ある日、突然始まったかのように思えたそれ

まひる

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第二章──解放者──

きゅう

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 天照てんしょうさんにお説教されているのに。臥竜がりゅうの口から、おかしな言葉が発せられた。
 ぼくとしても。わざわざ同衾どうきんそしりを受けたくはない。よって、何らかの理由があるのならば。明確にしておかねばならないと、そう思ってはいた。
 でもまさか。ぼくのそばが心地好い、なんて言われるとは。──え?聞き間違い?

「臥竜……。気持ちは分かるが、少しは自制しなさい。相手は同性とはいえ、何も知らないのだ」
「……異性だったら、もっとまずいじゃねぇか」
「だからこそだ。逆の立場であってみなさい。相手を思いやる事が、今の臥竜には一番大切な事だ」
「………………あの。ぼくにも分かるように言ってもらえると、助かります」
「あぁ……、当然の考えだ。守護者ナータは『星を開く者』であると、昨夜話したよね。それもあってか、ストリ守護者ナータかれる。ストリとしての能力を解放する者が、守護者ナータなのだ」

 天照さんと臥竜の会話は。ぼくの知識と常識では、到底理解出来ない。二人は理解し得る知識があるからこそ、初対面のぼくを。何の疑いもなく、テリトリーに入れてくれているのだ。
 でも何だか。聞けば聞く程、分からなくなっているような気がするけど。

「少し難しいね。簡単に告げるならば。そうだね。昨日、化け物と出会ったんだよね」
「あ、はい。電柱百足ムカデ
「そういったものを、あやかしと呼ぶ。通常の生物ではない、怪異の総称だ。そして、それを打ち砕く力。それを臥竜が持っている」
「あやかし。怪異。打ち砕く……?」
「その力を引き出すのが、潤之介じゅんのすけくんだ。人は、一人では強大な力を持てないものなのだよ」

 少しだけ、困ったような天照さん。色々な思いや考えがあるのだろう。
 でも。簡単に教えてくれて、ぼくにも何となく分かった。要は、臥竜という爆弾の。起爆剤なのだ、ぼくは。

「潤之介くんが、おとこ神子みこであると。先に言ったよね」
「あ、はい」
「神子とは、未婚の女性をさす。そして、男神子も同じである。お役目は、成人するまで。分かるね?」

 続けざまに告げられた、天照さんの言葉。
 未婚。つまりは、未経験でないと。ぼく。成人まで、童貞確定?

「それを破れば……?」
「残念だけれど。あやかしに美味しく頂かれる、かな」
「な……」
「あのよぉ。ストリも同じだから。つい、だからな」

 天照さんが。先程の困ったような表情のまま、ぼくの問いに答えてくれた。
 ついでのように、臥竜に仲間DT宣言されたけど。全く嬉しくない。
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