流されて

まひる

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第一章 春

1の2 今の私

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◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 はっ?!
 気付いたら私、ベッドの上で倒れ──るように、うつ伏せで寝てた。

 慌てて周囲を見渡して、現在地が自分の家でホッと一安心。──あっ、ヨダレ出てた。
 ゴシッと腕で口元を拭き取って──。えっと、私は何してたっけ。

 んぅ?
 明るいのは太陽で。昨日は相変わらずの午前様で。
 あ、帰宅途中で青い熱帯魚!
 時間は──七時半!よ、良かった。まだオープン前だ。

 家に帰ってきた昨日の私は、しっかりとお風呂に入ってベッドイン。身綺麗にして睡眠をしっかり取らないとって、意識高い系の女子じゃん?──いや、生物学上は女子だけどさ。

 私はどうやら、世間一般の『女の子』とは少し違うみたいなんだよね。

 記憶にあるのがここからだから、初恋はたぶん中学三年生の時。
 ちゃんと男子だったから、性的マイノリティはノーマルだと思う。でも、見てるだけで良かった。
 周囲の他の女の子達って──もう中学の頃だと誰と付き合いたいとか、カレカノ持ちの子達が普通にちらほら。
 それで当然のように私へも同じような質問が来るんだけど、そこまで思えるような異性がいなかったって言うか。

 私が一人のクラスメイト男子を見ている事を知ってる友達が、普通にあおってくるんだ。
 流れで『告白しなよ』とかなったけど、『そこまでしなきゃダメなのかな』って考えちゃう。
 高校入試もあったから、バレンタインの日も三年は心に余裕ないじゃん?
 で、家電で呼び出してチョコだけ渡したけどさ。
 『お返しは出来ないから』って初めから言われてて、別に私もそんな事求めてなかったから『別に良いです』って。
 本気で相手の気持ちを求めてなかったし、期待すらしてなかった。ただ、友達に『チョコ渡したよ』って言える結果が欲しかっただけかな。

 自転車で公園まで行って、待ってた時間も。どきどきの緊張感はあったけど、間近で見られるっていうそれ。
 今思い返しても、芸能人を見たい追っかけの気分なのかな。──芸能人知らないけど。
 動物好きな私からしてみれば、今年生まれた赤ちゃんに会えますっての方がどきどきわくわくするかも。

 まぁそんな感じで、たぶん私は少し違う。
 他の女の子と比べてもって思うから、どちらがどうかなんて正直どうでも良い。
 人に興味がないし、人に対する感情が薄いんだろうな。動物──特に哺乳類へ向ける関心の方が強いもん。
 鳥とか魚とかは、食べ物判定が強い。虫は死んでも良い。目の前にいなければどうでも良くて、私の知らないところでどうこうなっても興味が湧かない。心が動かない。

 そういえばいつだったか、『変わった子』判定受けた。女子から言われたんだけど。
 それがどんな存在だったのか記憶に欠片もない。友達とか他人とか、知人とかすら不明。それを考えると、私の何を知っての判定なのかとは思う。
 でもそれすらどうでも良くて。──そうだな。私の人生において、全く重要ではない事柄の一つ。

 なんて頭で考えている間に、着替えとか諸々の朝の準備が完了してる私。
 頭と心と身体は別物だよねって、私は思う。同時に違う事が出来るから、本当に便利。
 さてと。昨日──日付的には今日だけど、一度寝てるから気分は昨夜。青い魚ポスターを拾ったお店に、いざ行かん!

 一人暮らしだから、戸締まりはしっかり確認。
 そうは言えど、窓を開ける習慣もないからカーテンは年中締めっぱ。気付いたらカビがはえてるやつ。

 高校卒業して就職してから、ずっと住んでる二階建て木造アパート。
 収納性はイマイチだけど、私的には居住性最高っ。

 ではここで、賃貸物件二階エリアに住んでいる私の家を紹介。

 一階部分に扉があって、そこを開けたら階段登場。靴のまま二階へあがり、ここで玄関。シューズボックスがあって、靴を脱ぐ。
 扉を開ければ居住空間、リビングLダイニングDキッチンK。キッチンは壁寄せタイプで室内を広く見せていて、二口ふたくちコンロ。冷蔵庫と電子レンジを置いているから、玄関扉からは少しだけ離れてる。
 南側には、間仕切りが出来るもう一つの空間。ベッドを置いていて、完全プライベートスペースにしてる。
 北側に水場が揃えてあって、トイレと浴室は当然別々。脱衣所に手洗い、洗濯機空間。奥に浴室。洗濯物も浴室乾燥で乾かしている。
 部屋の照明は間接照明になっていて、これは天井が建物の屋根部分だからだろうね。斜めになっていて、明かり取りの窓があるから昼間は電気をつけなくても明るい。そしてその分天井が高いから、私は好き。
 ちなみに二階二世帯、一階三世帯居住可能。うちは、トイレ側が隣のお宅と接してる。
 木造建築だから音は仕方ない。うるさいって言われないように生活してる。──暴れる事なんてないけどね。

 十八歳で一人暮らし。でも、私は特別とは思わない。
 中学二年生の頃に母親が他界して、母方の祖母に面倒を見てもらったからね。高校卒業してからすぐに働き出したのも、一人暮らしを始めたのもそれが理由。
 祖父は物心つく頃にいなくて、父親も知らない。つまり、シングルマザーの家庭だった。
 祖母と母と同じく、私にも男運がないのだろう。

 何だか、それなら結婚観が成長しなくても仕方ないよね。結婚したくないとかではないけど。なんなら、自分の子供だけほしい。
 希望は男の子と女の子の二人。──って、相手いないから。

 いっそのこと──。
 誰か、種だけくれないかな。勿論、変な遺伝子は要らないけどさ。

 私が百四十五センチだから、絶対に遺伝子は高身長求む。自分の子がミニマムになってしまう事は避けたいし、それが男の子なら尚更。
 だって、背が高い方がカッコいいよね?カッコいい見た目で背が低いと、残念感があるよね?
 はい、嘘です。──お母さんが小さいからって言われたくないだけだよ。他者の評価は気にしない私。でも自分の子供からの評価は気になるかも。悪いかな?
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