用意してお待ちしております」
「お願いしますっ」
ペコリと頭を下げてから、私はヴォルの研究室へ足を向けました。
その頃には気分も大分良くなっていたので、早足で行きますよ。やはり朝一番からヴォルに会わないと、何となくいつもの調子が出ないです。
コンコン。急いで歩いてきたので、乱れた呼吸を整える為に一呼吸おいてからノックをします。
「……何だ」
「あ、あの……メルシャです」
固い声が聞こえたので、何故だか緊張してしまいました。
「メル……?」
いつものようにヴォル自らが扉を開けてくれます。──でも、薄くしか開かれませんでした。何故でしょう。
いつもならヴォルは、私だと分かっていれば大きく開いて招き入れてくれます。
「おはようございます、ヴォル」
私は小さな違和感を感じながらも、にっこりと笑顔を浮かべました。──ん?何だかヴォル、顔色が悪くないですか?
すぐに身体を起こす事が出来ず、私は横になったまま頭を動かして周囲を見回してみました。どうやらここはヴォルの部屋で──あ、私の部屋でもありますが──、いつも寝ている寝室のようです。
「……私……」
自分で布団に入った記憶がないので、誰かが運んでくれたようでした。ヴォルでしょうか。
ゆっくりと半身起き上がってみますが、やはり頭がスッキリしません。大切な何かを忘れているような気がしました。
「……メルシャ様」
声を掛けられ、緩慢な動作で振り返ります。──ガルシアさんでした。
いつの間に来たのでしょうか。
「あ……、おはようございます」
「おはようございます、メルシャ様」
私ののんびりとした挨拶に、ガルシアさんは深く頭を下げてくれます。
「御気分はいかがですか?」
「え~っと……、何だか頭が重い感じなのですが……」
「何か召し上がられてから、お薬をお飲みになられた方が宜しいかと思います」
ぼんやりとした私の返答にも、心得たとばかりのガルシアさんの対応でした。
食事──、そう言えばお腹は空いていますね。
「分かりました、そうします」
「はい。では、お召し替えをお持ち致します」
「ありがとうございます。……あの、ヴォルは?」
素直にガルシアさんの言葉を受け入れます。
ですが不意に気付いて、退室しようとしたガルシアさんを引き留める形で問い掛けました。
そうですよ。朝なのにまだヴォルと出会っていません。足りないのは彼との朝の挨拶だと思いました。
「……はい。研究室の方に行かれております」
「分かりました。ありがとうございます」
変な間があったような気がしますが、今は着替えが先です。寝具のまま部屋の外に出る訳にはいかないですもの。
ガルシアさんが退室した後、私はスッキリしない頭を覚まそうと立ち上がりました。少しだけクラクラしますが、倒れそうな程ではないですね。
「お加減は宜しいのですか?」
「あ、はい。大丈夫です、ありがとうございます」
戻ってきたガルシアさんにお礼を言いながら、私は着替えなどを済ませました。
うん、身形を整えると頭もハッキリしてくる気がします。
「私、ヴォルを呼んできますね」
「……かしこまりました。では、私はお食事を用意してお待ちしております」
「お願いしますっ」
ペコリと頭を下げてから、私はヴォルの研究室へ足を向けました。
その頃には気分も大分良くなっていたので、早足で行きますよ。やはり朝一番からヴォルに会わないと、何となくいつもの調子が出ないです。
コンコン。急いで歩いてきたので、乱れた呼吸を整える為に一呼吸おいてからノックをします。
「……何だ」
「あ、あの……メルシャです」
固い声が聞こえたので、何故だか緊張してしまいました。
「メル……?」
いつものようにヴォル自らが扉を開けてくれます。──でも、薄くしか開かれませんでした。何故でしょう。
いつもならヴォルは、私だと分かっていれば大きく開いて招き入れてくれます。
「おはようございます、ヴォル」
私は小さな違和感を感じながらも、にっこりと笑顔を浮かべました。──ん?何だかヴォル、顔色が悪くないですか?
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