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第34話 侯爵令嬢は2人のケンカ《イラスト:ルルとアンナ》
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アンナが何かを隠しており、ベルクルド商会について何やら情報を持っているようだとリリには分かっていたが、あえて問うことはせず、ベルクルド商会の件はこの場ではいったん保留することにした。
それにリリには他にも気になることがある。
ルルの前世と魂魄と体の記憶の関係……
まずリリはルルとアンナの前世の話を聞くことにした。
「ところでルルはアンナと同じ前世持ちだけど同じ世界の同じ国なのかしら?」
「会話に見られる文化的背景は似ていますからおそらくは」
「そーですよねぇ。なんか聞いたことあるセリフだなぁとは思ったんですよぉ」
「しかし、まさかここが乙女ゲームの世界だったなんて」
「アンナさんは気がつかなかったんですかぁ?」
「乙女ゲームなんてやったことありませんから分かる筈ありませんよ」
「いえ、でも『しろくろ』ですよ?ちょー有名じゃないですかぁ」
「知りませんよそんなの」
「えぇアンナさんは若さが足りないんじゃないですかぁ?」
ピシッ!!!
一気に室内の温度が下がり、不穏な空気が部屋中をに立ち込めた……
ルルは言ってはならないセリフを言ってしまった。
無表情のはずのアンナのこめかみに怒りマークが浮かび、背後から『怒怒怒怒怒!』と音を立てているような錯覚を覚えたが、リリは別段たじろがない。だって自分とは無関係だから。
「確かに今の私は貴女より年上です……が、前世で私はSJKでした」
冷たい視線で見下ろされてルルはタジタジだ。
「前世含めれば貴女の方が年上でしょう」
「わ、私だって前世は高校生でしたぁ……」
目が泳ぎまくるルル。もはや語るに落ちるまでもない。
「ダウト!!!」
「なんですかアンナさん!私は何も偽りは言ってませんよぉ!」
「女子高生とは片腹痛い!貴女の前世はアラサーでしょう!」
「な、な、何故それを!」
きょどるルルに侮蔑の目を向けるアンナ。
「乙女ゲームを求める年齢層はだいたい25~35歳くらいです。絶対です!」
「し、失礼な!乙女ゲームを嗜む年齢はもっと幅広いですぅ!」
「ライトユーザーや特定ゲームの追っ掛けユーザーならその範囲を外れるでしょうが、貴女は全方位型乙女ゲーマーでしょう!誤差いれても25~35歳±3歳くらいです」
アンナの指摘にルルは耳を塞いで首を振る。
「そんなことない、そんなことない。だって乙女ゲームは人気ワード。『小説家だろう』でも全年齢に愛読され常に上位にランキングするジャンル……」
「笑止!『だろう』系はなんちゃって乙女ゲームでしょうが!実在しませんし、読者も別に乙女ゲームなんてしていませんよ。絶対です!」
勝ち誇った侍女とそれを悔しげに見上げるルル。
「だいたい乙女ゲームで擬似恋愛することの何がいいのやら」
「何を言うんですか!乙女ゲームには夢と優しさが詰まっているんですぅ!」
「は!妄想と欺瞞の間違いでしょう」
「ヒドイ中傷ですぅ!そんな鬼畜だからアンナさんは美人なのに彼氏がいないんですぅ」
「前世は男いましたぁ!今世はリリ様一筋ですぅ!乙女ゲーマーみたく夢と妄想の狭間で現実逃避しているお花畑の住人とは違うんです!」
馬鹿にした嘲笑を向けてくるアンナにルルもデッドヒートだ。
「アンナさん!今の発言で貴女は全国1億2千万人の乙ゲーマーを敵に回したのです!!」
ビシッとアンナを指差しルルの強気の宣戦布告。
だがそんな程度でアンナは怯まない。
だってアンナだから。
「はっ!たかが乙女ゲームにプレイヤー人口がそんなにいるわけないでしょう!」
「乙女ゲームは偉大です!日本全国津々浦々にそのプレイヤー達がいるんですよ!」
ルルの発言に「ふん」とアンナは小馬鹿にするように鼻先で嘲笑する。
「プレイヤーの大半は女性でしょう!まず日本の人口が1億2千万人として女性は2分の1の6千万人!乙女ゲームを求めない50歳以降と20歳未満を減じて2千万人!そして、ゲーマーがその3割として考えれば2千万×0.3の、ルルーシェ!貴女の想定を遥かに下回る600万人よ!」
「なんですかぁ!その逆ウォーズマン理論は!!いやそれでも600万人いるならまだ戦える!」
多くの同志がいるという希望を持って立ち向かうルル。しかし、アンナは蔑む視線をルルに送った。
「馬鹿ですか。全ゲーマーのうち乙女ゲームやってるのなんて1割にも満たないです。更に600万に0.1を掛けて多く見積もっても60万人よ!政令指定都市最少人口の静岡市にも及ばないわ!」
「ひ、ひどい!人口の多さがそんなに偉いんですかぁ!?静岡市を馬鹿にしないでください!東京のベッドタウンとしても栄えてそれなりに都会ですしぃ、それなのに自然は豊かで富士山も良く見える絶景ポイントなんですよぉ!更に空気は美味しい!静岡おでんも美味しい!全てにおいて2度美味しい住みやすい都市なんですぅ!」
「富士山は別に静岡でなくとも見れますしぃ!私は真っ黒な静岡おでんは好みません!何ですかあれ?具材まで真っ黒にして!」
「静岡のソウルフード黒はんぺんを冒涜する発言ゆるすまじぃ!」
「貴女おでん食べ過ぎて腹の中まで真っ黒になってるんじゃないんですか?」
「真っ黒なのはアンナさんの腹の中ですぅ!」
ガルルルル……
シャァァァ……
と毛を逆立て威嚇する大型犬(アンナ)と仔猫(ルル)を背景にして争う2人。
【イラスト/陰東 一華菱様】
楽しんで傍観していたリリもさすがにそろそろ呆れてきた。
「…………二人とも論点がずれていっているわよ」
ルルとアンナは仁義なき争いに突入します。だけどケンカするほど仲が良いのかも……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「なんで『しろくろ』を知らないんですかぁ!」
アンナ「そんなマイナーゲーム知るわけないでしょ!」
ルル「ちょー有名ですぅ!」
アンナ「今までの転生者で知っていたという報告はありません!」
ルル「60万のゲーマーがいるんですよ!」
アンナ「60万の乙女ゲーマーが全員『しろくろ』やってるわけないでしょう!数万人がいいところです!」
ルル「『しろくろ』には数多くの二次作品があるんですぅ!絶対ファンは数多くいますぅ!」
アンナ「それは『しろくろ』ファンじゃなくて『リリ様』信者でしょうが!」
ルル「シャァァァ!!!」アンナ「がルルルゥ!」
リリ「……貴女たち場外でまで話を持ち込まないの」
それにリリには他にも気になることがある。
ルルの前世と魂魄と体の記憶の関係……
まずリリはルルとアンナの前世の話を聞くことにした。
「ところでルルはアンナと同じ前世持ちだけど同じ世界の同じ国なのかしら?」
「会話に見られる文化的背景は似ていますからおそらくは」
「そーですよねぇ。なんか聞いたことあるセリフだなぁとは思ったんですよぉ」
「しかし、まさかここが乙女ゲームの世界だったなんて」
「アンナさんは気がつかなかったんですかぁ?」
「乙女ゲームなんてやったことありませんから分かる筈ありませんよ」
「いえ、でも『しろくろ』ですよ?ちょー有名じゃないですかぁ」
「知りませんよそんなの」
「えぇアンナさんは若さが足りないんじゃないですかぁ?」
ピシッ!!!
一気に室内の温度が下がり、不穏な空気が部屋中をに立ち込めた……
ルルは言ってはならないセリフを言ってしまった。
無表情のはずのアンナのこめかみに怒りマークが浮かび、背後から『怒怒怒怒怒!』と音を立てているような錯覚を覚えたが、リリは別段たじろがない。だって自分とは無関係だから。
「確かに今の私は貴女より年上です……が、前世で私はSJKでした」
冷たい視線で見下ろされてルルはタジタジだ。
「前世含めれば貴女の方が年上でしょう」
「わ、私だって前世は高校生でしたぁ……」
目が泳ぎまくるルル。もはや語るに落ちるまでもない。
「ダウト!!!」
「なんですかアンナさん!私は何も偽りは言ってませんよぉ!」
「女子高生とは片腹痛い!貴女の前世はアラサーでしょう!」
「な、な、何故それを!」
きょどるルルに侮蔑の目を向けるアンナ。
「乙女ゲームを求める年齢層はだいたい25~35歳くらいです。絶対です!」
「し、失礼な!乙女ゲームを嗜む年齢はもっと幅広いですぅ!」
「ライトユーザーや特定ゲームの追っ掛けユーザーならその範囲を外れるでしょうが、貴女は全方位型乙女ゲーマーでしょう!誤差いれても25~35歳±3歳くらいです」
アンナの指摘にルルは耳を塞いで首を振る。
「そんなことない、そんなことない。だって乙女ゲームは人気ワード。『小説家だろう』でも全年齢に愛読され常に上位にランキングするジャンル……」
「笑止!『だろう』系はなんちゃって乙女ゲームでしょうが!実在しませんし、読者も別に乙女ゲームなんてしていませんよ。絶対です!」
勝ち誇った侍女とそれを悔しげに見上げるルル。
「だいたい乙女ゲームで擬似恋愛することの何がいいのやら」
「何を言うんですか!乙女ゲームには夢と優しさが詰まっているんですぅ!」
「は!妄想と欺瞞の間違いでしょう」
「ヒドイ中傷ですぅ!そんな鬼畜だからアンナさんは美人なのに彼氏がいないんですぅ」
「前世は男いましたぁ!今世はリリ様一筋ですぅ!乙女ゲーマーみたく夢と妄想の狭間で現実逃避しているお花畑の住人とは違うんです!」
馬鹿にした嘲笑を向けてくるアンナにルルもデッドヒートだ。
「アンナさん!今の発言で貴女は全国1億2千万人の乙ゲーマーを敵に回したのです!!」
ビシッとアンナを指差しルルの強気の宣戦布告。
だがそんな程度でアンナは怯まない。
だってアンナだから。
「はっ!たかが乙女ゲームにプレイヤー人口がそんなにいるわけないでしょう!」
「乙女ゲームは偉大です!日本全国津々浦々にそのプレイヤー達がいるんですよ!」
ルルの発言に「ふん」とアンナは小馬鹿にするように鼻先で嘲笑する。
「プレイヤーの大半は女性でしょう!まず日本の人口が1億2千万人として女性は2分の1の6千万人!乙女ゲームを求めない50歳以降と20歳未満を減じて2千万人!そして、ゲーマーがその3割として考えれば2千万×0.3の、ルルーシェ!貴女の想定を遥かに下回る600万人よ!」
「なんですかぁ!その逆ウォーズマン理論は!!いやそれでも600万人いるならまだ戦える!」
多くの同志がいるという希望を持って立ち向かうルル。しかし、アンナは蔑む視線をルルに送った。
「馬鹿ですか。全ゲーマーのうち乙女ゲームやってるのなんて1割にも満たないです。更に600万に0.1を掛けて多く見積もっても60万人よ!政令指定都市最少人口の静岡市にも及ばないわ!」
「ひ、ひどい!人口の多さがそんなに偉いんですかぁ!?静岡市を馬鹿にしないでください!東京のベッドタウンとしても栄えてそれなりに都会ですしぃ、それなのに自然は豊かで富士山も良く見える絶景ポイントなんですよぉ!更に空気は美味しい!静岡おでんも美味しい!全てにおいて2度美味しい住みやすい都市なんですぅ!」
「富士山は別に静岡でなくとも見れますしぃ!私は真っ黒な静岡おでんは好みません!何ですかあれ?具材まで真っ黒にして!」
「静岡のソウルフード黒はんぺんを冒涜する発言ゆるすまじぃ!」
「貴女おでん食べ過ぎて腹の中まで真っ黒になってるんじゃないんですか?」
「真っ黒なのはアンナさんの腹の中ですぅ!」
ガルルルル……
シャァァァ……
と毛を逆立て威嚇する大型犬(アンナ)と仔猫(ルル)を背景にして争う2人。
【イラスト/陰東 一華菱様】
楽しんで傍観していたリリもさすがにそろそろ呆れてきた。
「…………二人とも論点がずれていっているわよ」
ルルとアンナは仁義なき争いに突入します。だけどケンカするほど仲が良いのかも……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「なんで『しろくろ』を知らないんですかぁ!」
アンナ「そんなマイナーゲーム知るわけないでしょ!」
ルル「ちょー有名ですぅ!」
アンナ「今までの転生者で知っていたという報告はありません!」
ルル「60万のゲーマーがいるんですよ!」
アンナ「60万の乙女ゲーマーが全員『しろくろ』やってるわけないでしょう!数万人がいいところです!」
ルル「『しろくろ』には数多くの二次作品があるんですぅ!絶対ファンは数多くいますぅ!」
アンナ「それは『しろくろ』ファンじゃなくて『リリ様』信者でしょうが!」
ルル「シャァァァ!!!」アンナ「がルルルゥ!」
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