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第三章──蟹(かに)──
じゅう
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「さぁて。今度はテントの片付けだぜ、潤之介」
「あ、そうだった。田地と名渡山が戻ってくる前に……って。臥竜、もう遅かった」
再度テントへ視線を向けたぼくだったけど。残念ながら、というか。幾つかビニル袋を持ってこちらへ向かってくる、田地と名渡山の姿がはっきりと確認出来たのだ。
「まぁ、良いんじゃね?テントがあれば、食べる場所を探さなくても良いからよぉ」
「それはそうだけど……」
片付けると言った手前。何もしてなかった、では。遊んでいたと思われても、仕方ないではないだろうか。
ぼくは少し罪悪感を感じながらも。臥竜と一緒に、テント方向へ歩み寄った。
「ごめんね。ぼくたち、まだ片付けてなくて……」
「おぉ~。まだテントが片付けられてなくて、本当に良かったぜ。向こうの休憩所とかも、人がいっぱいでさぁ。砂の上に、服で座りたくないじゃん?」
「そうそう。日焼けの鹿毛に、炎天下で食事させる訳にもいかないし」
「そうか。買い出し、ありがとうな。田地、名渡山。潤之介の日焼け、結構酷くてさぁ。見ろよ、顔も真っ赤じゃねぇ?でもおれが持ってきた治療薬、顔はヤバいみたいでよぉ」
「うわぁ~、痛そうだねぇ。あ、田地。さっき買った日焼け治療薬は?」
「お~、これな。何となく目についたから買ったんだがな。使えるなら良いが」
「ん、マジでありがとう。ほら、潤之介」
「あ、え?みんな、ありがとう」
そんな感じで、凄く気を遣われているぼく。みんなの優しさが染みる。嬉しい。でも、申し訳ない。
田地と名渡山は、ワイワイ良いながらテントの床に食べ物を広げている。臥竜はぼくの手を引いて座らせた後、頬やらおでこやらに薬を塗ってくれていた。
それからみんなでいただきますして、おにぎりやサンドイッチ。お菓子やお弁当など、好き好きに食べ始める。相変わらず名渡山は大食漢で、見た目は細いのに何処に入るのだろうと思える量を食べていた。
いつもの学校の昼食とは違う。これはこれで、とても楽しい感覚。
周囲には海水浴客が。土曜日だから、子供も多い。あぁいう風に、子供の傍に寄り添うように遊ぶのか。普通の家族ってあぁいうもの、なのかな。
ぼくは五歳より前の記憶が。さすがに殆ど覚えていないから。お父さんとお母さん、どんな風にぼくに接してくれていたのかな。
叔父さんの家では。──いや。これは思い出さなくて良いな。
今は臥竜と天照さんが、ぼくの家族だって言ってくれている。他にも、宗颯寺の修行僧。
ちゃんと、ぼくを一個人として見てくれる。優しい人たちの為に、ぼくも出来る事をたくさんしたい。
「あ、そうだった。田地と名渡山が戻ってくる前に……って。臥竜、もう遅かった」
再度テントへ視線を向けたぼくだったけど。残念ながら、というか。幾つかビニル袋を持ってこちらへ向かってくる、田地と名渡山の姿がはっきりと確認出来たのだ。
「まぁ、良いんじゃね?テントがあれば、食べる場所を探さなくても良いからよぉ」
「それはそうだけど……」
片付けると言った手前。何もしてなかった、では。遊んでいたと思われても、仕方ないではないだろうか。
ぼくは少し罪悪感を感じながらも。臥竜と一緒に、テント方向へ歩み寄った。
「ごめんね。ぼくたち、まだ片付けてなくて……」
「おぉ~。まだテントが片付けられてなくて、本当に良かったぜ。向こうの休憩所とかも、人がいっぱいでさぁ。砂の上に、服で座りたくないじゃん?」
「そうそう。日焼けの鹿毛に、炎天下で食事させる訳にもいかないし」
「そうか。買い出し、ありがとうな。田地、名渡山。潤之介の日焼け、結構酷くてさぁ。見ろよ、顔も真っ赤じゃねぇ?でもおれが持ってきた治療薬、顔はヤバいみたいでよぉ」
「うわぁ~、痛そうだねぇ。あ、田地。さっき買った日焼け治療薬は?」
「お~、これな。何となく目についたから買ったんだがな。使えるなら良いが」
「ん、マジでありがとう。ほら、潤之介」
「あ、え?みんな、ありがとう」
そんな感じで、凄く気を遣われているぼく。みんなの優しさが染みる。嬉しい。でも、申し訳ない。
田地と名渡山は、ワイワイ良いながらテントの床に食べ物を広げている。臥竜はぼくの手を引いて座らせた後、頬やらおでこやらに薬を塗ってくれていた。
それからみんなでいただきますして、おにぎりやサンドイッチ。お菓子やお弁当など、好き好きに食べ始める。相変わらず名渡山は大食漢で、見た目は細いのに何処に入るのだろうと思える量を食べていた。
いつもの学校の昼食とは違う。これはこれで、とても楽しい感覚。
周囲には海水浴客が。土曜日だから、子供も多い。あぁいう風に、子供の傍に寄り添うように遊ぶのか。普通の家族ってあぁいうもの、なのかな。
ぼくは五歳より前の記憶が。さすがに殆ど覚えていないから。お父さんとお母さん、どんな風にぼくに接してくれていたのかな。
叔父さんの家では。──いや。これは思い出さなくて良いな。
今は臥竜と天照さんが、ぼくの家族だって言ってくれている。他にも、宗颯寺の修行僧。
ちゃんと、ぼくを一個人として見てくれる。優しい人たちの為に、ぼくも出来る事をたくさんしたい。
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