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第8話 侯爵令嬢は学園生活に心が躍る
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多少道に迷いながらも目的の学園の建物が見えてきたところでリリは徐々に速度を落とし、学園の門の前で魔術を解除した。
──この体は私の移動用魔術に対応できる『魔力保持用量』を持っているのですね。
汎用の移動魔術では大きな魔力保持容量を必要としないが、リリのオリジナルは移動速度、加速度、運動性を遥かに向上させており、運用のさい常時魔術言語を入力することが要求される。そのため、ある程度魔力保持容量が無ければ使用ができないのだ。
魔力保持容量については後の講義で解説する。
──やはり、この体はかなりのスペックを持っているようですね。『魔力保持用量』は私と同じか、もしかしたそれ以上かも。これだけの能力があるのに、この娘は一体何を考えているのかしら?
リリは一度ルルときちんと話さなければいけないと感じていた。
──ですが今は何を置いても講義です!
実は王太子妃教育のためあまり学園での講義に出席していなかったので、リリはこうしてルルとしてではあるが、講義を受けられることを結構楽しみにしているのである。
リリやルルが通うこの学舎はシュトレイン学園という。貴族子女が貴族の素養を高めることを目的に設立された。出資は国と貴族達であり、当然、貴族のみが所属できる。よって市井にある庶民の為の民間学校とは資金のかけ方が違い、その設備は贅が尽くされた立派なものなのである。
まず学園の門からして荘厳で威圧的、それでいて装飾は華美なのだ。権威的である必要性はリリも認めている。だが、警備上その門は堅牢であるのはよいのだが少々華飾ではないかと常々感じている。
──見窄らしいのはいけませんが、もう少し実用的な所にお金をかけられないものでしょうか?
この学院の生徒であること示す制服と校章に身を包んでいるリリは門衛に咎められる事なく素通りし校内へと歩を進めた。中に入れば外の街とは別世界であり、煌びやかな建造物が建ち並んでいる。
100年以上の歴史のあるシュトレイン学園は十数年前に老朽化から建物を一新していた。
華美を好んだ前国王の指示により建造物が出来上がったわけだが、必要以上に権威主義が表に出ているこれらをリリはあまり好きになれなかった。
質実剛健が国是であった王国の暗澹たる未来を暗示している様に感じて、リリは改めるべきではないかと感じている。この最近の国の状況が王太子妃の打診を拒否しなかったことの一因でもある。自分にできることがあるのではないかと考えたのだ。
生徒が座学やホームルームを受ける教室のある建物は四階建てで、白を基調にした造りにはなっているが、随所に凝った意匠が施されているのが見て取れる瀟洒な建物である。
この学園は15歳から18歳までの貴族子女が通っていて、全部で3学年、入学者数によって多少変動するが1学年4クラス、1クラス20人前後程の生徒が在籍している。この建物の中には12クラス分の部屋と特別な講義のための講義室が幾つかある。
教室は4階が1学年、3階が2学年、2階が3学年と割り振りがされており、1階はそれ以外の専門の講義室がある。リリやルルは1学年であるので教室は4階だ。
学年ごとのクラス分けは成績と家の爵位を基準にしており、高位の侯爵令嬢であり、尚且つ成績も主席のリリと下位貴族の男爵令嬢で成績も中程度のルルは当然別クラスだ。
時間にはまだ余裕があったはずだが、既に生徒たちの大半が登校しているのだろう。教室の前に立つと中から騒がしい声が聞こえてきた。
扉を開けて入室すると教室内の喧騒がやみ、リリに多数の視線が集まった。その視線は厭忌の色が見えるものが多くルルの教室からの感情が露見していた。
──ふむ。あまり好意的な視線ではありませんね。無理もありませんが。
王太子やその取り巻きに付き纏っているルルの評判は少々宜しくはない。同級生も敵意を持つ者か
関わり合いを避ける者に分けられるのだろう。
「皆様おはようございます」
とは言え挨拶は人としての基本である。相手への好悪は関係無い。いつもの慣習のままに穏やかな微笑を張り付けて女性の礼法を披露する。
が、その所作に対して一瞬動揺が見て取れたが、この教室の生徒は会釈どころか全員無視を決め込むことを選択したようだ。
──あらあら。無視はいけませんね。貴族なら己の好悪は隠すもの。敵意があるなら尚更でしょうに。
ルルへの悪感情を隠しもしないクラスメートたちに少し呆れた。このクラスの生徒達はあまり貴族として質は良くなさそうだ。
伯爵位の子女もおり、それ程深い付き合いではないがリリとして面通しくらいはした者も数名いる。侯爵令嬢に戻ることができたら付き合い方を考えた方がよさそうだと顔色は変えずに算段をつける。
──ルルーシェも宜しくはありませんが、級友たちがこれでは……
ルルを擁護するつもりは無いが、級友がこれでは確かに付き合いは控えたいし、人当たりも良く見目も良い王太子に優しくされればころっと落ちるのも無理はないかと思わないでもない。
──さて、私はどう対応しましょうか?
現状維持か、クラスに迎合するか、それとも……
考えるまでもない。
お父様は自由にしろとおっしゃって下さったのだ。現状維持も迎合もありえない。それがリリの結論。だから……
──だから私は今を楽しむまで。
(超)厳しい王太子妃教育も王太子の婚約破棄の陰謀もリリは乗り越える能力と胆力がある。クラス内で爪弾きにされた程度は些事である。
──さて、今日の学園生活はどうなるでしょうか?
顔には出さず、心の中でリリは不敵に笑った……
リリは孤立しても困らない。さてこれからの学園生活が楽しみです……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「さすがリリ様。メンタル強!」
アンナ「貴女もこの現状で大概でしょう」
ルル「私はちょっと目的があるから」
アンナ「まあ乙女ゲームのヒロインですからね。ポンコツですけど」
ルル「別に攻略をしようとかしているわけじゃ……」
アンナ「それにしても貴女には本当に友達がいないのですね」
ルル「ちゃ、ちゃんといますよぉ。このクラスじゃ完全に孤立してますけどぉ」
アンナ「あれですか?みんなには見えないお友達w」
ルル「ひ、ひどい!ちゃんと現実にいますぅ」
アンナ「なるほど、校舎裏の動物舎にいるやつですね。ルルはイキモノ係だったと」
ルル「なんでそうやって人間から遠ざけるんですかぁ!」
──この体は私の移動用魔術に対応できる『魔力保持用量』を持っているのですね。
汎用の移動魔術では大きな魔力保持容量を必要としないが、リリのオリジナルは移動速度、加速度、運動性を遥かに向上させており、運用のさい常時魔術言語を入力することが要求される。そのため、ある程度魔力保持容量が無ければ使用ができないのだ。
魔力保持容量については後の講義で解説する。
──やはり、この体はかなりのスペックを持っているようですね。『魔力保持用量』は私と同じか、もしかしたそれ以上かも。これだけの能力があるのに、この娘は一体何を考えているのかしら?
リリは一度ルルときちんと話さなければいけないと感じていた。
──ですが今は何を置いても講義です!
実は王太子妃教育のためあまり学園での講義に出席していなかったので、リリはこうしてルルとしてではあるが、講義を受けられることを結構楽しみにしているのである。
リリやルルが通うこの学舎はシュトレイン学園という。貴族子女が貴族の素養を高めることを目的に設立された。出資は国と貴族達であり、当然、貴族のみが所属できる。よって市井にある庶民の為の民間学校とは資金のかけ方が違い、その設備は贅が尽くされた立派なものなのである。
まず学園の門からして荘厳で威圧的、それでいて装飾は華美なのだ。権威的である必要性はリリも認めている。だが、警備上その門は堅牢であるのはよいのだが少々華飾ではないかと常々感じている。
──見窄らしいのはいけませんが、もう少し実用的な所にお金をかけられないものでしょうか?
この学院の生徒であること示す制服と校章に身を包んでいるリリは門衛に咎められる事なく素通りし校内へと歩を進めた。中に入れば外の街とは別世界であり、煌びやかな建造物が建ち並んでいる。
100年以上の歴史のあるシュトレイン学園は十数年前に老朽化から建物を一新していた。
華美を好んだ前国王の指示により建造物が出来上がったわけだが、必要以上に権威主義が表に出ているこれらをリリはあまり好きになれなかった。
質実剛健が国是であった王国の暗澹たる未来を暗示している様に感じて、リリは改めるべきではないかと感じている。この最近の国の状況が王太子妃の打診を拒否しなかったことの一因でもある。自分にできることがあるのではないかと考えたのだ。
生徒が座学やホームルームを受ける教室のある建物は四階建てで、白を基調にした造りにはなっているが、随所に凝った意匠が施されているのが見て取れる瀟洒な建物である。
この学園は15歳から18歳までの貴族子女が通っていて、全部で3学年、入学者数によって多少変動するが1学年4クラス、1クラス20人前後程の生徒が在籍している。この建物の中には12クラス分の部屋と特別な講義のための講義室が幾つかある。
教室は4階が1学年、3階が2学年、2階が3学年と割り振りがされており、1階はそれ以外の専門の講義室がある。リリやルルは1学年であるので教室は4階だ。
学年ごとのクラス分けは成績と家の爵位を基準にしており、高位の侯爵令嬢であり、尚且つ成績も主席のリリと下位貴族の男爵令嬢で成績も中程度のルルは当然別クラスだ。
時間にはまだ余裕があったはずだが、既に生徒たちの大半が登校しているのだろう。教室の前に立つと中から騒がしい声が聞こえてきた。
扉を開けて入室すると教室内の喧騒がやみ、リリに多数の視線が集まった。その視線は厭忌の色が見えるものが多くルルの教室からの感情が露見していた。
──ふむ。あまり好意的な視線ではありませんね。無理もありませんが。
王太子やその取り巻きに付き纏っているルルの評判は少々宜しくはない。同級生も敵意を持つ者か
関わり合いを避ける者に分けられるのだろう。
「皆様おはようございます」
とは言え挨拶は人としての基本である。相手への好悪は関係無い。いつもの慣習のままに穏やかな微笑を張り付けて女性の礼法を披露する。
が、その所作に対して一瞬動揺が見て取れたが、この教室の生徒は会釈どころか全員無視を決め込むことを選択したようだ。
──あらあら。無視はいけませんね。貴族なら己の好悪は隠すもの。敵意があるなら尚更でしょうに。
ルルへの悪感情を隠しもしないクラスメートたちに少し呆れた。このクラスの生徒達はあまり貴族として質は良くなさそうだ。
伯爵位の子女もおり、それ程深い付き合いではないがリリとして面通しくらいはした者も数名いる。侯爵令嬢に戻ることができたら付き合い方を考えた方がよさそうだと顔色は変えずに算段をつける。
──ルルーシェも宜しくはありませんが、級友たちがこれでは……
ルルを擁護するつもりは無いが、級友がこれでは確かに付き合いは控えたいし、人当たりも良く見目も良い王太子に優しくされればころっと落ちるのも無理はないかと思わないでもない。
──さて、私はどう対応しましょうか?
現状維持か、クラスに迎合するか、それとも……
考えるまでもない。
お父様は自由にしろとおっしゃって下さったのだ。現状維持も迎合もありえない。それがリリの結論。だから……
──だから私は今を楽しむまで。
(超)厳しい王太子妃教育も王太子の婚約破棄の陰謀もリリは乗り越える能力と胆力がある。クラス内で爪弾きにされた程度は些事である。
──さて、今日の学園生活はどうなるでしょうか?
顔には出さず、心の中でリリは不敵に笑った……
リリは孤立しても困らない。さてこれからの学園生活が楽しみです……
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「さすがリリ様。メンタル強!」
アンナ「貴女もこの現状で大概でしょう」
ルル「私はちょっと目的があるから」
アンナ「まあ乙女ゲームのヒロインですからね。ポンコツですけど」
ルル「別に攻略をしようとかしているわけじゃ……」
アンナ「それにしても貴女には本当に友達がいないのですね」
ルル「ちゃ、ちゃんといますよぉ。このクラスじゃ完全に孤立してますけどぉ」
アンナ「あれですか?みんなには見えないお友達w」
ルル「ひ、ひどい!ちゃんと現実にいますぅ」
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