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第四章
4.我が儘ではない【3】
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「……っ……、ふっ……」
そのままの状態から突然開始された深いキスでした。
──ここ、私の部屋の前ですが廊下なんですけど。なんて、誰もツッコミを入れてくれはしませんが。
「……は……ぁ……」
漸く唇が放れた時、私は腰から下に力が入らなくなっていて崩れ落ちます。勿論、ヴォルに抱き留められましたけど。
「帰るぞ」
当たり前のように抱き上げられます。
えぇ、姫抱きですよ。もう抵抗する気も起きません。とにかく、誰にも会わない事を願います。
私はヴォルの胸に顔を押し付け、なるべく小さくなるようにしていました。
願ったお陰か時間的だったのか、運良く誰にも会わないでヴォルの部屋に到着しました。
でも部屋に入っても下ろされる事なく、何故か寝室に向かうヴォルです。
「初めからこうしておけば良かった」
ベッドに私を下ろしたヴォルが呟きます。
──んん?何でしょうか。もう眠いのですか?確かに、溜め息を吐いていましたからねぇ。
「っ?!」
ボンヤリとヴォルを見上げていましたが、突然私の上に被さるようにのし掛かってきました。
──えぇっ?どうなっています?!
目を白黒させる私ですが、構わずヴォルが唇を重ねてきました。初めは啄むような優しいもの──、そして徐々に舌が私の口腔内を撫でていきます。
「……ん……っ」
鼻を抜けるような声が漏れます。そして部屋に響く濡れた音。
もう、呼吸困難な上に頭がついていきません。ただひたすら、口の中と外から与えられる刺激に翻弄されていました。
「……これ程、他者を欲した事がなかった」
どれだけ経ったのか──たぶん自分の唇が真っ赤に熟れてしまった頃、僅かに放れたヴォルの口から紡がれました。
「自分でも抑えきれないこの熱を……どうしたら良いのか分からない」
私はそんなヴォルの告白を──息苦しかったせいでなのか、潤んだ目で見つめます。
私の上にいるヴォルは、確かにいつもより熱いです。触れている部分が──、熱いのです。
「ヴォルは……、どうしたいのですか?」
苦しそうなヴォルをそのままにしておけず、私は下から見上げたまま問い掛けました。
「……メルに触れたい」
「触れていますよ?」
「もっと……」
「……良いですよ?……ヴォルだから、良いです」
囁かれる言葉に、私は小さく笑みを浮かべて答えていました。
不意に、旅の途中でヴォル以外の男の人に肩に触れられた時の事を思い出しました。あの時ヴォルは平気なのに──、って思ったのですよ。
今思えば、その時にはもう私はヴォルの事を好きだったのですね。
抱き枕にされるのも、ウマウマさんに乗っている時に触れ合うのも──ヴォルだから良いのです。ヴォルじゃなきゃ、ダメだったんですよね。
先程ベンダーツさんに手首を掴まれた時も、その部分に意識を向けてしまえば単に怖かったのですから。
そのままの状態から突然開始された深いキスでした。
──ここ、私の部屋の前ですが廊下なんですけど。なんて、誰もツッコミを入れてくれはしませんが。
「……は……ぁ……」
漸く唇が放れた時、私は腰から下に力が入らなくなっていて崩れ落ちます。勿論、ヴォルに抱き留められましたけど。
「帰るぞ」
当たり前のように抱き上げられます。
えぇ、姫抱きですよ。もう抵抗する気も起きません。とにかく、誰にも会わない事を願います。
私はヴォルの胸に顔を押し付け、なるべく小さくなるようにしていました。
願ったお陰か時間的だったのか、運良く誰にも会わないでヴォルの部屋に到着しました。
でも部屋に入っても下ろされる事なく、何故か寝室に向かうヴォルです。
「初めからこうしておけば良かった」
ベッドに私を下ろしたヴォルが呟きます。
──んん?何でしょうか。もう眠いのですか?確かに、溜め息を吐いていましたからねぇ。
「っ?!」
ボンヤリとヴォルを見上げていましたが、突然私の上に被さるようにのし掛かってきました。
──えぇっ?どうなっています?!
目を白黒させる私ですが、構わずヴォルが唇を重ねてきました。初めは啄むような優しいもの──、そして徐々に舌が私の口腔内を撫でていきます。
「……ん……っ」
鼻を抜けるような声が漏れます。そして部屋に響く濡れた音。
もう、呼吸困難な上に頭がついていきません。ただひたすら、口の中と外から与えられる刺激に翻弄されていました。
「……これ程、他者を欲した事がなかった」
どれだけ経ったのか──たぶん自分の唇が真っ赤に熟れてしまった頃、僅かに放れたヴォルの口から紡がれました。
「自分でも抑えきれないこの熱を……どうしたら良いのか分からない」
私はそんなヴォルの告白を──息苦しかったせいでなのか、潤んだ目で見つめます。
私の上にいるヴォルは、確かにいつもより熱いです。触れている部分が──、熱いのです。
「ヴォルは……、どうしたいのですか?」
苦しそうなヴォルをそのままにしておけず、私は下から見上げたまま問い掛けました。
「……メルに触れたい」
「触れていますよ?」
「もっと……」
「……良いですよ?……ヴォルだから、良いです」
囁かれる言葉に、私は小さく笑みを浮かべて答えていました。
不意に、旅の途中でヴォル以外の男の人に肩に触れられた時の事を思い出しました。あの時ヴォルは平気なのに──、って思ったのですよ。
今思えば、その時にはもう私はヴォルの事を好きだったのですね。
抱き枕にされるのも、ウマウマさんに乗っている時に触れ合うのも──ヴォルだから良いのです。ヴォルじゃなきゃ、ダメだったんですよね。
先程ベンダーツさんに手首を掴まれた時も、その部分に意識を向けてしまえば単に怖かったのですから。
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