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閑話② そのころ男爵令嬢は《前世》
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男爵令嬢ルルーシェ・ルミエンの朝は早い……
侍女など雇えない貧乏貴族は自分で身支度しなければいけないからだ。
いつもの習慣で早朝に目が覚めたが、現在はリリーエン・リュシリューである。そのため、自ら支度を行うことができずに、ルルはベッドに腰かけた状態で茫然としていた。
いつもなら5歳とは思えない、しっかり者の妹が可愛く起こしに来てくれて、一緒に身支度するという至福の時間を過ごしているはずだった。
可愛かった。
癒しだった。
至福だった。
「ネネぇ~」
愛しい妹。
「会いたいよぉ」
涙がでそうになった。妹だけじゃない。生意気な弟。自分を愛してくれる両親。すごく心細い。みんなに会いたい。しかし、今の自分は……
ルルは何となく鏡台の前に座って、今の自分の姿を眺めた。やはり昨夜と同様に、いつもの愛らしい姿ではなく、その鏡には黒髪の美少女が映しだされていた。あまりの美貌に溜息がでそうになる。
──リリ様って本当にキレイよね。
思わず見惚れてしまう。
──美人すぎる悪役令嬢ってネットで言われてたしね。制作陣どんだけ『リリ様』が好きなのよぉ。
ルルは前世を思い出していた。
そう前世を……
ルルは転生者だった。
前世のルルのいた世界、生まれた国。
そこは『日本』と呼ばれる平和で豊かな国。
大多数の人は幸せに生活を送っているだろう平穏な国であった。
ルルは前世に思いを馳せる。
名前はなんだっただろ?
何故か思い出せない。
思い出したくもない。
思い出せなくていい。
ルルにとって前世とはなんだろう?
前世のルルは中流家庭の長女として生を受けた。その部分は今世と同じだ。だが『家族』としての在り方には大きな違いがあった。
前世のそれは、とても『家族』と呼べるような代物ではなかった。
前世の『両親』と呼ばれるものに、いい思い出は1つもなかった。
前世で物心ついた頃、両親の仲は最悪で、ケンカが日課だった。
応酬される怒声と、耳を塞ぎたくなる罵詈雑言のケンカの毎日。
口汚く罵る声と物の壊れる激しい音が、家で日常流れるBGM。
激しく机を叩きつけ、時には窓ガラスが割られたこともあった。
そして幼いルルにとばっちり。
まだ小さいルルにとって彼らのケンカは恐怖でしかなかった。
ルルは毎日繰り広げられる両親のケンカに怯えるだけだった。
抵抗する力のない無力なルルにできたのはただ泣くことだけ。
だけどルルが泣けば……
「うるさいっ!」
と怒鳴られ……
「だまれっ!!」
と叩かれる……
ただただ耐えるしか、
ただただ息を潜めるしか、
ただただ自分を殺すことしか、
ただただそれだけしか出来ない。
ただ貝が殻を閉ざすように心を閉ざすことを覚えた幼少期。
そんな前世だ。
そんなキライな前世の記憶だ。
本当なら思い出したくもない。
──私はルルーシェ・ルミエン……私はルル……それでいい……
それが大切な大切な私の名前。
それが大事な大事な私への贈り物。
なによりもピカピカに輝いている宝もの。
ちょっとお調子者だけど優しい父
おっとりせいているけどしっかり者の母
生意気だけど憎めない弟
そして、可愛い可愛い大事な妹
みんながルルを愛してくれた。
ルルはみんなを愛している。
想いと想いが繋がる人たち。
今世の家族こそがルルの居場所。
ルミエン家こそがルルの本当の家族。
この家族がいればそれでいい。
だけど……
だからこそ……
今世の家族が大事だから、嫌な前世も思い出さないといけなかった。
今世の家族を愛しているから、嫌でも前世を思い出す必要があった。
そうしなければ、この大切な家族を守れないから……
この暖かく愛おしい気持ちを、失いたくないから……
前世のそんな最低な家族に転機が訪れたのは、前世のルルが十歳くらいの時だったろうか?
父親の浮気が発覚したのだ。
両親は大喧嘩した。
そして離婚した。
父親は浮気相手の所へと転がり込み、ルルは母親に引き取られた。
これで両親のケンカの毎日から解放される。
そう思うとルルは少しだけホッとした。
しかし、その後ろ向きな歓喜は、すぐに勘違いであると思い知らされた。
喧騒は静寂へと置換したが、家族の中にあった負の想念は決して正へと変換されず、その静寂はルルにとって居心地のいいものではなかったのだ。
ルルは母に放置されたのだ……
母の心にある残痕は、父が付けたものだったが、そのしこりは母のルルへの愛情を失わせ、常に母の負の視線にルルは気不味い空気に晒された。
恩讐の静寂。
愛憎の蓄積するしじま。
言葉にしない分だけ、母の中で積層する憎しみ。
その負の圧力に怯える毎日。
そして、溜まりに溜まったその怨念の爆発する矛先は、ルルに向けられるしかなかった。
「お前なんか産まなきゃよかった!」
母は私の生まれを憎悪した。
「どうしてお前の面倒を見なくちゃいけないの」
母は私との繋がりを拒絶した。
「お前のせいで私は幸せになれないのよ!」
母は私へ責任を転嫁した。
「お前なんていなくなればいいのよ!」
母は私の存在を否定した。
突如に始まった母からルルへの暴言の数々。
耳を塞ぎたかった。
心を閉じてしまいたかった。
だからルルは逃げ出した。
ルルは高校を卒業すると就職し一人暮らしを始めた。
とにかく母から離れたかった。
そうすればルルにも平穏が来る。
きっと幸せな毎日に違いない。
そう思っていた……
そう信じていた……
だけど始めた一人の生活は
平穏と言うより無機質で
幸せと言うより空虚で
訪れたのは心に飢餓を抱えた、喪失感と寂寥感に支配される生活だった。
ルルは愛情への渇望で狂いそうだった。
その頃に乙女ゲームに出会った。
ゲームの中は優しい言葉と確実な愛で溢れていた。
その言葉は虚像
その愛は偽物
そんな事はルルにも分かっていた。
だけど……
ただ優しい言葉が欲しかった。思い遣りのある言葉が。
ただ愛が欲しかった。無条件にくれる愛が。
虚像の言葉でもいい!
偽物の愛でもいい!
それらに触れるだけで心を保てた。
それ程にルルの心は愛に飢えていた。
だけど、ゲームをプレイしている時には満たされていても、『クリア』してしまえば虚無感と、それからくる焦燥感に襲われる。渇きはけっきょく癒えない。だって、その満たされた心も紛い物だから。
だけどルルにはどうすることもできない。
家族の愛を与えられなかったルルに、
乙女ゲームの愛と優しさしか知らないルルに、
どうやったらこの飢餓を、この渇望を充足させることができるのか、分かるはずもなかった。
そんな懊悩とした日々の中、ルルの目は一つの乙女ゲームに止まった。
ルルに衝撃を与え、ルルを充足させ、ルルの心の原点になった。
一風変わった異色の乙女ゲーム……
そのゲームを手にした理由は、パッケージに衝撃を受けたからだ。
左半分はヒロインと攻略対象たちが、明るい日差しの中和気藹々とした姿を描いた乙女ゲームではよくある構図だ。しかし、ルルの興味を惹いたのは、右の半分に描かれた少女の姿だった。
左と対照的に右半分はダークな雰囲気の中で、たった1人美しい少女が立つ横顔が描かれていた。一見大勢で和気あいあいしている主人公側と、一人ぼっちの悪役令嬢という構図に見えなくもない。
左の明るい背景と異なり右は暗いタッチの背景だったが、制作陣が『悪役令嬢』に肩入れしていたせいもあるが、描かれていた『悪役令嬢』はとても美しく、その瞳には力強さを感じた。
『悪役令嬢』はどのような状況にも負けない、暗い背景に佇むことで、そんな屈強さを強調しているようだった。
ルルは思った……
私はそんなゲームの中の幸せそうな少女のようになりたかった。
私は愛を、優しさを、希望を、それらで自分を満たしたかった。
パッケージの左半分にいる少女は私が求めている世界の自分だ。
そこの絵には愛も、優しさも、希望も、私の求める全てがある。
だけど果たして、それらを求める私には何があるのだろう。
私の中はいつも空っぽだ。私のこれまでの人生は空っぽだ。
私は己を満たそうと求めた。それが偽物であっても求めた。
私は与えられれば喜んだ。それが紛い物であっても喜んだ。
だけど……
パッケージの右には愛も、優しさも、希望も、何も描かれていない。
『悪役令嬢』はルルが過去に苦しんでいた場所でひとり微笑んでいる。
『悪役令嬢』はルルの渇望する愛も、優しさも、希望も求めていない。
『悪役令嬢』はルルにとって絶望の場所にいながら毅然と立っている。
ルルは思った……
『悪役令嬢』は何かを求める必要がないのだ。
『悪役令嬢』はその全てを内包しているから。
『悪役令嬢』はその全てを与える存在だから。
『悪役令嬢』は私と違う強さそのものだから。
ルルは『悪役令嬢』に魅かれた。憧れた。焦れた。
『悪役令嬢』なら自分を救ってくれるのではないか。
そう思ったから、ルルは迷わずその乙女ゲームを手に取りレジへと向かった。
その乙女ゲームの名前は……
『白銀と黒鋼の譚詩曲』
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「ついに明かされるヒロインの前世!」
アンナ「なに悲劇のヒロインぶってるんですか」
ルル「え~、私ってぇけっこう悲劇のヒロインだと思いますよぉ」
アンナ「ポンコツの分際でおこがましい」
ルル「ひどい!」
アンナ「違うと言うなら貴族のマナーの一つでも完璧に熟しなさい」
ルル「う~、アンナさんは労りが足りません!」
アンナ「だいたいドアマットヒロインの癖に貴女は簡単にへこたれ過ぎです」
ルル「だってぇ~」
アンナ「乙女ゲーのヒロインなら努力根性勝利でしょう!」
ルル「いや、それスポ根じゃないですかぁ!」
侍女など雇えない貧乏貴族は自分で身支度しなければいけないからだ。
いつもの習慣で早朝に目が覚めたが、現在はリリーエン・リュシリューである。そのため、自ら支度を行うことができずに、ルルはベッドに腰かけた状態で茫然としていた。
いつもなら5歳とは思えない、しっかり者の妹が可愛く起こしに来てくれて、一緒に身支度するという至福の時間を過ごしているはずだった。
可愛かった。
癒しだった。
至福だった。
「ネネぇ~」
愛しい妹。
「会いたいよぉ」
涙がでそうになった。妹だけじゃない。生意気な弟。自分を愛してくれる両親。すごく心細い。みんなに会いたい。しかし、今の自分は……
ルルは何となく鏡台の前に座って、今の自分の姿を眺めた。やはり昨夜と同様に、いつもの愛らしい姿ではなく、その鏡には黒髪の美少女が映しだされていた。あまりの美貌に溜息がでそうになる。
──リリ様って本当にキレイよね。
思わず見惚れてしまう。
──美人すぎる悪役令嬢ってネットで言われてたしね。制作陣どんだけ『リリ様』が好きなのよぉ。
ルルは前世を思い出していた。
そう前世を……
ルルは転生者だった。
前世のルルのいた世界、生まれた国。
そこは『日本』と呼ばれる平和で豊かな国。
大多数の人は幸せに生活を送っているだろう平穏な国であった。
ルルは前世に思いを馳せる。
名前はなんだっただろ?
何故か思い出せない。
思い出したくもない。
思い出せなくていい。
ルルにとって前世とはなんだろう?
前世のルルは中流家庭の長女として生を受けた。その部分は今世と同じだ。だが『家族』としての在り方には大きな違いがあった。
前世のそれは、とても『家族』と呼べるような代物ではなかった。
前世の『両親』と呼ばれるものに、いい思い出は1つもなかった。
前世で物心ついた頃、両親の仲は最悪で、ケンカが日課だった。
応酬される怒声と、耳を塞ぎたくなる罵詈雑言のケンカの毎日。
口汚く罵る声と物の壊れる激しい音が、家で日常流れるBGM。
激しく机を叩きつけ、時には窓ガラスが割られたこともあった。
そして幼いルルにとばっちり。
まだ小さいルルにとって彼らのケンカは恐怖でしかなかった。
ルルは毎日繰り広げられる両親のケンカに怯えるだけだった。
抵抗する力のない無力なルルにできたのはただ泣くことだけ。
だけどルルが泣けば……
「うるさいっ!」
と怒鳴られ……
「だまれっ!!」
と叩かれる……
ただただ耐えるしか、
ただただ息を潜めるしか、
ただただ自分を殺すことしか、
ただただそれだけしか出来ない。
ただ貝が殻を閉ざすように心を閉ざすことを覚えた幼少期。
そんな前世だ。
そんなキライな前世の記憶だ。
本当なら思い出したくもない。
──私はルルーシェ・ルミエン……私はルル……それでいい……
それが大切な大切な私の名前。
それが大事な大事な私への贈り物。
なによりもピカピカに輝いている宝もの。
ちょっとお調子者だけど優しい父
おっとりせいているけどしっかり者の母
生意気だけど憎めない弟
そして、可愛い可愛い大事な妹
みんながルルを愛してくれた。
ルルはみんなを愛している。
想いと想いが繋がる人たち。
今世の家族こそがルルの居場所。
ルミエン家こそがルルの本当の家族。
この家族がいればそれでいい。
だけど……
だからこそ……
今世の家族が大事だから、嫌な前世も思い出さないといけなかった。
今世の家族を愛しているから、嫌でも前世を思い出す必要があった。
そうしなければ、この大切な家族を守れないから……
この暖かく愛おしい気持ちを、失いたくないから……
前世のそんな最低な家族に転機が訪れたのは、前世のルルが十歳くらいの時だったろうか?
父親の浮気が発覚したのだ。
両親は大喧嘩した。
そして離婚した。
父親は浮気相手の所へと転がり込み、ルルは母親に引き取られた。
これで両親のケンカの毎日から解放される。
そう思うとルルは少しだけホッとした。
しかし、その後ろ向きな歓喜は、すぐに勘違いであると思い知らされた。
喧騒は静寂へと置換したが、家族の中にあった負の想念は決して正へと変換されず、その静寂はルルにとって居心地のいいものではなかったのだ。
ルルは母に放置されたのだ……
母の心にある残痕は、父が付けたものだったが、そのしこりは母のルルへの愛情を失わせ、常に母の負の視線にルルは気不味い空気に晒された。
恩讐の静寂。
愛憎の蓄積するしじま。
言葉にしない分だけ、母の中で積層する憎しみ。
その負の圧力に怯える毎日。
そして、溜まりに溜まったその怨念の爆発する矛先は、ルルに向けられるしかなかった。
「お前なんか産まなきゃよかった!」
母は私の生まれを憎悪した。
「どうしてお前の面倒を見なくちゃいけないの」
母は私との繋がりを拒絶した。
「お前のせいで私は幸せになれないのよ!」
母は私へ責任を転嫁した。
「お前なんていなくなればいいのよ!」
母は私の存在を否定した。
突如に始まった母からルルへの暴言の数々。
耳を塞ぎたかった。
心を閉じてしまいたかった。
だからルルは逃げ出した。
ルルは高校を卒業すると就職し一人暮らしを始めた。
とにかく母から離れたかった。
そうすればルルにも平穏が来る。
きっと幸せな毎日に違いない。
そう思っていた……
そう信じていた……
だけど始めた一人の生活は
平穏と言うより無機質で
幸せと言うより空虚で
訪れたのは心に飢餓を抱えた、喪失感と寂寥感に支配される生活だった。
ルルは愛情への渇望で狂いそうだった。
その頃に乙女ゲームに出会った。
ゲームの中は優しい言葉と確実な愛で溢れていた。
その言葉は虚像
その愛は偽物
そんな事はルルにも分かっていた。
だけど……
ただ優しい言葉が欲しかった。思い遣りのある言葉が。
ただ愛が欲しかった。無条件にくれる愛が。
虚像の言葉でもいい!
偽物の愛でもいい!
それらに触れるだけで心を保てた。
それ程にルルの心は愛に飢えていた。
だけど、ゲームをプレイしている時には満たされていても、『クリア』してしまえば虚無感と、それからくる焦燥感に襲われる。渇きはけっきょく癒えない。だって、その満たされた心も紛い物だから。
だけどルルにはどうすることもできない。
家族の愛を与えられなかったルルに、
乙女ゲームの愛と優しさしか知らないルルに、
どうやったらこの飢餓を、この渇望を充足させることができるのか、分かるはずもなかった。
そんな懊悩とした日々の中、ルルの目は一つの乙女ゲームに止まった。
ルルに衝撃を与え、ルルを充足させ、ルルの心の原点になった。
一風変わった異色の乙女ゲーム……
そのゲームを手にした理由は、パッケージに衝撃を受けたからだ。
左半分はヒロインと攻略対象たちが、明るい日差しの中和気藹々とした姿を描いた乙女ゲームではよくある構図だ。しかし、ルルの興味を惹いたのは、右の半分に描かれた少女の姿だった。
左と対照的に右半分はダークな雰囲気の中で、たった1人美しい少女が立つ横顔が描かれていた。一見大勢で和気あいあいしている主人公側と、一人ぼっちの悪役令嬢という構図に見えなくもない。
左の明るい背景と異なり右は暗いタッチの背景だったが、制作陣が『悪役令嬢』に肩入れしていたせいもあるが、描かれていた『悪役令嬢』はとても美しく、その瞳には力強さを感じた。
『悪役令嬢』はどのような状況にも負けない、暗い背景に佇むことで、そんな屈強さを強調しているようだった。
ルルは思った……
私はそんなゲームの中の幸せそうな少女のようになりたかった。
私は愛を、優しさを、希望を、それらで自分を満たしたかった。
パッケージの左半分にいる少女は私が求めている世界の自分だ。
そこの絵には愛も、優しさも、希望も、私の求める全てがある。
だけど果たして、それらを求める私には何があるのだろう。
私の中はいつも空っぽだ。私のこれまでの人生は空っぽだ。
私は己を満たそうと求めた。それが偽物であっても求めた。
私は与えられれば喜んだ。それが紛い物であっても喜んだ。
だけど……
パッケージの右には愛も、優しさも、希望も、何も描かれていない。
『悪役令嬢』はルルが過去に苦しんでいた場所でひとり微笑んでいる。
『悪役令嬢』はルルの渇望する愛も、優しさも、希望も求めていない。
『悪役令嬢』はルルにとって絶望の場所にいながら毅然と立っている。
ルルは思った……
『悪役令嬢』は何かを求める必要がないのだ。
『悪役令嬢』はその全てを内包しているから。
『悪役令嬢』はその全てを与える存在だから。
『悪役令嬢』は私と違う強さそのものだから。
ルルは『悪役令嬢』に魅かれた。憧れた。焦れた。
『悪役令嬢』なら自分を救ってくれるのではないか。
そう思ったから、ルルは迷わずその乙女ゲームを手に取りレジへと向かった。
その乙女ゲームの名前は……
『白銀と黒鋼の譚詩曲』
~~~~~後書きコント~~~~~
ルル「ついに明かされるヒロインの前世!」
アンナ「なに悲劇のヒロインぶってるんですか」
ルル「え~、私ってぇけっこう悲劇のヒロインだと思いますよぉ」
アンナ「ポンコツの分際でおこがましい」
ルル「ひどい!」
アンナ「違うと言うなら貴族のマナーの一つでも完璧に熟しなさい」
ルル「う~、アンナさんは労りが足りません!」
アンナ「だいたいドアマットヒロインの癖に貴女は簡単にへこたれ過ぎです」
ルル「だってぇ~」
アンナ「乙女ゲーのヒロインなら努力根性勝利でしょう!」
ルル「いや、それスポ根じゃないですかぁ!」
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