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第12話 侯爵令嬢は魔術戦をする……直前です
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リリがサージェイと魔術の展望について話しているうちに思った以上に遅れていたクラスメイトたちがようやく走り終えたようで、ゴールの辺りで疲れ果てた様子で座り込む者が増えていった。
──魔術を使用すればもっと早く、楽に走り終えたでしょうに。
走力補助の魔術は身体強化に分類される非定型魔術である。まだまだ新しく研究段階の非定型魔術には殆ど定型文がない。故に自分で魔術構文を組まなければ使えないのだ。
非定型魔術は難しいが講義をきちんと受けていればリリ程ではなくとも簡単な補助魔術は使えたはずだ。しかし、リリ以外誰一人として魔術を使用した形跡がない。
──それに定型文にある移動系の魔術を使用すればよかったのに。サージェイは「グランド10周」としか、走れとは言っていないのですから。
定型文でも上手く使用すればどうとでもなるのだ。要はアイディアと応用力。そして、それらを実行するための基礎力だ。
10周を走り地面に倒れるように座り息の上がったクラスメイトをリリは涼しい顔で眺めていたが、息を整えた男子生徒の一人がリリをキッと睨めつけて立ち上がると怒気を孕んだ表情で迫ってきた。
──確か伯爵令息の1人でしたか?
伯爵位の中でも序列はある。序列の低い伯爵家で本人の能力や人格にも見るべきものがない令息のためはっきりと記憶していないが、魔術構文の講義で騒いでいた生徒であったことは間違いない。
「おまえ!ずるしてんじゃねぇ!」
「ずる?不正を働いたつもりはありませんが」
「女がそんなに速く走れるわけがないだろうが!」
アルカイックスマイルで対応したリリに伯爵令息は簡単に逆上した。この程度で感情を乱す伯爵令息にリリは溜め息をつきそうになる。
──感情の制御もできないのですか。
「魔術を使用すれば男も女も関係ありません。あれくらいは普通でしょう?」
「魔術の使用なんて汚ねぇだろ!」
激昂する令息にリリは可愛く小首を傾げ、何を言われているか分からないといった感じを見せた。もちろんこの伯爵令息が何を言いたいか理解してはいるが。
「どういうことでしょう?サージェイ、私は何かいけない事を致しましたでしょうか?」
「ん?特に問題はないのであーる」
「だ、そうですが」
「な!?この女は魔術を使用したのですよ」
「今は魔術実践の講義なのであーる。魔術の行使は当たり前なのであーる」
「そ、そんなこと最初に何も……」
令息の言にサージェイは溜め息をついた。
「当たり前の事だと思うが。何も言わなくともレディ・ルミエンは魔術を使って見せたが」
「そ、そんなの!言って貰わねば10周走れと言うだけでは分かりません」
「言わねばならんか?何も言わずとも他のクラスは普通に魔術を使用して10周を熟していたが?」
「くっ!」
「無理ですよサージェイ。魔術構文の講義もまともに受けていないのです。定型文しか魔術を行使できない者に非定型魔術の身体強化は使えません」
「お前のような下位貴族と違って魔力保持容量が高い高位な貴族は定型文を駆使できればいいんだよ!」
令息の暴言にリリはやれやれと肩をすくめ、サージェイは一つ嘆息した。
「定型文は庶民に魔術を広め文化水準を上げた素晴らしい業績であーる。しかし、貴族にとっては赤子が自らの足で歩行をするのを助ける補助具のようなものであーる」
「ですが、習いたての魔術言語や魔術構文では身体補助系の様な非定型魔術は構築できません!」
「レディ・ルミエンは使って見せたが……まあ、それを抜きにしても他クラス、貴様達よりも成績下位の者達でも魔術を行使して走っていたが」
サージェイは呆れた目を見せ、伯爵令息はたじろいだ。
「そんなはずは……現在の段階で一年に非定型魔術を行使できるはずがありません!」
「事実このクラス以外は魔術を使っているのであーる。流石に非定型魔術を使用した者は王太子殿下とそこのレディ・ルミエンだけであったが、定型文も魔術言語や魔術構文をある程度理解していればアレンジして10周熟すのに利用することはできるのであーる!」
王太子であるリリの婚約者ライルはルルに熱を上げるアホ殿下と思われているが成績は学園でもリリに次ぐ好成績を誇る。行いはともかく勉学や魔術に関してはリリ程ではないが優秀なのだ。ちなみにリリはライルと同じクラスであったが、残念ながら王妃教育のため欠席していた。
「不満であるか?ゼルマイヤ・ダマルタン」
「くっ!」
腕を組み睥睨するサージェイの圧力にゼルマイヤ・ダマルタンと呼ばれたこの伯爵令息はたじろぎ、周囲の生徒たちも固唾を呑んで見守った。
──ダマルタン伯爵家の次男でしたか。
その中で、リリは名前を聞いて相手が誰かを初めて認識して、以前にどこかの夜会であったダルマン伯爵の優秀な嫡男が出来の悪い愚弟だと嘆いていたなと思い出した。
下を見て上を見ない。魔力保持容量があっても努力をしない。と……
「ふむ……ならその身を持って理解するのであーる」
腕を組んだままのサージェイが口の端を釣り上げ不敵に笑うとチラリとリリを一瞥しすると、ニヤリと不敵な笑いを浮かべた。
「本来はもう少し先の講義であるが……」
サージェイはそう言うと組んでいた腕を解き顔の横まで右手を挙げると、その右手の指にはいつの間にやら2つのバングルが挟まれていた。
そして、クラス中が注目する中サージェイは……
「今よりルルーシェ・ルミエンとゼルマイヤ・ダマルタンとの魔術摸擬戦を行うのであーる!」
魔術演習場全体に響き渡るような大音声で宣言したのだった。
リリは不意の魔術戦でも困らない。どう料理してくれようかと思案中です……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「ついにリリ様が魔術で戦うんですね!」
アンナ「そうですね」
ルル「あれ?魔術を行使するリリ様想像してアンナさんが興奮して、悶えて、狂喜乱舞すると思ったのに」
アンナ「瞬殺で終わるでしょうから興味が沸きません」
ルル「え!?リリ様ってそんなに強いんですか?」
アンナ「おそらく世界で一番強いです」
ルル「またまたまたぁ。いくらシリーズ最強悪役令嬢と言われたリリ様でも世界一はないでしょう」
アンナ「リリ様にはチートスキルがありますから」
ルル「スキル?この世界にはそう言った設定はなかったはずですが?」
アンナ「そうです。リリ様だけのチートスキルです。それに世界最高峰の魔力保持容量がありますからリリ様が負ける姿は想像できません」
ルル「何ですかそのチートって?」
アンナ「いずれ分かります」
──魔術を使用すればもっと早く、楽に走り終えたでしょうに。
走力補助の魔術は身体強化に分類される非定型魔術である。まだまだ新しく研究段階の非定型魔術には殆ど定型文がない。故に自分で魔術構文を組まなければ使えないのだ。
非定型魔術は難しいが講義をきちんと受けていればリリ程ではなくとも簡単な補助魔術は使えたはずだ。しかし、リリ以外誰一人として魔術を使用した形跡がない。
──それに定型文にある移動系の魔術を使用すればよかったのに。サージェイは「グランド10周」としか、走れとは言っていないのですから。
定型文でも上手く使用すればどうとでもなるのだ。要はアイディアと応用力。そして、それらを実行するための基礎力だ。
10周を走り地面に倒れるように座り息の上がったクラスメイトをリリは涼しい顔で眺めていたが、息を整えた男子生徒の一人がリリをキッと睨めつけて立ち上がると怒気を孕んだ表情で迫ってきた。
──確か伯爵令息の1人でしたか?
伯爵位の中でも序列はある。序列の低い伯爵家で本人の能力や人格にも見るべきものがない令息のためはっきりと記憶していないが、魔術構文の講義で騒いでいた生徒であったことは間違いない。
「おまえ!ずるしてんじゃねぇ!」
「ずる?不正を働いたつもりはありませんが」
「女がそんなに速く走れるわけがないだろうが!」
アルカイックスマイルで対応したリリに伯爵令息は簡単に逆上した。この程度で感情を乱す伯爵令息にリリは溜め息をつきそうになる。
──感情の制御もできないのですか。
「魔術を使用すれば男も女も関係ありません。あれくらいは普通でしょう?」
「魔術の使用なんて汚ねぇだろ!」
激昂する令息にリリは可愛く小首を傾げ、何を言われているか分からないといった感じを見せた。もちろんこの伯爵令息が何を言いたいか理解してはいるが。
「どういうことでしょう?サージェイ、私は何かいけない事を致しましたでしょうか?」
「ん?特に問題はないのであーる」
「だ、そうですが」
「な!?この女は魔術を使用したのですよ」
「今は魔術実践の講義なのであーる。魔術の行使は当たり前なのであーる」
「そ、そんなこと最初に何も……」
令息の言にサージェイは溜め息をついた。
「当たり前の事だと思うが。何も言わなくともレディ・ルミエンは魔術を使って見せたが」
「そ、そんなの!言って貰わねば10周走れと言うだけでは分かりません」
「言わねばならんか?何も言わずとも他のクラスは普通に魔術を使用して10周を熟していたが?」
「くっ!」
「無理ですよサージェイ。魔術構文の講義もまともに受けていないのです。定型文しか魔術を行使できない者に非定型魔術の身体強化は使えません」
「お前のような下位貴族と違って魔力保持容量が高い高位な貴族は定型文を駆使できればいいんだよ!」
令息の暴言にリリはやれやれと肩をすくめ、サージェイは一つ嘆息した。
「定型文は庶民に魔術を広め文化水準を上げた素晴らしい業績であーる。しかし、貴族にとっては赤子が自らの足で歩行をするのを助ける補助具のようなものであーる」
「ですが、習いたての魔術言語や魔術構文では身体補助系の様な非定型魔術は構築できません!」
「レディ・ルミエンは使って見せたが……まあ、それを抜きにしても他クラス、貴様達よりも成績下位の者達でも魔術を行使して走っていたが」
サージェイは呆れた目を見せ、伯爵令息はたじろいだ。
「そんなはずは……現在の段階で一年に非定型魔術を行使できるはずがありません!」
「事実このクラス以外は魔術を使っているのであーる。流石に非定型魔術を使用した者は王太子殿下とそこのレディ・ルミエンだけであったが、定型文も魔術言語や魔術構文をある程度理解していればアレンジして10周熟すのに利用することはできるのであーる!」
王太子であるリリの婚約者ライルはルルに熱を上げるアホ殿下と思われているが成績は学園でもリリに次ぐ好成績を誇る。行いはともかく勉学や魔術に関してはリリ程ではないが優秀なのだ。ちなみにリリはライルと同じクラスであったが、残念ながら王妃教育のため欠席していた。
「不満であるか?ゼルマイヤ・ダマルタン」
「くっ!」
腕を組み睥睨するサージェイの圧力にゼルマイヤ・ダマルタンと呼ばれたこの伯爵令息はたじろぎ、周囲の生徒たちも固唾を呑んで見守った。
──ダマルタン伯爵家の次男でしたか。
その中で、リリは名前を聞いて相手が誰かを初めて認識して、以前にどこかの夜会であったダルマン伯爵の優秀な嫡男が出来の悪い愚弟だと嘆いていたなと思い出した。
下を見て上を見ない。魔力保持容量があっても努力をしない。と……
「ふむ……ならその身を持って理解するのであーる」
腕を組んだままのサージェイが口の端を釣り上げ不敵に笑うとチラリとリリを一瞥しすると、ニヤリと不敵な笑いを浮かべた。
「本来はもう少し先の講義であるが……」
サージェイはそう言うと組んでいた腕を解き顔の横まで右手を挙げると、その右手の指にはいつの間にやら2つのバングルが挟まれていた。
そして、クラス中が注目する中サージェイは……
「今よりルルーシェ・ルミエンとゼルマイヤ・ダマルタンとの魔術摸擬戦を行うのであーる!」
魔術演習場全体に響き渡るような大音声で宣言したのだった。
リリは不意の魔術戦でも困らない。どう料理してくれようかと思案中です……
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ルル「あれ?魔術を行使するリリ様想像してアンナさんが興奮して、悶えて、狂喜乱舞すると思ったのに」
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アンナ「おそらく世界で一番強いです」
ルル「またまたまたぁ。いくらシリーズ最強悪役令嬢と言われたリリ様でも世界一はないでしょう」
アンナ「リリ様にはチートスキルがありますから」
ルル「スキル?この世界にはそう言った設定はなかったはずですが?」
アンナ「そうです。リリ様だけのチートスキルです。それに世界最高峰の魔力保持容量がありますからリリ様が負ける姿は想像できません」
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