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第五章: 新人仕事人 恋模様
活躍する2人
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ただ今、川のほとり温泉旅館に来ている、あおい とオストリッチと蓮と優である。
あおいは、同行者たちとは別の、本館にある部屋に案内されているところだ。
「柊の間でございます。
どうぞ お入り下さい。蓮さんも見て下さい」
「はい、失礼します。あっ、コタツがある!みかんまで置いてあって、ありがとうございます」
離れと比べたら地味だけど、落ち着く感じだと、あおいは思った。
こじんまりとしている和室の襖を開けて見ると、もう1つ和室があり、サッと黒い影が通ったように見えた。
「 ! 」
「……今、何か通った気がしたんだけど、あれ?誰もいないですね……」
あおいは、目をこすって、再度見てみるが誰もいなかった。
「女将さん、もしかして、ここって訳ありの部屋ですか?」
蓮は、確認せずにはいられなかった。
「あ……蓮さん、あおいさん、すみません。今日、他は満室でしたから、この部屋しかなくて……。
以前、ここにお泊りのお客様が、近くの川で亡くなられたんですが。
それから度々、この部屋に現れるようになってしまいました。
私が何度も、除霊をしているのですが、すぐに戻ってくるのです」
「じゃあ、さっきのは幽霊だったんですか?怖い!」
「あおいちゃん、冥界の人間が、怖がっていたら変だろう?
捕まえて、冥界に送るのも、我々の仕事なんだからね」
「はい蓮さん 、すみません」
「女将さん、その霊の事を詳しく話して下さい」
蓮は、事情を聞き出す。
………………
「よわ……ゆ……えっと、優さん!
水が流れる音がしますね」
オストリッチは、弱い人と言いかけて、優の名前を名前を思い出した。
オストリッチと優は、林の中まで見て回っている。
「きっと川があるんだよ。さっきの滝があった川に、繋がっているんだと思うよ。歩いて行ってみようか。
ツルノ君は、飛んでいいよ」
飛んでいるオストリッチは、水の音を頼りに林を抜けて、優より早く川にやって来た。
川に降りられそうな土手があるが、茅草で覆われていた。
そんなに広くはない川だが、とても水が綺麗だった。
オストリッチは、羽ばたいて川岸に降り立った。
えっ!川の中に女の人が立っている。
腰の辺りまで水に浸かっているぞ。
一体、何をしているのだろう?
結構、寒くなってきているのに。
優さんに知らせなくっちゃ!
オストリッチが、戻ろうと川を渡ったら、優の姿が見えた。
「ゆ……」
「しっ!」優が人差し指を口に当てて言った。
それからオストリッチに、側に来るように手招きをした。
黙って優の元へと行くと、
「この辺りに死者の気配がある。
おそらく、行方不明になった死者だろう。
そういう死者を、浮遊霊と呼んでいるんだよ。
捕獲をしなければならない。
そっと探そう」
優が囁やいた。
「川の中に女の人がいます」
オストリッチも負けずに囁いた。
「ツルノ君、さすがだね。もう見つけたんだね。
その死者には、当然、我々の姿は見えている。
だから、下手に近寄ると逃げられてしまう。
ツルノ君、そのヘルメットを取って、本物の鶴として、女の人に話しかけてみて。
モバリスを持ってきているかい?」
オストリッチは、ヘルメットと紐付きメモ帳を地面に置いて、モバリスの紐を首に掛け胸羽に入れ、再び川へ向かった。
川の中州にある木に止まり、女性に声を掛けてみる。
「お姉さん、何をしているのですか」
すると、女性がキョロキョロしながら、オストリッチに気がついた。
「どうして、鳥が話せるの?」
女性は、警戒しているようで、目が鋭い。
どうしよう、何て答えたらいいのかな?
「何故、話せるのか、僕自身もわかりません。
ただ、僕、死んでしまっているみたいなんです。
もしかしたら、それで話せるのかもしれません。
お姉さんは、水の中にいて、寒くないですか?」
女性は、水の中を歩きながら、オストリッチのいる方へ近寄った。
「指輪を探しているの。
さっき、投げてしまって…… 。
彼が浮気をしたから許せなくて、つい指輪を捨てちゃったの。
無いわ、もっとあっちだったかしら?
それとも、私の勘違いで、旅館にあるのかしら?」
女性は言うだけ言って、川の中を歩いて移動しようとした、その時、優が背後から女性に抱きつくように捕まえた!
「ツルノ君、モバリスある?
額の札を読み取って!
いつも蓮さんのやり方を、見ているから分かるよね?」
必死に捕まえながら、優が叫んだ!
「あなた誰なの!何をするの!
離しなさいよ!指輪を探さないと彼の元へと帰れないのよっ!離せー!」
オストリッチは、胸羽の中からモバリスを出し、操作し、女性の額に向け、ボタンを押した。
オストリッチも必死の形相だが、女性の顔も 恐ろしい形相になっているから、怖いのを我慢しながら、仕事をしているのだ。
ジージージー
ピー!
女性のデーターが冥界へ送られた。
「完了しました。えっと、あなたは、これより、冥界へと旅立ちます。
どなたかに言いたい言葉があれば、僕が伝えます。
だから、冥界へと行って下さい」
オストリッチが女性に言った。
「何よ!あなた、死者じゃないのね!
何者なのよっ!騙したのっ!」
「痛い!止めろよっ!」
突然、優が叫んだ。
女性が優の腕に噛み付いたのだ。
「なんちゃって!ちょっと、言ってみただけ!
僕も死者だし、ツルノ君も死者だから、騙していないですよ!」
優は、女性を抑えたまま言ったのだ。
そして、オストリッチが泣きながら言う。
「お姉さん、僕は子どもだから、よく分からないけど、お姉さんを裏切った人なんか、忘れちゃえばいいのに!
川の中にいつまでもいたって、指輪はどこかへ流れてしまっています。
もう、お姉さんの行くべき所に、行った方がいいです。
もうすぐ、お迎えが到着します。
伝えて欲しい言葉がないですか?」
そこに、冥界からエレベーターが煙と共に現れた。
水の上に浮かんでいるようだ。
えっと、何て言うんだっけ?
そうだ、ドアを開けなきゃ!
女性は、物凄く暴れていて、優の髪を引っ張っている。
「天か地獄か、裁きの時間です。
冥界のドアよ、開け!」
少しの間があったが、エレベーターの扉が開いた。
優は、暴れる女性の上半身をエレベーターに押し込み、続いて両足を持ち上げ、無理やり中に入れ、優も一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「お姉さーん、早く伝えたい事を言ってー、早く」
オストリッチが叫んだ。
「彼に伝て、“裏切りは許さないけど、あんたのことは、もう忘れる!”」
扉が閉まりかけた時に、女性が早口で言ったのだ。
エレベーターの扉が完全に閉まり、消えた。
「あっ、優さんも乗って行っちゃった」
オストリッチは、女性の言った事を忘れないうちに、メモしなければと思い、急いでヘルメットを置いた場所へと行った。
なんと言ったっけ?
裏切りを許さないし、あんたの事は、覚えているからねっ!だったかな?
でも、彼ってどこの誰だろう?
それに優さん、冥界に戻っちゃったし……。
僕、どうしよう?宿に戻っていいの?
いや、伝言を伝えに行かないと……。
どこに行く?どうしたらいいの?
オストリッチは、途方にくれる。
その頃、あおい と蓮は、女将から事情を聞いて、部屋に女性が来た場合に備え、作戦を練っていた。
オストリッチと優が、その幽霊を冥界に送り、解決したとは、夢にも思っていなかったのだ。
あおいは、同行者たちとは別の、本館にある部屋に案内されているところだ。
「柊の間でございます。
どうぞ お入り下さい。蓮さんも見て下さい」
「はい、失礼します。あっ、コタツがある!みかんまで置いてあって、ありがとうございます」
離れと比べたら地味だけど、落ち着く感じだと、あおいは思った。
こじんまりとしている和室の襖を開けて見ると、もう1つ和室があり、サッと黒い影が通ったように見えた。
「 ! 」
「……今、何か通った気がしたんだけど、あれ?誰もいないですね……」
あおいは、目をこすって、再度見てみるが誰もいなかった。
「女将さん、もしかして、ここって訳ありの部屋ですか?」
蓮は、確認せずにはいられなかった。
「あ……蓮さん、あおいさん、すみません。今日、他は満室でしたから、この部屋しかなくて……。
以前、ここにお泊りのお客様が、近くの川で亡くなられたんですが。
それから度々、この部屋に現れるようになってしまいました。
私が何度も、除霊をしているのですが、すぐに戻ってくるのです」
「じゃあ、さっきのは幽霊だったんですか?怖い!」
「あおいちゃん、冥界の人間が、怖がっていたら変だろう?
捕まえて、冥界に送るのも、我々の仕事なんだからね」
「はい蓮さん 、すみません」
「女将さん、その霊の事を詳しく話して下さい」
蓮は、事情を聞き出す。
………………
「よわ……ゆ……えっと、優さん!
水が流れる音がしますね」
オストリッチは、弱い人と言いかけて、優の名前を名前を思い出した。
オストリッチと優は、林の中まで見て回っている。
「きっと川があるんだよ。さっきの滝があった川に、繋がっているんだと思うよ。歩いて行ってみようか。
ツルノ君は、飛んでいいよ」
飛んでいるオストリッチは、水の音を頼りに林を抜けて、優より早く川にやって来た。
川に降りられそうな土手があるが、茅草で覆われていた。
そんなに広くはない川だが、とても水が綺麗だった。
オストリッチは、羽ばたいて川岸に降り立った。
えっ!川の中に女の人が立っている。
腰の辺りまで水に浸かっているぞ。
一体、何をしているのだろう?
結構、寒くなってきているのに。
優さんに知らせなくっちゃ!
オストリッチが、戻ろうと川を渡ったら、優の姿が見えた。
「ゆ……」
「しっ!」優が人差し指を口に当てて言った。
それからオストリッチに、側に来るように手招きをした。
黙って優の元へと行くと、
「この辺りに死者の気配がある。
おそらく、行方不明になった死者だろう。
そういう死者を、浮遊霊と呼んでいるんだよ。
捕獲をしなければならない。
そっと探そう」
優が囁やいた。
「川の中に女の人がいます」
オストリッチも負けずに囁いた。
「ツルノ君、さすがだね。もう見つけたんだね。
その死者には、当然、我々の姿は見えている。
だから、下手に近寄ると逃げられてしまう。
ツルノ君、そのヘルメットを取って、本物の鶴として、女の人に話しかけてみて。
モバリスを持ってきているかい?」
オストリッチは、ヘルメットと紐付きメモ帳を地面に置いて、モバリスの紐を首に掛け胸羽に入れ、再び川へ向かった。
川の中州にある木に止まり、女性に声を掛けてみる。
「お姉さん、何をしているのですか」
すると、女性がキョロキョロしながら、オストリッチに気がついた。
「どうして、鳥が話せるの?」
女性は、警戒しているようで、目が鋭い。
どうしよう、何て答えたらいいのかな?
「何故、話せるのか、僕自身もわかりません。
ただ、僕、死んでしまっているみたいなんです。
もしかしたら、それで話せるのかもしれません。
お姉さんは、水の中にいて、寒くないですか?」
女性は、水の中を歩きながら、オストリッチのいる方へ近寄った。
「指輪を探しているの。
さっき、投げてしまって…… 。
彼が浮気をしたから許せなくて、つい指輪を捨てちゃったの。
無いわ、もっとあっちだったかしら?
それとも、私の勘違いで、旅館にあるのかしら?」
女性は言うだけ言って、川の中を歩いて移動しようとした、その時、優が背後から女性に抱きつくように捕まえた!
「ツルノ君、モバリスある?
額の札を読み取って!
いつも蓮さんのやり方を、見ているから分かるよね?」
必死に捕まえながら、優が叫んだ!
「あなた誰なの!何をするの!
離しなさいよ!指輪を探さないと彼の元へと帰れないのよっ!離せー!」
オストリッチは、胸羽の中からモバリスを出し、操作し、女性の額に向け、ボタンを押した。
オストリッチも必死の形相だが、女性の顔も 恐ろしい形相になっているから、怖いのを我慢しながら、仕事をしているのだ。
ジージージー
ピー!
女性のデーターが冥界へ送られた。
「完了しました。えっと、あなたは、これより、冥界へと旅立ちます。
どなたかに言いたい言葉があれば、僕が伝えます。
だから、冥界へと行って下さい」
オストリッチが女性に言った。
「何よ!あなた、死者じゃないのね!
何者なのよっ!騙したのっ!」
「痛い!止めろよっ!」
突然、優が叫んだ。
女性が優の腕に噛み付いたのだ。
「なんちゃって!ちょっと、言ってみただけ!
僕も死者だし、ツルノ君も死者だから、騙していないですよ!」
優は、女性を抑えたまま言ったのだ。
そして、オストリッチが泣きながら言う。
「お姉さん、僕は子どもだから、よく分からないけど、お姉さんを裏切った人なんか、忘れちゃえばいいのに!
川の中にいつまでもいたって、指輪はどこかへ流れてしまっています。
もう、お姉さんの行くべき所に、行った方がいいです。
もうすぐ、お迎えが到着します。
伝えて欲しい言葉がないですか?」
そこに、冥界からエレベーターが煙と共に現れた。
水の上に浮かんでいるようだ。
えっと、何て言うんだっけ?
そうだ、ドアを開けなきゃ!
女性は、物凄く暴れていて、優の髪を引っ張っている。
「天か地獄か、裁きの時間です。
冥界のドアよ、開け!」
少しの間があったが、エレベーターの扉が開いた。
優は、暴れる女性の上半身をエレベーターに押し込み、続いて両足を持ち上げ、無理やり中に入れ、優も一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「お姉さーん、早く伝えたい事を言ってー、早く」
オストリッチが叫んだ。
「彼に伝て、“裏切りは許さないけど、あんたのことは、もう忘れる!”」
扉が閉まりかけた時に、女性が早口で言ったのだ。
エレベーターの扉が完全に閉まり、消えた。
「あっ、優さんも乗って行っちゃった」
オストリッチは、女性の言った事を忘れないうちに、メモしなければと思い、急いでヘルメットを置いた場所へと行った。
なんと言ったっけ?
裏切りを許さないし、あんたの事は、覚えているからねっ!だったかな?
でも、彼ってどこの誰だろう?
それに優さん、冥界に戻っちゃったし……。
僕、どうしよう?宿に戻っていいの?
いや、伝言を伝えに行かないと……。
どこに行く?どうしたらいいの?
オストリッチは、途方にくれる。
その頃、あおい と蓮は、女将から事情を聞いて、部屋に女性が来た場合に備え、作戦を練っていた。
オストリッチと優が、その幽霊を冥界に送り、解決したとは、夢にも思っていなかったのだ。
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