7 / 11
第7話 カワイイ子はお持ち帰りするのです!
しおりを挟む
彼女の本当の名前はサワラー。
モノホンのクリスと同じ孤児院にいたモブキャラでゲームには登場していません。しかも彼女はどうやら私と同じ乙女ゲームを知る転生者。
一緒の孤児院だったのをいいことにヒロインの持つ剣の紋章の指輪を盗んで、クリスに成り済ましてエストック家に取り入ったらしいのです。
それでは本物のクリスはどこへ行ったか?
賢明な読者諸氏はもうお分かりでしょう。
ヒロインは薄いピンクの髪にライトブルーの瞳なのです。
私の愛すべき侍女に顔を向ければ薄い桜色の髪、澄んだ水色の瞳が目に入る。
そう、この専属侍女実は……本物のクリス・エストックなのです。
どうして正ヒロインが私の専属侍女になっているかと言いますと――
私が前世の記憶を取り戻す前のまだ幼き日の話。
母と一緒に孤児院へ慰問に行った時のことです。
「ううっ、おかあさん……くすん……」
孤児達と取っ組み合いの遊びをしていたら、隅で1人うずくまっている少女を見つけました。
「どうしたの? 何を泣いてるの?」
私が声をかけると少女はビクッと肩を震わせると恐る恐る顔を上げました。
「おかあさんの……指輪が……」
それは、はらはらと涙を流す美少女……
「なにこの可愛い生き物!?」
「は、はい?」
「あなた名前は?」
「えっ、あっ、ク、クリスです」
「クリス捕獲しました」
「えっ、えっ、どうして抱きついてくるんです?」
私の暴走に悲しみどころではなくなって彼女の涙も引っ込んだようです。
彼女を愛でながら事情を聞けば、大事にしていた母の形見の指輪が見つからないと嘆いていたらしい。
「もう私……生きていけない」
母の形見があれば慰められ、勇気づけられ、どんなにつらく厳しい事でも耐えられた。
それを失ったクリスの悲しみは計り知れない。
「大丈夫よ!」
「どうして?」
「つらい事も悲しい事も何もなければ問題なし!」
「そんなの無理よ」
「私に任せなさい!」
私は自信満々に戸惑う美少女の手を引いてお母様のところまで(無理矢理)連行しました。
「お母様、そこで捕まえてきました!」
「レイピアも好きねぇ」
「お母様の娘ですから」
お母様は迫力のある美人ですが、実は意外と少女趣味なのです。
お母様に似た私は美人で優秀なのに「もっと可愛い娘が良かったわ」と嘆くようなお方ですから。
そして私も実は……可愛いものが大好きです!
「見てください」
「ふむ、なかなか可愛いわね……ならばよし!」
は~い、お母様の許可を頂きました。
これで恐妻家のお父様は何も言えません。
「これですべて問題なしよ」
「えっ、えっ、えっ?」
強引な私の行動にクリスは目をパチクリーーカワイすぎでしょ!!
「この私がクリスの前に立ちはだかるものすべてを粉砕してあげるわ」
「えぇぇぇ~!?」
絶対守ってあげるからね!
モノホンのクリスと同じ孤児院にいたモブキャラでゲームには登場していません。しかも彼女はどうやら私と同じ乙女ゲームを知る転生者。
一緒の孤児院だったのをいいことにヒロインの持つ剣の紋章の指輪を盗んで、クリスに成り済ましてエストック家に取り入ったらしいのです。
それでは本物のクリスはどこへ行ったか?
賢明な読者諸氏はもうお分かりでしょう。
ヒロインは薄いピンクの髪にライトブルーの瞳なのです。
私の愛すべき侍女に顔を向ければ薄い桜色の髪、澄んだ水色の瞳が目に入る。
そう、この専属侍女実は……本物のクリス・エストックなのです。
どうして正ヒロインが私の専属侍女になっているかと言いますと――
私が前世の記憶を取り戻す前のまだ幼き日の話。
母と一緒に孤児院へ慰問に行った時のことです。
「ううっ、おかあさん……くすん……」
孤児達と取っ組み合いの遊びをしていたら、隅で1人うずくまっている少女を見つけました。
「どうしたの? 何を泣いてるの?」
私が声をかけると少女はビクッと肩を震わせると恐る恐る顔を上げました。
「おかあさんの……指輪が……」
それは、はらはらと涙を流す美少女……
「なにこの可愛い生き物!?」
「は、はい?」
「あなた名前は?」
「えっ、あっ、ク、クリスです」
「クリス捕獲しました」
「えっ、えっ、どうして抱きついてくるんです?」
私の暴走に悲しみどころではなくなって彼女の涙も引っ込んだようです。
彼女を愛でながら事情を聞けば、大事にしていた母の形見の指輪が見つからないと嘆いていたらしい。
「もう私……生きていけない」
母の形見があれば慰められ、勇気づけられ、どんなにつらく厳しい事でも耐えられた。
それを失ったクリスの悲しみは計り知れない。
「大丈夫よ!」
「どうして?」
「つらい事も悲しい事も何もなければ問題なし!」
「そんなの無理よ」
「私に任せなさい!」
私は自信満々に戸惑う美少女の手を引いてお母様のところまで(無理矢理)連行しました。
「お母様、そこで捕まえてきました!」
「レイピアも好きねぇ」
「お母様の娘ですから」
お母様は迫力のある美人ですが、実は意外と少女趣味なのです。
お母様に似た私は美人で優秀なのに「もっと可愛い娘が良かったわ」と嘆くようなお方ですから。
そして私も実は……可愛いものが大好きです!
「見てください」
「ふむ、なかなか可愛いわね……ならばよし!」
は~い、お母様の許可を頂きました。
これで恐妻家のお父様は何も言えません。
「これですべて問題なしよ」
「えっ、えっ、えっ?」
強引な私の行動にクリスは目をパチクリーーカワイすぎでしょ!!
「この私がクリスの前に立ちはだかるものすべてを粉砕してあげるわ」
「えぇぇぇ~!?」
絶対守ってあげるからね!
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
ゲームと現実の区別が出来ないヒドインがざまぁされるのはお約束である(仮)
白雪の雫
恋愛
「このエピソードが、あたしが妖魔の王達に溺愛される全ての始まりなのよね~」
ゲームの画面を目にしているピンク色の髪の少女が呟く。
少女の名前は篠原 真莉愛(16)
【ローズマリア~妖魔の王は月の下で愛を請う~】という乙女ゲームのヒロインだ。
そのゲームのヒロインとして転生した、前世はゲームに課金していた元社会人な女は狂喜乱舞した。
何故ならトリップした異世界でチートを得た真莉愛は聖女と呼ばれ、神かかったイケメンの妖魔の王達に溺愛されるからだ。
「複雑な家庭環境と育児放棄が原因で、ファザコンとマザコンを拗らせたアーデルヴェルトもいいけどさ、あたしの推しは隠しキャラにして彼の父親であるグレンヴァルトなのよね~。けどさ~、アラブのシークっぽい感じなラクシャーサ族の王であるブラッドフォードに、何かポセイドンっぽい感じな水妖族の王であるヴェルナーも捨て難いし~・・・」
そうよ!
だったら逆ハーをすればいいじゃない!
逆ハーは達成が難しい。だが遣り甲斐と達成感は半端ない。
その後にあるのは彼等による溺愛ルートだからだ。
これは乙女ゲームに似た現実の異世界にトリップしてしまった一人の女がゲームと現実の区別がつかない事で痛い目に遭う話である。
思い付きで書いたのでガバガバ設定+設定に矛盾がある+ご都合主義です。
いいタイトルが浮かばなかったので(仮)をつけています。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
【完結】聖女様は聖くない
当麻リコ
恋愛
異世界から召喚された聖女に婚約者の心を奪われてしまったヨハンナ。
彼女は学園の卒業パーティーで王太子である婚約者から、婚約破棄を言い渡されてしまう。
彼の心はもう自分にはないと知ったヨハンナ。
何もかも諦め婚約破棄を受け入れることにしたヨハンナの代わりに、切れたのは何故か聖女であるカレンだった――。
※短めのお話です。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
醜い私を救ってくれたのはモフモフでした ~聖女の結界が消えたと、婚約破棄した公爵が後悔してももう遅い。私は他国で王子から溺愛されます~
上下左右
恋愛
聖女クレアは泣きボクロのせいで、婚約者の公爵から醜女扱いされていた。だが彼女には唯一の心の支えがいた。愛犬のハクである。
だがある日、ハクが公爵に殺されてしまう。そんな彼女に追い打ちをかけるように、「醜い貴様との婚約を破棄する」と宣言され、新しい婚約者としてサーシャを紹介される。
サーシャはクレアと同じく異世界からの転生者で、この世界が乙女ゲームだと知っていた。ゲームの知識を利用して、悪役令嬢となるはずだったクレアから聖女の立場を奪いに来たのである。
絶望するクレアだったが、彼女の前にハクの生まれ変わりを名乗る他国の王子が現れる。そこからハクに溺愛される日々を過ごすのだった。
一方、クレアを失った王国は結界の力を失い、魔物の被害にあう。その責任を追求され、公爵はクレアを失ったことを後悔するのだった。
本物語は、不幸な聖女が、前世の知識で逆転劇を果たし、モフモフ王子から溺愛されながらハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
婚約破棄された悪役令嬢が聖女になってもおかしくはないでしょう?~えーと?誰が聖女に間違いないんでしたっけ?にやにや~
荷居人(にいと)
恋愛
「お前みたいなのが聖女なはずがない!お前とは婚約破棄だ!聖女は神の声を聞いたリアンに違いない!」
自信満々に言ってのけたこの国の王子様はまだ聖女が決まる一週間前に私と婚約破棄されました。リアンとやらをいじめたからと。
私は正しいことをしただけですから罪を認めるものですか。そう言っていたら檻に入れられて聖女が決まる神様からの認定式の日が過ぎれば処刑だなんて随分陛下が外交で不在だからとやりたい放題。
でもね、残念。私聖女に選ばれちゃいました。復縁なんてバカなこと許しませんからね?
最近の聖女婚約破棄ブームにのっかりました。
婚約破棄シリーズ記念すべき第一段!只今第五弾まで完結!婚約破棄シリーズは荷居人タグでまとめておりますので荷居人ファン様、荷居人ファンなりかけ様、荷居人ファン……かもしれない?様は是非シリーズ全て読んでいただければと思います!
聖女の能力で見た予知夢を盗まれましたが、それには大事な続きがあります~幽閉聖女と黒猫~
猫子
恋愛
「王家を欺き、聖女を騙る不届き者め! 貴様との婚約を破棄する!」
聖女リアはアズル王子より、偽者の聖女として婚約破棄を言い渡され、監獄塔へと幽閉されることになってしまう。リアは国難を退けるための予言を出していたのだが、その内容は王子に盗まれ、彼の新しい婚約者である偽聖女が出したものであるとされてしまったのだ。だが、その予言には続きがあり、まだ未完成の状態であった。梯子を外されて大慌てする王子一派を他所に、リアは王国を救うためにできることはないかと監獄塔の中で思案する。
※本作は他サイト様でも掲載しております。
婚約破棄された真の聖女は隠しキャラのオッドアイ竜大王の運命の番でした!~ヒロイン様、あなたは王子様とお幸せに!~
白樫アオニ(卯月ミント)
恋愛
「私、竜の運命の番だったみたいなのでこのまま去ります! あなたは私に構わず聖女の物語を始めてください!」
……聖女候補として長年修行してきたティターニアは王子に婚約破棄された。
しかしティターニアにとっては願ったり叶ったり。
何故なら王子が新しく婚約したのは、『乙女ゲームの世界に異世界転移したヒロインの私』を自称する異世界から来た少女ユリカだったから……。
少女ユリカが語るキラキラした物語――異世界から来た少女が聖女に選ばれてイケメン貴公子たちと絆を育みつつ魔王を倒す――(乙女ゲーム)そんな物語のファンになっていたティターニア。
つまりは異世界から来たユリカが聖女になることこそ至高! そのためには喜んで婚約破棄されるし追放もされます! わーい!!
しかし選定の儀式で選ばれたのはユリカではなくティターニアだった。
これじゃあ素敵な物語が始まらない! 焦る彼女の前に、青赤瞳のオッドアイ白竜が現れる。
運命の番としてティターニアを迎えに来たという竜。
これは……使える!
だが実はこの竜、ユリカが真に狙っていた隠しキャラの竜大王で……
・完結しました。これから先は、エピソードを足したり、続きのエピソードをいくつか更新していこうと思っています。
・お気に入り登録、ありがとうございます!
・もし面白いと思っていただけましたら、やる気が超絶跳ね上がりますので、是非お気に入り登録お願いします!
・hotランキング10位!!!本当にありがとうございます!!!
・hotランキング、2位!?!?!?これは…とんでもないことです、ありがとうございます!!!
・お気に入り数が1700超え!物凄いことが起こってます。読者様のおかげです。ありがとうございます!
・お気に入り数が3000超えました!凄いとしかいえない。ほんとに、読者様のおかげです。ありがとうございます!!!
・感想も何かございましたらお気軽にどうぞ。感想いただけますと、やる気が宇宙クラスになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる