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第五章──栗鼠(リス)──
じゅう
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※ ※ ※
「「「「ありがとうございました」」」」
四人で揃って頭を下げる。
ここは空港で。今日は田地の伯父に送ってもらい、北海道最終の家路につく日だ。
「いやいや、こちらこそありがとうね。たくさん手伝ってもらって、とても助かったよ」
「ぼくたちも。毎日、凄く勉強になりました」
「貴重な経験をさせてもらい、ありがとうございました」
「食べ物、凄く美味しかったですっ」
「伯父さん。お世話になりました」
「うんうん。気を付けて帰ってね」
そうして再度手を振りつつ。ぼくたちは帰りの飛行機に乗った。
とても楽しくて。大変だったけれど、勉強になったアルバイト。初めての旅行。初めてのアルバイト。初めての友達との宿泊。
全てが新鮮で。本当に、全ぼくがスタンディングオベーションである。
言葉では言い尽くせない、感情のざわめき。喜怒哀楽の喜と楽。うんうん。──あれ?でも人間の感情って、喜怒哀楽だけじゃないかも。
「ねぇ、臥竜」
「何だ、潤之介。眠くなったか?」
「違うよぉ。あのね。人の感情って、喜怒哀楽の他に何があるの?」
「……また難しい事を考え始めたな。とりあえず、人間の基本感情は八種類といわれている。喜び。信頼。恐れ。驚き。悲しみ。嫌悪。怒り。期待。そして、それぞれに。より濃い感情。より淡い感情があるとされている。つまりは種類だけで言うなら、二十四通り」
「ほぇ~……。臥竜、凄いね」
「は?別に凄かねぇよ。単に、本の知識の受け売りだ。ちなみに人間の感情は、それだけ単純に分類出来る訳じゃねぇから。それらの種類の混合パターンもあるな」
「凄いね。なるほど、なるほど」
飛行機内で、不意に問い掛けたけど。臥竜はしっかりと答えてくれる。──凄くない?普通にすらすら出てくる知識じゃないでしょ、これ。
この驚きを共有しようとして、田地と名渡山に視線を向けたけど。大きな口を開けて寝ている名渡山と、静かに寝ている田地に気付いただけだった。
「……寝てるね」
「そうだな。昨日も遅くまで騒いでいたから、さすがに電池切れだろ」
「名渡山が?」
「そ。田地は巻き込まれ睡眠不足だな、完全に。飛行機待ちの時、そうぼやいてたぜ」
「ふふっ。それでもちゃんと付き合ってあげるもんね、田地は」
「あぁ。……『おなちゅう』って聞いたけど。田地の面倒見の良さが、名渡山のポテンシャルをいかしている部分があるからな。でも名渡山が、おれより学力が上とか。初めは信じられねぇでいたけど、マジなんだよなぁ」
「そうだよねぇ」
臥竜は自身の能力をいつも下に見る傾向がある。本当に凄いのに、自分は大した事がないと言う。
でもぼくからしたら、臥竜も立派なんだ。だからもっともっと、ぼくも頑張る。一緒にいてつまらない人間だと、臥竜に思われたくないもん。
「「「「ありがとうございました」」」」
四人で揃って頭を下げる。
ここは空港で。今日は田地の伯父に送ってもらい、北海道最終の家路につく日だ。
「いやいや、こちらこそありがとうね。たくさん手伝ってもらって、とても助かったよ」
「ぼくたちも。毎日、凄く勉強になりました」
「貴重な経験をさせてもらい、ありがとうございました」
「食べ物、凄く美味しかったですっ」
「伯父さん。お世話になりました」
「うんうん。気を付けて帰ってね」
そうして再度手を振りつつ。ぼくたちは帰りの飛行機に乗った。
とても楽しくて。大変だったけれど、勉強になったアルバイト。初めての旅行。初めてのアルバイト。初めての友達との宿泊。
全てが新鮮で。本当に、全ぼくがスタンディングオベーションである。
言葉では言い尽くせない、感情のざわめき。喜怒哀楽の喜と楽。うんうん。──あれ?でも人間の感情って、喜怒哀楽だけじゃないかも。
「ねぇ、臥竜」
「何だ、潤之介。眠くなったか?」
「違うよぉ。あのね。人の感情って、喜怒哀楽の他に何があるの?」
「……また難しい事を考え始めたな。とりあえず、人間の基本感情は八種類といわれている。喜び。信頼。恐れ。驚き。悲しみ。嫌悪。怒り。期待。そして、それぞれに。より濃い感情。より淡い感情があるとされている。つまりは種類だけで言うなら、二十四通り」
「ほぇ~……。臥竜、凄いね」
「は?別に凄かねぇよ。単に、本の知識の受け売りだ。ちなみに人間の感情は、それだけ単純に分類出来る訳じゃねぇから。それらの種類の混合パターンもあるな」
「凄いね。なるほど、なるほど」
飛行機内で、不意に問い掛けたけど。臥竜はしっかりと答えてくれる。──凄くない?普通にすらすら出てくる知識じゃないでしょ、これ。
この驚きを共有しようとして、田地と名渡山に視線を向けたけど。大きな口を開けて寝ている名渡山と、静かに寝ている田地に気付いただけだった。
「……寝てるね」
「そうだな。昨日も遅くまで騒いでいたから、さすがに電池切れだろ」
「名渡山が?」
「そ。田地は巻き込まれ睡眠不足だな、完全に。飛行機待ちの時、そうぼやいてたぜ」
「ふふっ。それでもちゃんと付き合ってあげるもんね、田地は」
「あぁ。……『おなちゅう』って聞いたけど。田地の面倒見の良さが、名渡山のポテンシャルをいかしている部分があるからな。でも名渡山が、おれより学力が上とか。初めは信じられねぇでいたけど、マジなんだよなぁ」
「そうだよねぇ」
臥竜は自身の能力をいつも下に見る傾向がある。本当に凄いのに、自分は大した事がないと言う。
でもぼくからしたら、臥竜も立派なんだ。だからもっともっと、ぼくも頑張る。一緒にいてつまらない人間だと、臥竜に思われたくないもん。
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