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Chapetr1
036 レティシアと運動の秋、未遂
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秋は何をするにも良い季節だと言われている。
他の星や街よりも季節のメリハリが少ない星都でもやっぱりそうだと思う。秋は冷えたビールも温かいラム入りコーヒーもどちらも美味しいのだ。
スポーツと言えば、ルールがあって決めて、やる。みたいな感じがするけれど(個人の感想です)、フリーウォーカーの私にとって、決められた型というのは似合わない。
最近のお気に入りは自転車だけど、あの領域が少し怖くて距離を置きたいのも事実。
なので初心にかえり、あの山を登ろう。山頂の売店で売っているミルクアイスを第一目標とする。
家の近くを流れる川をさかのぼっていくと、大きな池または小振りの湖にたどり着く。東湖畔……やっぱり湖だよ、にはちょうどいい山があって、サイクリングコースを含む一帯が公園になっている。
ちょうどいいといっても、私達チート系からしてのことで普通の人には結構攻めがいのある山だ。マリーは私とはもう一緒に登らないと宣言しちゃってる。
特に急ぐこともないので、ブラブラ行くとしましょう。
私的にはサマードレスとサンダルで十分なのだけど、山をなめてはいけないのです。だから袖付きシャツにショートパンツ。メッシュの入ったスニーカーは登山兼用と書いてあった。そして杖。トレッカーとか、こんなもんでしょう?
杖でそこらじゅうの石とかマンホールとか叩きながら歩く。
「やあレティシアちゃんご機嫌だね」
商店街は我が領地。領民たちが挨拶してきよるわ。
「こんにちは~。山に行くのよ」
「きをつけてな~」
「ありがと」
突然角から猫が飛び出してきた。
「タイガー!」
たしか毛糸屋さんの猫だ。
「タイガー待って~」
追いかける飼い主の娘さんは初等学校の小児だ。とてもじゃないが捕まえられないだろう。
「私が捕まえてあげるよ!」
「レティシアちゃん!」
さすが獣。今の一瞬で50m以上距離が離れた。
「持ってて!」
小児に杖をわたしてタイガーを追いかける。
私が追いかけてくるのに気が付いたタイガーは道の横の植栽に隠れた。
「見えているぞ!」
植栽も構わず突っ込むと、タイガーは奥の藪に向けて駆け出す。私は素晴らしい跳躍で藪を飛び越え、タイガーの先回りに成功した。彼が藪を抜けたちょうど目の前に私が着地する。彼は左右どちらかに飛ぶしかない。これは私にも賭けだ。運よく同じ方向に飛ぶことができれば、今の勢いもつけてタイガーを捕獲できる。逆に飛ぶとおそらくタイガーを見失う。
シッポだっ!タイガーのシッポが勢いよく右に振られるのを見て、私はその逆に飛ぶ。
跳んでしまったタイガーは、私の胸に自ら飛び込むしかない。うぇ……。結構ドスンときた。
捕獲されてからは意外とおとなしく、私の胸でゴロゴロいってる。
「ほら~捕まえたよ~」
「レティシアちゃんすごい!葉っぱもいっぱい!」
タイガーを小児に返す。
「タイガー、はなれなさいよ。こら、爪を立てるなって」
今度は私から離れたがらない。
「タイガー、レティシアちゃんのことが好きなのね~」
小児よ、困っている恩人を見てキャッキャするとは何事か!
「あ~爪、爪が刺さる!」
どこにとは言えませんが!
他の星や街よりも季節のメリハリが少ない星都でもやっぱりそうだと思う。秋は冷えたビールも温かいラム入りコーヒーもどちらも美味しいのだ。
スポーツと言えば、ルールがあって決めて、やる。みたいな感じがするけれど(個人の感想です)、フリーウォーカーの私にとって、決められた型というのは似合わない。
最近のお気に入りは自転車だけど、あの領域が少し怖くて距離を置きたいのも事実。
なので初心にかえり、あの山を登ろう。山頂の売店で売っているミルクアイスを第一目標とする。
家の近くを流れる川をさかのぼっていくと、大きな池または小振りの湖にたどり着く。東湖畔……やっぱり湖だよ、にはちょうどいい山があって、サイクリングコースを含む一帯が公園になっている。
ちょうどいいといっても、私達チート系からしてのことで普通の人には結構攻めがいのある山だ。マリーは私とはもう一緒に登らないと宣言しちゃってる。
特に急ぐこともないので、ブラブラ行くとしましょう。
私的にはサマードレスとサンダルで十分なのだけど、山をなめてはいけないのです。だから袖付きシャツにショートパンツ。メッシュの入ったスニーカーは登山兼用と書いてあった。そして杖。トレッカーとか、こんなもんでしょう?
杖でそこらじゅうの石とかマンホールとか叩きながら歩く。
「やあレティシアちゃんご機嫌だね」
商店街は我が領地。領民たちが挨拶してきよるわ。
「こんにちは~。山に行くのよ」
「きをつけてな~」
「ありがと」
突然角から猫が飛び出してきた。
「タイガー!」
たしか毛糸屋さんの猫だ。
「タイガー待って~」
追いかける飼い主の娘さんは初等学校の小児だ。とてもじゃないが捕まえられないだろう。
「私が捕まえてあげるよ!」
「レティシアちゃん!」
さすが獣。今の一瞬で50m以上距離が離れた。
「持ってて!」
小児に杖をわたしてタイガーを追いかける。
私が追いかけてくるのに気が付いたタイガーは道の横の植栽に隠れた。
「見えているぞ!」
植栽も構わず突っ込むと、タイガーは奥の藪に向けて駆け出す。私は素晴らしい跳躍で藪を飛び越え、タイガーの先回りに成功した。彼が藪を抜けたちょうど目の前に私が着地する。彼は左右どちらかに飛ぶしかない。これは私にも賭けだ。運よく同じ方向に飛ぶことができれば、今の勢いもつけてタイガーを捕獲できる。逆に飛ぶとおそらくタイガーを見失う。
シッポだっ!タイガーのシッポが勢いよく右に振られるのを見て、私はその逆に飛ぶ。
跳んでしまったタイガーは、私の胸に自ら飛び込むしかない。うぇ……。結構ドスンときた。
捕獲されてからは意外とおとなしく、私の胸でゴロゴロいってる。
「ほら~捕まえたよ~」
「レティシアちゃんすごい!葉っぱもいっぱい!」
タイガーを小児に返す。
「タイガー、はなれなさいよ。こら、爪を立てるなって」
今度は私から離れたがらない。
「タイガー、レティシアちゃんのことが好きなのね~」
小児よ、困っている恩人を見てキャッキャするとは何事か!
「あ~爪、爪が刺さる!」
どこにとは言えませんが!
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