14 / 48
‐1336年 日ノ炎月 5日《5月5日》‐
ママ? に出会えた日
しおりを挟む
v マ、マ……?
目の前でとんでもない数の白い角の生えた龍? がさっきからずっと何かぶつぶつ言っている。
これは本当にママなの? 確かにさっきから小さく聞こえている声の波は、昔に聞いていたものと似ている。だけどなんか昔に聞いた声とは違う気がする。気がするだけで何が違うのかはわからないけど。
ずいぶん久しぶりに聞いたママの声に嬉しくなって思わずこっちに呼んでしまったけど、そもそもママを呼んだ時に聞こえた声もよくよく思い出せば昔聞いた声とは少し違ったような気もする。
最初こそぼやけて聞こえていた声も、だんだんはっきりと聞こえるようになって、やっとママに会えると思ってがんばって急いで殻から出てきたのに、なのに目の前にいるのは自分とは似ても似つかない、だいぶ変わった変な龍? がいる。
声だって、似ているけどなんか違うし……。あとたぶん、羽もなければ尻尾のない。爪だって鋭くないし鱗はとても柔らかそうだ。それに何枚もの鱗があるわけではなく、一枚? の大きな鱗が体を覆っているし頭や腕、足など鱗がついていない部分すらある。
いや、よくよく見るとものすごく大きな一枚の鱗以外に足にも鱗が、あとなぜかまぶたとその少し上の部分にもとてつもなく薄く細い鱗が生えている。けどどの鱗も自分に生えている鱗とは似ても似つかない。本当に鱗かどうかも怪しい。
それに腕は短いのに足はものすごく長い。随分と歩きづらそう。角は生えているみたいだけどものすごく数が多い。一体何本生えているんだ。数える気にもならない。あとものすごく柔らかそう。だって頭を動かしただけで角が揺れている。それじゃあすぐに欠けそうだし簡単に折れそうだ。あまりにも違うところが多すぎる。
やっぱりママじゃない? だけど変な見た目をしてはいるけれども一応は鱗? はあるし角も生えてはいる。本当にないのは翼ぐらい。それに角と鱗の色が自分と同じ色、白色だ。声も昔聞いていた声と比べて聞こえてくる感じは違うけど音の波の形は似ている。
やっぱりママなの? 信じたいよ。
けど違うところもある。むかし聞いていたママの声の波の色は、濃かったり薄かったり少しの違いはあっても、いつも変わらずに吸いこまれそうなほど綺麗な青い色をしていた。その音の波に包まれた時は何よりも心地がよくて気持ちがよかった。けどいま聞こえている声の波の色は青色じゃない。黄色だ。それに波の流れがちょっと速くて少し荒れている。むかしたまに聞こえていた、いっつもものすごく荒れていて真っ赤な色をした声の波ほどは怖くはないけれど、記憶の中のママの声ほど安心ができない。
ママどうすればいいの? 本当にママはママなの。やっとママに会えると思っていたのに。
久しぶりに声がした時は本当に嬉しかった。けどいまはもう怖いのが強い。わからないことが怖い。本当はいますぐにでもママに触れたい、ママの胸に飛び込みたい。たけどもしママがママじゃなかったら? そう思うとママに触れることすらできない――。
ねえ、ママ、何か言ってよ……。またあの声を聞かせて……――。
目の前でとんでもない数の白い角の生えた龍? がさっきからずっと何かぶつぶつ言っている。
これは本当にママなの? 確かにさっきから小さく聞こえている声の波は、昔に聞いていたものと似ている。だけどなんか昔に聞いた声とは違う気がする。気がするだけで何が違うのかはわからないけど。
ずいぶん久しぶりに聞いたママの声に嬉しくなって思わずこっちに呼んでしまったけど、そもそもママを呼んだ時に聞こえた声もよくよく思い出せば昔聞いた声とは少し違ったような気もする。
最初こそぼやけて聞こえていた声も、だんだんはっきりと聞こえるようになって、やっとママに会えると思ってがんばって急いで殻から出てきたのに、なのに目の前にいるのは自分とは似ても似つかない、だいぶ変わった変な龍? がいる。
声だって、似ているけどなんか違うし……。あとたぶん、羽もなければ尻尾のない。爪だって鋭くないし鱗はとても柔らかそうだ。それに何枚もの鱗があるわけではなく、一枚? の大きな鱗が体を覆っているし頭や腕、足など鱗がついていない部分すらある。
いや、よくよく見るとものすごく大きな一枚の鱗以外に足にも鱗が、あとなぜかまぶたとその少し上の部分にもとてつもなく薄く細い鱗が生えている。けどどの鱗も自分に生えている鱗とは似ても似つかない。本当に鱗かどうかも怪しい。
それに腕は短いのに足はものすごく長い。随分と歩きづらそう。角は生えているみたいだけどものすごく数が多い。一体何本生えているんだ。数える気にもならない。あとものすごく柔らかそう。だって頭を動かしただけで角が揺れている。それじゃあすぐに欠けそうだし簡単に折れそうだ。あまりにも違うところが多すぎる。
やっぱりママじゃない? だけど変な見た目をしてはいるけれども一応は鱗? はあるし角も生えてはいる。本当にないのは翼ぐらい。それに角と鱗の色が自分と同じ色、白色だ。声も昔聞いていた声と比べて聞こえてくる感じは違うけど音の波の形は似ている。
やっぱりママなの? 信じたいよ。
けど違うところもある。むかし聞いていたママの声の波の色は、濃かったり薄かったり少しの違いはあっても、いつも変わらずに吸いこまれそうなほど綺麗な青い色をしていた。その音の波に包まれた時は何よりも心地がよくて気持ちがよかった。けどいま聞こえている声の波の色は青色じゃない。黄色だ。それに波の流れがちょっと速くて少し荒れている。むかしたまに聞こえていた、いっつもものすごく荒れていて真っ赤な色をした声の波ほどは怖くはないけれど、記憶の中のママの声ほど安心ができない。
ママどうすればいいの? 本当にママはママなの。やっとママに会えると思っていたのに。
久しぶりに声がした時は本当に嬉しかった。けどいまはもう怖いのが強い。わからないことが怖い。本当はいますぐにでもママに触れたい、ママの胸に飛び込みたい。たけどもしママがママじゃなかったら? そう思うとママに触れることすらできない――。
ねえ、ママ、何か言ってよ……。またあの声を聞かせて……――。
0
最後まで読んでくださりありがとうございます。よろしければ、評価、ブックマークもよろしくお願いいたします。感想、批評好評、誤字脱字報告などいただけるもの全てありがたく頂戴いたします。
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!
音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。
愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。
「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。
ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。
「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」
従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。


【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる