62 / 129
想いはどこへ
藪から棒
しおりを挟む
「友達?俺が柚花を友達ってくくりに考えていると思う?」
そんな事を言われて驚いた。
そして、更に追い討ちをかけるように智也は言う。
「俺が柚花を友達だと思っていると思うの?本当にそう感じているの?」
智也は、少し強めの口調で言ったのだった。
もしかして、私は責められているのかな?
「えっ?あの……え?」
柚花は、言葉を失ってしまう。
私は、これまで智也さんを友達だと思って接してきた。
結構、仲良くなれたと思っていた。
それなのに、私と友達ではないと言っている……。
友達だと思っていたのは、私だけなのか……。
私と食事をする気満々のくせに、友達だと認めていないなんて、信じられない!
智也さんは、私のことを友達以下の存在だと思っていたのね……。
すっごいショックだわ。
天国から地獄へ突き落とされた気分。
「あっ、友達だと勘違いしちゃってた。
バカだね私……。
じゃあ、このマグカップは誰かと使ってね。この前の御礼だから、どうか受け取って。
私は、もう帰るから。1人で帰りたいから!じゃあ、さようなら」
柚花が席を立ったから、智也は慌てた。
「待って、会計をしてくるから、待っていて!」
智也は、お釣りを拒否して急いで柚花を探すがどこにも見当たらない。
(どうして、突然、帰ってしまったんだろう?
俺が告白紛いな事を言ったから、拒絶されたのか……。
友達だと思っていたと言っていた。
正直、キツイ言葉だな。
このマグカップを誰かと使ってなんて言われた……。
やっぱ、ふられたのか。
いや、待てよ、まだキチンと伝えていない……。
あきらめるのは、まだ早いんだ)
それから、智也はタクシー乗り場やバス乗り場を探す。
しかし、柚花を見つけることが出来なかった。
智也は、仕方なくカレンダホテルのお客様駐車場に行ってみた。
だが、柚花の車は、無人のまま置いてある。
今夜、ここに戻ってくるのかも分からないが、智也は隣に止めてエンジンを切って、助手席で待ってみた。
(俺に気づいて、何処かへ行ってしまうと嫌だから、エンジンは切っておく。
それにしても、5月といっても夜は冷えるな……寒い)
……………………
それから、暫くして駐車場にヘッドライトの明かりが差し込んできた。
車を駐車させ1人が降り、車は去って行った。
(柚花だ!戻って来てくれて良かった!)
柚花は、智也の車に気づかずに自分の車に近づいた。
その時、智也は車から出て、柚花の前に立った。
「柚花!なんか怒らせたみたいで、ごめんね。許してほしい」
(俺、カッコ悪いなぁ)
「うわっ、きゃあ!……び、びっくりしたぁ。心臓に悪いから、脅かさないで!
はぁ、驚いた!
別に怒っていないから、気にしないで。
私だけが友達になれたと勘違いしていたみたいで……。
まだ、友達にもなっていなかったんだね。
ちょっと、寂しいやら悲しいやら、少し落ち込んじゃって……あっ、ごめんね。
智也さんには、関係のない話だった。
ということで、私のことは、今後、仕事のお付き合いのみで、よろしくお願いします。さようなら」
精一杯の笑顔を作って、さよならを言った。
胸がズキズキと痛んだ。
どどんと巨大な悲しみが、押し寄せる。
柚花が車のドアに手を伸ばそうとした、その手を智也が掴んだ。
「ダメだ!まだ、帰らせない!自分だけ勝手な事を言って帰るのは、認めない!
俺は、柚花と友達にはなれない!
そんなんじゃあ気持ちが収まらない」
その言葉を聞いた柚花は、改めて智也に拒絶をされた気がして、腹が立ち反論する。
「そんな事を言うために、わざわざ来たの?信じられないっ!
友達になれないとか、拒絶された方の気持ちなんて、わからないでしょう?
私は大人ですから、仕事の付き合いはします。
でも、それ以外は関わりません。
では、さようなら……。
手を離して下さい……痛いです」
柚花が言っても、手を掴んだままだ。
「嫌だ。この手を離したら、俺の手の届かない所へ行ってしまうから、
だから、離せない。
風船みたいに何処かへ飛んで行っちゃうだろう?
どこにも行かせたくない!
もう、いい加減、分かってくれ!
この、どんかん おんなー!」
(はっ!)
智也は、想定外の告白の仕方をしてしまい、失敗したと思った。
(こんなはずではなかった……)
「はあ、何?どんかん女?
随分、酷いことを言いますね。
もう!離してっ!ふんっ!」
握られた手を振りほどき、柚花は自分の車に乗り込んだ。
「ふんっ!何で鈍感女なんて言うのよ!
酷すぎる!腹が立つ!」
「待って、ごめん、冷静になって!」
智也は、急いで助手席のドアを開けて、乗り込んだ。
「ちょっと、勝手に乗らないで下さい!
もう、話すことはありません」
柚花は、刺々しく言った。
「落ち着いて、ねっ?ごめんね。
変な暴言を吐いて、ごめんなさい。
ふーー。落ち着いて。ふーう」
智也は、謝りながら自分自身も落ち着かせようとしていた。
気持ちを整えてから、智也が話す。
「私は、あなたが好きになってしまいました。
とんでもなく好きになったみたいです。
だから、友達ではなく、恋人になってもらいたいと思っています。
柚花さん、どうか私と お付き合いをして下さい。
私を受け入れてくれますか?」
冷静に大人の男性にチェンジした智也が告白をした。
「…………」
柚花は、ポカンとした顔をしていた。
驚き過ぎて、言葉が出てこない柚花だったのだ。
そんな事を言われて驚いた。
そして、更に追い討ちをかけるように智也は言う。
「俺が柚花を友達だと思っていると思うの?本当にそう感じているの?」
智也は、少し強めの口調で言ったのだった。
もしかして、私は責められているのかな?
「えっ?あの……え?」
柚花は、言葉を失ってしまう。
私は、これまで智也さんを友達だと思って接してきた。
結構、仲良くなれたと思っていた。
それなのに、私と友達ではないと言っている……。
友達だと思っていたのは、私だけなのか……。
私と食事をする気満々のくせに、友達だと認めていないなんて、信じられない!
智也さんは、私のことを友達以下の存在だと思っていたのね……。
すっごいショックだわ。
天国から地獄へ突き落とされた気分。
「あっ、友達だと勘違いしちゃってた。
バカだね私……。
じゃあ、このマグカップは誰かと使ってね。この前の御礼だから、どうか受け取って。
私は、もう帰るから。1人で帰りたいから!じゃあ、さようなら」
柚花が席を立ったから、智也は慌てた。
「待って、会計をしてくるから、待っていて!」
智也は、お釣りを拒否して急いで柚花を探すがどこにも見当たらない。
(どうして、突然、帰ってしまったんだろう?
俺が告白紛いな事を言ったから、拒絶されたのか……。
友達だと思っていたと言っていた。
正直、キツイ言葉だな。
このマグカップを誰かと使ってなんて言われた……。
やっぱ、ふられたのか。
いや、待てよ、まだキチンと伝えていない……。
あきらめるのは、まだ早いんだ)
それから、智也はタクシー乗り場やバス乗り場を探す。
しかし、柚花を見つけることが出来なかった。
智也は、仕方なくカレンダホテルのお客様駐車場に行ってみた。
だが、柚花の車は、無人のまま置いてある。
今夜、ここに戻ってくるのかも分からないが、智也は隣に止めてエンジンを切って、助手席で待ってみた。
(俺に気づいて、何処かへ行ってしまうと嫌だから、エンジンは切っておく。
それにしても、5月といっても夜は冷えるな……寒い)
……………………
それから、暫くして駐車場にヘッドライトの明かりが差し込んできた。
車を駐車させ1人が降り、車は去って行った。
(柚花だ!戻って来てくれて良かった!)
柚花は、智也の車に気づかずに自分の車に近づいた。
その時、智也は車から出て、柚花の前に立った。
「柚花!なんか怒らせたみたいで、ごめんね。許してほしい」
(俺、カッコ悪いなぁ)
「うわっ、きゃあ!……び、びっくりしたぁ。心臓に悪いから、脅かさないで!
はぁ、驚いた!
別に怒っていないから、気にしないで。
私だけが友達になれたと勘違いしていたみたいで……。
まだ、友達にもなっていなかったんだね。
ちょっと、寂しいやら悲しいやら、少し落ち込んじゃって……あっ、ごめんね。
智也さんには、関係のない話だった。
ということで、私のことは、今後、仕事のお付き合いのみで、よろしくお願いします。さようなら」
精一杯の笑顔を作って、さよならを言った。
胸がズキズキと痛んだ。
どどんと巨大な悲しみが、押し寄せる。
柚花が車のドアに手を伸ばそうとした、その手を智也が掴んだ。
「ダメだ!まだ、帰らせない!自分だけ勝手な事を言って帰るのは、認めない!
俺は、柚花と友達にはなれない!
そんなんじゃあ気持ちが収まらない」
その言葉を聞いた柚花は、改めて智也に拒絶をされた気がして、腹が立ち反論する。
「そんな事を言うために、わざわざ来たの?信じられないっ!
友達になれないとか、拒絶された方の気持ちなんて、わからないでしょう?
私は大人ですから、仕事の付き合いはします。
でも、それ以外は関わりません。
では、さようなら……。
手を離して下さい……痛いです」
柚花が言っても、手を掴んだままだ。
「嫌だ。この手を離したら、俺の手の届かない所へ行ってしまうから、
だから、離せない。
風船みたいに何処かへ飛んで行っちゃうだろう?
どこにも行かせたくない!
もう、いい加減、分かってくれ!
この、どんかん おんなー!」
(はっ!)
智也は、想定外の告白の仕方をしてしまい、失敗したと思った。
(こんなはずではなかった……)
「はあ、何?どんかん女?
随分、酷いことを言いますね。
もう!離してっ!ふんっ!」
握られた手を振りほどき、柚花は自分の車に乗り込んだ。
「ふんっ!何で鈍感女なんて言うのよ!
酷すぎる!腹が立つ!」
「待って、ごめん、冷静になって!」
智也は、急いで助手席のドアを開けて、乗り込んだ。
「ちょっと、勝手に乗らないで下さい!
もう、話すことはありません」
柚花は、刺々しく言った。
「落ち着いて、ねっ?ごめんね。
変な暴言を吐いて、ごめんなさい。
ふーー。落ち着いて。ふーう」
智也は、謝りながら自分自身も落ち着かせようとしていた。
気持ちを整えてから、智也が話す。
「私は、あなたが好きになってしまいました。
とんでもなく好きになったみたいです。
だから、友達ではなく、恋人になってもらいたいと思っています。
柚花さん、どうか私と お付き合いをして下さい。
私を受け入れてくれますか?」
冷静に大人の男性にチェンジした智也が告白をした。
「…………」
柚花は、ポカンとした顔をしていた。
驚き過ぎて、言葉が出てこない柚花だったのだ。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる