5 / 11
第5話 婚約の理由は世界を救うため
しおりを挟む
悪役令嬢がグラディウス殿下と婚約した理由……
あれは私が13歳の時――
「たのむぅ~可愛い姪よ」
「離してください大叔父様!」
いきなり国王様が我が家にやって来て私の足に泣いて縋ってきました。
現国王様はお父様の従兄弟で親戚付き合いしておりまして、正確には従兄弟叔父にあたります。
「私のバカ息子と婚約してくれぇ!」
「ええい、国王ともあろうお方がみっともない!」
「他に手段がないんだぁ!」
まだ13歳のグラディウス殿下がボンクラすぎて既に周囲から見限られておりました。
まあ、乙女ゲームの攻略対象なんて花畑思考の人物ですから、現実に国を運営なんてできるはずもありませんよね。
他にも第二王子のファルクス殿下と第三王子のシミター殿下の王位継承者がおりますが、こちらはグラディウス殿下とは似ても似つかぬ超優秀。
年功序列で長兄のグラディウス殿下が王太子になるはずが、あまりに不出来で国王様も二の足を踏んでおいでなのです。
能力だけを見て下の弟のどちらかに王位を譲りたい。
でも、それでは派閥争いが起きて国を割りかねない。
そんな国王様の悩みを解決するのに白羽の矢が立ったのが私。
「レイピアがあいつの嫁となれば家臣も納得するはずだ」
「それは……うぅぅ~」
顔だけ王子でも超優秀な妻の助けとツヴァイハイダー公爵家の超強力な後ろ盾があれば安心。
周囲も納得せざるを得ないでしょう。
私としてはボンクラ王子様との婚約などと~っても嫌でした。ですが、私はファンディスクの存在を思い出してしまったのです。
本編では攻略対象と結ばれてハッピーエンドなんですが、後日談をRPGゲームとしたファンディスクでは異形の王が復活し、ヒロインが結ばれた攻略対象の剣となって倒す流れとなるのです。
本編のデータを継承してプレイするので、攻略対象との友好関係がそのまま強さとして反映されてしまいます。
――つまり、私の婚約破棄イベントをやらないと下手をすると世界が滅ぶヤツ!?
こうして泣く泣くグラディウス殿下の婚約者となった次第です。
これでイヤイヤ私が殿下と婚約をして破棄される茶番劇をしなければいけない理由がお分かりいただけたでしょうか?
もっとも殿下の隣にいるこのクリスのせいでゲーム設定はめちゃくちゃになっており、もはや婚約破棄イベント自体が無意味になっているんですが……
あれは私が13歳の時――
「たのむぅ~可愛い姪よ」
「離してください大叔父様!」
いきなり国王様が我が家にやって来て私の足に泣いて縋ってきました。
現国王様はお父様の従兄弟で親戚付き合いしておりまして、正確には従兄弟叔父にあたります。
「私のバカ息子と婚約してくれぇ!」
「ええい、国王ともあろうお方がみっともない!」
「他に手段がないんだぁ!」
まだ13歳のグラディウス殿下がボンクラすぎて既に周囲から見限られておりました。
まあ、乙女ゲームの攻略対象なんて花畑思考の人物ですから、現実に国を運営なんてできるはずもありませんよね。
他にも第二王子のファルクス殿下と第三王子のシミター殿下の王位継承者がおりますが、こちらはグラディウス殿下とは似ても似つかぬ超優秀。
年功序列で長兄のグラディウス殿下が王太子になるはずが、あまりに不出来で国王様も二の足を踏んでおいでなのです。
能力だけを見て下の弟のどちらかに王位を譲りたい。
でも、それでは派閥争いが起きて国を割りかねない。
そんな国王様の悩みを解決するのに白羽の矢が立ったのが私。
「レイピアがあいつの嫁となれば家臣も納得するはずだ」
「それは……うぅぅ~」
顔だけ王子でも超優秀な妻の助けとツヴァイハイダー公爵家の超強力な後ろ盾があれば安心。
周囲も納得せざるを得ないでしょう。
私としてはボンクラ王子様との婚約などと~っても嫌でした。ですが、私はファンディスクの存在を思い出してしまったのです。
本編では攻略対象と結ばれてハッピーエンドなんですが、後日談をRPGゲームとしたファンディスクでは異形の王が復活し、ヒロインが結ばれた攻略対象の剣となって倒す流れとなるのです。
本編のデータを継承してプレイするので、攻略対象との友好関係がそのまま強さとして反映されてしまいます。
――つまり、私の婚約破棄イベントをやらないと下手をすると世界が滅ぶヤツ!?
こうして泣く泣くグラディウス殿下の婚約者となった次第です。
これでイヤイヤ私が殿下と婚約をして破棄される茶番劇をしなければいけない理由がお分かりいただけたでしょうか?
もっとも殿下の隣にいるこのクリスのせいでゲーム設定はめちゃくちゃになっており、もはや婚約破棄イベント自体が無意味になっているんですが……
10
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢~改心して求婚してきたけど許しません!~
六角
恋愛
エリザベスは、自分が読んだ乙女ゲームの世界に転生したことに気づく。彼女は悪役令嬢として、皇太子レオンハルトと婚約していたが、聖女アリシアに惹かれたレオンハルトに婚約破棄を宣言される。エリザベスはショックを受けるが、自分の過ちを反省し、新しい人生を始めようと決意する。一方、レオンハルトはアリシアとの結婚後に彼女の本性を知り、後悔する。彼はエリザベスに謝罪しようとするが、彼女はすでに別の男性と幸せそうに暮らしていた。レオンハルトはエリザベスを忘れられなくなり、彼女の心を取り戻すために奮闘する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
異世界の神は毎回思う。なんで悪役令嬢の身体に聖女級の良い子ちゃんの魂入れてんのに誰も気付かないの?
下菊みこと
恋愛
理不尽に身体を奪われた悪役令嬢が、その分他の身体をもらって好きにするお話。
異世界の神は思う。悪役令嬢に聖女級の魂入れたら普通に気づけよと。身体をなくした悪役令嬢は言う。貴族なんて相手のうわべしか見てないよと。よくある悪役令嬢転生モノで、ヒロインになるんだろう女の子に身体を奪われた(神が勝手に与えちゃった)悪役令嬢はその後他の身体をもらってなんだかんだ好きにする。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した
葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。
メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。
なんかこの王太子おかしい。
婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢は、満面の笑みで旅立ち最強パーティーを結成しました!?
アトハ
恋愛
「リリアンヌ公爵令嬢! 私は貴様の罪をここで明らかにし、婚約を破棄することを宣言する!」
突き付けられた言葉を前に、私――リリアンヌは内心でガッツポーズ!
なぜなら、庶民として冒険者ギルドに登録してクエストを受けて旅をする、そんな自由な世界に羽ばたくのが念願の夢だったから!
すべては計画どおり。完璧な計画。
その計画をぶち壊すのは、あろうことかメインヒロインだった!?
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。
乙女ゲームの断罪シーンの夢を見たのでとりあえず王子を平手打ちしたら夢じゃなかった
月
恋愛
気が付くとそこは知らないパーティー会場だった。
そこへ入場してきたのは"ビッターバター"王国の王子と、エスコートされた男爵令嬢。
ビッターバターという変な国名を聞いてここがゲームと同じ世界の夢だと気付く。
夢ならいいんじゃない?と王子の顔を平手打ちしようと思った令嬢のお話。
四話構成です。
※ラテ令嬢の独り言がかなり多いです!
お気に入り登録していただけると嬉しいです。
暇つぶしにでもなれば……!
思いつきと勢いで書いたものなので名前が適当&名無しなのでご了承下さい。
一度でもふっと笑ってもらえたら嬉しいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。【完結】
古芭白あきら
恋愛
今日、私は40になる。この歳で初めて本当の恋を知った――
聖女ミレーヌは王太子の婚約者として責務を全うしてきた。しかし、新たな聖女エリーの出現で、彼女の運命が大きく動き出す。
エリーは自分を乙女ゲームのヒロインだと言い、ミレーヌを『悪役令嬢』と決めつけ謂れのない罪を被せた。それを信じた婚約者から婚約破棄を言い渡されて投獄されてしまう。
愛していたはずの家族からも、共に『魔獣』を討伐してきた騎士達からも、そして守ってきた筈の民衆からも見放され、辺境の地リアフローデンへと追放されるミレーヌ。
だが意外にも追放先の辺境の地はミレーヌに対して優しく、その地に生きる人々ととの生活に慣れ親しんでいった。
ミレーヌはシスター・ミレとして辺境で心穏やかに過ごしていたが、彼女の耳に王都での不穏な噂が入ってくる。エリーの振る舞いに民達の不満が募っていたのだ。
聖女の聖務を放棄するエリーの奢侈、100年ぶりの魔王復活、異世界からの勇者召喚、そして勇者の失踪と度重なる王家の失政に対する民の怨嗟――次々と王都で問題が湧く。
一方、ミレの聖女としての力で辺境は平穏を保っていた。
その暮らしの中で、ミレは徐々に自分の『価値』と向き合っていく。
そんな中、ミレは黒い髪、黒い瞳の謎の青年と出会う。
この人を寄せ付けないエキゾチックな青年こそがミレの運命だった。
番外編『赤の魔女のフレチェリカ』『小さき聖女シエラ』完結です。
「小説家になろう」にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる