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番外編2
どういうこと?
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彼女は、軽米彩香 27歳。
彼女には、結婚前提で交際中の彼がいるのだが、最近、気づいた事がある。
彼と一緒に歩いていると、すれ違う女性達が振り向いて、彼を見ているのだ。
それ程のイケメン男性と、自分が交際しているのだと、今更、気づいたのだった。
…………………
「まったく、もう!
和希さんのアパートに着いたばかりなのになぁ。
最近、人使いが荒くなってきたかも」
ピッピッ、カチャ!
和希が降ろし忘れた本を、取りに来た軽米は、助手席のドアを開けた。
(うん、あれ?無い……。どこ?)
長いスカートを少したくし上げ、片膝を助手席座面につき、運転席の下や後部座席を覗く。
(あった。どうして後ろ?しかも、落ちてる!
後部座席に置こうとして、失敗したって感じ?
何で、助手席に置かなかったの?
いつも一人の時は、荷物を助手席に置いているのに……)
彼女は、そのまま目一杯、手を伸ばし本を拾い、助手席に座り直して袋を開けた。
(そう、これ、これ!オリジナルマイホーム!
私がお願いして、和希さんに買ってきてもらった本。
なのに、置き忘れるなんてどうしたの?)
車から降りようとドアを開け、黒い座面が薄明るくなった時、彼女の動きが止まった。
それは、座面に付いていた髪に気付き、摘んだからだ。
「長……い」
(えっ?何、これ?
私の髪じゃないよね?こんなに長くないもの!
……超ロン毛の男性を乗せた?
いやいや違う、これ女性の?
……えっ、まさか、まさか?)
「ふぅーーー」
パニックになっている彼女は、長く息を吐き、心を落ち着かせようとしている。
(これは、見なかった事にする!
これが平和のコツだもの……。
できる?私、黙っていられる?
もうすぐ、一緒に暮らすんだし!
今日だって、荷物を少し運んで来たわけだし!
波風を立てちゃダメでしょ?
気にしない!気にしない!気にしちゃダメ)
部屋に戻り平静を装い、キッチンで飲み物を用意していた和希に本を渡した。
「アヤ、ありがとう。
うん?何、俺に見とれてるの?
何だよ、いい男だってか?」
和希は手を止め、早速、後ろにあるカウンターで、本を取り出している。
「えっ?あ、うん、違う、あ、そう、そうなの、見とれちゃった!へへ」
「どうした?変なアヤだな。
おっ、見て見てこの家の間取り、住みやすそうだよ。
ここが寝室、そこから広めのバルコニーに出て、アヤが布団を干していて、芝生の庭で俺と子ども達が遊んでいて……何して遊ぼうかなぁ。良いなあ、こんな家……」
和希は本を見ながら、未来への妄想を膨らませている。
「嫌よ!重い布団は、和希さんが干してよね!」
軽米は、和希の淡い夢を冷たくぶった切った。
浮気を疑い、だんだん腹が立ってきたのだ。
「えー!俺が?仕方がないなぁ。
どうしたの?なんか怒ってる?」
(しまった!れ、冷静にならないと!)
「べ、別に!の、喉が渇いちゃった。
これ、コップに注ぐね……」
キッチン台に立ち、コップに炭酸を注ごうとしているが、ペットボトルを持つ手が、怒りで震え、あちこちに溢しまくっている。
「あー!何してんの、溢してるぞ!
もう俺がやるから。
もしかして体調が悪い?大丈夫?」
(たかだか、一本の髪の毛の為に、こんなに動揺しちゃうなんて、私、情けない……)
「あ、ごめんね。うん、ちょっと体調が悪くなってきたみたい……。帰るわ……」
そう言って、ショルダーバッグを肩に掛け、玄関に向かおうとした。
「具合が悪いなら、ここに泊まっていけばいいよ。俺が看病してあげるからさ。
さあ、ベッドに行って!」
(ああ、和希さんは優しいなあ。
私には、勿体無いくらいの良い人……)
和希が自然に軽米の肩を引き寄せ、ベッドに誘うと、軽米は、ハッとした。
(髪の毛の件をはっきりさせないと!
今、聞いちゃえば、すっきりするはず……)
「か、和希さん、さっきね、く、車の中で……。あの、その」
「うん?車の中でどうした?」
「わあ!お腹の調子が悪くなってきたみたい!帰るね!バイバイ」
軽米は、走って部屋から出て行った。
「トイレなら、ここにもあるよー!」
そう言って追いかけた和希だが、必死の様子で、車を停めているコインパーキングまで猛ダッシュしているから、追いかけるのを諦めた。
(アヤ、突然どうしたんだろう?
車の中?何かあった?何だ?)
和希は、自分の車を開けてざっと見る。
(……車の中は、何も変わった様子はない。
あ、匂い?は変わっていない……と思う)
……………………
(あー失敗した!あんな事、軽く聞けば終わるはずだったのに!
和希さんの事を信じているのに!
私、馬鹿だな……)
軽米は、めちゃくちゃ動揺しながら、何とかカレンダホテルの従業員駐車場まで、車を走らせた。
そして、すぐに携帯からメッセージを送る。
(モヤモヤした時は、丸山さん、違う、柚花さんと一緒に、ご飯を食べれば元気が出る!
仕事が終わるのを待とうと思って来たけど、そうか、旦那さんがいる身だものね……。
急に誘うのは無理かな)
そんな事を彼女が考えていたら、和希が電話を掛けてきた。
「はい……。うん、心配しないで。
来なくても平気だから。ううん、もうすぐ眠るから、大丈夫だから。
今日は、本を探して買って来てくれて、ありがとう。じゃあ、またね」
それから少しの間、背もたれを倒し目をつぶる。
(そうだ、同僚の髪の毛が和希さんに付いて、助手席に落ちたのかも……。
なーんだ、きっとそうだよ!
なーんちゃって……ね……)
暗がりの中、本気で寝そうになりかけた時、運転席の窓をノックされた。
「早番だったから、とっくに帰っていたのに!また、戻って来たの?
ご飯を食べようってメッセージが来て、驚いたわ。どうしたの、何かあったの?」
「丸、ゆ、柚花さーん!
これを見てくださーい!」
…………………
軽米と柚花は、馴染みのファミレスに来ている。
「智也さんも、今晩、用事ができたから帰りが遅いって、今、連絡がきたわ。
だから、ゆっくり話せるわよ。
それで、その髪の毛を大事に持っているけど、どうするつもりなの?
物的証拠として、前沢さんに突きつけるつもり?」
さっき見せた髪の毛を、また、手帳に挟みバックに仕舞ったのを、柚花は見ていたのだ。
「はい、見せて問いただそうかと……」
「えー!そうしちゃうの?
私なら、知らぬ振りをするけど」
「だって、丸山さん!モヤモヤしたままだと、苛立って喧嘩をしちゃいそうなんです。あ、柚花さん……。
さっきは動揺して、和希さんに何も聞かなかったけど、やっぱり、はっきりとさせるべきかな?って思います」
「前沢さんが浮気?するのかな?
軽そうでいて、実は誠実なのかな?って見えるけど。
もし万が一、軽米さんよりも好きな人が現れたら、速攻で、この恋を終わらせようとするでしょ。
ズバっと別れを切り出して、結婚を破談にすると思うわ」
柚花は、前沢が別れを告げているところを、目撃した事があるから、確信を持って言ったのだ。
「えっ?別れを切り出す?破談?
えっ?私、振られちゃうんですか?」
軽米は、涙目になって不安がる。
「ああ、ごめんね、そんな泣かないで。
仲がいいんでしょ?なら、大丈夫!
それに、すぐに問いたださなかったのは、前沢さんを信じているからでしょう?」
「うーん、信じてはいるけど、聞いて真実を知る事が怖かったのかも。
それと、波風を立てて、険悪な関係になりたくなかったのかもしれません。
私、どうしたらいいですか……」
「そうだね。困ったね……」
(私なら、知らぬ振りをする!って、言ったよね?
きっと、私のアドバイスを受け入れないつもりでしょ?
あなたは、ズバリ聞いちゃうつもりなのよね?
あー!もしも、喧嘩をしたら私がやけ酒に、付き合ってあげるからね!)
「ふー!どうせ勝負してみるんだよね?かるまい、頑張れ!」
軽米は、真剣な顔で頷いた。
彼女には、結婚前提で交際中の彼がいるのだが、最近、気づいた事がある。
彼と一緒に歩いていると、すれ違う女性達が振り向いて、彼を見ているのだ。
それ程のイケメン男性と、自分が交際しているのだと、今更、気づいたのだった。
…………………
「まったく、もう!
和希さんのアパートに着いたばかりなのになぁ。
最近、人使いが荒くなってきたかも」
ピッピッ、カチャ!
和希が降ろし忘れた本を、取りに来た軽米は、助手席のドアを開けた。
(うん、あれ?無い……。どこ?)
長いスカートを少したくし上げ、片膝を助手席座面につき、運転席の下や後部座席を覗く。
(あった。どうして後ろ?しかも、落ちてる!
後部座席に置こうとして、失敗したって感じ?
何で、助手席に置かなかったの?
いつも一人の時は、荷物を助手席に置いているのに……)
彼女は、そのまま目一杯、手を伸ばし本を拾い、助手席に座り直して袋を開けた。
(そう、これ、これ!オリジナルマイホーム!
私がお願いして、和希さんに買ってきてもらった本。
なのに、置き忘れるなんてどうしたの?)
車から降りようとドアを開け、黒い座面が薄明るくなった時、彼女の動きが止まった。
それは、座面に付いていた髪に気付き、摘んだからだ。
「長……い」
(えっ?何、これ?
私の髪じゃないよね?こんなに長くないもの!
……超ロン毛の男性を乗せた?
いやいや違う、これ女性の?
……えっ、まさか、まさか?)
「ふぅーーー」
パニックになっている彼女は、長く息を吐き、心を落ち着かせようとしている。
(これは、見なかった事にする!
これが平和のコツだもの……。
できる?私、黙っていられる?
もうすぐ、一緒に暮らすんだし!
今日だって、荷物を少し運んで来たわけだし!
波風を立てちゃダメでしょ?
気にしない!気にしない!気にしちゃダメ)
部屋に戻り平静を装い、キッチンで飲み物を用意していた和希に本を渡した。
「アヤ、ありがとう。
うん?何、俺に見とれてるの?
何だよ、いい男だってか?」
和希は手を止め、早速、後ろにあるカウンターで、本を取り出している。
「えっ?あ、うん、違う、あ、そう、そうなの、見とれちゃった!へへ」
「どうした?変なアヤだな。
おっ、見て見てこの家の間取り、住みやすそうだよ。
ここが寝室、そこから広めのバルコニーに出て、アヤが布団を干していて、芝生の庭で俺と子ども達が遊んでいて……何して遊ぼうかなぁ。良いなあ、こんな家……」
和希は本を見ながら、未来への妄想を膨らませている。
「嫌よ!重い布団は、和希さんが干してよね!」
軽米は、和希の淡い夢を冷たくぶった切った。
浮気を疑い、だんだん腹が立ってきたのだ。
「えー!俺が?仕方がないなぁ。
どうしたの?なんか怒ってる?」
(しまった!れ、冷静にならないと!)
「べ、別に!の、喉が渇いちゃった。
これ、コップに注ぐね……」
キッチン台に立ち、コップに炭酸を注ごうとしているが、ペットボトルを持つ手が、怒りで震え、あちこちに溢しまくっている。
「あー!何してんの、溢してるぞ!
もう俺がやるから。
もしかして体調が悪い?大丈夫?」
(たかだか、一本の髪の毛の為に、こんなに動揺しちゃうなんて、私、情けない……)
「あ、ごめんね。うん、ちょっと体調が悪くなってきたみたい……。帰るわ……」
そう言って、ショルダーバッグを肩に掛け、玄関に向かおうとした。
「具合が悪いなら、ここに泊まっていけばいいよ。俺が看病してあげるからさ。
さあ、ベッドに行って!」
(ああ、和希さんは優しいなあ。
私には、勿体無いくらいの良い人……)
和希が自然に軽米の肩を引き寄せ、ベッドに誘うと、軽米は、ハッとした。
(髪の毛の件をはっきりさせないと!
今、聞いちゃえば、すっきりするはず……)
「か、和希さん、さっきね、く、車の中で……。あの、その」
「うん?車の中でどうした?」
「わあ!お腹の調子が悪くなってきたみたい!帰るね!バイバイ」
軽米は、走って部屋から出て行った。
「トイレなら、ここにもあるよー!」
そう言って追いかけた和希だが、必死の様子で、車を停めているコインパーキングまで猛ダッシュしているから、追いかけるのを諦めた。
(アヤ、突然どうしたんだろう?
車の中?何かあった?何だ?)
和希は、自分の車を開けてざっと見る。
(……車の中は、何も変わった様子はない。
あ、匂い?は変わっていない……と思う)
……………………
(あー失敗した!あんな事、軽く聞けば終わるはずだったのに!
和希さんの事を信じているのに!
私、馬鹿だな……)
軽米は、めちゃくちゃ動揺しながら、何とかカレンダホテルの従業員駐車場まで、車を走らせた。
そして、すぐに携帯からメッセージを送る。
(モヤモヤした時は、丸山さん、違う、柚花さんと一緒に、ご飯を食べれば元気が出る!
仕事が終わるのを待とうと思って来たけど、そうか、旦那さんがいる身だものね……。
急に誘うのは無理かな)
そんな事を彼女が考えていたら、和希が電話を掛けてきた。
「はい……。うん、心配しないで。
来なくても平気だから。ううん、もうすぐ眠るから、大丈夫だから。
今日は、本を探して買って来てくれて、ありがとう。じゃあ、またね」
それから少しの間、背もたれを倒し目をつぶる。
(そうだ、同僚の髪の毛が和希さんに付いて、助手席に落ちたのかも……。
なーんだ、きっとそうだよ!
なーんちゃって……ね……)
暗がりの中、本気で寝そうになりかけた時、運転席の窓をノックされた。
「早番だったから、とっくに帰っていたのに!また、戻って来たの?
ご飯を食べようってメッセージが来て、驚いたわ。どうしたの、何かあったの?」
「丸、ゆ、柚花さーん!
これを見てくださーい!」
…………………
軽米と柚花は、馴染みのファミレスに来ている。
「智也さんも、今晩、用事ができたから帰りが遅いって、今、連絡がきたわ。
だから、ゆっくり話せるわよ。
それで、その髪の毛を大事に持っているけど、どうするつもりなの?
物的証拠として、前沢さんに突きつけるつもり?」
さっき見せた髪の毛を、また、手帳に挟みバックに仕舞ったのを、柚花は見ていたのだ。
「はい、見せて問いただそうかと……」
「えー!そうしちゃうの?
私なら、知らぬ振りをするけど」
「だって、丸山さん!モヤモヤしたままだと、苛立って喧嘩をしちゃいそうなんです。あ、柚花さん……。
さっきは動揺して、和希さんに何も聞かなかったけど、やっぱり、はっきりとさせるべきかな?って思います」
「前沢さんが浮気?するのかな?
軽そうでいて、実は誠実なのかな?って見えるけど。
もし万が一、軽米さんよりも好きな人が現れたら、速攻で、この恋を終わらせようとするでしょ。
ズバっと別れを切り出して、結婚を破談にすると思うわ」
柚花は、前沢が別れを告げているところを、目撃した事があるから、確信を持って言ったのだ。
「えっ?別れを切り出す?破談?
えっ?私、振られちゃうんですか?」
軽米は、涙目になって不安がる。
「ああ、ごめんね、そんな泣かないで。
仲がいいんでしょ?なら、大丈夫!
それに、すぐに問いたださなかったのは、前沢さんを信じているからでしょう?」
「うーん、信じてはいるけど、聞いて真実を知る事が怖かったのかも。
それと、波風を立てて、険悪な関係になりたくなかったのかもしれません。
私、どうしたらいいですか……」
「そうだね。困ったね……」
(私なら、知らぬ振りをする!って、言ったよね?
きっと、私のアドバイスを受け入れないつもりでしょ?
あなたは、ズバリ聞いちゃうつもりなのよね?
あー!もしも、喧嘩をしたら私がやけ酒に、付き合ってあげるからね!)
「ふー!どうせ勝負してみるんだよね?かるまい、頑張れ!」
軽米は、真剣な顔で頷いた。
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