ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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想いはどこへ

他人の恋話は面白い

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「どうですか?冷静になりましたか?」

 軽米が言った。


「やだ、初めから冷静だってば……。

 でも、言われてみれば、妻になっている気分で嫉妬をしていたのかも?

 きっと、そうなのかもね。

 私としたことが 、いい歳しているのに勘違いしちゃったみたい。恥ずかしい!」

 軽米さん、鋭いなぁ。

 私は自分で自分の気持ちが、分からなくなっているというのに、あなたは 凄い観察眼だわ。


「ですよね?勘違いに気づいてくれたから良かったです!」


 軽米は、鍋の中の肉を箸で取り、ポン酢につけながら言った。


「じゃあ、丸山さん、食べましょうよ。

 すみませーん、牛肉4枚と豚肉4枚追加お願いしまーす」


 軽米は、手を上げて元気よく店員に注文をした。


「わぁ、いつもながら 凄い食欲だね!
軽米さん、全然、落ち込んでいないよね?」


「ああ、はい、よくよく考えたら 別に私、失敗していないので!

 お客様が御自分で、よろけただけです。

 私も勘違いをしただけなんです。

 自分が悪かったと思い込んだんです。はい」


 ケロッとして話す軽米が、羨ましい性格だと思い、むしろ尊敬の眼差しで見てしまう柚花だった。


「ところで、お花屋さんじゃない方、前沢さんとはどうなっているの?」


 結構、気になっていたから聞いちゃった!


 どうなのよ?進展したのかしら?


「うーん、まだ 付き合っているって感じじゃないですけど……。


 先日、ちょろっとデートしてきました。

 彼、軽い感じの人だと思っていたんですけど、意外と真面目なんですよね。

 誠実なんですよねぇ。へへっ」


 うわっ!軽米さん、照れてる。

 私に秘密でデートしていたなんて!

 今日は、根掘り葉堀り聞いちゃおっと!


「んで、んで、どこに行ったの?

 映画とか?水族館とか?」


 あっ、それって私の事か……。


「えー、恥ずかしいなぁ。聞きます?話し聞きます?


あのねぇ、いちご狩りに行ってきました。

丸山さんと一緒に行った時は、しゃがんで摘んで食べたでしょう?

でも、最近は立ったまま苺を摘んで食べれるんですよっ!食べやすかったです」


 軽米は、楽しそうに思い出して話すが、箸は鍋の中で野菜を掴んでいる。


「いちご狩りかぁ、それで、何個食べたの?
あなたの事だから、数えたでしょう?」


 まあ、あなたは1パック分は軽く食べるよね。

 
「あー、そんなに食べれなくて、大きな物を選んでいたら45個しか食べれなくて……時間が足りませんでした。

 和希さんは、30個くらいだったんです。

 ちょっと食が細いのかしら?」


 いや、いや、あなたが食欲旺盛なだけですから!


「普通45個食べれば十分過ぎるでしょう。

それで、それから何処に行ったの?」


 それだけで、終わらないよね?


「はい、海に行ってきました。

砂浜を歩いて、貝殻を拾おうねって事になったんだけど、全然、落ちてなくて……」


 軽米は、胡麻だれにつけて肉を口に入れた。


「……で、海で何をしたの?」

 柚花は、自分が海で花火をしたから、軽米も何かをしたと思っている。


「えっ?やだぁ、何を期待しているんですか?
何もしていませんよぉ。

 砂浜で、波打ち際で……」


 軽米は、照れながら鳥つくねを口に運ぶ。


「へっ?波打ち際で?どうしたのよ?」

 柚花は、先が気になって急かしているが、


 軽米は、モグモグ食べる。

 もう、焦れったいなあ!

 
「はい、2人で絵を描いて遊びました」


「えっ?絵?あなたは小学生かっ?何にそれ!
面白かったの?それで、それから何処に行ったの?」


 柚花の尋問は続く。


「えー!そんなに細かく言わないとダメですか?

ええとぉ、2人で棒を持って描いていたら、波が来て、私達、お尻が濡れちゃって……洋服と下着を買いに行きました。

びしょ濡れだから買いに行くのも、とっても恥ずかしかったんですよ。

 で、着替えて帰りました。

 変なデートでも、楽しかったですよ」


「ぶっ!2人でお尻がびしょ濡れって面白い!

そっかぁ、それも楽しい思い出になるね。

 それで、軽米さんは前沢さんのことが好きなの?」

 
「丸山さん直球の質問ですね。

でも、はい、そうです。一緒に海に行って、びしょ濡れになってから、好きになったみたいです……」

 
 軽米が恥ずかしそうに話していると、軽米の携帯に着信があった。


 どうやら、噂の相手、前沢 和希さんらしいのだ。


「今、丸山さんと しゃぶしゃぶを食べているの。

えっ?あ、はい、ちょっと待って下さい」


  軽米は、何か私に聞くつもりだ。

 いいよ、私は このまま帰りますよ……。


「丸山さん、和希さんが一緒にお茶しませんか?
と聞いていますけど、西崎さんも一緒だそうです。どうします?」

 どうしますって聞かれても、もう何も食べれないですが……。


「私、もうお腹が一杯で無理よ。ごめんね」

 柚花が断ったが、軽米は「はい、行きます」と返事をしていた。


「軽米さん、私は行かないって言ったはずだけど。

もしかして、今、私も行くって返事をしたの?」


「だって、西崎さんが丸山さんも誘ってほしいと言っているって……だから、行きましょうね」


 え?智也さんが私が来るのを待っているの?

 本当かな?


 前沢さんがどんな人か、じっくりと観察をしてみたいし、疲れているけど行ってみるか……。

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