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第四章
7.喉が乾く【3】
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朝の光に意識が呼ばれました。
あぁ、私はいつの間にか眠ってしまったようですね。昨日は色々と落ち込んでいたのですけど、結局結論は出ませんでした。
「起きたのか、メル」
「はい。おはようございます、ヴォル……っ?!」
いつものように後頭部から──って、えぇっ!?
何故か目の前にヴォルが座っています。
驚きに見開かれた私の目に、ヴォルの青緑の瞳が真っ直ぐに向けられていました。
──ど、ど、ど、どうして?!
「……起きるか」
混乱したままの私を暫く見つめていたヴォルでしたが、髪を掻き上げながらゆっくりと上半身を起こします。
そこで漸く我に返った私でした。だってヴォルはちゃんと寝具を身に付けていましたから。
単に起きるのが早すぎたとか、何か用事があって先に起き上がっただけなのでしょう。──勝手ですがそう思いましょう。
「は、はい」
少し焦ってしまいましたが大丈夫です。然り気無く自分の身体を確認し、寝具を身に付けている安心を得ていました。
そして今の私に出来る事は、いつもの『私』を見せる事です。
「俺は今日一日公務だ」
「わ、分かりました」
ヴォルが着替えながら告げる言葉に、必死に目を逸らしながら答えます。──って言うか、目の前で裸になられても困ってしまいますよ。
「そろそろガルシアが来る頃だ。また朝食の時にな」
「あ、はいっ。いってらっしゃい、ヴォル」
出ていく気配に振り向き、慌てて頭を下げました。
そしてポフッと布団に顔から倒れ込みます。
──私、いつも通りに出来ました?おかしくなかったですか?
でも何故今日は……抱き枕状態ではなかったのでしょうか。
その流れから抱き枕ではなかったあれを思い出しました。ボンッと顔が熱くなります。だって私、ヴォルの胸に抱かれて……っ。
更に翌朝に起きた時の状況を思い出し、一人で赤面していました。ノックの音にも気付かない程です。
「メルシャ様?」
「あっ、はいっ!?」
勢い良く顔を上げると、部屋の隅の方にガルシアさんが控え目に立っていました。
赤面して悶えているところをしっかりと見られていたようで、私は更に耳まで熱くなってしまいます。──恥ずかしい過ぎて穴があったら入りたい気持ちでした。
「申し訳ございません、メルシャ様。ノックを致しましたがお返事がなかったので、失礼を承知で入室させて頂きました」
ガルシアさんが深く頭を下げて訴えて来ます。
毎朝彼女が来てくれる事は分かっているので、いつもの私は起きる準備をして待っているのでした。
「あ、いえっ。すみません、私の方こそ気付かなくて」
慌ててベッドから降りましたが、駆け寄る事は許されません。ガルシアさんが来てくれるのを待つだけです。
立場とか諸々、色々な面倒な規律があるのでした。
「では、失礼致します」
今日の着替え一式を持ってきてくれたガルシアさんは、いつものように私の身の回りのお世話をしてくれます。──そう、変わらずいつものように。
こんな平和な日って、そう長く続かないものなのですよね。しみじみ思います。
だって今、私の目の前に立ち並んでいる事態がそう言わせますもの。
あぁ、私はいつの間にか眠ってしまったようですね。昨日は色々と落ち込んでいたのですけど、結局結論は出ませんでした。
「起きたのか、メル」
「はい。おはようございます、ヴォル……っ?!」
いつものように後頭部から──って、えぇっ!?
何故か目の前にヴォルが座っています。
驚きに見開かれた私の目に、ヴォルの青緑の瞳が真っ直ぐに向けられていました。
──ど、ど、ど、どうして?!
「……起きるか」
混乱したままの私を暫く見つめていたヴォルでしたが、髪を掻き上げながらゆっくりと上半身を起こします。
そこで漸く我に返った私でした。だってヴォルはちゃんと寝具を身に付けていましたから。
単に起きるのが早すぎたとか、何か用事があって先に起き上がっただけなのでしょう。──勝手ですがそう思いましょう。
「は、はい」
少し焦ってしまいましたが大丈夫です。然り気無く自分の身体を確認し、寝具を身に付けている安心を得ていました。
そして今の私に出来る事は、いつもの『私』を見せる事です。
「俺は今日一日公務だ」
「わ、分かりました」
ヴォルが着替えながら告げる言葉に、必死に目を逸らしながら答えます。──って言うか、目の前で裸になられても困ってしまいますよ。
「そろそろガルシアが来る頃だ。また朝食の時にな」
「あ、はいっ。いってらっしゃい、ヴォル」
出ていく気配に振り向き、慌てて頭を下げました。
そしてポフッと布団に顔から倒れ込みます。
──私、いつも通りに出来ました?おかしくなかったですか?
でも何故今日は……抱き枕状態ではなかったのでしょうか。
その流れから抱き枕ではなかったあれを思い出しました。ボンッと顔が熱くなります。だって私、ヴォルの胸に抱かれて……っ。
更に翌朝に起きた時の状況を思い出し、一人で赤面していました。ノックの音にも気付かない程です。
「メルシャ様?」
「あっ、はいっ!?」
勢い良く顔を上げると、部屋の隅の方にガルシアさんが控え目に立っていました。
赤面して悶えているところをしっかりと見られていたようで、私は更に耳まで熱くなってしまいます。──恥ずかしい過ぎて穴があったら入りたい気持ちでした。
「申し訳ございません、メルシャ様。ノックを致しましたがお返事がなかったので、失礼を承知で入室させて頂きました」
ガルシアさんが深く頭を下げて訴えて来ます。
毎朝彼女が来てくれる事は分かっているので、いつもの私は起きる準備をして待っているのでした。
「あ、いえっ。すみません、私の方こそ気付かなくて」
慌ててベッドから降りましたが、駆け寄る事は許されません。ガルシアさんが来てくれるのを待つだけです。
立場とか諸々、色々な面倒な規律があるのでした。
「では、失礼致します」
今日の着替え一式を持ってきてくれたガルシアさんは、いつものように私の身の回りのお世話をしてくれます。──そう、変わらずいつものように。
こんな平和な日って、そう長く続かないものなのですよね。しみじみ思います。
だって今、私の目の前に立ち並んでいる事態がそう言わせますもの。
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