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Chapetr1
016 レティシアとフルフルマラソン
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夏のサントルでやってはいけないこと。色々あるとは思う。その中でもマラソンなんて物は上位に入ってくるんじゃないだろうか。と大会ボランティアの私は考えている。
郊外の大きな池または小振りの湖を一周するコースで後半、池の東側の丘陵地域はやや勾配があるが全体としては平坦なコース。
普段は湖畔の風がさわやかな散策路だけど、今日は朝から汗だくで黙々と走る人だらけ。
午前中に10キロとハーフをやって、昼過ぎた今、やっとフルマラソンの最後尾がスタジアムを出た。
「ふ~。ゴールまでしばらく休めるね」
「だね~」
テーブルに突っ伏したマリーの上にソフィアが伏せる。
「ヤメロ。ホントクルシイ」
ソフィアってホントに訳の分からない生き物だわ。
「レティシアちゃん、疲れた?」
「ん?ちょっとね」
「どうしたのレティシア。乗っかってやろうか?」
「いらない……それ、マリー生きてんの?」
「大丈夫よ。シャツの中でも生きられるらしいから」
「そんなわけあるかぁ!」
また二人でガチャガチャしだした。
「そんな二人でイチャイチャしてるから、彼氏できないんだと……」
「オラァ!」
不用意な発言は身を滅ぼす。アイちゃんの真上からジャンピングソフィが降ってきた。どっちも痛そうだ。
「はあ……」
私が思っていたのは、私マラソン走りきれるんじゃない?ということ。体力的にはね。足りないのは精神力。私にあと鉄の意志が備われば上位入賞も夢ではないだろう。
「私ご飯いくけど、皆はまだ遊んでる?」
運営が用意してくれているお弁当だけど。
「行くわよ。言っとくけど私は完全に被害者だからね!」
「もう!痛い!ソフィアは私か思ってたより百倍馬鹿だわ!」
「……ごめん、今のはやりすぎた」
「もう、診せて。ほっぺ腫れてるよ。マリー、氷でも貰ってきてあげて。アイちゃん、お弁当貰いに行こう」
「レティシアちゃん、最近なんかあった?悩み事でも?」
「そう言うわけでもないんだけどね……」
この間の一件以来、飲酒量は減らしている。処方箋とかは出なくて、あくまでも自己コントロールで減らせと。お医者さんはなんか知ってるみたいなんだけどなぁ。
「物憂げな美女というのも良いけどさ。話せるようになったら話してよ」
「そうだね。まあ言えるのはそこまで深刻な事じゃないはずだって事かな」
「難しいよ?」
「思い出すことを止められてる?そんなところ」
お弁当は四種類、メインのお肉の違いだ。
「あの二人のどうする?」
「私はお魚かな。レティシアちゃんは牛さんでしょ」
「牛肉ね。牛さんって言うとなんか生々しい」
「じゃあ鳥と豚を貰っていこう。ソフィアにはなんか罰をあげたかったけど」
「食べ物以外でやろうよ」
この三人が仲良しなのが何故だか分からない。
「このまま帰っても私の牛がソフィアに食べられてドタバタで終わるだけなのは目に見えてるわ」
「だよね、二人はそのあたり、絶対外さないもんね」
二人は王道。
「だから、全部牛よ!」
「え?嫌よ」
「なんで?標準だよ、皆大好きお肉だよ?」
「だって昨日、良いお肉食べたし。普通のお肉で上書きされたくないわ」
「魚じゃパワーにならないわ(作中人物の見解です)。肉こそ全て。そして頂点に立つのは牛なのよ」
「この件に関しては私たちの意見は平行線だね」
今まで見たこと無いくらい悲しい顔をするアイちゃん。本当に私たちは分かり合えないの?
「待って、いつだって私たちはぶつかり合いながらも、正しい道を選んでこれた!牛2魚2でどうよ!」
根本的な解決にはなってないけど、問題はいつだって先送りできる!
「甘いわねレティシアちゃん……ホント嫌になる。でもその甘さ、嫌いじゃないわ」
私たちは争いたい訳じゃない。譲れないものがあっただけ。それを知った今、私たちは……
「レティシア!アイ!もうあんたたちだけよ!」
マリー!?どうしてここに!
「いや、遅いし」
「ほらほら、早く取りに来なって。受付の子が終われないじゃんか。あと、鳥と豚だけどどっちにする?」
郊外の大きな池または小振りの湖を一周するコースで後半、池の東側の丘陵地域はやや勾配があるが全体としては平坦なコース。
普段は湖畔の風がさわやかな散策路だけど、今日は朝から汗だくで黙々と走る人だらけ。
午前中に10キロとハーフをやって、昼過ぎた今、やっとフルマラソンの最後尾がスタジアムを出た。
「ふ~。ゴールまでしばらく休めるね」
「だね~」
テーブルに突っ伏したマリーの上にソフィアが伏せる。
「ヤメロ。ホントクルシイ」
ソフィアってホントに訳の分からない生き物だわ。
「レティシアちゃん、疲れた?」
「ん?ちょっとね」
「どうしたのレティシア。乗っかってやろうか?」
「いらない……それ、マリー生きてんの?」
「大丈夫よ。シャツの中でも生きられるらしいから」
「そんなわけあるかぁ!」
また二人でガチャガチャしだした。
「そんな二人でイチャイチャしてるから、彼氏できないんだと……」
「オラァ!」
不用意な発言は身を滅ぼす。アイちゃんの真上からジャンピングソフィが降ってきた。どっちも痛そうだ。
「はあ……」
私が思っていたのは、私マラソン走りきれるんじゃない?ということ。体力的にはね。足りないのは精神力。私にあと鉄の意志が備われば上位入賞も夢ではないだろう。
「私ご飯いくけど、皆はまだ遊んでる?」
運営が用意してくれているお弁当だけど。
「行くわよ。言っとくけど私は完全に被害者だからね!」
「もう!痛い!ソフィアは私か思ってたより百倍馬鹿だわ!」
「……ごめん、今のはやりすぎた」
「もう、診せて。ほっぺ腫れてるよ。マリー、氷でも貰ってきてあげて。アイちゃん、お弁当貰いに行こう」
「レティシアちゃん、最近なんかあった?悩み事でも?」
「そう言うわけでもないんだけどね……」
この間の一件以来、飲酒量は減らしている。処方箋とかは出なくて、あくまでも自己コントロールで減らせと。お医者さんはなんか知ってるみたいなんだけどなぁ。
「物憂げな美女というのも良いけどさ。話せるようになったら話してよ」
「そうだね。まあ言えるのはそこまで深刻な事じゃないはずだって事かな」
「難しいよ?」
「思い出すことを止められてる?そんなところ」
お弁当は四種類、メインのお肉の違いだ。
「あの二人のどうする?」
「私はお魚かな。レティシアちゃんは牛さんでしょ」
「牛肉ね。牛さんって言うとなんか生々しい」
「じゃあ鳥と豚を貰っていこう。ソフィアにはなんか罰をあげたかったけど」
「食べ物以外でやろうよ」
この三人が仲良しなのが何故だか分からない。
「このまま帰っても私の牛がソフィアに食べられてドタバタで終わるだけなのは目に見えてるわ」
「だよね、二人はそのあたり、絶対外さないもんね」
二人は王道。
「だから、全部牛よ!」
「え?嫌よ」
「なんで?標準だよ、皆大好きお肉だよ?」
「だって昨日、良いお肉食べたし。普通のお肉で上書きされたくないわ」
「魚じゃパワーにならないわ(作中人物の見解です)。肉こそ全て。そして頂点に立つのは牛なのよ」
「この件に関しては私たちの意見は平行線だね」
今まで見たこと無いくらい悲しい顔をするアイちゃん。本当に私たちは分かり合えないの?
「待って、いつだって私たちはぶつかり合いながらも、正しい道を選んでこれた!牛2魚2でどうよ!」
根本的な解決にはなってないけど、問題はいつだって先送りできる!
「甘いわねレティシアちゃん……ホント嫌になる。でもその甘さ、嫌いじゃないわ」
私たちは争いたい訳じゃない。譲れないものがあっただけ。それを知った今、私たちは……
「レティシア!アイ!もうあんたたちだけよ!」
マリー!?どうしてここに!
「いや、遅いし」
「ほらほら、早く取りに来なって。受付の子が終われないじゃんか。あと、鳥と豚だけどどっちにする?」
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