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第14話「価格競争、商会の威信を賭けて」
しおりを挟む大市4日目の朝、ライアンの店舗前に集まった農家たちの間に不穏な空気が流れていた。昨日まで彼の先物契約に熱心だった人々が、今日は迷いの表情を浮かべている。
「どうしたんだ?」
ガルドがマルコスに尋ねた。マルコスは最初の契約者で、ライアンの信頼者だったが、今日は憂慮の色を隠せない。
「黄金翼商会が…」
彼は言葉を選びながら続けた。
「昨夜、私たちの村に使者を送り、トン当たり25シルバーの先物契約を提示しました」
ライアンの目が鋭くなった。彼の提示価格15シルバー、後に加えた「価格変動ボーナス」を考慮しても、黄金翼の提示は明らかに高額だった。
「他の村にも同様の提案があったようです」
別の農家が付け加えた。
「彼らは『契約撤回特典』まで提供しています。あなたとの契約を破棄して黄金翼と契約すれば、追加で5シルバーのボーナスを…」
ライアンは冷静に状況を分析した。グランツが本格的な攻勢に出たのだ。圧倒的な資本力を背景に、価格競争を仕掛けてきた。
「これは明らかに不当競争です」
ガルドが怒りをあらわにした。
「いいや、これは正当な市場戦略だ」
ライアンは静かに言った。彼の表情には驚きや怒りはなく、むしろ挑戦を受け入れる冷静さがあった。
「皆さん、私は黄金翼商会の資本力では勝てません。彼らと同じ条件で競争すれば、必ず負ける」
農家たちは困惑した表情を浮かべた。
「しかし、経済競争は単なる価格競争ではない。価値競争なのだ」
ライアンは立ち上がり、即席の演台に立った。
「考えてみてください。なぜ黄金翼商会は突然、私の提示価格を大幅に上回る条件を出してきたのでしょうか?」
「彼らの方が良い条件だから…」
ある農家が答えた。
「本当にそうでしょうか?彼らは100年以上、この市場を支配してきました。その間、農家の利益を最大化するような取り組みをしましたか?」
人々は沈黙した。
「彼らが今、高額の契約を提示する理由は一つ。私を市場から排除するためです。そして、一旦私がいなくなれば…」
「元の搾取的な価格に戻す…」
マルコスが恐れを込めて呟いた。
「そうではないと言い切れますか?」
ライアンの問いかけに、誰も反論できなかった。
「では、新たな提案をさせてください。私は単なる価格競争ではなく、全く新しい関係性を提案します」
***
「協同組合?」
マルコスが首を傾げた。
「そう、農家同士が協力し、一つのグループとして交渉する仕組みだ」
ライアンは大きな羊皮紙に図を描きながら説明した。
「個々の農家は小さな力しかない。しかし、集団になれば強大な交渉力を持てる」
彼は新しい契約書を示した。
「この協同組合契約では、加盟農家全体の収穫量をプールし、共同で販売権を管理します。私はその独占的な買取権を得る代わりに、次のような条件を提示します」
ライアンは三つの重要な条項を説明した。
「第一に、『収穫量に応じた価格変動条項』。全体の収穫量が予想を下回った場合、価格は自動的に上昇します。例えば、予想の80%の収穫なら価格は20%上昇」
農家たちの目が輝き始めた。これは天候不順など、彼らがコントロールできないリスクに対する保険だった。
「第二に、『組合自治権』。契約後も、組合は内部の収益分配方法を自由に決定できます。豊作の農家が不作の農家を支援する仕組みも作れます」
「第三に、『市場参加権』。私が再販売する際の利益の一部を組合に還元します。さらに、将来的には組合自体が先物市場に直接参加できる権利も」
部屋は静まり返った。彼らはこれまで聞いたこともない概念に圧倒されていた。
「黄金翼商会は単に高い価格を提示しています。私が提案するのは、農家自身が市場の主体となる全く新しいシステムです」
***
「これは革命的だ…」
マルコスがつぶやいた。長年の農業経験から、彼はライアンの提案の本質を理解していた。
「我々は常に市場の変動に翻弄されてきた。豊作なら価格暴落、不作なら収入激減…」
「そして商人たちは常に利益を確保する」
別の老農が苦々しく付け加えた。
「この組合システムなら、我々も安定と成長の両方を手に入れられる」
議論が白熱する中、ライアンは静かに見守っていた。彼の戦略は単純な価格競争から、システム間の競争へと舞台を移したのだ。
「協同組合を結成しましょう」
マルコスが決断を下した。
「私は賛成します」
「私も」
次々と農家たちが賛同を示した。
「明日、正式な設立集会を開きましょう。できるだけ多くの農家に声をかけます」
ライアンは満足げに頷いた。
「私の店を集会場所としてお使いください」
***
情報はフェルミナの市場を驚くべき速さで駆け巡った。「農家協同組合」の噂は午後までに大市全体に広がり、多くの農家や小商人たちの関心を集めた。
「なんということだ!」
黄金翼商会の応接室で、グランツ総帥は息子のマーカスの報告に激怒していた。
「あの小僧、単なる価格競争から逃げ出したか!」
「いいえ、父上」
マーカスは冷静に答えた。
「彼は戦場を変えたのです。価格だけの勝負から、システムの勝負へと」
グランツは顔を赤らめた。
「農家たちを組織化し、団体交渉力を持たせるなど許されない!100年来の市場秩序が崩れる!」
「さらに悪いことに、他の地域の農家たちも同様の組合結成に動き始めています」
グランツは立ち上がり、荒々しく窓を開け放った。大市の喧騒が部屋に流れ込む。
「対抗策は?」
「価格をさらに引き上げるしかありません。30シルバー、あるいは35シルバーまで」
「馬鹿な!それでは利益が出ない」
「一時的な損失を覚悟で、彼を市場から排除するしかないのです」
グランツは拳を握りしめた。
「黄金翼商会の威信にかけても、あの小僧は潰す」
***
大市5日目、ライアンの店はさらに多くの人で賑わっていた。昨日の協同組合結成の噂を聞きつけた様々な地域の農家たちが集まってきたのだ。
「南部地区からも代表が来ています」
ガルドが報告した。
「10の村から25人の農場主です」
ライアンは満足げに頷いた。南部はフェルミナの穀倉地帯であり、黄金翼商会の主要調達地域だった。
「皆さんを歓迎します」
彼は南部代表団に挨拶した。
「まず黄金翼商会の新たな提案についてお聞かせください」
代表の一人が前に出た。
「彼らはトン当たり35シルバーまで引き上げました。さらに、事前支払い金も増額しています」
会場にどよめきが起きた。通常の相場の2倍以上の価格だ。
「しかし、私たちは黄金翼の真意を疑っています」
代表は続けた。
「彼らは今まで私たちを公平に扱ったことがない。突然の高額提示は不自然です」
「そこで私たちも協同組合について知りたいと思いました」
ライアンは微笑んだ。
「喜んで説明します。ただし、一つお断りしておきたい」
彼は真剣な表情になった。
「私の目的は黄金翼商会との単なる競争ではありません。フェルミナの市場構造そのものを変えることです」
「市場構造?」
「そう。生産者が適正な利益を得られ、消費者が適正な価格で商品を手に入れられる、そして商人がその橋渡し役として適正な報酬を得る。そんな市場を作りたい」
ライアンの言葉には強い説得力があった。それは単なる商売の話ではなく、社会全体のビジョンだった。
「協同組合はその第一歩です。生産者の自立と協力が、公正な市場の基盤となる」
南部代表団は感銘を受けた様子で話し合いを始めた。
***
午後、事態は新たな展開を見せた。市場監督官クラウディウスがライアンの店を訪れたのだ。
「ライアン殿、あなたの『協同組合』について調査に来た」
彼の表情は厳しかったが、目には共感の色も見えた。
「黄金翼商会から正式な申し立てがあった。『不当な団体形成による市場操作』の疑いだ」
ライアンは冷静に対応した。
「協同組合は農家自身が自由意志で形成した団体です。私はアドバイスを提供しただけ」
「法的には問題ないことは分かっている」
クラウディウスは小声で言った。
「だが、グランツは商業ギルド評議会を動かそうとしている。非正規の組織との取引禁止令を出そうとしているのだ」
「それは…」
「時間がない。もし組合が公式に認められる前に禁止令が出れば、あなたの計画は頓挫する」
ライアンは即座に理解した。これは法律や市場原理の問題ではなく、政治的な力関係の問題だった。
「どうすればいい?」
「フェルミナの法では、50以上の生産者が参加し、総生産量が市場の10%以上を占める団体は、『公認市場参加者』として登録できる」
クラウディウスは急いで説明した。
「その資格があれば、ギルド評議会も簡単に取引を禁止できない」
「あと何人必要だ?」
「現在の組合員は42人。あと8人以上の加入が必要だ」
ライアンは決断した。
「南部代表団に急いで説明しよう」
***
夕刻、フェルミナ市場監督局の議場で緊急会議が開かれていた。
「農家協同組合の公認市場参加者としての登録申請を審議します」
クラウディウスが議長を務め、厳粛に宣言した。
「反対意見のある方は発言を」
黄金翼商会の代理人が立ち上がった。
「この組合は設立されたばかりで、信頼性に欠けます。市場安定のためには、実績ある既存の商会による秩序ある取引が…」
「では組合側の意見を」
マルコスが組合代表として立ち上がった。
「我々は63の農場、総計で南部地区生産量の約15%を占めています。協同組合は我々自身の意志で結成したものです」
「我々は自分たちの生産物の価値を、自分たちで守りたい。それだけです」
彼の素朴な言葉に、会場の雰囲気が変わった。
審議は短時間で終わり、結果は賛成多数で組合の登録が認められた。フェルミナ初の「生産者協同組合」の誕生だった。
***
「祝杯を上げよう!」
その夜、ライアンの店は組合員たちの祝賀会で賑わっていた。
「ライアン殿なしでは不可能だった」
マルコスが感謝の言葉を述べた。
「いや、これは皆さんの勝利だ」
ライアンは静かに答えた。
「組合は今日から独立した存在となる。自分たちの利益のために、自分たちで運営してほしい」
「しかし契約は?」
「もちろん、私との契約は有効だ。しかし、組合の運営には干渉しない」
ライアンの姿勢に、農家たちは深い敬意を示した。これは単なる商取引を超えた、新しい関係の始まりだった。
***
「ライアン・ミラー!」
祝賀会の最中、店の扉が乱暴に開かれた。黄金翼商会の総帥グランツ本人が、息を切らせて立っていた。
場は一瞬で静まり返った。
「どういう了見だ!」
グランツは怒りに震える声で叫んだ。
「100年続いた市場秩序を、よそ者の分際で覆すとは!」
ライアンは静かに立ち上がり、グランツに向き合った。
「市場に『秩序』などありません、グランツ様。あるのは自由な取引と、公正な競争だけです」
「貴様…!」
「あなたの商会が100年間築いてきたのは、秩序ではなく『支配』です。生産者を抑圧し、消費者から搾取する支配構造」
ライアンの言葉は冷静だが鋭かった。
「私が導入したのは単なる『先物契約』という取引方法。そして農家たちが自発的に形成したのが『協同組合』。これらはすべて自由市場の範囲内です」
グランツの顔が歪んだ。
「私はこの場で、あなたに公正な勝負を申し込みます」
ライアンは冷静に宣言した。
「明日、大環の中央広場で公開取引会を開催しましょう。テーマは『生産者と商人の理想的関係』。どちらの取引モデルが市場全体の利益になるか、公開で議論し、そして実演するのです」
グランツは一瞬、言葉を失った。そして、低く危険な声で答えた。
「受けて立とう。だが覚悟しろ。黄金翼商会の威信にかけて、必ず叩き潰す」
「では明日、大環で」
グランツは憎悪の眼差しを投げかけ、立ち去った。
場の緊張が解けると、農家たちは不安げにライアンを見た。
「大丈夫なのか?あの黄金翼商会との公開対決など…」
「心配ない」
ライアンの目は冷静な計算に満ちていた。
「グランツが最も恐れているのは、公開の場での対決だ。彼の力は閉ざされた取引と秘密の圧力にある。全てを明るみに出せば、彼の優位性は失われる」
「しかし彼らの資本力は…」
「彼らの資本力は彼らの武器だ。だが、我々には別の武器がある」
ライアンは穏やかに微笑んだ。
「知恵と団結だ」
夜は更けていったが、ライアンの頭の中では、明日の戦略が緻密に組み立てられていた。グランツとの対決は、フェルミナの経済構造を変える歴史的な瞬間になるだろう。
そして彼は必ず勝つ。かつて奴隷だった男が、商業都市の支配者に立ち向かう—その勝利の瞬間が、明日訪れるのだ。
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