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秩序機関『ギアズエンパイア』
務まらない
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「……ここは?」
見慣れない天井。寝慣れないベッド。
見渡すと医療機器のような物が横にある。それでここが医務室である事を、リンは理解した。
(あれから……どうなった?)
記憶にあるのは機械龍に襲われる前。
つまり闇の聖剣『ダークイクリプス』を使う前であった。
「……アニキ?」
「レイ?」
体を起こし、何があったかを思い出していると、花瓶と花を持ったレイが部屋へ入ってきた。
「……」
「泣いた!?」
リンが起きているのを見るや否や、レイは無言で涙を流す。
「ウワーン! ア゛ニ゛キ゛~!」
「わかった! わかったから泣くな!」
それだけ心配してくれていたのであろうと、泣きながら抱きついてきたレイを見てリンは察する。
「もう起きないんじゃないかって! 心配で心配で~!」
「……悪かったな」
申し訳なさから、歯切れの悪い一言しかでない。
あれから一週間が経過してた。その間リンは目覚める事無く、深い眠りについていた。
いつ目覚めるかもわからない人を待ち続けるのは、とても苦しいものである事をリンは知っている。
「お目覚めかい? 聖剣使いくん」
部屋へともう一人、会った事は無いのというのに、『誰よりも見たことのある顔』をした男が、リンの前に姿を見せた。
「アンタが……『聖剣使い』か」
「それは君もだろ? 初めまして二代目 僕はリン 『リン・ド・ヴルム』だよ」
同じ名前で同じ顔、だというのにまるで違う二人。
「いや~まいったまいった! やっとギアズエンパイアに着いたと思ったら魔王軍に襲われてるんだもの 旅の疲れを癒してる暇なんてあったものじゃないよね~!」
(超軽い)
自分と同じ顔が、自分では言わないような口調で話している光景は非常に不気味であった。
そもそもこの聖剣使い。英雄と呼ばれるきっかけとなった戦争から、およそ百年が経っているというのに、十六である二代目聖剣使い『優月 輪』と同じ顔。つまり、当時からまったく変化していないのだ。
「それであの機械倒したら反対側も襲われてるって聞いて駆けつけたら……君がいた 闇の聖剣に侵蝕されて暴走する君がね」
「……」
記憶が無い時点で察していた事であった。
結局闇の力使いこなす事はできず、以前の様にただひたすら暴れていたのだろうと、ライトゲートの王『エルロス』が言っていた『心の闇とちゃんと向き合う事』が、まだ出来ていないからだ。
「でも機龍を倒したのは紛れも無く『君』だ 自信を持ってもいいと思うよ僕は」
はげましの言葉も、今のリンにとっては受け入れられえるものでは無い。
それは結果論に過ぎず、ただ運が良かったに過ぎないと、リンは思う。
「話したい事は沢山あるけど 今はゆっくり休みなよ」
「なら……有り難くそうさせて貰おうか」
何度も何度も耳にしてきた『伝説の聖剣使い』が目の前にいる。
ただいざ目の前に現れると、何から聞けばいいのかがわからなかってしまう。
「ア゛ニ゛キ゛~!」
「……いい加減離れてくれないか?」
離しても離してもレイは泣きながら抱きついてくる。
もう諦めてそのままにしていたが、流石にそろそろと思うリン。
「その娘ずっと君の看病してたんだよ 良い妹分をもったね」
「それはどうも……」
「……アンタ 一つ頼みがある」
「うん? 僕かい? 僕に出来ることならなんなりと」
落ち着いてきたのか、レイは泣くのを止め、初代聖剣使いの方のリンへ、頼みがあると言う。
「……今より低めの声で『愛してるよ レイ』って言ってくれ」
「本人の前でよく頼めたな」
まったくもってしょうもない。重要な頼み事ではなかった。
「『愛してるよ レイタソ』」
「アンタもなんでやるんだよ」
ノリノリで演じるリンのソックリさん。やはり自分とは見た目ぐらいで、その他は似てないのだと認識する。
「もう一度良いですか? アニキは『タソ』なんて言わないんで変なアレンジ無しでワンモアプリーズ」
「他所でやれ!」
起きて早々。リンを疲れさせる一幕であった。
だがそれは、リンが起きた事による安心感からだ。
「リン!? 起きたのね!」
「シオン」
「拙者は目を覚ますと信じていたでござるから」
「アヤカ」
「オッス! なんだか久しぶりだな!」
「まあ無理のしすぎさね これにこりたら無茶はよしな二代目」
「ハッ! オレと決着着ける前に死なれたら困るんだよ!」
「チビル ムロウ 雷迅」
その後も代わる代わるにリンのお見舞いに訪れる。
レイ以外の仲間の皆とは、別の場所で戦っていた為、どうなっていたいたのか気になっていたリンにとっても、顔合わせられる事は嬉しい事であった。
「どうもッス! 体調の方はいかがですか?」
「ジャンか 多少ダルさはあるが問題ない」
後日、ギアズエンパイア開発部門に所属する『ジャン・マイズ』がやって来た。
「それは良かったッスね! バイタル良好……問題無しっと システムから見ても問題なそうッスね」
「アンタは医術部門じゃあないだろ? なら俺に何か用か?」
ここに来た人といえば、仲間達と医療スタッフのどちらか。
お見舞いに立ち寄るのであれば、昨日の時点で済ませているであろうと、ジャンがここに来た理由がそれ以外にあると察したのだ。
「わかります~? 実はリンさんに提案があるんスよ」
「提案?」
「はい! もしよければ『戦闘シミレーション』を試してみないかと」
ここギアズエンパイアは、この世界で唯一と言って良い『機械』が発展した場所である。
ジャンの言う戦闘シミレーションとは、ホログラムの敵と模擬戦闘を行えるシステムの事であり、擬似的に再現された敵は非常に精巧である。
(あれか……バーチャルリアリティー的なヤツか)
「勿論相手はただのホログラムなので危険は無いッス どうッスか?」
「そうだな……体もなまってるし良い運動になるだろう」
「決まりッスね! 今から行きますかそれとも別の日とかに……」
「いや 今から行こう」
魔王軍との最終決戦は残り二十日。猶予は残り少ない。
体が動くのであれば、リンはなるべくでも早く復帰したかった。
「了解ッス! じゃあ案内しますね!」
ジャンはシュミレーションルームまで案内する。
「信じられないな……あと少しで決戦が始まろうとしているなんて」
ドライがそう宣言した事を聞いた。
そしてそれ以降、魔王軍の動きはピタリと止まっているという。
「ヤツらも戦いに備えているってことッスね」
「ギアズは具体的に対魔王軍には何をしているんだ?」
「兵力をギアズに集めている以外なら『開発』ッス! 皆さんにはなるべく強い装備で挑んで欲しいッスから!」
「そういえばここの兵士は随分と強力そうだったな」
僅かしか見られなかったが、兵士達の武装は既に確認している。
少なくとも、リンが今まで見てきた中でもっとも優れていた。
「へへへッ! そう言って貰えるのであれば嬉しいッスね!」
開発部担当のジャンからすれば、その一言は大事なものであった。
「オレは戦うことは出来ないッスけど……誰かを『助ける』為のものを開発するッス それがオレの『戦い』なんだと思うので」
戦うもの者もいれば、戦えない者もいる。
だがそれでも、戦う意志がある限り、こうして『戦う』事が出来る。
「オレ応援するッス! リンさんなら魔王を倒せるって!」
「……ありがとう」
話しながら進んでいると、シミレーションルームへとたどり着く。
扉の前に立つと自動で開き、なにやらモニターと対峙している『ニューマ・ニング』の姿があった。
「ええい何故上手くいかんのだ 簡易装備を瞬時に身に纏えるようになれば時間短縮と……やろうと思えばやれるがこれでは簡易すぎて実用性が低すぎて……」
「リーダーオッス! 絶不調そうッスね!」
「喧しい! そう思うのならお前も何か……おや? 黒いコートの聖剣使いという事は……」
「二代目の聖剣使いだ」
聖剣を持ち、同じ顔だというのだから判断するのは『見た目』である。
二代目が黒であるのに対して初代は白のコート。
最初の頃に、黒いコートを着せられたのは、こういう事情も配慮されたからではと、リンは考える。
「これはお見苦しいところを 体調の方はよろしいのですか?」
「お気遣い無く 今日は肩慣らしにシミュレーターというものを体験しに」
「それは良い! こちらとしても是非聖剣使いの戦闘データを頂きたかったもので」
「何かに使うんですか?」
「いいえ趣味です」
この人も変人なんだなと思うリン。
「それではどうぞコチラから 下のバトルルームへ繋がってますので」
「具体的には何をすれば?」
「ホログラムで造った敵と戦っていただければ大丈夫ですよ」
その様子をこの部屋からモニターし、データを取るのだという。
最近出来たシステムらしく、リンにはテストプレイヤーとしての役割もあった。
「初代は試したのか?」
「それが断られまして 『戦いは嫌いなのよね~』とのことッス」
もしも既に試していたのであれば、比べられたのにと思ったが、残念ながらそうはいかなかった。
下のバトルルームへと降り、リンは準備をした。
《準備はよろしいですか?》
「いつでも」
《でははじめます! まずはLV1からスタートです!》
開始のアナウンスと共に、襲いかかるホログラムの敵を、次々と倒していった。
「……凄いッスね」
「ああ……想定以上だ」
軽々と倒し、次々に敵のLVを上げていくリン。
「病み上がりだからと低くしていたが……流石は聖剣使いか」
「へ~? そんなに強いの?」
「それは勿論……って!? 貴方は!?」
突如現れる『初代の聖剣使い』に驚かされる二人。
「ああごめん驚かしてしまったね」
「とんでもない! 今日はどういったご用件で?」
「二代目の様子見さ どれどれ……」
モニターに映し出されるリンの姿を見て呟く。
「……この程度か」
「え……?」
自分達が驚いた強さを『この程度』と言い切る。
「これじゃあ……『聖剣使いは務まらない』」
冷めた表情で、モニターに映る二代目の姿を見ていた。
見慣れない天井。寝慣れないベッド。
見渡すと医療機器のような物が横にある。それでここが医務室である事を、リンは理解した。
(あれから……どうなった?)
記憶にあるのは機械龍に襲われる前。
つまり闇の聖剣『ダークイクリプス』を使う前であった。
「……アニキ?」
「レイ?」
体を起こし、何があったかを思い出していると、花瓶と花を持ったレイが部屋へ入ってきた。
「……」
「泣いた!?」
リンが起きているのを見るや否や、レイは無言で涙を流す。
「ウワーン! ア゛ニ゛キ゛~!」
「わかった! わかったから泣くな!」
それだけ心配してくれていたのであろうと、泣きながら抱きついてきたレイを見てリンは察する。
「もう起きないんじゃないかって! 心配で心配で~!」
「……悪かったな」
申し訳なさから、歯切れの悪い一言しかでない。
あれから一週間が経過してた。その間リンは目覚める事無く、深い眠りについていた。
いつ目覚めるかもわからない人を待ち続けるのは、とても苦しいものである事をリンは知っている。
「お目覚めかい? 聖剣使いくん」
部屋へともう一人、会った事は無いのというのに、『誰よりも見たことのある顔』をした男が、リンの前に姿を見せた。
「アンタが……『聖剣使い』か」
「それは君もだろ? 初めまして二代目 僕はリン 『リン・ド・ヴルム』だよ」
同じ名前で同じ顔、だというのにまるで違う二人。
「いや~まいったまいった! やっとギアズエンパイアに着いたと思ったら魔王軍に襲われてるんだもの 旅の疲れを癒してる暇なんてあったものじゃないよね~!」
(超軽い)
自分と同じ顔が、自分では言わないような口調で話している光景は非常に不気味であった。
そもそもこの聖剣使い。英雄と呼ばれるきっかけとなった戦争から、およそ百年が経っているというのに、十六である二代目聖剣使い『優月 輪』と同じ顔。つまり、当時からまったく変化していないのだ。
「それであの機械倒したら反対側も襲われてるって聞いて駆けつけたら……君がいた 闇の聖剣に侵蝕されて暴走する君がね」
「……」
記憶が無い時点で察していた事であった。
結局闇の力使いこなす事はできず、以前の様にただひたすら暴れていたのだろうと、ライトゲートの王『エルロス』が言っていた『心の闇とちゃんと向き合う事』が、まだ出来ていないからだ。
「でも機龍を倒したのは紛れも無く『君』だ 自信を持ってもいいと思うよ僕は」
はげましの言葉も、今のリンにとっては受け入れられえるものでは無い。
それは結果論に過ぎず、ただ運が良かったに過ぎないと、リンは思う。
「話したい事は沢山あるけど 今はゆっくり休みなよ」
「なら……有り難くそうさせて貰おうか」
何度も何度も耳にしてきた『伝説の聖剣使い』が目の前にいる。
ただいざ目の前に現れると、何から聞けばいいのかがわからなかってしまう。
「ア゛ニ゛キ゛~!」
「……いい加減離れてくれないか?」
離しても離してもレイは泣きながら抱きついてくる。
もう諦めてそのままにしていたが、流石にそろそろと思うリン。
「その娘ずっと君の看病してたんだよ 良い妹分をもったね」
「それはどうも……」
「……アンタ 一つ頼みがある」
「うん? 僕かい? 僕に出来ることならなんなりと」
落ち着いてきたのか、レイは泣くのを止め、初代聖剣使いの方のリンへ、頼みがあると言う。
「……今より低めの声で『愛してるよ レイ』って言ってくれ」
「本人の前でよく頼めたな」
まったくもってしょうもない。重要な頼み事ではなかった。
「『愛してるよ レイタソ』」
「アンタもなんでやるんだよ」
ノリノリで演じるリンのソックリさん。やはり自分とは見た目ぐらいで、その他は似てないのだと認識する。
「もう一度良いですか? アニキは『タソ』なんて言わないんで変なアレンジ無しでワンモアプリーズ」
「他所でやれ!」
起きて早々。リンを疲れさせる一幕であった。
だがそれは、リンが起きた事による安心感からだ。
「リン!? 起きたのね!」
「シオン」
「拙者は目を覚ますと信じていたでござるから」
「アヤカ」
「オッス! なんだか久しぶりだな!」
「まあ無理のしすぎさね これにこりたら無茶はよしな二代目」
「ハッ! オレと決着着ける前に死なれたら困るんだよ!」
「チビル ムロウ 雷迅」
その後も代わる代わるにリンのお見舞いに訪れる。
レイ以外の仲間の皆とは、別の場所で戦っていた為、どうなっていたいたのか気になっていたリンにとっても、顔合わせられる事は嬉しい事であった。
「どうもッス! 体調の方はいかがですか?」
「ジャンか 多少ダルさはあるが問題ない」
後日、ギアズエンパイア開発部門に所属する『ジャン・マイズ』がやって来た。
「それは良かったッスね! バイタル良好……問題無しっと システムから見ても問題なそうッスね」
「アンタは医術部門じゃあないだろ? なら俺に何か用か?」
ここに来た人といえば、仲間達と医療スタッフのどちらか。
お見舞いに立ち寄るのであれば、昨日の時点で済ませているであろうと、ジャンがここに来た理由がそれ以外にあると察したのだ。
「わかります~? 実はリンさんに提案があるんスよ」
「提案?」
「はい! もしよければ『戦闘シミレーション』を試してみないかと」
ここギアズエンパイアは、この世界で唯一と言って良い『機械』が発展した場所である。
ジャンの言う戦闘シミレーションとは、ホログラムの敵と模擬戦闘を行えるシステムの事であり、擬似的に再現された敵は非常に精巧である。
(あれか……バーチャルリアリティー的なヤツか)
「勿論相手はただのホログラムなので危険は無いッス どうッスか?」
「そうだな……体もなまってるし良い運動になるだろう」
「決まりッスね! 今から行きますかそれとも別の日とかに……」
「いや 今から行こう」
魔王軍との最終決戦は残り二十日。猶予は残り少ない。
体が動くのであれば、リンはなるべくでも早く復帰したかった。
「了解ッス! じゃあ案内しますね!」
ジャンはシュミレーションルームまで案内する。
「信じられないな……あと少しで決戦が始まろうとしているなんて」
ドライがそう宣言した事を聞いた。
そしてそれ以降、魔王軍の動きはピタリと止まっているという。
「ヤツらも戦いに備えているってことッスね」
「ギアズは具体的に対魔王軍には何をしているんだ?」
「兵力をギアズに集めている以外なら『開発』ッス! 皆さんにはなるべく強い装備で挑んで欲しいッスから!」
「そういえばここの兵士は随分と強力そうだったな」
僅かしか見られなかったが、兵士達の武装は既に確認している。
少なくとも、リンが今まで見てきた中でもっとも優れていた。
「へへへッ! そう言って貰えるのであれば嬉しいッスね!」
開発部担当のジャンからすれば、その一言は大事なものであった。
「オレは戦うことは出来ないッスけど……誰かを『助ける』為のものを開発するッス それがオレの『戦い』なんだと思うので」
戦うもの者もいれば、戦えない者もいる。
だがそれでも、戦う意志がある限り、こうして『戦う』事が出来る。
「オレ応援するッス! リンさんなら魔王を倒せるって!」
「……ありがとう」
話しながら進んでいると、シミレーションルームへとたどり着く。
扉の前に立つと自動で開き、なにやらモニターと対峙している『ニューマ・ニング』の姿があった。
「ええい何故上手くいかんのだ 簡易装備を瞬時に身に纏えるようになれば時間短縮と……やろうと思えばやれるがこれでは簡易すぎて実用性が低すぎて……」
「リーダーオッス! 絶不調そうッスね!」
「喧しい! そう思うのならお前も何か……おや? 黒いコートの聖剣使いという事は……」
「二代目の聖剣使いだ」
聖剣を持ち、同じ顔だというのだから判断するのは『見た目』である。
二代目が黒であるのに対して初代は白のコート。
最初の頃に、黒いコートを着せられたのは、こういう事情も配慮されたからではと、リンは考える。
「これはお見苦しいところを 体調の方はよろしいのですか?」
「お気遣い無く 今日は肩慣らしにシミュレーターというものを体験しに」
「それは良い! こちらとしても是非聖剣使いの戦闘データを頂きたかったもので」
「何かに使うんですか?」
「いいえ趣味です」
この人も変人なんだなと思うリン。
「それではどうぞコチラから 下のバトルルームへ繋がってますので」
「具体的には何をすれば?」
「ホログラムで造った敵と戦っていただければ大丈夫ですよ」
その様子をこの部屋からモニターし、データを取るのだという。
最近出来たシステムらしく、リンにはテストプレイヤーとしての役割もあった。
「初代は試したのか?」
「それが断られまして 『戦いは嫌いなのよね~』とのことッス」
もしも既に試していたのであれば、比べられたのにと思ったが、残念ながらそうはいかなかった。
下のバトルルームへと降り、リンは準備をした。
《準備はよろしいですか?》
「いつでも」
《でははじめます! まずはLV1からスタートです!》
開始のアナウンスと共に、襲いかかるホログラムの敵を、次々と倒していった。
「……凄いッスね」
「ああ……想定以上だ」
軽々と倒し、次々に敵のLVを上げていくリン。
「病み上がりだからと低くしていたが……流石は聖剣使いか」
「へ~? そんなに強いの?」
「それは勿論……って!? 貴方は!?」
突如現れる『初代の聖剣使い』に驚かされる二人。
「ああごめん驚かしてしまったね」
「とんでもない! 今日はどういったご用件で?」
「二代目の様子見さ どれどれ……」
モニターに映し出されるリンの姿を見て呟く。
「……この程度か」
「え……?」
自分達が驚いた強さを『この程度』と言い切る。
「これじゃあ……『聖剣使いは務まらない』」
冷めた表情で、モニターに映る二代目の姿を見ていた。
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