上 下
31 / 34
看護師の知識を使って、看護過程を展開していきます。

【情報収集】正しいナマハゲの行動

しおりを挟む




「ヒヒ~ン!。ブルルルル…!!」
「んん~?」
「何だテメェ!。引き殺されてぇのか!?」

馬のいななきと共に、馬車が止まる。

馬車の前方には、人影があった。
その人は、長い髪を垂らしてうつむいている。

「おい!、何とか言ったらどうだ!!」

「邪魔だ、とっとと失せろ!!。マジで引き殺すぞ!!」

ーーー…クハッ…、クハッハハハ、…ヒァアアヒァハハハッッ。

俯いていたその人は、嬉しそうに肩を震わせながら、ゆっくりとおもてを上げた。

ァアハハと言う、無気味な笑い声が辺りにこだまする。

あざけわらう声と共に、湿って生臭い、腐った血の臭いを風が運んできた。


まず目立ったのは、鋭い牙。

にぃぃ…と、不気味にわらう、その耳から裂けた大きな口からは、まるで鋭利な刃物の様に鋭い牙が突きだしている。

赤黒い顔にある落ち窪んた眼窩には、黄色く濁った 、爛々と獲物を見据える眼球。
そこには、深淵を連想させる瞳が穿うがたれていた。

その人影は、身の丈約2㍍。
ボサボサの黒い頭からは、大きな角をはやし、汚れたボロボロの服の上には、枯れ草で作った様相の肩簑を身に付けている。

右手にはヌラヌラと光る、牛馬刃。
左手には、血の滴る手提げ桶。

背中に背負う桶からは、脱血血抜きされた死体の頭が見えていた。

「…ひっ!」

殺戮と人肉を好む"人喰い殺い亜人"が、吐き気を伴う腐臭を放ちながら、そこには立っていた。

それを認識したとたんに、頭部と手足がビリビリと痺れ、全身の毛という毛が総毛立ち、血が、一瞬にして凍る。

死。…に対する根元的な恐怖が、吐き気と共に体の中を、ザワリザワリと、まるで脈動するかの様に駆け巡りだした。

眼球と口の中がカラカラに乾ききり、喉が引きつり、足がすくんで、膝がガクガクと笑い力が入らない。

ーーー…ブワリ…。

と、全身に冷たい嫌な汗が吹き出し、米神と背中を伝って流れた。

「…ひぃぃっっ!!」

ーーー…あぁ…。
…逃げねば…。

早く、
早く逃げねば、確実に…、


『     喰   い    殺    さ    れ     る  ーーー 』


「「「ひぎいぃぃぃ~やあぁぁぁ~ー…っっっ!!!」」」

まるで、自分の足ではないかのように力の入らない両足を叱咤し、けつまろびつ、三人は必死にその場から逃げ出す。

ーーー…ガハハッ、ガハッ、ガハハハハハハァァァァ!!。

「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

人さらい達の恐怖に戦慄く悲鳴が、静かな筈の森の中に響き渡る。

その悲鳴に、気を良くしたのか。
それとも、獲物が増えた事に喜んでいるのか。

ーーー…アァアッアハッ、ガァハハハハハハアァァァァ!!。

まるで狂っているかの様に、人喰い亜人が高嗤たかわらった。













ーーー…のを、私は半目をしながら見ていた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...