61 / 201
風の都『カザネ』
奥の手
しおりを挟む
(……何だぁ? この感触?)
リンの胴体をムロウは斬りつけた。
それはよかったのだが、人の身体からは本来発せられない、何か『金属音』のような音がした。
「……な~るほど 鎖か」
その音の正体は、身体に巻き付けられていた『鎖』によるものだった。
身体に鎖と化した土の聖剣『ガイアペイン』を巻きつけるとことで、擬似的な鎖帷子を仕込んでいたのだ。
「一度『斬られてる』んでね 警戒しておくに越したことはなかったな」
「思ったより頭は固くないようだなぁ?」
「アンタより 若いんでね」
鎖を剣に変え、ムロウへ叩きつける。無論それは当たることはない。
すぐさま後退し、ムロウは間合いを取る。
決めたと思った一撃が上手くいかず、表情には見せないがムロウは心の中で悔しがっていた。
(あ~あ 終わったと思ったんだけど上手くいかなかったか……見た目だけと思って侮っていたが案外粘るねぇ)
腰に携えた刀を握るとニヤリと笑った。
(でもまあ……そうでなきゃつまんねえもんな)
笠の下から覗かせるその表情は、戦いを愉しむ剣客のものだった。
「来いよ聖剣使い 今度はそっちの番だぜ?」
「いつから攻守交代制に決まったんだ」
「小せえ事気にすんなよ おりゃあ愉しみたいのさ」
お互いに攻める意思を見せない。
何故ならそれが最善手だと理解しているからだ。
リンはガイアペインを構えたまま、ムロウを睨みつける。
(あの速さ……切り合いは避けるべきだ 悔しいが純粋な速さは完敗だ)
一方のムロウも自身の手の内を見せることを避けている。だからこその今のこの状況だ。
(……一か八かやってみるか)
リンにはまだ気になる事がある。それを確認するまでは、まともには攻められない。
「おいおい そろそろおじさん飽きちゃうよ はやくしてくんないかい?」
「近づきたくないんだよ」
「あらら嫌われちゃったか……じゃあどうする? また火の矢かい?」
「いいや……こうさせて貰う!」
ガイアペインを下から上へと地面を抉るように切り上げる。
切り上げられたその地面から、石飛礫となってムロウへ向かう。
「数打ちゃ当たるだ 全部は落とせるか?」
「だから言ったろ……甘いんだってな」
ムロウはため息をつくと、刀を抜かずに鞘のまま振るった。
全ては切り伏せられない。だが、そもそもその必要はない。
一部を鞘で叩き落とし、後は全て躱される。小細工が通用するような相手ではないのだ。
「そんなもんが通用するとでも……!?」
「ああ 通用しないだろうな」
いつのまにかリンはムロウの間合いに入り込んでいた。
距離は離れていたのにもかかわらず、瞬時に入り込んだのだ。
(手に持ってるのは……成る程そういうことね)
今リンの手に握られているのは火の聖剣『フレアディスペア』である。
間違えられていた火の聖剣が、勢いよく炎を噴出している。その勢いでこちらへ突撃してきたのだ。
リンにとって最大のチャンスだった。石飛礫を叩き落とす動作のままでは流石のムロウも隙を見せる。
(さあどうだ!? 止められるものなら止めてみろ!)
だが、それでも阻まれた。
「なに!?」
前へ進めない。
進まなかったのではない、進めなかったのだ。
時間は十分にあるのにもかかわらず、その間隔を狭めることができなかった。
まるで見えない『何か』が、行手を阻むように。
「ちっ!」
「一世一代の大博打 惜しかったね」
結局前に進めないままはじかれた。折角のチャンスを、モノにできなかった。
「これで終いか聖剣使い? それとももうちっとばかし粘るかい?」
だが、リンは冷静だった。
「……鎌鼬」
「……何?」
防がれた。だが『それも予想していた』事だ。
リンの本当の目的は確認する事だった。
「風が吹い時に体が切られている事がある その現象を『鎌鼬』と俺の世界で言われていた 風が吹く事で真空の刃が体を切り裂いたとかそういう名前の妖怪だとか言われてる現象だ」
実際には真空の刃やましてや妖怪の仕業でもなく、乾燥した皮膚が風が吹いた事で裂けた、あるいは小石などが舞い上がって、肌に当たって傷が出来る。
それがまるで切られたかのように『錯覚』しているというのが鎌鼬の本当のところだそうだ。
「まあそんなものは普通に考えて非現実的だしな 自然にそんな事が起こるわけがない」
「それと何の関係があると?」
こちらを試すかのように強くこちらへ問いかける。
だがタネが解れば、リンはもう怯まない。
「ちょっと前に『雷迅』っていう鬼と戦った 奴の戦い方は徒手空拳ってやつだ」
「それで?」
「だが奴はそれに加えて『電気』を使えた だからこそ奴は近づけば拳が、離れれば電撃が飛んでくる。」
それに苦しめられたのは記憶に新しい。
「『見えてるもの程』……か まんまと騙されたよ てっきり刀だけだと」
そんなそぶりを見せなかったからこそ、気づく事ができなかった。
ムロウが隠しているもう一つの武器を。
「『風の魔法』 それがアンタの最初から出してた奥の手だったって訳だ」
思い返してみれば、風を裂くような音がしたのは突きの時であり、刀を振るった時よりもハッキリ聞こえた音はおかしい。
音の正体は刀に纏わせて『風』が引き起こした音だったのだ。
「躱したと思ったのに身体を切られてのは……その刀に風を纏わせていだからなんだろ? 見たところその刀は名刀って訳じゃあなさそうだしな」
そして決め手は先程の現象だ。あれはリンとの間合いの空間に一時的に真空状態を作り出す事で、それ以上前に進めなかったのだ。
「何か間違ってたら教えてくれ 今の出せる答えはこれしかなかった」
「……クックック」
そう言われたムロウは笑いを堪えている。
「何か間違ってたか?」
「いや……なかなか察しがいいじゃないかとな」
辺りの木々が風で揺れる。
今まで感じたことのない違和感のある風だった。
(この風……コイツの?)
「その通り! おりゃあ魔力はそんなにないんだがなぁ 人より多少器用なんでね」
そう言って今までと違い、目視できる風を発現させる。
「まさにその通り『鎌鼬』ってやつさ だがそれがどうした?」
刀を振るうと風によって地面に傷をつけた。
「タネがわかっても 対策がなけりゃあ意味がないぜ」
その通りだった。たとえ刀の切れ味の理由がわかっても対処できないなら意味がない。
そんな事をリンが考えていると、ムロウはこんな事を言い出した。
「ご褒美だ 少し良い事を教えてやる」
「何?」
「お前の身体が切られた訳だよ」
そう言って刀に風を纏わせながら、続けてこう言った。
「仕掛けは簡単 こうやって見えない刃でお前を切っただけさ」
「それが答えだろ」
「だがそれ以上にお前の身体の魔力が足らねえんだよ」
リンには思い当たる節がある。
それも山ほどだ、身体が絶不調なのが主な理由だろうがいくつもある。
「身体は治っても外見だけさ 治すために魔力を持ってかれてる」
「……そりゃあどうも」
「まあ待て おじさんが良い事教えてやるよ」
ニヤニヤとした顔でこちらを見て刀を向けてこう言った。
「お前ネーチャンと契約の儀をしたろ? そっちから魔力を持ってくりゃあ良いのさ」
リンは左の首の紋章を思い出す。
シオンと視界を共有してするだけでなく、魔力の譲渡をできるようになったという事を。
「遠くから呼びかけもできるはずだぜぇ? ちっとばかし借りたらどうだい?」
ここはその提案には是非とも乗るべきだろう。それさえ出来ればとりあえず今よりも攻められる。
(やってみるか……)
そう思い、目を瞑る。
これで魔力を借りれば、戦える。
「んあ? どうした? やらねえのかい?」
「……お前が言ったんだろうが」
だが、リンはやめる事にした。
「何をだよ?」
折角の提案を拒むリン。ムロウが何を言ったのかと問いかける。
「これは……一対一の『決闘』だってな」
確かにシオンから借りれば魔力が足りるかも知れない。だがそれでは一人で勝ったとは言えない。
「俺はもう……負けるのは嫌なんでな」
一度味わった敗北の味、それは最悪だった。
もう二度と味合わない為に、今ここで『一人』で勝たなくてはならない。
だから提案を断る。誰かに頼らずとも、勝てると証明する為に。
「ククッ……クハハハハハッ!」
ムロウは心の底から嬉しそうに笑う。
まるで待ち望んでいた事がやっと成し遂げられたかのように。
「なんだよなんだよ! 思ってた以上に話がわかるじゃあねえか! それでこそあの人の二代目だぁ!」
刀を水平に構える。そしてわかった。見えはしないが、さっきよりも強い風を纏わせている事を。
「決めたぞ二代目! おりゃあお前を斬る! 斬りたくってしょうがねぇ!」
そこにいたのは、ただ戦いに飢えた一匹の剣客。自分の為に、勝つ為だけに刀を振るう。
「でかい口叩いたんだ! お前にもあるんだろう!? 『奥の手』ってのがぁ!」
「あるさ……たった一つな!」
頭の片隅にはあった。だがそれをしようとは思はなかった。
何故なら嫌な予感しかしなかったからだ。
(この状況を打開できる最大の奥の手だ……上手くいく保証はどこにも無いがな)
大口を叩いたのだ。こうなったら全部出し切って勝ってみせると意気込む。
右手に持っていたフレアディスペアを、今まで以上に激しく燃え上がらせる。
そのまま炎の剣を片手で叩き込むが、難なく躱された。
「それが奥の手か!? だったら笑えねえぞ!?」
ムロウは隙を突いてリンの左へ回り込む。
鋭い突きだった。おまけに風を纏った一撃だ、これを受ければ致命傷は免れない。
「だったらコイツで笑え!」
右手に炎を、そして左手には『砂塵』を纏う。
「聖剣……『二刀流』ッ!」
これが今のリンの最大の奥の手だった。
リンの胴体をムロウは斬りつけた。
それはよかったのだが、人の身体からは本来発せられない、何か『金属音』のような音がした。
「……な~るほど 鎖か」
その音の正体は、身体に巻き付けられていた『鎖』によるものだった。
身体に鎖と化した土の聖剣『ガイアペイン』を巻きつけるとことで、擬似的な鎖帷子を仕込んでいたのだ。
「一度『斬られてる』んでね 警戒しておくに越したことはなかったな」
「思ったより頭は固くないようだなぁ?」
「アンタより 若いんでね」
鎖を剣に変え、ムロウへ叩きつける。無論それは当たることはない。
すぐさま後退し、ムロウは間合いを取る。
決めたと思った一撃が上手くいかず、表情には見せないがムロウは心の中で悔しがっていた。
(あ~あ 終わったと思ったんだけど上手くいかなかったか……見た目だけと思って侮っていたが案外粘るねぇ)
腰に携えた刀を握るとニヤリと笑った。
(でもまあ……そうでなきゃつまんねえもんな)
笠の下から覗かせるその表情は、戦いを愉しむ剣客のものだった。
「来いよ聖剣使い 今度はそっちの番だぜ?」
「いつから攻守交代制に決まったんだ」
「小せえ事気にすんなよ おりゃあ愉しみたいのさ」
お互いに攻める意思を見せない。
何故ならそれが最善手だと理解しているからだ。
リンはガイアペインを構えたまま、ムロウを睨みつける。
(あの速さ……切り合いは避けるべきだ 悔しいが純粋な速さは完敗だ)
一方のムロウも自身の手の内を見せることを避けている。だからこその今のこの状況だ。
(……一か八かやってみるか)
リンにはまだ気になる事がある。それを確認するまでは、まともには攻められない。
「おいおい そろそろおじさん飽きちゃうよ はやくしてくんないかい?」
「近づきたくないんだよ」
「あらら嫌われちゃったか……じゃあどうする? また火の矢かい?」
「いいや……こうさせて貰う!」
ガイアペインを下から上へと地面を抉るように切り上げる。
切り上げられたその地面から、石飛礫となってムロウへ向かう。
「数打ちゃ当たるだ 全部は落とせるか?」
「だから言ったろ……甘いんだってな」
ムロウはため息をつくと、刀を抜かずに鞘のまま振るった。
全ては切り伏せられない。だが、そもそもその必要はない。
一部を鞘で叩き落とし、後は全て躱される。小細工が通用するような相手ではないのだ。
「そんなもんが通用するとでも……!?」
「ああ 通用しないだろうな」
いつのまにかリンはムロウの間合いに入り込んでいた。
距離は離れていたのにもかかわらず、瞬時に入り込んだのだ。
(手に持ってるのは……成る程そういうことね)
今リンの手に握られているのは火の聖剣『フレアディスペア』である。
間違えられていた火の聖剣が、勢いよく炎を噴出している。その勢いでこちらへ突撃してきたのだ。
リンにとって最大のチャンスだった。石飛礫を叩き落とす動作のままでは流石のムロウも隙を見せる。
(さあどうだ!? 止められるものなら止めてみろ!)
だが、それでも阻まれた。
「なに!?」
前へ進めない。
進まなかったのではない、進めなかったのだ。
時間は十分にあるのにもかかわらず、その間隔を狭めることができなかった。
まるで見えない『何か』が、行手を阻むように。
「ちっ!」
「一世一代の大博打 惜しかったね」
結局前に進めないままはじかれた。折角のチャンスを、モノにできなかった。
「これで終いか聖剣使い? それとももうちっとばかし粘るかい?」
だが、リンは冷静だった。
「……鎌鼬」
「……何?」
防がれた。だが『それも予想していた』事だ。
リンの本当の目的は確認する事だった。
「風が吹い時に体が切られている事がある その現象を『鎌鼬』と俺の世界で言われていた 風が吹く事で真空の刃が体を切り裂いたとかそういう名前の妖怪だとか言われてる現象だ」
実際には真空の刃やましてや妖怪の仕業でもなく、乾燥した皮膚が風が吹いた事で裂けた、あるいは小石などが舞い上がって、肌に当たって傷が出来る。
それがまるで切られたかのように『錯覚』しているというのが鎌鼬の本当のところだそうだ。
「まあそんなものは普通に考えて非現実的だしな 自然にそんな事が起こるわけがない」
「それと何の関係があると?」
こちらを試すかのように強くこちらへ問いかける。
だがタネが解れば、リンはもう怯まない。
「ちょっと前に『雷迅』っていう鬼と戦った 奴の戦い方は徒手空拳ってやつだ」
「それで?」
「だが奴はそれに加えて『電気』を使えた だからこそ奴は近づけば拳が、離れれば電撃が飛んでくる。」
それに苦しめられたのは記憶に新しい。
「『見えてるもの程』……か まんまと騙されたよ てっきり刀だけだと」
そんなそぶりを見せなかったからこそ、気づく事ができなかった。
ムロウが隠しているもう一つの武器を。
「『風の魔法』 それがアンタの最初から出してた奥の手だったって訳だ」
思い返してみれば、風を裂くような音がしたのは突きの時であり、刀を振るった時よりもハッキリ聞こえた音はおかしい。
音の正体は刀に纏わせて『風』が引き起こした音だったのだ。
「躱したと思ったのに身体を切られてのは……その刀に風を纏わせていだからなんだろ? 見たところその刀は名刀って訳じゃあなさそうだしな」
そして決め手は先程の現象だ。あれはリンとの間合いの空間に一時的に真空状態を作り出す事で、それ以上前に進めなかったのだ。
「何か間違ってたら教えてくれ 今の出せる答えはこれしかなかった」
「……クックック」
そう言われたムロウは笑いを堪えている。
「何か間違ってたか?」
「いや……なかなか察しがいいじゃないかとな」
辺りの木々が風で揺れる。
今まで感じたことのない違和感のある風だった。
(この風……コイツの?)
「その通り! おりゃあ魔力はそんなにないんだがなぁ 人より多少器用なんでね」
そう言って今までと違い、目視できる風を発現させる。
「まさにその通り『鎌鼬』ってやつさ だがそれがどうした?」
刀を振るうと風によって地面に傷をつけた。
「タネがわかっても 対策がなけりゃあ意味がないぜ」
その通りだった。たとえ刀の切れ味の理由がわかっても対処できないなら意味がない。
そんな事をリンが考えていると、ムロウはこんな事を言い出した。
「ご褒美だ 少し良い事を教えてやる」
「何?」
「お前の身体が切られた訳だよ」
そう言って刀に風を纏わせながら、続けてこう言った。
「仕掛けは簡単 こうやって見えない刃でお前を切っただけさ」
「それが答えだろ」
「だがそれ以上にお前の身体の魔力が足らねえんだよ」
リンには思い当たる節がある。
それも山ほどだ、身体が絶不調なのが主な理由だろうがいくつもある。
「身体は治っても外見だけさ 治すために魔力を持ってかれてる」
「……そりゃあどうも」
「まあ待て おじさんが良い事教えてやるよ」
ニヤニヤとした顔でこちらを見て刀を向けてこう言った。
「お前ネーチャンと契約の儀をしたろ? そっちから魔力を持ってくりゃあ良いのさ」
リンは左の首の紋章を思い出す。
シオンと視界を共有してするだけでなく、魔力の譲渡をできるようになったという事を。
「遠くから呼びかけもできるはずだぜぇ? ちっとばかし借りたらどうだい?」
ここはその提案には是非とも乗るべきだろう。それさえ出来ればとりあえず今よりも攻められる。
(やってみるか……)
そう思い、目を瞑る。
これで魔力を借りれば、戦える。
「んあ? どうした? やらねえのかい?」
「……お前が言ったんだろうが」
だが、リンはやめる事にした。
「何をだよ?」
折角の提案を拒むリン。ムロウが何を言ったのかと問いかける。
「これは……一対一の『決闘』だってな」
確かにシオンから借りれば魔力が足りるかも知れない。だがそれでは一人で勝ったとは言えない。
「俺はもう……負けるのは嫌なんでな」
一度味わった敗北の味、それは最悪だった。
もう二度と味合わない為に、今ここで『一人』で勝たなくてはならない。
だから提案を断る。誰かに頼らずとも、勝てると証明する為に。
「ククッ……クハハハハハッ!」
ムロウは心の底から嬉しそうに笑う。
まるで待ち望んでいた事がやっと成し遂げられたかのように。
「なんだよなんだよ! 思ってた以上に話がわかるじゃあねえか! それでこそあの人の二代目だぁ!」
刀を水平に構える。そしてわかった。見えはしないが、さっきよりも強い風を纏わせている事を。
「決めたぞ二代目! おりゃあお前を斬る! 斬りたくってしょうがねぇ!」
そこにいたのは、ただ戦いに飢えた一匹の剣客。自分の為に、勝つ為だけに刀を振るう。
「でかい口叩いたんだ! お前にもあるんだろう!? 『奥の手』ってのがぁ!」
「あるさ……たった一つな!」
頭の片隅にはあった。だがそれをしようとは思はなかった。
何故なら嫌な予感しかしなかったからだ。
(この状況を打開できる最大の奥の手だ……上手くいく保証はどこにも無いがな)
大口を叩いたのだ。こうなったら全部出し切って勝ってみせると意気込む。
右手に持っていたフレアディスペアを、今まで以上に激しく燃え上がらせる。
そのまま炎の剣を片手で叩き込むが、難なく躱された。
「それが奥の手か!? だったら笑えねえぞ!?」
ムロウは隙を突いてリンの左へ回り込む。
鋭い突きだった。おまけに風を纏った一撃だ、これを受ければ致命傷は免れない。
「だったらコイツで笑え!」
右手に炎を、そして左手には『砂塵』を纏う。
「聖剣……『二刀流』ッ!」
これが今のリンの最大の奥の手だった。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる