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出会い
何事もなく…終わりませんでした
しおりを挟む理事長室の前に到着した。
結構歩いたけど、お話していて楽しかったから、すぐに着いた気がする。
「では、僕はこれで」
「副会長さん、ありがとうございました」
「助かった、ありがとう」
副会長さんが立ち去ろうとした時、ふと、勇気くんが「…あ、言い忘れてた」と呟いた。
そして、副会長さんを真っ直ぐ見て、こう言った。
「副会長、ずっと愛想笑いしてるけど、疲れねぇの?無理して笑う必要ないと思うぜ」
勇気くんが言葉を発した途端、副会長さんの顔色が一気に悪くなった。目が揺れ動いている。
「…すみません、そろそろ失礼します」
我に返った彼は、エレベーターに向かって歩いていった。
「…俺、何か悪いこと言ったのかな」
勇気くんが小さな声で呟く。
何を言ったらいいのか分からなくて、僕は答えられなかった。
「勇気くん、先に行ってて」
気付けば、そう言っていた。
「僕、ちょっと副会長さんとお話してくるね」
勇気くんは僕の顔を見た後、目を伏せた。
「……副会長が何を気にしてるのか、何がいけなかったのか、全く分からないんだ。…俺が行っても、また失言するだけかもな」
…本当は、勇気くんが行くか、そっとしておいた方が良いのだろう。
でも、なんとなく今は彼が追うべきではないと思った。
それに…ただのお節介かもしれないけど、僕はあんなに辛そうな顔をした人を放っておけない。
「悪い…。春人、頼む」
俯いている勇気くんの頭を軽く撫でた後、走って引き返した。
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