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EATEN EATER

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「獲物発見……!」

 入り口付近の湯船で品定めをしていた俺は湯殿へと入ってくる獲物の姿を捉えるなり、虎耳と尾をピクリと立てる。捕獲対象――どこか気弱な雰囲気を漂わせて、やや小ぶりで幼なげな狼獣人。齢十八といったところで、外形は俺のツボを完全についている――はタオルで股間をガードしながら周囲をキョロキョロと見渡している。見かけない顔だし、ここは初めてだろうかと推測を立てていると、入り口付近の風呂、つまり俺と同じ風呂の方向へ足を進めてきては、タオルを頭部に乗せて湯に浸かる――俺の隣で。
 水面より右足首で輝くロッカーキーが目に入り、股間の方へと目を見やると、
(うわでっけぇ……! しかもズル剥けかよ)
 身体に似つかわしくないサイズの逸物は湯の中でゆらりと揺れている。
 全身に雄の血を滾らせて確信する。今日ここにきた甲斐があったと。

 連日の試験やレポート続きで、ストレスもとい獣欲を溜めに溜め込んでいた俺は発散するべくここへ赴いてきたわけだが、こうも容易く恰好の獲物にありつけるとは予想だにしなかった。
 垂涎を抑えながら、俺は咳払い三回で“合図”を試みる。これに相手も呼応すれば合意成立、そのまま文字通りハッテンというわけだ。
 ――しかし。合図すれども何も返ってこない。それどころか、獲物は先程の緊張した様子とは打って変わって気持ちよさそうに目をつぶって銭湯を堪能している。……おかしいな、もう一度合図してみるか。
 ……またしても返答なし。

(もしかして知らねぇクチか?)
「んっんん!」三度目の咳払いしたところ、狼は案じるような目でこちらを見て声をかけてくる。
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
(あぁなんだ、知らずに足突っ込んじまったタイプか……そんなモンぶら下げてよ)
「だ、たいじょうぶだ。……それよかアンタの方こそ大丈夫なのか?」
 狼の右足元と股間に視線を落として訊ねてみたが、自分の何をもって心配されたのかピンときていない様子で小首を傾げる。
「ここは所謂ハッテン場さ。アンタのやってる右足首のソレ、証なんだよ」
 ロッカーキーを指差して教えてやれども狼の首の角度は不変のまま。きょとん顔を浮かべて、更なる疑問符が頭上を飛び交っている。
「証? ハッテンって何ですか?」

「……ちょっと来な」
 俺は我慢ならずに、この純粋無垢で哀れな狼の手を引いて、露天風呂近くのミストサウナへと向かう。血に刻み込まれた野生の闘争本能故か、こいつを誰か他の奴に食われることを思えば居ても立っても居られなくなった。それにただ聞かれたことに答えるだけだ、別にやましいことなんか……いや、ありすぎるな。
 再びタオルで雄の象徴を隠しておろおろとついてくる狼。己が半被りのそれと比較して劣等感を覚えると同時に、小心な態度に怒りも込み上げてくる。俺のは特段小さくはなく、寧ろその逆なのだが、自分より大きいものには憧れて嫉妬せずにはいられない。男は悩みがつきないのだ。


 扉を開け中へ入ると、程よい温度のミストが全身を包む。他に人影は無く、絶好の機会だ。安堵感からか、溜め込んでいた獣欲は再び加速度を上げて下腹部へと血を廻らせる。
「無知で運のない狼くん、ハッテンってのはつまりこゆことよ」
 論より証拠、見てもらった方が早い。赤く硬く、ヘソの方へと反り返ったチンポを見せつけて証明する。
 驚愕と恐怖の入り混じった顔で後退りを始める彼。俺は咄嗟に狼の背中側へ回り込み、狼の両肩を掴んで退路を断つ。
「まあそう逃げなさんなって。せっかくココ来たんだ、気持ちいいことしていこうぜ?」
 狼の背中へギンギンに屹立したペニスを押し当てて、タオルの上から狼のものを揉みしだく。
「やっダメっ……やめて、恥ずかしっ……」
 息を荒くし始めた狼は可愛らしい声で懇願するが、身体は口ほどの抵抗を見せず、表情はとろけていく一方。

「もしかして溜まってんのか?」
 ムクムクと硬度を増していく狼の根っこはタオルを押し上げてゆき、亀頭が擦れる気持ちよさからか守りの布を地に落としてしまう。べチンと威勢のいい音が響き、完全に臨戦大勢に入った狼チンポはその全貌を見せる。
 控えめに言って20センチはある極太の肉棒は片手で握りきれないほどだ。
「可愛い顔してトンデモねぇもん持ってんのな……」
 惨敗を喫した俺は劣等感と嫉妬心を胸底に秘めながらチンポを扱き続ける。狼は絶えず我慢汁を先端より分泌させ、くちゅくちゅといやらしい音はサウナ内に反響する。
 歳下の小柄な奴に雄としての威厳を砕かれながらも、未曾有の興奮と、狼の背中の被毛で擦れ続けるチンポで、快感は増していくばかり。
 当の狼は、快楽のあまり腰をガクつかせて涎を垂らしている始末で、抵抗の意は完全に消え失せてしまったらしい。
 この淫乱巨根め……Sっ気をそそられた俺は背後から両手でチンポをガシッと掴み、亀頭をゴシゴシと擦って集中攻撃する。鈴口からは大量のローションが溢れ出てきて、ヌチャヌチャ音が一段と強まり、
「んぁ…だめぇっ、イっちゃう……んああっ汚しちゃう…って……………ぇ?」
 絶頂の直前で俺は手を止めてお預けを食らわせる。昂りをそのままに、今度は狼の前方へ回り込んで屈む。鈴口よりテカテカと汁を垂らして、バキバキに太い血管を浮かび上がらせながら真っ赤に怒張する陰茎を目前に、
「しゃぶっても、いいか……?」
 虎尻尾を鋼のように真っ直ぐ立てた俺は狼を見上げて許可を請う。恍惚の表情で涎を垂らすばかりの狼はもはや理性が働かないらしく、コクリと首を小さく縦に振る……更なる快感を求めて。

 ドックンドックン――さらに鼓動を高める心臓と、脈打ちを強める逸物。目前にある咥えきれるかわからないデカマラをチロリと舌で舐めてやると、透明な汁を散らしてビクンと跳ね上がり、エクスタシーが伝わってくる。先程の反応と言い、この敏感さたるや刺激慣れしていない童貞そのものだろう。二、三回反応を楽しんだところで、俺はいよいよご馳走にありつく。

「ヒャあぅ!? やんっ……ひもひいい……」
 牙を当てないようにチンポを口いっぱい味わってしゃぶりつくほど、狼のよがり声が漏れ響き、俺の口内からは卑猥な音も立つ。ジュポジュポと口に含んではじゅるりと舐めまわし、しょっぱい透明汁と熱を持ったカリ高の亀頭を堪能する。今度は竿を扱くのと同時に、ピンポン玉サイズの睾丸をパクリと味わったりと言った具合に捕獲した獲物を余すとこなく食っていく。
 やがて俺のペニスも同様に汁を床へ垂らして、精を放出したそうにビクビクと暴れだす。最終的に左手で狼の竿を前後に擦りながら先端部を口に咥えることとし、右手で自己のものを慰めることにした。

 再び絶頂が近くなった狼は舌をダランと出して涎をボトボトと溢す。
「んああああ゛っ!! やめッもうらめッもうイくっっ……イっちゃううう!!!」
 愛らしい声をいっそう高くして、オーガズムを伝えるや否やデカタマがキュッと持ち上がる。
 俺の口内で子種を放出せんと、狼の巨根はさらに硬度を高めて膨らむ。俺もそろそろ頃合いだ、もうイっ――――

「!?!?!?」
 俺が果てる寸前、なんと狼は中腰になり、突如俺の頭を両腕でホールドしやがった。巨大な管が喉の奥へと突き立てられ、息が詰まる。刹那、濃くて大量の精液が口内へ、喉へと注ぎ込まれる。ドクンドクン、ドビュルルルル、ドビューっビューッ――――えづく間もなく、狼のチンポは口内で暴走して精を吐き出し続け――
「ゴフっ!! ガハッッッ!」おびただしい量の精液は、口の許容範囲を瞬時に超して溢れかえる。窒息しかけた俺は咳き込んで呼吸を取り戻し、一命を取り留めた。なんとも驚くべきことに、濃厚な雄汁は鼻からも逆流してくる。
 俺の苦しそうな様を見て理性を取り戻した狼は、即座に締めていた両腕を解放し、まだまだ血の気の多い鎮まり知らずのチンポを俺の口より引き抜いては顔を青くして心配する。
「うわわ! ご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか?」
「んあ゛ぁー…………死ぬかと思ったけどなんとか、な……」

(まさか最後の最後で俺が食わされるとは思わなかったな……)

 イき損ねた挙句、危うくあの世へ逝きかけた白濁液まみれの俺は狼を一瞥して憎まれ口を叩く。
「ったく、チンポと精液で俺を殺す気かっての。この絶倫巨根め……」
「ホントごめんなさい。あんなに気持ちいいの初めてだからつい……」
 ようやく萎えてきたズル剥けの巨根をぶらんと揺らせながら頭を深々と下げて誠意を見せる狼。
「ま、コッチへ引き入れて食おうとした俺にも非はあるからそんなに謝んな。ただな――俺まだイけてないんだ。そこも含めて“責任”とれるかい? オオカミくんよ?」

 オオカミは顔を上げるなり、ふわりと尻尾を揺らして応えた。
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みんなの感想(1件)

星ナイトメアじゅんじ

なかなか面白いですね

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