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第三章: 見習い仕事人
この世は知らぬ事だらけ
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「第1の門目指して出発!」
……って、賽の河原のイノリさんに無事に送り届けた事を報告しないと!
よし、賽の河原に出発!
ふっ……ん
ふわん
オストリッチは、賽の河原に到着してイノリの姿を探し、キョロキョロと見渡した。
そして、船着場にいるイノリを見つけ、大きな声で声をかける。
「あっ、イノリさーん!イノリさーん」
イノリがいる船着場に、オストリッチも行くと、丁度、ボートが着岸し、子ども2人と女性スタッフが、降りてきたところだった。
オストリッチは、何気なくボートに目をやると、中に小さな人がいることに気がついた。
わっ、あれは何?何者?
鳥にしては、妙ちくりんだし。
人にしても、妙ちくりんな姿の2人だし。
しかも宙に浮いてる……。
これは、何という生き物なのかな?
帰ったら、先生に聞いてみよう!
オストリッチは、イノリに任務完了の挨拶をし、来訪者に会釈をして、その場を後にしたのであった。
……………
「今日も無事に仕事が終わったー!
ふーー」
あおいは、仕事が終わってホッとしていた。
「あおいさん、すっかり仕事にも慣れたみたいだね!」
「あっ、ユウカさん。はい、お陰様で慣れてきました」
ロッカールームにポシェットを取りに来て、着替え中のユウカと談笑する。
「ここって、仕事終わりに寄るお店もないですよね!まあ、何も食べませんけど!
洋服屋さんとかって、あるんですか?」
「そんなの無いわね!お店なんてものは無いのよ」
あーやっぱ、そうか!そうだよね!
「あのぉ、ちょっと気になっているんですけど、お給料とかってあるんですか?
一応、働いているので……」
「あるけど。お金ではなくて、スタンプを押してもらうのよ!
カードに必要なだけのスタンプが溜まったら、旅行に行かれるシステムなの」
えっ!給料の代わりが、旅行って!
なんか、行き先によっては、テンションが下がりますけどぉ。
「旅行?例えば、どこへ行けるんですか?」
「団体旅行は、寺社仏閣が多いかな」
あ……やっぱりね。そうだと思った。
「そうですよね。死者の団体旅行なら
そういう所でしょうね!
テーマパークなんて、行かないですよね」
「うん、行ったことないわ。テーマパークかぁ。
行ってみたいけど、冥界には年配者が多いから無理かもね」
「あと、個人旅行もあるけど。
でも、だいたい里帰りが多いかな」
「里帰りって、何処へ帰るか覚えていないんじゃないですか?
働く為に記憶は消されるって聞いたし、私は覚えていません。
ユウカさんは、覚えているんですか?」
「覚えていないわよ!
私の額に札はないでしょう?
働いている人には、札は貼っていないのよ。普通の死者と区別がつかなくなるから、札を就業許可証に貼ってあるの」
「えー!もしかして私の額には、金札が貼られていないんですか?」
「ないわよ!就業許可証に貼られているはず!
エレベーターで降りてくる時に自動的に額から剥がれて就業許可証に付くのよ。
その就業許可を事務所に提出してあるから、記憶を失っているの」
「マジですか?じゃあ、札を額に貼れば思い出しますか?」
「その通り!
だから、里帰りが可能ってことなの。
もちろん、里帰りから帰って来たら、札は就業許可証に戻るから、記憶をまた失うのよ」
「そうなんですか!教えてくれて、ありがとうございました」
里帰りができるのか!
じゃあ、張り切って仕事をしまーす。
……………
事務長が私を呼んでいるって、いったい、何の用かしらね?
あおいさんは、仕事をだいたい覚えたから、問題はないはずだし……。
考え事をしながらユウコは、事務長室に入った。
「ユウコさん、帰る前に悪いね。
あおいさんの事なんだが、次の所へ異動が決まったんだ。
今まで指導、お疲れ様でした。
明日、本人に話しますから」
えーー!そんなー!
仕事も何とか覚えたから、私が退職しようと考えていたのに!
ショックだわ!
ユウコは、分かりやすくガッカリしている。
「ユウコさん……代わりの男の子が来ますから!また、お願いします」
ユウコは、ニヤリとするのだった。
…………
「ただいま……」
……あっ、そっか。
リッチ君は、当分 帰って来ないとか言ってたよね。
キィィ
「お姉ちゃん、ただいまー」
「随分、早く帰って来れたんだね!
おかえりなさい」
オストリッチは、初めて見た生物の事を、身振り手振りを交えて話しだした。
「うん、うん、それって、妖精さんかもよ?天界に住んでいるんだよ。
へぇ、こっちまで来るんだね」
「それでね、それでね、滑り台ってのがあって、最高に面白かったんだよ。
僕、あれが欲しいなー」
オストリッチは、秦広王にも同じ話しをしてきたのだった。
……って、賽の河原のイノリさんに無事に送り届けた事を報告しないと!
よし、賽の河原に出発!
ふっ……ん
ふわん
オストリッチは、賽の河原に到着してイノリの姿を探し、キョロキョロと見渡した。
そして、船着場にいるイノリを見つけ、大きな声で声をかける。
「あっ、イノリさーん!イノリさーん」
イノリがいる船着場に、オストリッチも行くと、丁度、ボートが着岸し、子ども2人と女性スタッフが、降りてきたところだった。
オストリッチは、何気なくボートに目をやると、中に小さな人がいることに気がついた。
わっ、あれは何?何者?
鳥にしては、妙ちくりんだし。
人にしても、妙ちくりんな姿の2人だし。
しかも宙に浮いてる……。
これは、何という生き物なのかな?
帰ったら、先生に聞いてみよう!
オストリッチは、イノリに任務完了の挨拶をし、来訪者に会釈をして、その場を後にしたのであった。
……………
「今日も無事に仕事が終わったー!
ふーー」
あおいは、仕事が終わってホッとしていた。
「あおいさん、すっかり仕事にも慣れたみたいだね!」
「あっ、ユウカさん。はい、お陰様で慣れてきました」
ロッカールームにポシェットを取りに来て、着替え中のユウカと談笑する。
「ここって、仕事終わりに寄るお店もないですよね!まあ、何も食べませんけど!
洋服屋さんとかって、あるんですか?」
「そんなの無いわね!お店なんてものは無いのよ」
あーやっぱ、そうか!そうだよね!
「あのぉ、ちょっと気になっているんですけど、お給料とかってあるんですか?
一応、働いているので……」
「あるけど。お金ではなくて、スタンプを押してもらうのよ!
カードに必要なだけのスタンプが溜まったら、旅行に行かれるシステムなの」
えっ!給料の代わりが、旅行って!
なんか、行き先によっては、テンションが下がりますけどぉ。
「旅行?例えば、どこへ行けるんですか?」
「団体旅行は、寺社仏閣が多いかな」
あ……やっぱりね。そうだと思った。
「そうですよね。死者の団体旅行なら
そういう所でしょうね!
テーマパークなんて、行かないですよね」
「うん、行ったことないわ。テーマパークかぁ。
行ってみたいけど、冥界には年配者が多いから無理かもね」
「あと、個人旅行もあるけど。
でも、だいたい里帰りが多いかな」
「里帰りって、何処へ帰るか覚えていないんじゃないですか?
働く為に記憶は消されるって聞いたし、私は覚えていません。
ユウカさんは、覚えているんですか?」
「覚えていないわよ!
私の額に札はないでしょう?
働いている人には、札は貼っていないのよ。普通の死者と区別がつかなくなるから、札を就業許可証に貼ってあるの」
「えー!もしかして私の額には、金札が貼られていないんですか?」
「ないわよ!就業許可証に貼られているはず!
エレベーターで降りてくる時に自動的に額から剥がれて就業許可証に付くのよ。
その就業許可を事務所に提出してあるから、記憶を失っているの」
「マジですか?じゃあ、札を額に貼れば思い出しますか?」
「その通り!
だから、里帰りが可能ってことなの。
もちろん、里帰りから帰って来たら、札は就業許可証に戻るから、記憶をまた失うのよ」
「そうなんですか!教えてくれて、ありがとうございました」
里帰りができるのか!
じゃあ、張り切って仕事をしまーす。
……………
事務長が私を呼んでいるって、いったい、何の用かしらね?
あおいさんは、仕事をだいたい覚えたから、問題はないはずだし……。
考え事をしながらユウコは、事務長室に入った。
「ユウコさん、帰る前に悪いね。
あおいさんの事なんだが、次の所へ異動が決まったんだ。
今まで指導、お疲れ様でした。
明日、本人に話しますから」
えーー!そんなー!
仕事も何とか覚えたから、私が退職しようと考えていたのに!
ショックだわ!
ユウコは、分かりやすくガッカリしている。
「ユウコさん……代わりの男の子が来ますから!また、お願いします」
ユウコは、ニヤリとするのだった。
…………
「ただいま……」
……あっ、そっか。
リッチ君は、当分 帰って来ないとか言ってたよね。
キィィ
「お姉ちゃん、ただいまー」
「随分、早く帰って来れたんだね!
おかえりなさい」
オストリッチは、初めて見た生物の事を、身振り手振りを交えて話しだした。
「うん、うん、それって、妖精さんかもよ?天界に住んでいるんだよ。
へぇ、こっちまで来るんだね」
「それでね、それでね、滑り台ってのがあって、最高に面白かったんだよ。
僕、あれが欲しいなー」
オストリッチは、秦広王にも同じ話しをしてきたのだった。
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