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第四章
3.好きだ【5】
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──って言うか、『注文の品』ですか?
お茶のカップを持ちながら、ヴォルとガルシアさんの会話に耳を傾けます。
「あぁ、これが終わったら持ってきてくれ」
「はい、かしこまりました」
ヴォルの瞳が緩く細められたので、どうやら彼にとって良い事のようでした。
ん~、どうやら話が二人だけの間で通じているようです。まぁ、私が口を出す事ではありませんね。
──って私は勉強ばかりで、働いてもいないです。それどころか、もう一年程無職な私ですよ。人生をサボりすぎではありませんか?
お茶のカップに口をつけながら少し考えましたが、これはダメですね。考えすぎると食事の味が分からなくなります。軽食とはいえ、食事には集中しなくてはなりません。食材に感謝ですよ。
──ん~、美味しいですっ。と言うか……これでは単なる食いしん坊さんなだけじゃないですか、私。
「どうした、メル。口に合わなかったか?」
「あ……いえ、とんでもないです。このデザートのヨーグルトだって、フルーツたっぷりで物凄く美味しいです。ただ……、食べてばかりで働いてなくて……ブターンになってしまいそうで心配になっただけです」
問い掛けてきたヴォルに、両手を振って訂正しました。ガルシアさんが用意してくれる食べ物に、美味しくないものがある筈もないのです。
そしてブターンは食べるお肉用の動物なのですけど、丸々していてとても美しいプロポーションとは言えないのです。
「もっと肉がついていた方が抱き心地が良いが」
「っ?!な、何を言って……っ」
私が真っ赤になった為か、ヴォルは一瞬不思議そうな顔をした後にニヤリと笑みを浮かべます。──な、何ですかね?
「今夜辺り調べてやろうか」
口角が上がっていますが、瞳は笑っていません。
ヒーッ?!ヴォルが怖いですっ。だいたい、調べるって何をですか。
思わず仰け反るようにして、ヴォルから逃げようとしました。
「ヴォルティ様。あまりメルシャ様を苛められますと、お部屋を別にされてしまいますよ?」
おぉ~、天の助けならぬガルシアさんの助けです。
──って言うか、そうですよね。部屋が一緒でなくてはならない理由はないのですよね?言われるまで気付かない私もなんですが、どれだけ抱き枕が当たり前になっているのでしょうか。
「そ、そうですね。私は今日から一人で寝ますっ」
「ほぅ……?」
ガルシアさんの言葉に首肯して両の手に拳を作りながら宣言しました。
ですが──な、何だかヴォルの反応が先程より怖いです。
「俺から逃げられると思うなよ?」
先程浮かべた口元の笑みも消して、無表情のヴォルが手を伸ばして頬に触れてきました。──何故だか酷くドキドキします。
ぅにゃ~、ヴォルが苛めますぅ~。私は近くにいたガルシアさんにしがみつきます。とても言葉では訴えられないのですが、思い切り態度で示してみました。
「あらあら、メルシャ様。ヴォルティ様が怖いなら、今日は私と一緒に寝ますか?」
それが良いですっ。
私はコクコクと頭を縦に振ります。
「メル……」
後ろから聞こえるヴォルの声には、頭を横に振って答えました。後先考えていない私なのです。
何故ドキドキするのか。分からないそれは酷く怖くもありました。
「……メル」
再びの声にも頭を横に振ります。──って言うか、ヴォルの方を見ずに。
後で考えると、私の態度は完全なる拒絶ですよね。この時の彼の感情を、少しは考えるべきでした。
「勝手にしろ」
その一言を残し、ヴォルが立ち上がります。私はガルシアさんに抱き付いているので、振り返るのが遅くなりました。
あ、あれ?足音が離れていきます。戸惑いの中で動けずにいる間に、ヴォルが部屋から退室されました。
──私、置いていかれました?
お茶のカップを持ちながら、ヴォルとガルシアさんの会話に耳を傾けます。
「あぁ、これが終わったら持ってきてくれ」
「はい、かしこまりました」
ヴォルの瞳が緩く細められたので、どうやら彼にとって良い事のようでした。
ん~、どうやら話が二人だけの間で通じているようです。まぁ、私が口を出す事ではありませんね。
──って私は勉強ばかりで、働いてもいないです。それどころか、もう一年程無職な私ですよ。人生をサボりすぎではありませんか?
お茶のカップに口をつけながら少し考えましたが、これはダメですね。考えすぎると食事の味が分からなくなります。軽食とはいえ、食事には集中しなくてはなりません。食材に感謝ですよ。
──ん~、美味しいですっ。と言うか……これでは単なる食いしん坊さんなだけじゃないですか、私。
「どうした、メル。口に合わなかったか?」
「あ……いえ、とんでもないです。このデザートのヨーグルトだって、フルーツたっぷりで物凄く美味しいです。ただ……、食べてばかりで働いてなくて……ブターンになってしまいそうで心配になっただけです」
問い掛けてきたヴォルに、両手を振って訂正しました。ガルシアさんが用意してくれる食べ物に、美味しくないものがある筈もないのです。
そしてブターンは食べるお肉用の動物なのですけど、丸々していてとても美しいプロポーションとは言えないのです。
「もっと肉がついていた方が抱き心地が良いが」
「っ?!な、何を言って……っ」
私が真っ赤になった為か、ヴォルは一瞬不思議そうな顔をした後にニヤリと笑みを浮かべます。──な、何ですかね?
「今夜辺り調べてやろうか」
口角が上がっていますが、瞳は笑っていません。
ヒーッ?!ヴォルが怖いですっ。だいたい、調べるって何をですか。
思わず仰け反るようにして、ヴォルから逃げようとしました。
「ヴォルティ様。あまりメルシャ様を苛められますと、お部屋を別にされてしまいますよ?」
おぉ~、天の助けならぬガルシアさんの助けです。
──って言うか、そうですよね。部屋が一緒でなくてはならない理由はないのですよね?言われるまで気付かない私もなんですが、どれだけ抱き枕が当たり前になっているのでしょうか。
「そ、そうですね。私は今日から一人で寝ますっ」
「ほぅ……?」
ガルシアさんの言葉に首肯して両の手に拳を作りながら宣言しました。
ですが──な、何だかヴォルの反応が先程より怖いです。
「俺から逃げられると思うなよ?」
先程浮かべた口元の笑みも消して、無表情のヴォルが手を伸ばして頬に触れてきました。──何故だか酷くドキドキします。
ぅにゃ~、ヴォルが苛めますぅ~。私は近くにいたガルシアさんにしがみつきます。とても言葉では訴えられないのですが、思い切り態度で示してみました。
「あらあら、メルシャ様。ヴォルティ様が怖いなら、今日は私と一緒に寝ますか?」
それが良いですっ。
私はコクコクと頭を縦に振ります。
「メル……」
後ろから聞こえるヴォルの声には、頭を横に振って答えました。後先考えていない私なのです。
何故ドキドキするのか。分からないそれは酷く怖くもありました。
「……メル」
再びの声にも頭を横に振ります。──って言うか、ヴォルの方を見ずに。
後で考えると、私の態度は完全なる拒絶ですよね。この時の彼の感情を、少しは考えるべきでした。
「勝手にしろ」
その一言を残し、ヴォルが立ち上がります。私はガルシアさんに抱き付いているので、振り返るのが遅くなりました。
あ、あれ?足音が離れていきます。戸惑いの中で動けずにいる間に、ヴォルが部屋から退室されました。
──私、置いていかれました?
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