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第9話 侯爵令嬢は講義を受ける(説明回です)
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1限目『魔術構文』
授業の時間になり入室してきたのは還暦をとうに過ぎているであろう男性教諭であった。
リリは淡々と進められる講義を聴講しながら一部の私語が気になった。
──この教諭は確かケイマン男爵家の方でしたね。
伯爵位の子息達があまり真面目に講義を受けていない。どうやら自分より下位の爵位家の者を軽んじているようだ。
──まったく……魔術構文は魔術を行使する上での基礎であり最も重要な内容なのに。
前期では魔力と魔術の概念について、前期後半からこれからの後期にかけて魔術言語と魔術構文について学ぶ。いずれにせよ座学であり確かに退屈ではある。だからと言ってそれらの重要性が低いわけではないのだ。
『魔術』
魔術は魔力を用いて様々な事象を具現化する技術、学問のことである。
まだ魔族が蔓延っていた数百年前は『魔法』と呼ばれ人種では一部の魔法使いのみが使用できた力。当時、魔法使いたちもこの魔力を具象化する理論的なことは何一つ理解していなかった。
魔力とは世界中のあらゆる所に存在する不可視のエネルギーのことである。
その殆どが大気中に存在し、生物や物質は呼吸や浸透などによりこの魔力を内部に取り込む。この内包された魔力のことを『内包魔力』、内包魔力の最大値のことを『魔力保持容量』と呼ぶ。
しかし、魔力を具象化するのには莫大な魔力を消費するため、一般的生物の持てる魔力保持容量では小さすぎて事象の具現化はできなかった。
だが魔獣や魔族は魔力を様々な事象として行使し、人種でも魔法使いが『魔法』という形で魔力を使用していた。
これら魔力を行使している者たちがいるのだ、ならば必ず方法があるはずだ。
人々は魔法を手にするため膨大な検証を重ねた。
その結果、魔族や魔法使い達が自身の魔力を呼び水にして大気中の魔力を利用している事を突き止めた。なるほど大気中の魔力は膨大だ。これを使えるなら『魔法』の使用も可能だろう。
大気中の魔力の具現化が解明できれば一般人でも魔法を使うことができるのではないか?
その発想から大気中の魔力に干渉する術を模索する学問が生まれた。
その学問こそが『魔術』の発祥となり、『魔法』からの脱却の一歩となった。
人類は数々の失敗と成功の繰り返しを延々と続け、数百年前にその飽くなき探究心がついに結実したのだ。
人の叡智の結晶である『魔術言語』と『魔術構文』の登場である。
一部の者たちしか使用できなかった『魔法』を『魔術言語』と『魔術構文』を使うことで『魔術』と言う形で行使する力を得た。
『魔術言語』
大気中の魔力に干渉するため、体内の魔力で生成する言語である。
例えば『水』に相当する魔術言語を生成すれば大気中の魔力が水に、『火』に相当する魔術言語を生成すれば大気中の魔力が火に変換される。
ところが様々な魔術言語が生み出されたのだが、それだけでは魔術として意味をなさなかった。
水や火が生まれるだけで、それらを意図する方向に作用させることができないからである。これを解決するために編み出された手法が『魔術構文』である。
『魔術構文』
魔術言語を組み合わせて編まれた大気中に存在する魔力へ干渉し現象を具現化する為の命令文である。
例えば竈門に火をつけたいとする。『火』という魔術言語だけでは火が生まれるだけで上手く作用しないが、魔術言語を組み合わせて「種火ほどの火を前方1mに10秒点火」というように綴れば意図する現象を引き起こせるというわけだ。
つまり、これらは大気中の魔力と会話する言語学であり、魔術とは大気中の魔力に自分の魔力を言葉に変えてお願いする方法と言い換えてもよい。
しかし、魔術言語と魔術構文は高度な学問である。これらを熟知することは難しい。かと言って全員が熟知しなければ魔術を使用できないのであれば魔術の汎用性は低いものとなってしまう。
そこで『魔術定型文』通称『定型文』の流布が行われた。
最初から構築された魔術構文を教本として広めたのだ。これにより魔術言語や魔術構文をあまり理解しない者も定型文を丸暗記する事で魔術を行使できる様になった。
──伯爵子息ともなれば家で家庭教師から色々な定型文を習っているのでしょう。確かにそれで魔術を行使することはできます。ですが……
騒ぐ高位貴族の子息達にリリは嘆息した。
下位貴族は魔術を今から入学から学ぶ者が多いのである。邪魔をするものではない。
それに高位の彼らも定型文を丸暗記しているに過ぎないものがほとんどだろう。もし、魔術言語や魔術構文を理解しているなら伯爵位以上の子息がこのクラスにいるはずがないのだ。
それに確かに魔術構文の中身を理解していなくとも先人の産み出した定型文を暗記すれば、その者の魔力保持量が許す限り魔術を行使する事は誰にでも可能である。
しかし、魔術構文は同じような文章でも魔術言語の組み方によって、その応用性はとてつもなく広がる。魔術言語と魔術構文をある程度理解することができれば定型文の改良、改造も行え、状況に適した定型文の改変が可能になるのだ。さらにより深く理解すれば自ら魔術を構築することもできよう。
──自ら能力向上の機会を棒に振るなど論外です。
リリ自身は既に自身で魔術構文を編んで新しい魔術を構築できる才女である。講義を受けずとも問題はない。しかし、これではこのクラスの下位貴族の子女が教育の機会が失われてしまう。
──このクラスでは、やる気のある生徒も成長できないですね。
リリは授業妨害でも困らない。だけどクラスの未来を憂いています……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「で、結局魔術言語とか魔術構文って何なんです?」
アンナ「魔術言語はプログラム言語、魔術構文はプログラムと思えばいいでしょう」
ルル「パソコンに対して命令できる言語とそれを使用した命令文なんですね」
アンナ「そうですね。定型文はさしずめEXCELのマクロみたいなものでしょうか」
ルル「うわぁ懐かしいですね。VBAで閲覧すれば色々改変できると。だから魔術言語と魔術構文が重要なんですね」
アンナ「(こいつポンコツのくせにVBAできるのか)もっと簡便なものだと魔道具ですね」
ルル「ファンタジーの定番ですね」
アンナ「これは魔刻石に特定の魔術構文を刻みこんで、魔力を通すとその刻まれた構文の魔術が発動するようになっています」
ルル「タップで動作するアプリみたいなものですね」
アンナ「前世の記憶があると理解が早くて助かります」
ルル「つまり私たちは電気を持たないので、直接パソコンの機能を行使できないけれど魔術言語でプログラムを作成することで色々な機能が使えるようになると。定型文はそれらプログラムの意味を知らずとも起きる現象だけ理解して魔術言語の羅列を丸暗記している状態というわけですね」
アンナ「!!!」
ルル「しかし昔の魔法使いは魔術言語を使用していなかったようですが……もしかしたら『魔法』と言うのはキーボードを介さずに直接パソコン内に命令を与える行為。近未来的な電脳世界のような代物なのかもしれませんね。攻殻〇動隊の世界です!」
アンナ「貴女ほんとうにルルですか!?」
授業の時間になり入室してきたのは還暦をとうに過ぎているであろう男性教諭であった。
リリは淡々と進められる講義を聴講しながら一部の私語が気になった。
──この教諭は確かケイマン男爵家の方でしたね。
伯爵位の子息達があまり真面目に講義を受けていない。どうやら自分より下位の爵位家の者を軽んじているようだ。
──まったく……魔術構文は魔術を行使する上での基礎であり最も重要な内容なのに。
前期では魔力と魔術の概念について、前期後半からこれからの後期にかけて魔術言語と魔術構文について学ぶ。いずれにせよ座学であり確かに退屈ではある。だからと言ってそれらの重要性が低いわけではないのだ。
『魔術』
魔術は魔力を用いて様々な事象を具現化する技術、学問のことである。
まだ魔族が蔓延っていた数百年前は『魔法』と呼ばれ人種では一部の魔法使いのみが使用できた力。当時、魔法使いたちもこの魔力を具象化する理論的なことは何一つ理解していなかった。
魔力とは世界中のあらゆる所に存在する不可視のエネルギーのことである。
その殆どが大気中に存在し、生物や物質は呼吸や浸透などによりこの魔力を内部に取り込む。この内包された魔力のことを『内包魔力』、内包魔力の最大値のことを『魔力保持容量』と呼ぶ。
しかし、魔力を具象化するのには莫大な魔力を消費するため、一般的生物の持てる魔力保持容量では小さすぎて事象の具現化はできなかった。
だが魔獣や魔族は魔力を様々な事象として行使し、人種でも魔法使いが『魔法』という形で魔力を使用していた。
これら魔力を行使している者たちがいるのだ、ならば必ず方法があるはずだ。
人々は魔法を手にするため膨大な検証を重ねた。
その結果、魔族や魔法使い達が自身の魔力を呼び水にして大気中の魔力を利用している事を突き止めた。なるほど大気中の魔力は膨大だ。これを使えるなら『魔法』の使用も可能だろう。
大気中の魔力の具現化が解明できれば一般人でも魔法を使うことができるのではないか?
その発想から大気中の魔力に干渉する術を模索する学問が生まれた。
その学問こそが『魔術』の発祥となり、『魔法』からの脱却の一歩となった。
人類は数々の失敗と成功の繰り返しを延々と続け、数百年前にその飽くなき探究心がついに結実したのだ。
人の叡智の結晶である『魔術言語』と『魔術構文』の登場である。
一部の者たちしか使用できなかった『魔法』を『魔術言語』と『魔術構文』を使うことで『魔術』と言う形で行使する力を得た。
『魔術言語』
大気中の魔力に干渉するため、体内の魔力で生成する言語である。
例えば『水』に相当する魔術言語を生成すれば大気中の魔力が水に、『火』に相当する魔術言語を生成すれば大気中の魔力が火に変換される。
ところが様々な魔術言語が生み出されたのだが、それだけでは魔術として意味をなさなかった。
水や火が生まれるだけで、それらを意図する方向に作用させることができないからである。これを解決するために編み出された手法が『魔術構文』である。
『魔術構文』
魔術言語を組み合わせて編まれた大気中に存在する魔力へ干渉し現象を具現化する為の命令文である。
例えば竈門に火をつけたいとする。『火』という魔術言語だけでは火が生まれるだけで上手く作用しないが、魔術言語を組み合わせて「種火ほどの火を前方1mに10秒点火」というように綴れば意図する現象を引き起こせるというわけだ。
つまり、これらは大気中の魔力と会話する言語学であり、魔術とは大気中の魔力に自分の魔力を言葉に変えてお願いする方法と言い換えてもよい。
しかし、魔術言語と魔術構文は高度な学問である。これらを熟知することは難しい。かと言って全員が熟知しなければ魔術を使用できないのであれば魔術の汎用性は低いものとなってしまう。
そこで『魔術定型文』通称『定型文』の流布が行われた。
最初から構築された魔術構文を教本として広めたのだ。これにより魔術言語や魔術構文をあまり理解しない者も定型文を丸暗記する事で魔術を行使できる様になった。
──伯爵子息ともなれば家で家庭教師から色々な定型文を習っているのでしょう。確かにそれで魔術を行使することはできます。ですが……
騒ぐ高位貴族の子息達にリリは嘆息した。
下位貴族は魔術を今から入学から学ぶ者が多いのである。邪魔をするものではない。
それに高位の彼らも定型文を丸暗記しているに過ぎないものがほとんどだろう。もし、魔術言語や魔術構文を理解しているなら伯爵位以上の子息がこのクラスにいるはずがないのだ。
それに確かに魔術構文の中身を理解していなくとも先人の産み出した定型文を暗記すれば、その者の魔力保持量が許す限り魔術を行使する事は誰にでも可能である。
しかし、魔術構文は同じような文章でも魔術言語の組み方によって、その応用性はとてつもなく広がる。魔術言語と魔術構文をある程度理解することができれば定型文の改良、改造も行え、状況に適した定型文の改変が可能になるのだ。さらにより深く理解すれば自ら魔術を構築することもできよう。
──自ら能力向上の機会を棒に振るなど論外です。
リリ自身は既に自身で魔術構文を編んで新しい魔術を構築できる才女である。講義を受けずとも問題はない。しかし、これではこのクラスの下位貴族の子女が教育の機会が失われてしまう。
──このクラスでは、やる気のある生徒も成長できないですね。
リリは授業妨害でも困らない。だけどクラスの未来を憂いています……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「で、結局魔術言語とか魔術構文って何なんです?」
アンナ「魔術言語はプログラム言語、魔術構文はプログラムと思えばいいでしょう」
ルル「パソコンに対して命令できる言語とそれを使用した命令文なんですね」
アンナ「そうですね。定型文はさしずめEXCELのマクロみたいなものでしょうか」
ルル「うわぁ懐かしいですね。VBAで閲覧すれば色々改変できると。だから魔術言語と魔術構文が重要なんですね」
アンナ「(こいつポンコツのくせにVBAできるのか)もっと簡便なものだと魔道具ですね」
ルル「ファンタジーの定番ですね」
アンナ「これは魔刻石に特定の魔術構文を刻みこんで、魔力を通すとその刻まれた構文の魔術が発動するようになっています」
ルル「タップで動作するアプリみたいなものですね」
アンナ「前世の記憶があると理解が早くて助かります」
ルル「つまり私たちは電気を持たないので、直接パソコンの機能を行使できないけれど魔術言語でプログラムを作成することで色々な機能が使えるようになると。定型文はそれらプログラムの意味を知らずとも起きる現象だけ理解して魔術言語の羅列を丸暗記している状態というわけですね」
アンナ「!!!」
ルル「しかし昔の魔法使いは魔術言語を使用していなかったようですが……もしかしたら『魔法』と言うのはキーボードを介さずに直接パソコン内に命令を与える行為。近未来的な電脳世界のような代物なのかもしれませんね。攻殻〇動隊の世界です!」
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