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手紙
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なにも、する気が起きない。
君のいないこの世界でなんて…。こんなことって、ない。
現実は俺の心を潰し、さらに追い討ちをかけるように…。
俺は葬式の時、こよみの顔を一度だけ見た。もちろん冷たかった。でも、顔はとても幸せそうだった。
「…明、平気?今恵さんと浩輔さんが来てるんだけど…降りてこない?………俺に何かできることがあったら言ってね」
優が心配して毎日ドアをノックしてるれるようになった。けれど俺の心は曇り空のままだ。
「手紙…読むか…」
【岡本 明様】
明がこれを手にしている時、私はきっともうこの世にはいないでしょうね。明のことだから現実を受け入れられてないんじゃないの?…多分、みんなも。
でも、ダメだよ。前に、進まなきゃ。ここで立ち止まっていたら時間がもったいないから。
今泣いてる?笑ってる?落ち込んでる?……ごめん、顔見られないからわかんないや。
でも、泣いているなら泣き止んで?笑ってて欲しいな。じゃないと私も悲しい。
あと…お願い。また、大切な人を作ってほしい。…本当は嫌だよ。私が、ずっといたかったけどもう無理だから…。
そして、たまにでもいいから私のことを思い出してほしいな。
私は、明の幸せを一番に祈っています。
本当に本当にありがとう、こんな私のそばにいてくれて。
ずっと愛しています。
こよみ
「俺は…こよみ以外考えられねぇ…。お前じゃなきゃ…。こよみ、ありがとう。俺も…愛してる」
少し曇り空の中に光が差した気がした。
君のいないこの世界でなんて…。こんなことって、ない。
現実は俺の心を潰し、さらに追い討ちをかけるように…。
俺は葬式の時、こよみの顔を一度だけ見た。もちろん冷たかった。でも、顔はとても幸せそうだった。
「…明、平気?今恵さんと浩輔さんが来てるんだけど…降りてこない?………俺に何かできることがあったら言ってね」
優が心配して毎日ドアをノックしてるれるようになった。けれど俺の心は曇り空のままだ。
「手紙…読むか…」
【岡本 明様】
明がこれを手にしている時、私はきっともうこの世にはいないでしょうね。明のことだから現実を受け入れられてないんじゃないの?…多分、みんなも。
でも、ダメだよ。前に、進まなきゃ。ここで立ち止まっていたら時間がもったいないから。
今泣いてる?笑ってる?落ち込んでる?……ごめん、顔見られないからわかんないや。
でも、泣いているなら泣き止んで?笑ってて欲しいな。じゃないと私も悲しい。
あと…お願い。また、大切な人を作ってほしい。…本当は嫌だよ。私が、ずっといたかったけどもう無理だから…。
そして、たまにでもいいから私のことを思い出してほしいな。
私は、明の幸せを一番に祈っています。
本当に本当にありがとう、こんな私のそばにいてくれて。
ずっと愛しています。
こよみ
「俺は…こよみ以外考えられねぇ…。お前じゃなきゃ…。こよみ、ありがとう。俺も…愛してる」
少し曇り空の中に光が差した気がした。
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