アンティーク影山の住人

ひろろ

文字の大きさ
上 下
65 / 78
初めまして!

分かち合うもの

しおりを挟む
 やっと知恵の輪パズルをつなぐ事に成功し、喜んだカーソルだったが、その途端に意識を失ってしまった。


「カーソルさん?どうしたの?カーソルさんっ!目を開けて!嫌だわ、どうしたらいいの?」


 ルシェは、オロオロするばかりだ。


「ハッシュヌーボ山の頂上に行ってくれ!早くっ!」


 カボスが運転手に命じると、フライングモーターがヒュンと急上昇した。


「きやっ!」


 ルシェは横に倒れそうになりながら、カーソルの身体を支える。


ダンッ!


 身体に少しの衝撃を受けながらも、フライングモーターが頂上に着地した。


「アイリスっ!アイリスっ!来てくれ」


 フライングモーターから飛び出たカボスは、血相を変えて泉の周りを走り始めた。


三周目を走っていると息が上がる。


だが、構わず叫ぶ。


「は、早く出て……来い!ア、ア、アイリス!た、頼む!」


 すると泉の中央に波紋が広がり、女性が現れた。


「……うるさいわね。……私に何用なのですか?」


 若く見える美しい女性が、迷惑そうな顔をした。


彼女の名は、アイリス。


プランツ城、執事である このカボスの元嫁ということだ。


「アイリス!知恵の輪パズルがくっついたらカーソル様がーーー!

カーソル様を助けてくれ!気を失っている!何とかしてくれ!
アイリス、頼む!頼みます!」


 そんなカボスを見て、ルシェも懇願する。


「泉の女神様、どうぞカーソルさんをお助け下さいませ!
どうか目を覚まさせて下さい!
お願いしますわ……」


 アイリスは、ドレスの裾を両手で摘み、ミニスカートの様にまくり上げた。


そして、泉の上を三段跳びのように軽やかに跳び、泉のほとりに着地し、すぐさま、フライングモーターにいるカーソルの元へと走った。


そのあとを二人が追う。


カーソルの側には運転手がいて、心配そうに見ていたのだった。


 アイリスは鋭い顔つきで、カーソルの呼吸を確かめ言う。


「……ああ、これは……寝ているだけです。よほど集中をして、疲れたのでしょう。心配は入りません……。

本当にあなたときたら、常に第二王子が一番大事なんですから。

呆れてしまいますね……」


「寝てる?」「寝ているだけですの?」


 ホッとしたカボスとルシェは、フライングモーターのドアに寄り掛かって地面に座り込んだ。


「あ……ほんと良かったわ……。
……って、あのぉ、女神様、泉から出ていらしたのに、髪もドレスも濡れていませんわね。不思議ですわ……」


「えっ?女神様ですって?ふふふ、私がですか?まあ、嬉しいこと。

実は、この泉の中央は空洞で、エレベーターが設置されているのです。

用がある者が、泉の周囲を三周するとセンサーが感知して、エレベーターが上昇するという仕組みです。

ただ私の都合は、考えられていないところが残念なのです。

特にお顔パック中の時は、腹が立ちます。まあ、たまになんですけどね、ホホホ」


 ルシェの言葉に気を良くしたアイリスが、そんなことまでカミングアウトしたのだった。


 運転席側のドアに寄り掛かっているカボスは、まだ話せる状態ではなかった。


(はあ、疲れたー。カーソルさまは、寝ているだけなら、良かったあ。……にしても、顔のパックだと?そなたは相変わらず、美容の事しか頭に無いのか?
まあ、出てきて、様子を診てくれただけでも、いいか)


「ふーぅ」


 息を吐き疲労困憊な様子のカボスを見たアイリスは、フライングモーターから離れ、すぐに戻ってきたのだった。


「はい、お飲みになりなさい」


 カボスと運転手にコップの水を差し出した。


 アイリスの その気遣いが嬉しく感激をしたカボスだったが、ルシェには水を渡していないと気づいた。


「ルシェ様、これをお飲み下さい」


自分の分を差し出したカボスだったが、アイリスに手で制止をされた。


「お待ちなさい。貴女はあちらへと行くのです」


「えっ?何故ですの?」

……………………

ゴオォォォゴオォォォ……。


 滝壺へと落ちてゆく水の音が、豪快に聞こえてくる。


 ルシェ達一行は、フライングモーターで山頂から降りてきた。


カーソルは、まだ眠ったままでいる。


「ルシェ様、カーソル様は起きる気配がございません。ですので、ご一緒にお城へと参りませんか?」


 カボスが提案した。


「いえ、カーソルさんは相当、お疲れのようですから、私は帰りますわ。
ただ、オールド国に帰るには船に乗らないと……。できれは、人間界経由で帰りたいのですが……。あのぉ、そのぉ、妖精ロードを使わせて頂ければ……」


(図々しいですわよね?でも、迎えを呼んでボートで帰るのは、大変なんですもの……)


「なるほど!その方がオールド国へと、すんなり帰れますな。
かしこまりました。わたくしが人間界へと妖精ロードで、お送り致します。

では、行き先はどちらですか?」


 カボスは、ルシェをアンティーク影山の入口自動ドア側に送り、直ぐに城へと戻って行った。

……………………

 ルシェは、裏口にまわる。


「皆さん、こんばんはですわ!」


 いつもの黄緑色のノースリーブワンピースの妖精姿。


首から下がる透明小袋が、少し重そうだが、元気よく骨董品コーナーへと入ったのだった。


 この透明小袋には、通常、ツボの種が入っている。


もちろん今も入っているのだが、それ以外の物もあったのだ。

……………………

 それは、ハッシュヌーボ山頂で、アイリスがカボスと運転手に水を飲ませた後の事。


 アイリスは、ルシェを泉の奥にある山蜜柑の木へと招いた。


 その山蜜柑の木は、幾つもの黄色い実をつけている。


「この中から、一つだけあげましょう。選びなさい」


 アイリスから言われ、果実をじっくりと選びはじめた。


(もしかして、カーソルさんは蜜柑が好きなのかも?
だって、バックの中に蜜柑が入っていたもの。甘そうな物は、どれかしら?
濃い色の物が美味しいかしら?)


 カーソルのことを考えながら、密集している葉をかき分けていくと、何かがキラッと輝いた。


「えっ?何ですの?これが蜜柑ですか?金色に光っていますわっ!」


 ルシェが驚き、思わず聞いたら、アイリスは確かに蜜柑だと答えた。


 その金色の蜜柑は、人型ルシェの握りこぶしよりも小さめで、美しく輝いていた。


「これって、食べることは可能ですの?」


「ええ、もちろんです、どうぞ。
今、召し上がってもかまいません。

特別に教えてあげますが……。

それを食べるとお肌が艶々になるのです」


「えっ!お肌、ツヤツヤ……に?
あー!良いですわね。でも……。
あのぉ、女神様、これを持って帰ってもよろしいかしら?」


 アイリスは、ニッコリとして頷いた。


(この蜜柑は、貴女が王子を想う気持ちと、記憶を無くした王子が、再び、貴女を想う気持ちが合わさって、金色に変化したのでしょう)

……………………

 ルシェは、オールド国に帰るついでに、アンティーク影山の住人達に会えるのを楽しみにしていた。


 ところが、明るく挨拶をして入ったものの、店内はシーンとしていたのだった。


「あら?皆さん?いないのですか?」


(どこかに邪悪精でも現れて、救出に行ったのかしら?)


「あーあ、誰もいないなんて!
残念ですわ」


 ルシェは仕方がないから、帰ろうと思い中庭に出た。


(これで、暫くここへと来ることは、無いかもですわ)


 アスナロの木の前で立ち止まり、空を見上げた。


(夢見通りの夜は、明るくて、星なんてあまり見えませんわ。
それに、賑やかですから、情緒なんて縁のない場所ですわね。

でも、住めば都……楽しかったわ。
お世話になりました……)


 アスナロの木の中に入ろうとすると、店内の方から、ルシェを呼ぶ声が聞こえた気がした。

……………………

(もしかして、カーソルさん?)


 中庭にいるルシェは、喫茶コーナーの窓に駆け寄ろうとして、首から下がる袋が揺れたことに気づいた。


「あ、どうしよう。そうだ、エプロンなら隠せるかも。人型になろう」


 妖精姿時だから、もちろん蜜柑も それなりに小さくなっているが、もろ見え状態だ。


(あっ、これは、このエプロンの胸当て部分の下へ……)


 結果的に妙に胸の片方だけが、膨らんだ状態になったが、本人は分かっていない。


 コンコン!


 中庭から喫茶コーナーの窓を軽く叩く。


「カーソルさーん!カーソルさーん」


 喫茶コーナーに入って来たカーソルが、手を振って呼ぶルシェに気づいた。


「ルシェさん、やっぱりここにいたんですね!
人間界に行ったと運転手に聞いて、来てみたのです。逢えて良かった……」


 中庭に出て来たカーソルも、人型になっていた。


 ルシェは、駆け寄って行く。


(記憶は戻ったかしら?いえ、そんなのどうでもいいわ)


「カーソルさん……。
身体は、何ともありませんの?」


「もう、大丈夫。
だいたいの事は、運転手から聞きました。色々と心配をかけてしまったようで、すみませんでした……」


「……あー!目覚めて良かった……。カーソルさんが気を失ってしまった時は、カボスさんが、とてもとても心配していましたわ」


(ルシェさんも、そうだと聞いています……。ありがとう!)


 カーソルは、突然、ルシェの身体を引き寄せ、強く抱きしめた。


「ぐえっ」


「ルシェさん!私の記憶が戻りました。今まで、すごーく心配をかけてしまって、申し訳ない……」


抱きしめたままでカーソルが言った。


ルシェも、カーソルの背中に両手を回して力を入れる。


「……ルシェさん……何だか、そのぉ、胸辺りに硬めの何かが当たっているけど……?このままだと、理性が……」


「えっ?何かって?」


 ルシェは、ハッとしてカーソルから離れた。


(あっ、山蜜柑、無事かしら?)


 小袋の紐を引き上げて出し、中を確認する。


「あ、無事ですわ」


ルシェは透明小袋を持ち、ぐるりと点検したのだった。


「ルシェさん、なぜ、蜜柑を入れて?
あれ?へえ、暗がりでも輝いている蜜柑なんて、こんなのあるんですね。初めて見ました!……えっ?はっ?……」


 カーソルは、気づいて絶句する。


「あーもう!珍しい物だから、驚かせようと思って、隠していましたのにぃ。
バレてしまいましたわ!残念。

実は、カーソルさんのバックだと思うけれど、滝の下で中を見てしまいましたの……」


「あっ、このバックの中を……。
黄色い蜜柑を見たんですか?」


 カーソルは、顔を引きつらせて聞いた。


(まずい、やばい!努力とか、何かが足りないから黄色い蜜柑を持っているって、バレているのか?)


「はい。女性の物かカーソルさんの物かを確かめたのです。

そしたら、中には、蜜柑が一つだけだったので、カーソルさんのバックなのかと判断したのですわ」


 カーソルは、バツの悪そうな顔をしながらも、金色蜜柑の存在が気になっている。


「あっ、すみません。私が失踪していたのですよね?お騒がせ致しました!それで、どうして、そのゴールドの蜜柑をルシェさんが持っているのかなーって、思うのですが?」


「あ、これ?女神様が山蜜柑を一つだけくれると仰いましたから……」


(女神様?ああ、あの女性のことかな)


「それで、せっかくだから、じっくりと選んでいたら、珍しい金色蜜柑を見つけましたの。

だから、カーソルさんにあげようと思って。蜜柑、お好きなんでしょう?

はい、どうぞ!」


 ルシェは、取り出した金色蜜柑を差し出した。


「えっ?これを私にくれると言うのですか?」


(どういう意味があるのか?プロポーズをされている感じは、全く無いが……)


「はい。バックの中に入れておくほど、蜜柑がお好きのようだから、貰ってきましたの。
だから、どうぞ召し上がって下さい」


(そうか、ルシェさんは私のことを"単なる蜜柑好き妖精”と思っているんだな。
それで、これを私に食べさせようと、持ってきてくれたなんて……優しい女性だなー)


「ルシェさん、どうもありがとう」


 金色蜜柑を受け取ったカーソルは、丁寧に皮を剥いてゆく。


金色は皮だけで、中身と香りは普通の蜜柑の様だ。


 カーソルは、皮を剥いた果実を半分に割った。


 そして、ルシェに渡しながら言葉を添える。


「この半分ずつの蜜柑の様に……」


(わあ、美肌効果のある蜜柑を下さるの?頂きます……あ、美味しい)


 ルシェは、カーソルが話している間に、一口食べた。


「……未来の君が経験する どんな事でも、私は君と共有してゆきたいと思うが……。どうかな?」


「どうかなって?美味しいですわ!カーソルさんも早く召し上がってみて!」


 プロポーズをしたつもりのカーソルは、がっかりして、蜜柑を口に運ぶ。


「うん!美味しい!ルシェさん、美味しいよ!こんな珍しい蜜柑を見つけてきてくれて、ありがとう!」


 カーソルの喜ぶ顔を見て、ルシェの顔もほころんだ。


(ああ、ずっと貴方の笑顔を見ていたいですわ!よし、決めたわ、私から言いますわよ!)


「私は これからも、こんな風にカーソルさんと、美味しい物を分けて食べたりできたら幸せですわ。

カーソルさん、オールド城に……私のお婿さんになって下さいませんか?」


(え?今さっき、私がプロポーズをしたはずなのに?まさかの、お婿さんに来て?プロポーズですか?)


「……」


「あのぉ?カーソルさん?ダメですの?」


「別に、ダメではありませんが……。
分かりました。結婚しましょう……」


「本当?良かったわ。
先だってのプロポーズを拒否してしまったから、反省しましたの。

ロマンティックなプロポーズじゃなくてもいいって、思うようになりましたわ。

あの時は、本当にごめんなさい」


(君は、なんて素直なんだ!)


「ルシェさん……。私から言います!

結婚、しましょう!」


 カーソルは、再びルシェを抱きしめた。


パチパチパチパチ……。


「えっ?」


 ルシェとカーソルは横を見た。


 妖精ロードの出口に庄三郎とモロブ、それからタムとセロルがいて、皆で拍手をしていた。


「 ! 」


「やだ!いつの間に?立ち聞きするなんて、恥ずかしいですわっ!」


「ルシェ、おめでとう!やっと、婿が来るのか?良かったな」


 庄三郎が言うと、続けてモロブが祝う。


「ルシェ、幸せにおなりなさい。
カーソル様、おめでとうございます。
ルシェをよろしくお願い致します」
 

「ルシェちゃん、おめでとう!結婚式に呼んでね」


「カーソルさん、ルシェ……さん、プロポーズ成功、良かったです。
おめでとうございます!」


 タムとセロルからも祝福をされ、二人は恥ずかしかったり、嬉しかったりしたのだった。

…………………

 その後、時は流れルシェとカーソルは無事に結婚をした。


 一方、アンティーク影山では、モロブが本気になって、トーテムポールを売り込み始めている。


「これは、いにしえの時代より守神として存在するトーテムポールでございます。

店先に飾れば、大繁盛間違いなし!で、ございます」


(まっ、柱さん、口から出まかせ!凄いわね!)


 美紗子が感心していると、今度はセロルがお客を連れて来た。


(ホント、二人は良く働いてくれて、助かるわ。時計君とタヌ爺は、元気かしらね?)


 美紗子が気にしている時計君こと、タムは、振り子時計が売れて、現在オバーの元で修行中だ。


 タムからの手紙によると、毎日、踊りの稽古をしていて、筋がいいと褒められているそうだが、本当かどうかは定かでない。


 次にタヌ爺こと、庄三郎の動向だが。


彼の大切な狸の置物は、居酒屋さんに無事に購入して頂き、現在はオールド国城で働いているのだ。


 ある日、庄三郎の事を心配したモロブが偵察スズメと共にオールド国へと潜入した。


「偵察スズメよ。私はここにいるから、お城に入って、庄三郎さんを見てきておくれ」


 偵察スズメが行った場所は、ルシェ王女夫婦の部屋だった。


「ちょっと、庄三郎さん、そろそろ外に出て、庭園のお手入れをしないのですか?

そのソファーは、私とカーソル様の物ですわ。寝られては困りますわ!

ほら、早く起きて!」


トントン!


 部屋をノックして、トキエが入ってきた。


「コラっ!庄三郎どのっ!また、サボっていますね!ここは、王女御夫妻のお部屋です。
あなたが入っていいはずが、ありません!出てお行きなさいっ!」


「はいはい、わかりました。
うるさいトキエ婆さんだな」


「庄三郎殿、何か仰いましたか?」


「いいや、トシマさん、なんも言っとらんぞ!じゃあ、ルシェ、ちょっくら仕事をしてくるぞ!またな!」


その物言いに、トキエがジロリと睨んだ。


「コラっ!庄三郎どのっ!私はトキエです!あれほど、ルシェ様に無礼な態度をしてはいけない、と注意をしたのに!もう、あなたはクビです!」


「ひい!そんなー!ワシは、クビになったら行く所がないぞ!
トキエさん、今後、気をつけますんで!大目に見て下さいよぉ。
そんじゃあ、庭掃除に行ってきまーす」


 そんな軽い感じで出て行ったから、トキエは溜息をついて、お手上げのポーズをした。


 窓際に立つルシェは、庭を掃き始めた庄三郎の姿を見ながら言う。


「トキエさん、庄三郎さんは、あんな風ですけど、悪い方ではないわ。
少し大目に見てあげて下さいね」


「はあーーーぁ」


と、トキエは凄く長い溜息をついた。


 ルシェ達のいる部屋を 外から覗いていた偵察スズメが、モロブの元へと戻った。


「そうですか……。庄さんは、相変わらずなんですね。はっはっは。
マイペースで、やっているならいいですね。では、人間界へと戻りましょう。
スズメさん、肩へとお乗りなさい」


(ルシェも元気だし、良かった。
また、いつかアンティーク影山に全員集合したいものです。
その日まで、さようなら)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...